特集 2012年5月27日

東京湾1周マラソン

スタートは日本橋。ゴールも日本橋です。
スタートは日本橋。ゴールも日本橋です。
東京湾はフェリーを使うと1周出来ます。デイリーポータルでは、元編集部の工藤さんが電車を使って東京湾を周回しています。こちらの記事

電車以外に道路も東京湾をなぞるように通っています。ならば、電車を使わず自分の足で走って東京湾を1周出来るはず。

ということで、東京湾1周マラソンをやってみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:海上自衛隊のカレーは本格的

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

およそ190kmの走行距離

東京湾1周マラソンのコースは以下の地図のようになります。日本橋をスタートして千葉方面へ。内房の海岸線に沿うように走り、金谷の東京湾フェリー乗り場へ。フェリーで久里浜に渡ったら再び海岸線に沿うように横浜へ。そこからは箱根駅伝のコースを走って日本橋へ戻ります。

より大きな地図で 東京湾1週ランニング を表示
実際に走った事のないコースなので、ネットで衛星写真を見ながら歩道が有ると思われる道を選んでいます。地図上の計測で175km程の距離。道を渡ったり、高低差があったりしますので、実際には190kmぐらい走ることになるでしょう。
日本橋横の日本国道路元標前を深夜1時半頃スタート。
日本橋横の日本国道路元標前を深夜1時半頃スタート。
走行予定時間は36時間。フェリーの運航時間に間に合うように深夜1時半頃日本橋をスタートします。また、24時間を超えるとかなりの眠気に襲われるので、横須賀にある温泉施設を仮眠場所として予定しています。

そんな感じで東京湾1周マラソンスタートです。

スタート直後は霧雨

深夜の日本橋界隈は人通り無し。
深夜の日本橋界隈は人通り無し。
スタート直後は霧のような雨が降ったり止んだり。濡れる程ではないので、気にせず進みます。
雨のおかげでヒンヤリして気持ちがいい。
雨のおかげでヒンヤリして気持ちがいい。
連休中だった為か、この日は警察官が町中に立っている事が多かったです。怪しまれないように、すれ違う際には「今晩は」と挨拶。敬礼で返してくれた気さくな警察官もいました。深夜の走行では警察官へ挨拶しておくといいでしょう。
江戸川交差点到着。ツイッターで状況をつぶやきながら走行。
江戸川交差点到着。ツイッターで状況をつぶやきながら走行。

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このあたり。まだ先は長い。
こんな感じで走ること約2時間。江戸川交差点まできました。スタートから15km程の地点。ここから千葉方面へ道が続きます。

食事はコンビニや適当な店で

早めの朝飯。霧雨も止む。
早めの朝飯。霧雨も止む。
江戸川交差点を曲がり、千葉街道を進み続けること更に2時間。船橋あたりで最初の食事休憩です。レースではないのでエイドは全くありません。食事やトイレ休憩はコンビニなどで済ませます。

今時はよほどの人里離れた所でもない限り、長くても10kmぐらい走ればコンビニがあるので、補給にはあまり困りません。日本は超長距離ランナーには便利な国です。
音楽聴きながら走行中。なぜ朝っぱらこの曲か。
音楽聴きながら走行中。なぜ朝っぱらこの曲か。
食事を済ませてさらに千葉街道を走行します。途中、インターチェンジを迂回したり、歩道の無い道を避けた際に道に迷ったりしながら千葉みなと駅付近まできました。

フェリーの時間が気になり始める

地図計測で40kmぐらいの地点。フルマラソン1本終了。
地図計測で40kmぐらいの地点。フルマラソン1本終了。
道を間違えた影響で予定していた時間よりもやや遅く到着。ここを超えると市原の工業地帯に入っていきます。

そして、金谷港から出る最終フェリーが19時30分。少し心配なペースとなってきました。先を急ぎます。
普通のスマホの他にタブレットも持って走っていたので大きな地図とGPSで道を確認。便利な世の中になったものだ。昔は地図を持っていても現在位置を把握するのに時間がかかったものだ。
普通のスマホの他にタブレットも持って走っていたので大きな地図とGPSで道を確認。便利な世の中になったものだ。昔は地図を持っていても現在位置を把握するのに時間がかかったものだ。
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摩擦保護クリームは忘れるな

ここから先は海沿いの工場地帯を進む。
ここから先は海沿いの工場地帯を進む。
時刻は午前9時過ぎ。千葉県市原市に入りました。日が出てきて気温も一気に上がります。

より大きな地図で 市原市 を表示
50kmぐらいの位置。先は長い。
気温が上がると水分補給が多くなる。この辺りは工場地帯でコンビニ、自販機が少なくなる事が予想されたので、手持ちの水が少なくなってきたら、自販機などを見つけ次第早めに飲み物を購入します。

