特集 2012年6月12日

食卓におけるドーナツ化現象

あれもこれもドーナツ
あれもこれもドーナツ
生ドーナツ、という食べ物に対するわだかまりを捨て切れない。

単刀直入に言う。
あいつ、ババロアだろう。
ババロアとかムースの類だろう。

味に対する不満はない。見た目も華やかで可愛らしい。しかし、ドーナツか?と聞かれると素直に頷けない自分もいる。
世間はみんな、この事態を素直に受け入れているのだろうか。ここでババロア疑惑を騒げば騒ぐほど、なんて空気の読めないやつだと思われるかもしれない。納得するしかないのか。

いやしかし、あれをドーナツと呼ぶことが許されるならば。
もういっそあの形にしてしまえば何でもドーナツになるんじゃないだろうか。
石川県出身。以前は普通の会社員。現在は透明樹脂を用いたアクセサリーを作る人。好きな色は青。好きな石はサファイア。好きな犬はウェルシュ・コーギー。

前の記事:理想の「行ってきましたクッキー」を求めて

> 個人サイト capria

パン界、スナック界におけるドーナツたち

改めて、あの味を確かめてやろうと勢い込んで生ドーナツを探したのだが、近くのお店では見つからない。ちょっと前までそこらのコンビニで普通に買えたように思うのだが。

あいつ、逃げやがったな、という考えが一瞬ちらつく。
生ドーナツに対して鬱積した感情を持ち過ぎである。
仕方ないので普通のドーナツを入手
仕方ないので普通のドーナツを入手
うん、これはまごうことなきドーナツ。
ではこれはどうだろうか。
ド、ドーナ…。といいたいところだが、これはベーグル。
ド、ドーナ…。といいたいところだが、これはベーグル。
そう、ベーグル。
しかしどうだろう、ほぼドーナツと言って良い風貌ではないか。生ドーナツがドーナツなら、これだってドーナツだろう。

やはり形なのだ。生ドーナツ理論は形が全てなのだ。
スナック界にもドーナツの波
スナック界にもドーナツの波
このフォルム、間違いなくドーナツ
このフォルム、間違いなくドーナツ
リング状でありさえすればいいのだ
リング状でありさえすればいいのだ
かの有名な「おっとっと」ですらドーナツと化している現実
かの有名な「おっとっと」ですらドーナツと化している現実
ドーナツは日常のあちこちに潜んでいる。
更にいうなら、ドーナツでないものもちょっと手を加えればあっというまにドーナツ家の一族に仲間入りだ。
ただのホットケーキサンドだって、
ただのホットケーキサンドだって、
こうすればドーナツ
こうすればドーナツ
シロップたっぷりの一番美味しい部分がくり抜かれてしまっているが、それはそれ。ドーナツ化現象のためには仕方ないのだ。(ドーナツ化現象、がそういう意味の言葉でないことは一応理解しています)

食卓のドーナツ化に挑む

リング状ならなんでもドーナツ。
この理論をもってすれば食卓のメニューすべてをドーナツへと変貌させることだってできるはず。

手当たり次第にドーナツ化していこう。
左メンチカツ&右ハムカツというそっくりコンビ
左メンチカツ&右ハムカツというそっくりコンビ
丸いクッキー型でぐりぐりとやれば
丸いクッキー型でぐりぐりとやれば
はい、ドーナツ
はい、ドーナツ
またしても肝心な部分がくり抜かれている。カツ定食を注文してこれが出てきたら大抵の人は憤慨するだろうが、仮にドーナツ定食だと思えばどうだろう。「じゃあ仕方ないね」と言う気にならないだろうか。うん、無茶を言っていることは承知だ。何だドーナツ定食って。
どんどん行こう。大根もドーナツになれそうだ。
どんどん行こう。大根もドーナツになれそうだ。
輪切りにして、同じように繰り抜いて
輪切りにして、同じように繰り抜いて
ほらもうドーナツ
ほらもうドーナツ
ことこと煮込んだ、ドーナツの煮物
ことこと煮込んだ、ドーナツの煮物
これはこれで間違いなくドーナツだが、はたと気づいた。
ドーナツといえばあの可愛らしさ。華やかさ。それが足りていないのではないか。もっとデコレーションを施す必要があるのではないだろうか。ドーナツは、よりドーナツらしく。
よしきた、と豆腐に手を出す
よしきた、と豆腐に手を出す
今後は専用の型で丸く切り取る。これで切ればもうなんでもドーナツだろう。
今後は専用の型で丸く切り取る。これで切ればもうなんでもドーナツだろう。
生姜を飾れば、はいできあがり
生姜を飾れば、はいできあがり
ちょっと可愛くできた気がして、この辺りから段々気分も高揚してきた。ドーナツ・ハイだ。 型を握る手にも力が入る。さあ次はどいつをドーナツ化してやろうか。

