ロマンの木曜日 2012年7月5日
 

うるうメガネをかけてうるう秒を見に行った

うるう秒
うるう秒
7月1日の朝、数年に一度という「うるう秒」の挿入が行われた。
うるう秒とは数年に一度、不定期に天文時と原子時計のずれを調整するため、うるう秒として1秒を世界標準時に挿入しているものだ。
今回のうるう秒は、日本時間で7月1日午前9時00分00秒の前に、午前8時59分60秒という「よけいな」1秒が挿入された。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。

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その1秒を見てみたい!

普通の時計では8時59分59秒の次は9時00分00秒と表示されてしまうため、貴重な1秒を実際にこの目で確かめることはできない。
しかし、本来は見ることができないうるう秒の8時59分60秒を表示する時計が日本には幾つかあり、その内の一つが東京都小金井市の「独立行政法人情報通信研究機構(NICT)」にある。
「日本標準時をつくって配ってる」情報通信研究機構ウェブサイトより
「日本標準時をつくって配ってる」情報通信研究機構ウェブサイトより
調べると、NICTではそのうるう秒の見学会というイベントを行なっているという。
県境などもそうなのだけど、ぼくは「見えるはずのないものが見える」というロマンにめっぽう弱い。これはぜひ見ておきたい。だって次はいつなのか、わからないし。

うるう秒を見たい3人で行ってきた

数年に一度しかなく、しかも次はいつあるのかもわからないうるう秒。そんな貴重な1秒をしっかりと見届けるため、当日、当サイトのウェブマスター林さん、ライターのべつやくさんと共にNICTに向かった。
「うるう秒こちら」という分り易すぎる看板
「うるう秒こちら」という分り易すぎる看板
うるう秒を見るイベントに食いついてきた林さんと、多分よくわからないけど来てみたべつやくさん
うるう秒を見るイベントに食いついてきた林さんと、多分よくわからないけど来てみたべつやくさん
うるう秒を見るにあたり、各自うるう秒を盛り上げるためのグッズを作ってきた。
林作「うるうメガネ」
林作「うるうメガネ」
べつやく作「うるうカチューシャ」
べつやく作「うるうカチューシャ」
西村作「うるうメガネ金色」
西村作「うるうメガネ金色」
「みんなで何か同じものを見て盛り上がる」といえばやはり、メガネやカチューシャなどのグッズが必要だな、という考えに思い至るのはごく自然なことだと思う。だって2000年から2001年になったとき、みんなミレニアムメガネをかけてたはずだ。
なんだかちょっと言い訳がましくなっているけれど、なぜかというと、これほどまでに浮かれている一行は他に居なかったからだ。

「うるう秒を見る人を見る」つもりが、チラチラ見られていた

そもそも、うるう秒に関しては様々なことが言われている、もはや不要ではないかという意見まであるらしいのだが、そのへんの詳しい話は今晩(記事配信日の2012年7月5日)7時30分からのNHK「クローズアップ現代」がうるう秒を取り上げるらしいので、そちらに任せておいて、ぼくたちはうるう秒そのものだけではなく「うるう秒とそれを見て盛り上がる人達」も見てみようという思いでやってきた。
しかし、現場にやってきてまず感じたのは、ぼくたち以外はだれもそんなに盛り上がってないように見えるのだ。
ひとが居ないというわけではない。
ひとはこんなにいる
ひとはこんなにいる
でも、うるうグッズなんて作って勝手に盛り上がってるのはぼくたちだけだった。
えーと、ぼくらだけですかね、浮かれてるの?
えーと、ぼくらだけですかね、浮かれてるの?
気がつけば、たまたま見に来た近所の子供たちにチラチラ見られている。うるう秒を見る人を見るつもりで来たのがチラチラ見られることになってしまっている。