一度に大量に飲むと胃がおかしくなり走れなくなることがあるので、小まめな水分補給が重要です。水分補給は計画的に。
午前中で20度超え。この日は日差しが割と少なく、風もあったのであまり暑さは感じなかった。
午前中で20度超え。この日は日差しが割と少なく、風もあったのであまり暑さは感じなかった。
それから、水分補給の他に計画的に行っておかなければならない事があります。
最近ならばランニング用品売り場や登山用品売り場などで買えます。
最近ならばランニング用品売り場や登山用品売り場などで買えます。
それはスポーツ用摩擦保護クリームを塗ることです。これを脇、股、胸、尻などに8時間毎ぐらいの間隔で塗ります。ワセリンでも構いません。その場合、2、3時間毎ぐらいで塗ります。

これを塗らないと、肌が服やザックとの摩擦で切れてきます。非常に痛い。超長距離をやりたいと思う方は、忘れずに購入して荷物に入れておきましょう。あんなところや、こんなところが凄いことにならないように。

不穏な雲が近づく

黒い雲が近づくときは気をつけろ!
黒い雲が近づくときは気をつけろ!
市原市に入ると、しばらくは工場地帯を走ります。時々雨が降りそうな黒い雲が近づいてくるものの、雨が降ることはなくひと安心。工場地帯は雨を避けられる屋根のあるところが少ない。
フェリーの時間がかなり気になっている。
フェリーの時間がかなり気になっている。
そして、この辺りは衛星写真で見た際に歩道があるか心配な場所でした。途中で歩道が途切れて反対側に渡らないといけない所が多少ありますが、概ね快適に走れます。
やっと全体の3分の1ぐらいか。
やっと全体の3分の1ぐらいか。
やがて市原市から袖ヶ浦市に入り工業地帯を抜けます。この辺りは広い道を進んでいると突然車道だけになる場所が出てくる。予定コースより大きく迂回しつつ先に進みます。
こんな感じで車専用道路につながっている所が多い。こういう所は大きく迂回することになる。
こんな感じで車専用道路につながっている所が多い。こういう所は大きく迂回することになる。

フェリーに間に合うのか!

時刻は13時過ぎ。スタートから約12時間。アクアラインの下を通過しました。
アクアラインは車専用だから渡れない。ランナーはフェリーを使います。
アクアラインは車専用だから渡れない。ランナーはフェリーを使います。

より大きな地図で アクアライン下 を表示
このあたり。当初計画では右側の広い道を行く予定だった。
スタート地点の日本橋から地図上の計測で70km付近。金谷の東京湾フェリー乗り場まで35kmぐらいあります。チケットを買う時間を考えると、残り時間はあと6時間ほど。あまりダラダラと走っていられない状況になってきました。
ようやくフェリー乗り場の看板が出くる。あと16km。
ようやくフェリー乗り場の看板が出くる。あと16km。
この辺りは車道のみの細い道が多く走りづらいのですが、迂回路を調べている余裕も迂回している時間も無いので気を付けて進みます。
かなり日が傾いてきた。急げ!
かなり日が傾いてきた。急げ!
フェリー乗り場が見えた!
フェリー乗り場が見えた!
休憩はあまりとらず写真撮影もそこそこに、とにかく先を急いだ結果、出航時間45分前には金谷東京湾フェリー乗り場に辿り着けました。しかし、1つ心配事があります。
チケットは残っているのか?
チケットは残っているのか?
東京湾1周マラソンを実行したのは5月の連休中。フェリーのチケットは先着販売順らしいので、もし既に満席だったらここで乗船失敗リタイアです。

さあ、どうなる!
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乗船成功

チケットが買えて、安心して乗船時間までに食事。ビール飲みたいがうどんだけで我慢。
チケットが買えて、安心して乗船時間までに食事。ビール飲みたいがうどんだけで我慢。
乗船チケットは余裕で買えました。フェリー乗船成功です。ウルトラマラソンのレースでは各地点に関門時間が設定されています。個人で走る場合は、自分の意志で走っているので関門時間は当然設定されていません。

しかし、今回のように一部乗り物を使う場合は別。乗船時間に間に合わなければ明日の朝まで船は無し。電車で寂しく帰らなくてはなりません。
記事会議の際に編集部の橋田さんに「フェリー乗ったらダメでは?泳げばよかったのでは。」と言われた。アースマラソンを走り終わった間寛平に、太平洋はヨット2台を繋いでその間を走ればよかったと言った黒柳徹子ぐらいの鬼だ。
記事会議の際に編集部の橋田さんに「フェリー乗ったらダメでは?泳げばよかったのでは。」と言われた。アースマラソンを走り終わった間寛平に、太平洋はヨット2台を繋いでその間を走ればよかったと言った黒柳徹子ぐらいの鬼だ。
金谷港から久里浜まではおよそ40分。船内では座ったと同時に寝ていました。足の疲れはないのですが、そろそろ眠気が出てくる頃です。
久里浜到着。神奈川ステージスタート!
久里浜到着。神奈川ステージスタート!
久里浜に到着したらまずは横須賀の海岸沿いの温泉施設を目指します。そこで風呂に入り着替えて1時間ほど仮眠をとります。