ドーナツ定食の実現

ネギトロ。これはなかなか丸めがいがありそう。
ネギトロ。これはなかなか丸めがいがありそう。
パラパラとネギを散らして、海のドーナツが完成
パラパラとネギを散らして、海のドーナツが完成
ほうれん草もいけそうだ
ほうれん草もいけそうだ
茹でて型に詰めて、寒天粉を溶かしたダシ醤油を流し込む
茹でて型に詰めて、寒天粉を溶かしたダシ醤油を流し込む
冷蔵庫で冷やせば、緑のぷるぷるドーナツに
冷蔵庫で冷やせば、緑のぷるぷるドーナツに
同じ型を使って、白米ももちろんドーナツ化。ふりかけを散らして彩りも鮮やか。
同じ型を使って、白米ももちろんドーナツ化。ふりかけを散らして彩りも鮮やか。
勢揃い。これがドーナツ定食とかいうものかもしれない。
勢揃い。これがドーナツ定食とかいうものかもしれない。
いつの間にやら妄想が具現化したが、食卓のドーナツ化はまだ続く。もはや視界に入る食べ物、何もかもがドーナツの素。目に映る全てのものはドーナツだ。

ポテトサラダ:難易度高

しかしそう易々と、全てがおとなしくドーナツになってくれるわけではない。
これも形にしやすそうなメニュー
これも形にしやすそうなメニュー
ハンバーグ+ドーナツという、ちびっこが喜びそうなコラボ。
ハンバーグ+ドーナツという、ちびっこが喜びそうなコラボ。
付け合わせのポテトサラダも、もちろん型に押しこむ
付け合わせのポテトサラダも、もちろん型に押しこむ
しかし、そのポテトサラダを成形しているうちにハンバーグが焦げた。ドーナツの罠。
しかし、そのポテトサラダを成形しているうちにハンバーグが焦げた。ドーナツの罠。
ポテトサラダはなかなかの曲者。いかにも成形しやすそうだが、型に押し込んだが最後、全然出てきてくれなくなったのだ。仕方ないのでスプーンで丸く盛りつけた。ドーナツ化に抵抗を見せる食材もあるのだ。こういうタイプはきっとゾンビ映画でも最後まで人間のまま生き残って戦ったりするのだろうなと思った。ポテサラ強し。

ドーナツづくし、という食卓風景

ともあれ、ついに完成。
これがドーナツ化した食卓だ。
あっちを向いてもこっちを向いても、ドーナツ
あっちを向いてもこっちを向いても、ドーナツ
三角食べをしても、三角の頂点全てがドーナツ
三角食べをしても、三角の頂点全てがドーナツ
なぜだろう。なぜ笑顔になってしまうのだろう。
メニュー自体はどれもありふれたものなのに、リング状にしただけでこんなにファンシー。
ドーナツの力は偉大だ。そりゃババロアだってムースだって、ドーナツを名乗ろうというものだ。大いに納得した。

やや悔やまれるのは汁物。さすがにそこはドーナツ化できなかったのだ。もういっそ、そういう形のおわんから作るしかない。

ちなみに食べた感想は、箸で一口大に切りわけるのが簡単なので、食べやすくて意外と便利でした。

ゲシュタルト崩壊寸前

一生分の「ドーナツ」をタイピングした気がする今回の記事。原稿執筆中のおやつもドーナツ(本物)だった。日常がドーナツに埋没していく、というシュールな悪夢の一場面みたいな事態。 もう生ドーナツへのわだかまりは消え去った。

あれもドーナツ。みんなドーナツ。
デザートも、もちろんドーナツ
デザートも、もちろんドーナツ
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