特集 2012年5月23日

香港飯はホンコンの味?日本の味?

都内でもごくごく、たまに見るご飯。
都内でもごくごく、たまに見るご飯。
中華料理店では定番の「天津飯」。ご飯の上に卵とあんかけを載せたどんぶり料理だけれど、実は日本で生まれた料理だというのはけっこう知られた話。スパゲティナポリタンと同じですね。しかしなんで都市名をつけたがるのだろう…。そういえば、一部の中華料理店で「香港飯」というメニューを見かけるなあ。これもやっぱり日本製なのか?というか香港飯そのものを知らない人の方が多いですよね。いったいそれはどんなメニューなのか?
1972年佐賀県生まれのオトナ向け仕事多数のフリーライター。世間の埋もれた在野武将的スゴ玉の話を聞くのが大好き。何事もほどほどに浅く広く、がモットー。

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味噌味という声あり、××ジャンという声もあり

中華料理店、といっても高級店(生ビール600円以上、が自分基準)から普通の定食屋感覚のお店(生ビール300・400円台)までいろいろある。その中でも都内でもおそらくわずか数軒に「香港飯」というメニューが存在する。それもなぜか定食屋寄り中華ばかり。

初めて知ったのは自分が高田馬場で働いていたころによく通っていた中華屋「秀永」。昼の混んでる時間はどんどん相席で座らせちゃう雰囲気が好きだったんだよなー。
鮮烈なオレンジが中華ぽい。
鮮烈なオレンジが中華ぽい。
メニューを見たら、ひらがなでほんこん。
メニューを見たら、ひらがなでほんこん。
ただ、この店でほんこん飯は一度も食べたことはなかった。だいたい餃子とかそっち系頼んじゃうもので。ということで初めて「ほんこん飯てどんな料理ですか?」と聞いてみた。

すると店員のお姉さんはわたわたしつつ「えーっと、野菜と肉をみそで炒めて、あと目玉焼きを載せたもの 」という返事が返ってきた。みそ味かあ。そりゃご飯に合うのが速攻で想像出来る。でしょ?
文句なしの茶色飯、それに純白の目玉焼きがいいコントラスト!
文句なしの茶色飯、それに純白の目玉焼きがいいコントラスト!
黄身がまだ固まってないのが嬉しい。
黄身がまだ固まってないのが嬉しい。
なるほど、いかにも学生が多い高田馬場らしいガッツリ飯。味が濃い上に野菜も肉も入ってて栄養的にもバランス良さそうな気にさせられる。

ただ、香港飯の香港たる理由は聞いてみてもよくわからない。この混沌とした雰囲気が香港ぽいとか?
女の子のスカートがちょっとセクシーなめくれ具合。
女の子のスカートがちょっとセクシーなめくれ具合。
秀永

東京都新宿区高田馬場2-8-5
続いて練馬の香港飯を食してみよう。中村橋の「クサカ亭」はひとり飯もどんと来い!なカウンターもある中華定食屋。ちなみにこちらの表記は「ホンコン飯」。意外と漢字じゃないのだなあ。
カレーなんかもある地元らしい中華屋。
カレーなんかもある地元らしい中華屋。
おすすめ料理ナンバーワン。
おすすめ料理ナンバーワン。
こちらのメニューには「肉と野菜のテンメンジャン炒め目玉焼き」と説明が書かれている。なるほど、テンメンジャンね~(知らないけど知ったフリ的あいづち)。

実際来たのはさっきの秀永のほんこん飯に似てるけど、ピーマンや竹の子など野菜のバリエーションが豊富。
こちらはざく切り感が魅力ですね。
こちらはざく切り感が魅力ですね。
味濃くても後ひかない感じがよろし。
味濃くても後ひかない感じがよろし。
クサカ亭

東京都練馬区向山1-13-4
味はさっきの秀永のほんこん飯と同系。ただ先のが肉しっかりだったのに比べると、こちらは野菜しっかりって感じかな。それだけでなくこの味濃さはビール飲みたくなるなあ。

味付けは秀永が味噌でこっちはテンメンジャンって言ってたけど…って、もう分かる人はとっくに分かってると思いますけど、要は「回鍋肉(ホイコーロー)丼」ですね、香港飯って 。中華ならどこでも作れなくはないはず。これがなぜ「香港」なのだろう?

