フェティッシュの火曜日 2012年7月10日
 

動物たちのお願いごとを見に行く

願いごとを短冊に
願いごとを短冊に
多摩動物公園という動物園にて、ユニークな七夕イベントが開催されていた。
七夕といえば笹。短冊。願いごと。そして動物園の主役は言わずもがなの動物たち。

そんなわけで、園内のあちこちに動物からのお願いごとが書かれた笹飾りが飾られているらしい。檻越しに眺めていてもなかなか読み取れない、動物たちの心の中を覗くチャンスだ。
石川県出身。以前は普通の会社員。現在は透明樹脂を用いたアクセサリーを作る人。好きな色は青。好きな石はサファイア。好きな犬はウェルシュ・コーギー。

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七夕の雨と動物公園

7月7日、七夕当日。あいにくの雨に降られながら、多摩動物公園にやって来た。
巨大な象がお出迎え
巨大な象がお出迎え
看板で七夕イベントをチェック。そう、それを見に来ました。
看板で七夕イベントをチェック。そう、それを見に来ました。
動物たちの短冊は、園内各所の主要な獣舎前に飾られているらしい。パンフレットを見ると園内は相当広そうな上に、具体的にどこにあってどこにないとは一切記されていないのだが、全て見て回ることができるだろうか。
入場してすぐに大きな笹飾りを発見して駆け寄るが
入場してすぐに大きな笹飾りを発見して駆け寄るが
思いの外、枯れ気味なのが少し気になる
思いの外、枯れ気味なのが少し気になる
こちらの笹に吊るされているのは人間の願いごとばかりだ。暗い空と茶色く枯れた笹のコントラストに何となく不安にさせられつつも、足早に獣舎を目指すことにしよう。

やっぱり多い、「食」に関する願いごと

程なくして、動物からのお願い短冊を発見した。
ストレートな要望
ストレートな要望
負けじとそれにかぶせてくる大胆さ
負けじとそれにかぶせてくる大胆さ
さてこの笹飾りが置かれていた場所はというと。
虎ゾーンでした
虎ゾーンでした
なるほど、虎といえば肉。そうだね。そこはブレないよね。
更に、「マオ」の方がきっと「アイ」よりも大食いで負けず嫌いな性格なのだろうなぁという想像もできる。短冊からうっすらと透けて見える虎の社会模様。

そしてやはりというべきか、食に関するこの手のお願いごとは多かった。虎に限らず園内のあちこちで同様の短冊が見られる。
虎が肉指定だったのに対し、こちらはおいしいもの、というざっくりした要望
虎が肉指定だったのに対し、こちらはおいしいもの、というざっくりした要望
シロテテナガザルのミツさんからのお願いでした
シロテテナガザルのミツさんからのお願いでした
同じ猿仲間のニホンザルはというと
同じ猿仲間のニホンザルはというと
同じくおいしいもの、を希望しているのがこざる。「ホースをかじらせろ!」と、ワイルドな要求を繰り出しているのがワカモノざる。成長につれて、求める対象が単純な食から自己の能力発揮へとシフトしていったということだろうか。マズローの欲求階層か。(たった今調べたばかりの言葉を無理に使いました)
イタチも肉を所望。可愛い口調で微笑ましいが、古いアニメの白イタチを連想すると一気に恐怖感が増す。
イタチも肉を所望。可愛い口調で微笑ましいが、古いアニメの白イタチを連想すると一気に恐怖感が増す。

環境改善の要望

一方、住環境の改善を求める声もいくつか見られたのでご報告したい。
こちら、サイのお願いはというと
こちら、サイのお願いはというと
身体が大きいがゆえの悩みだろうか
身体が大きいがゆえの悩みだろうか
こちらはオオカミの声。(たしかに獣舎にはたくさんのオオカミがいた)
こちらはオオカミの声。(たしかに獣舎にはたくさんのオオカミがいた)
その上オオカミに至っては周囲の客から「犬と変わんないよ! 動物園で見る価値あるの?」とまで言われていた。確かに肝心のオオカミたちは一匹残らず丸くなって熟睡していてその姿は犬そのものだったが、狭い家で頑張っているというのに不憫だ。