うるう秒に関するレクチャーを受ける

うるう秒までしばらく時間があったので、NICTでうるう秒とは何かといううるう秒説明会を開催していたので、見に行ってみた。
説明会の開始時刻の刻み方が細かい
説明会の開始時刻の刻み方が細かい
大きなモニターには「ようこそ日本の時刻のふるさとへ」と書かれていた。
大きく出たな
大きく出たな
「大きくでたなー」と思うけれど、実はそのとおり、NICTは日本標準時を決定し、維持し、供給するということをしている。したがって冗談でそんなことを言ってるわけではない、本当のことだ。
日本の時刻を決めているのは明石ではなく、小金井
日本の時刻を決めているのは明石ではなく、小金井
日本標準時というと、つい「明石」とイメージしがちなのだけど、現在は明石ではなく、小金井市にある原子時計を基準に日本の標準時を決めているらしい。
不規則な天文時に原子時をあわせている
不規則な天文時に原子時をあわせている
現在、標準時は正確な時間の測れる原子時計で計った原子時を、地球の動きに合わせた天文時に合わせて決めている。しかし、地球の動きは不規則で、天文時は少しずつ時間がずれていく。そのズレを放置しておくと原子時と天文時の間にどんどんズレがたまってしまう。そのズレを修正するための方法がうるう秒というわけだ。
これより詳しい解説は今晩(記事配信日の2012年7月5日)7時30分からのNHK「クローズアップ現代」をご覧頂きたいと思う。
インダストリアル!
インダストリアル!
「安全安心な社会基盤をめざして」ときて
「安全安心な社会基盤をめざして」ときて
空撮で締める
空撮で締める
解説ビデオは原子時計の仕組みなどを詳しく解説していたものの、難しい部分はあまりよく覚えていない。
印象に残ったのは原子時計がカッコ良かったのと、最後の空撮で終わる感じが啓発ビデオっぽくて面白かったということだ。

いよいようるう秒!

うるう秒に関する解説を見た後、外に出てみるとすでにうるう秒まで10分を切っていた。
周りの見物人もさらに増えている。
ひとが若干増えた
ひとが若干増えた
うるう秒2分前!
うるう秒2分前!
子供はちょっと飽きてきた
子供はちょっと飽きてきた
あと1分ちょっと!
あと1分ちょっと!
固唾を呑んで見守る人々、そこに浮かれの文字はない
固唾を呑んで見守る人々、そこに浮かれの文字はない
(参考)間違った浮かれの人々
(参考)間違った浮かれの人々
ついに、うるう秒まで1分を切った。
カウントダウンがあるかな?と思ったけれど、そういうものもなく、ざわめく中、時刻は着々と8時59分60秒へ近づく。
しかし、やはりさすがに我慢できなかったのか、59分55秒あたりでどこからともなく5、4、3……とカウントダウンが始まった。
そしてついに……
そしてついに……
60秒!
60秒!
60秒!
この瞬間「うぉー」という緩い歓声とまばらな拍手がパラパラ起こった。
向き合い方がわからない
向き合い方がわからない
みんな「うるう秒」に対してどのように向き合ったらいいのか判断しかねているようだった。
「あけましておめでとう!」だと違う。けれど何かちょっと言いたい。悩んだ末出た言葉が「うぉー」なのだろう。
事前になんて叫ぶか決めておけばよかったかな? という気もしないでもない。「完了!」とか「ウー!ルーゥ!」とか。
あっという間にひとがはけた
あっという間にひとがはけた
その後、数分で水が引くようにひとは居なくなってしまった。

取材されまくる

以上がうるう秒を見た一部始終だ。
普段見ることができないうるう秒を見るために、報道陣を含め近所のひとや見物客など、おそらく200〜300人近くはいたのではないかと思う。
フジテレビさんに取材された
フジテレビさんに取材された
当日は、一応ぼくらもネットメディアということで、USTREAMでうるう秒の様子を中継していたはずだけれど、うるうメガネが目立ったのか他のメディアから幾つか取材されてしまった。
ホイホイ取材を受ける。メディアとしての自覚はゼロ
ホイホイ取材を受ける。メディアとしての自覚はゼロ
最初に取材された新聞社には「(うるう秒どうでしたか?の質問に)あっという間に終わってしまいましたねー」なんて答えてたのに、そのあとのテレビ局には「1秒の重みを感じることができました」などと、かなり適当でいい加減なコメントをしたためか、オンエアでは音声なしだった。
この後ワイプで映った泉ピン子が笑っていた
この後ワイプで映った泉ピン子が笑っていた
メガネに文字をつけるときは、金色で作ると肌の色と混じってよくわからなくなる。という、何にも応用できないノウハウを取得してしまった。

好奇心と含羞のはざまで

服の上からTシャツを着るとメジャーリーグ入団会見みたいだよねと林さんが言ってました
服の上からTシャツを着るとメジャーリーグ入団会見みたいだよねと林さんが言ってました
実は当日「うるう秒Tシャツ」なんてものも作って持って行ってたけれど、さすがに現地でそれを着る勇気はなかった。好奇心より恥じらいのほうが勝ってしまったのだ。

しかしながら今回のように「見えないものが見える瞬間」というのは面白いと思うのだ。
普段あまり考えない時間について思いをはせる良いきっかけにもなるし、次のうるう秒は、渋谷のでかい街頭テレビにカウントダウンの時刻を表示したりして、もうちょっと盛り上がっても面白いんじゃないのかなあ? とは思う。議論はいろいろあるけれど。
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