もうひとつの香港××飯あらわる

さらにもう一軒。市ヶ谷の「かわかみ」でホンコン飯。もう何が出てくるかは分かってますが、些細なバリエーションの違いを楽しむのもいいじゃないですか!
市ヶ谷駅近くの中華屋さんです。
市ヶ谷駅近くの中華屋さんです。
こっちもカタカナホンコン。
こっちもカタカナホンコン。
ここまでの3軒、ネット他いろいろ調べて探したんですが、いずれも「街の中華料理屋」ですね。別に選んだわけでもないんですけども。こういう丼的なバリエーションを置く店はフカヒレとか置くような店ではなく、こういう地元密着型ってことでしょうか。
どれ見ても油ギトっと感に萌える。あと全部スープついてました。
どれ見ても油ギトっと感に萌える。あと全部スープついてました。
食べるとお店のシグネチャーが。
食べるとお店のシグネチャーが。
ラーメンかわかみ
市ヶ谷2号店

東京都新宿区市谷田町1-1-1
ただ、お店の人に聞いたりしたけども「香港飯」の名前の由来はよくわからなかった。ネーミングのなんとなく、な感じからしても日本で出来たぽいなあ。

しかしさらにネット検索を進めてると「香港的士飯」というご飯が存在するのを確認した 。「的士」はタクシー、つまりタクシーの運転手が車を止めて早く食べれるように作ったご飯、ということ。おお、これはかなり由来っぽくないか?

ということでタクシー飯がある店に行ってみた。不思議なことに香港飯はチェーン系に見あたらなかったのに、的士飯は都心にある中華チェーン紅虎餃子房であっさり発見。
餃子だけでなく中華メニューいろいろ。
餃子だけでなく中華メニューいろいろ。
そう、丼ものもいろいろ…。
そう、丼ものもいろいろ…。
ありゃ、香港が抜けてた!
ありゃ、香港が抜けてた!
うう、あわあわ探してたら肝心の「香港」が抜けて「的士飯」だけになってしもうた…。まあ、カレーライスをカレーといっても通じるように、ミスターチルドレンをミスチルといっても通じるように、これは香港的士飯、略して的士飯!であると思いたい。
ほら、実際野菜・肉がどすんと載ってて似た感じじゃない!
ほら、実際野菜・肉がどすんと載ってて似た感じじゃない!
イカもいた。海鮮もあるのがさすが香港(仮)。
イカもいた。海鮮もあるのがさすが香港(仮)。
野菜に肉に海鮮、それら全体を統一する味はぴり辛。照明の感じで分かりづらいですが、色は赤系でなかなか食欲をそそります。ご飯に合うよねー、てこれ少なくとも味噌系の香港飯とは違うよね…。キムチ丼ぽいけど、それともちと違う。メニューには「中国ピリ辛ぶっかけごはん」と書いてあるし。

これはこれでもちろん美味しかったけれど、また香港飯の真実には遠のいてしまった…。調べてみたら「老抽」という辛い醤油を使うのが的士飯らしい。とりあえず香港飯とは別物のようだ。 あれー?
紅虎餃子房
池袋サンシャイン店

東京都豊島区東池袋 3-1-2

サンシャインシティアルパ 3F
とりあえず「香港飯」と「(香港)的士飯」は別ものらしい。そして香港の人が食べるのかも謎のまま…。いずれ現地にあるのかないのか?そして味もこれなのか?調査に行きたい!丼めし好きとしてはリアル中華丼も制覇したいですよ!

タクシー飯、油っぷり最強。
タクシー飯、油っぷり最強。

きっとどこかに日本人も知らない地名丼が

そういえば「上海やきそば」なんてのもありますけど、アレも上海にあるんだろうか…。さすがに「青島ビール」は工場とかあるらしいですが。しかし天津飯の例を考えると、ちらし寿司を「東京丼」とかネーミングで出してる店ってあるんだろなあ。
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