いつか、彼らが新居に越す日はくるのだろうか。そしてサイの運動場は。今後の公園側の動きに期待したい。

種族を代表して

肉が食べたい、広い家に住みたい、そういった個々の欲求とは少し異なった角度から短冊を書いている動物もいる。
彼らです
彼らです
何この動物? と思った方が大多数だろう。
鹿? 牛? いやいや、これは「シフゾウ」という生き物だ。漢字で書くと四不象。馬、牛、鹿、ロバ、その全てに似ているけど全てに当てはまらない。それがシフゾウである。
そんなシフゾウの切なる願いがこちら
そんなシフゾウの切なる願いがこちら
顔写真つきの洒落た短冊に書かれているのは、シフゾウの知名度向上。なんという健気さだろう。もっと皆に知ってほしい。通りすがりの子供たちに「何これー!?」と言われたくない。「ゾウだ!」「ライオンだ!」のテンションで「シフゾウだ!」と言ってほしい。そんな心が見えるようである。
でも個人的なお願いを書いているシフゾウもいる。それはそれでがんばれ。
でも個人的なお願いを書いているシフゾウもいる。それはそれでがんばれ。
そして、その種族ならではのお願いということでこんな短冊を書いている動物も。
自画像付きで訴えるお願いの主は
自画像付きで訴えるお願いの主は
飛べない鳥、エミュー
飛べない鳥、エミュー
なんだかこのエミューはやけに人懐っこく、まっすぐこちらを見ながらぐいぐい接近してきた。 そんなに近づいてきても私はあなたを飛ばせてあげられません。
これもこの種族ならでは。願いごと兼どうぶつ豆知識、という希少な短冊
これもこの種族ならでは。願いごと兼どうぶつ豆知識、という希少な短冊

特定個人の幸せを願って

短冊へのお願いことは自分のためだけとは限らない。
親しい誰かの幸せを願う短冊もあるのだ。
息子の成長を願う母
息子の成長を願う母
場所はチンパンジー舎である。きっとボンボンはやんちゃな男の子なのだろう。健やかな成長を願う母の愛だ。
しかし、同じ笹にはこんな短冊もある。
ボンボン…!?
ボンボン…!?
前歯をどうしたんだボンボン。大丈夫か。単に生え変わりの時期というだけならよいのだが。 心配されている様子のボンボン。短冊の主は兄弟だろうか。ガールフレンドだろうか。

さらにこんな短冊も見つけてしまった。
ボ、ボンボーン!!
ボ、ボンボーン!!
無記名なのだが、「まさか、ボンボン…!?」と連想してしまう。いや落ち着け、ボンボンの事とは限らない。限らないでほしい。

ともあれ、周囲に暖かく見守られているチンパンジーの存在を知ることができた。ボンボンはきっと幸せ者だ。早く前歯が生えてくるといいですね。
ちなみにこれがボンボン。実物は発見できず。
ちなみにこれがボンボン。実物は発見できず。
尚、ここまで見てきた短冊。実際のところは誰が書いているのか? と気になる人もいるだろう。もちろん現実に書いているのはそれぞれの飼育担当者に違いない。よく見れば各動物単位で短冊の筆跡も一致している。

しかし、他ならぬその飼育員さんたち本人が「動物たちの書いたお願いごとを見ていってね!」とアナウンスしているのだ。ここでいちいち無粋なことを言って場を白けさせるのも気が引ける。(言ってしまった後ではあるが)

動物たちを誰よりよく知る飼育員さんが彼らの心を代筆した、と思えば何も問題ないではないか。 というわけで以降も「これは動物が書いたもの」という体を崩さず、園内を見て回りたい。

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