特集 2012年6月30日

地主だらけの街に行く

地主の素晴らしさを知ることができる街です!
地主の素晴らしさを知ることができる街です!
土地を持っている人や、マンションを経営する人を「地主」という。一般的に「地主」と聞くとお金持ちのイメージがあるのではないだろうか。豪邸に住んでいそうだ。

そんな「地主」を冠にした町が存在する。その名も「地主町」。豪邸だらけの街なのだろうか。気になる、ということで、地主町に地主(僕のことです)が訪れた。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

イーハトーブ地主

街を歩いていると「私有地に付き立ち入り禁止 地主」と書かれた看板を目にすることがある。土地を持っている人を地主というのだ。日常会話でも「地主さんに聞いてみないと~」などという会話があったりする。地主とはお金持ちで権力者なのである。
地主しか入れない土地
地主しか入れない土地
奇遇にも僕の名前は「地主」だ。フルネームは地主恵亮。ペンネームなどではなく、本名だ。小さい頃から「地主」と呼ばれてきた男、それが僕である。
本名です! (事件起こしたみたいな顔ですが地主です)
本名です! (事件起こしたみたいな顔ですが地主です)
そして岩手県一関市には「地主町」という街が存在する。金持ちそうな町名だ。岩手県といば「イーハトーブ」で有名。岩手にある地主町もまたイーハトーブのひとつということだ。

ちなみにイーハトーブとは、宮沢賢治が考えた言葉で「理想郷」みたいな意味だそうだ。そう、地主町は理想郷なのだ。
地主町もイーハトーブですよ! 岩手にあるから
地主町もイーハトーブですよ! 岩手にあるから

地主が地主町に行く!

地主町の最寄駅である一関駅はもう少し行けば宮城県となる場所に位置している。さらに逆方向に少し行けば中尊寺などがある平泉。一関駅も平泉推しだった。地主としては地主町を推して欲しい気がする。
一関駅
一関駅
雨の中、僕(地主)は一関駅から地主町を目指して歩いた。高い建物が少ない見通しがよい商店街を抜ける。しばらくすると「地主町角」と書かれた信号が見えた。自分の名前が書かれた信号。なんだか嬉しい。この角を曲がれば地主町通り。僕の通りだ。
地主町角を曲がれば、
地主町角を曲がれば、
地主町通り(ここも高い建物は少なかった、というかなかった)
地主町通り(ここも高い建物は少なかった、というかなかった)
地主町は決して広くない。地主なのに? と思われるかもしれないが、そういった奥ゆかしさがまた地主のよさなのである。ただ「地主町通り」と名付けられたメインの通りは「地主」であふれ、自分が地主であることを強く主張している。
知ってる!
知ってる!
地主! 地主!
地主! 地主!
電線も地主!
電線も地主!

地主を大歓迎する地主

地主町通りには多くのお店が並ぶがあまり活気は感じられなかった。あとで「地主町は栄えてますか?」と地元の人に聞くと「…」と三点リーダーがどこまでも続くような回答をいただいた。しかし、それも地主のよさ。地主は静けさを好むのだ。だから静かな所に別荘を持っていたりするのだ。
記念撮影!
記念撮影!
通りに「かんりょう」という酒屋があった。その店名もなんだか「地主」っぽい。さらにその酒屋には「地主町」とラベルが付いたお酒まであった。地主だから金箔どころではなく、金塊が入ったお酒かと思いきや、気取らないシンプルなお酒。これも地主のよさ。地主は気取らないのだ。
かんりょうで売られている「地主町」
かんりょうで売られている「地主町」
もちろん記念撮影(美味しいお酒でした! さすが地主!)
もちろん記念撮影(美味しいお酒でした! さすが地主!)
さらに通りにあるハンコ屋に行けば「地主」と書かれたハンコも売られていた。後で冷静に考えるとこれは普通のことで、別に地主町だからというわけではなかったけれど、嬉しかった。さらに後で気が付いたけれど、そのハンコは「ち」の並びに置かれていた。「し」ではないのだ。地主町なのに。
「ち」の並びに地主のハンコ。「し」じゃなかった
「ち」の並びに地主のハンコ。「し」じゃなかった

地主町で分かる地主のよさ

雨の地主町を歩く。晴れていても綺麗だろうけれど、雨の地主町もまた美しい。だって地主だから。シャッターが閉まったお店も多いけれど、きっとこれから金銀パールを扱う煌びやかなお店が入ることだろう。またスナック的なお店も多かった。
スナック しあわせ
スナック しあわせ
やはり地主といえばしあわせを振りまく存在だと思う。だから地主町らしい素晴らしい店名のスナックだ。ただし残念ながら看板の「しあわせ」の文字は色あせ、お店も潰れていた。しかし、それも地主のよさ。自分をボロボロにしても、地主は他人の幸せを願うのだ。
ジップロック的なものが干してあった
ジップロック的なものが干してあった
地主といえばお金持ちのイメージで、なんでも買えばいいと思っていそうだけれど、実は違う。エコ精神も強いのだ。だからジップロックも擦り切れるまで使う。全然干すのだ。この街には本来の地主像があったと思う。
雨が降っていても傘を差さないワイルドさ! これも地主らしい
雨が降っていても傘を差さないワイルドさ! これも地主らしい

地主の真実

実は「地主町」は「じしゅまち」と読む。「じぬしまち」ではないのだ。僕の名前は「じぬし」なので、自分の名前と同じ町と喜んでいるが、厳密には違うのである。ただ地主町の歴史を調べると古くは「じぬしまち」と確かに呼ばれていたそうだ。だからセーフ。
本当はじしゅまち
本当はじしゅまち
さらに、一般的な地主はお金持ちのイメージがあるが、僕は地主だけれど、その名前のイメージから遠く離れている。僕が住んでいるのはワンルームの賃貸(最寄り駅から徒歩30分)だし、実家も借家だ。白ご飯にウナギのたれをかけて「うな丼」と言って喜んで食べたりしている。地主町しかり、実態はそんな感じなのだ。頑張ろうと地主町で誓った。
本当はじしゅまち地主丼(地主流うな丼。ウナギを買うお金がないのだ!)
本当はじしゅまち地主丼(地主流うな丼。ウナギを買うお金がないのだ!)

一度はおいで地主町

以前から自分と同じ名前のこの街に行ってみたいと思っていた。実際に行ってみると豪邸なんかなくて、あまり活気もないような商店街ではあったけれど、やはり同じ名前というのが嬉しくて雨の中でもテンションは滝を昇る鯉のようにうなぎ上っていた。また地主町はいい人が多かった。記念撮影させてくれたり。やはり地主はいい人なのだと思う。
地主町に行くのに東京から夜行バスを使った。これも地主っぽくない!
地主町に行くのに東京から夜行バスを使った。これも地主っぽくない!
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