より大きな地図で 久里浜 を表示
この辺り。乗り物は早いね。あっという間に神奈川だ。

絶賛幻覚タイム

久里浜の街はなんだかトロピカル。
久里浜の街はなんだかトロピカル。
久里浜港から横須賀の温泉施設までは7kmぐらいの距離。千葉側と違ってここから先はかなりの都市部を走ることになります。夜も大体明るい。
もっと早く着けばもう少し仮眠を取ったが、1時間で切り上げる。それでも風呂に入って着替えたのでサッパリ。ビールの誘惑にも負けなかった。
もっと早く着けばもう少し仮眠を取ったが、1時間で切り上げる。それでも風呂に入って着替えたのでサッパリ。ビールの誘惑にも負けなかった。
コースを千葉周りにしたのは、千葉側の工場地帯やフェリー乗り場周辺がかなり暗いことが予想された為です。距離とフェリー発着時間を考慮して、そのあたりを日のあるうちに通過するのに最適な千葉周りコースを設定。思惑通り、神奈川側は街路灯が多く、小さいライトでも問題なく走れます。
横須賀のショッピングセンター付近。明るい。深夜で誰もいない。
横須賀のショッピングセンター付近。明るい。深夜で誰もいない。
走り始めて24時間を超えるとかなり眠くなってくるので、仮眠をとったとはいえ時々激しく眠くなることがあります。この辺りでもちょっと頭がぼーっとしていました。
コンビニ前で落ちていた。
コンビニ前で落ちていた。
どうしょうもないほど眠い場合、レース中だと道の横でしゃがんで10分ほど寝て眠気をとります。しかし、レースじゃないので他に走っている人はいません。道端で寝ていると、行き倒れの人のようなので今回はなるべく避けました。
もうすぐ夜明け。道端で寝るとマズいので、交番前で寝かせてもらおうかと思ったが、立ち寄った交番がパトロール中で留守だった。そのためコンビニ前で落ちた。
もうすぐ夜明け。道端で寝るとマズいので、交番前で寝かせてもらおうかと思ったが、立ち寄った交番がパトロール中で留守だった。そのためコンビニ前で落ちた。
そして、眠気になんとか耐えて走り続け、夜が明ける頃には横浜付近まできました。
あの扇形はインターコンチネンタルホテルだ。もうすぐ横浜駅。残り40kmぐらい。
あの扇形はインターコンチネンタルホテルだ。もうすぐ横浜駅。残り40kmぐらい。
横浜を超えると箱根駅伝のコースに入ります。何度も走った事がある道なので距離感もつかめて走りやすいでしょう。

ゴールが見えてきた。しかし、眠い。
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横浜到着

ここからは箱根駅伝コース。
ここからは箱根駅伝コース。
時刻は6時40分頃。横浜駅前に到着。スタートから29時間ぐらい。日差しが強く、どんどん気温が上がっていきます。日陰を選びながら日本橋を目指します。
生麦のキリンビール工場付近。ビールが飲みたくて爆発しそう。
生麦のキリンビール工場付近。ビールが飲みたくて爆発しそう。
この日は日差しが強く、気温も高め。ゴール後のビールで頭がいっぱいになりながら走ります。
箱根駅伝鶴見中継所前。この像を見るのは何度目だ。
箱根駅伝鶴見中継所前。この像を見るのは何度目だ。
あと22km。
東京に入った。
東京に入った。
あと20km
品川まできた。
品川まできた。
あと8km
丸の内まできた。
丸の内まできた。
残り2km切った。
日本橋ゴール!
日本橋ゴール!
所要時間35時間57分。東京湾1周マラソンゴールしました。楽しい走りだった。

もっと遠くに行きたい

東京湾1周マラソン非常に楽しかったです。24時間を超える1人での走りは初めてだったので、色々心配な点がありましたがネットやスマホを駆使することで特に問題はありませんでした。便利な世の中になりましたね。

次は諏訪湖から日本橋までの甲州街道を走ってみたい。215km程になります。今度コースを考えよう。そしていつか東京から走ってお伊勢参りでもしてみたいものです。700kmぐらいあるようです。1週間あれば行けるな。
やはりゴールビールはうまい。ちなみに、私は普段1か月に2、30km程度しか走りません。筋トレや計画的な走り、超長距離用にカスタマイズしたランニングフォームで走ることにより、普段走らなくてもなんとかなっています。その話はまたいずれ。
やはりゴールビールはうまい。ちなみに、私は普段1か月に2、30km程度しか走りません。筋トレや計画的な走り、超長距離用にカスタマイズしたランニングフォームで走ることにより、普段走らなくてもなんとかなっています。その話はまたいずれ。
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