はっけんの水曜日 2012年8月22日
 

辛そうで辛くない葉唐辛子とやっぱり辛い青唐辛子

唐辛子の葉っぱ、それが葉唐辛子の正体だ!
唐辛子の葉っぱ、それが葉唐辛子の正体だ!
コンビニでおにぎりを選んでいたら、だいぶ前の記憶が蘇ってきた。そういえば、葉唐辛子というおにぎりがあったはずだ。

確かセブンイレブンのCMでその存在を知って、あまりにうまそうなので、すぐ買いにいった覚えがある。どんな味だったのかはまったく思い出せないが、きっと美味しかったはずである。

あれがまた食べたいのだが、もうどこにも売っていないので、葉唐辛子を育てることにした。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。

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5月10日 葉唐辛子の種を植える

まず最初に、そもそも葉唐辛子とは何ぞやという話だが、名前の通りで唐辛子の葉っぱのことで、小さい鞘をつけた頃に出荷されるものらしい。

この葉唐辛子の佃煮を具にしたおにぎりを食べたいのだが、コンビニにはまったく見当たらない。では八百屋で葉唐辛子を買ってきて作ればいいかと思ったが、そういえば葉唐辛子というものが売っているのを見たことがない。

じゃあ仕方ないから育てるかと農家御用達の種屋にいったところ、店主に八房(やつふさ)という品種をおすすめされた。これの葉っぱが葉唐辛子になるらしい。

ちょうど苗もあったのだが、葉っぱを食べるのだからある程度量が必要だろうと思い、割安な種から育てることにした。

そんなにたくさんはいらないんだろと、105円分だけ量り売りしてくれた。いい店だ。
そんなにたくさんはいらないんだろと、105円分だけ量り売りしてくれた。いい店だ。
これが八房の種。鷹の爪にこういうの入っていますね。種としては頼りない感じ。
これが八房の種。鷹の爪にこういうの入っていますね。種としては頼りない感じ。
店主の話では、唐辛子の種を発芽させるには、ある程度の温度が必要だそうで、露地栽培で芽を出させるには、まだちょっと早いらしい。6月まで待てば簡単に芽が出るらしいが、それでは収穫が秋になってしまう。辛さは夏に摂取したい。

そこでいきなり畑に種を蒔くのではなく、ベランダに簡易ビニールハウスを設置し、その中で発芽をさせることにした。ビニールハウスというか、ビニール袋だが。
ポットにそれぞれ数粒の種を撒いてみた。
ポットにそれぞれ数粒の種を撒いてみた。
ポットにビニール袋をかぶせて、ビニールハウスだと言い張ってみる。釣り用のオモリをいっぱい仕込んで風対策もバッチリ。
ポットにビニール袋をかぶせて、ビニールハウスだと言い張ってみる。釣り用のオモリをいっぱい仕込んで風対策もバッチリ。

5月11日 やっぱり苗も植えておこう

昨日種を蒔いたビニールハウスを覗いてみるが、当たり前だがまだ芽は出ていない。

このまま芽が出なかったらどうしようと、自分の人生と重ね合わせて不安になり、結局押さえとして苗も2つほど買うことにした。1株105円。
近所に借りている畑へ。この時期は風が強く、ポット育ちの苗がちゃんと根付くかちょっと心配。
近所に借りている畑へ。この時期は風が強く、ポット育ちの苗がちゃんと根付くかちょっと心配。
数日後、唐辛子の様子を見に行ったら、母親の手で頑丈な警護がされていた。
数日後、唐辛子の様子を見に行ったら、母親の手で頑丈な警護がされていた。
唐辛子を植える場所だが、シシトウやピーマンと距離が近いと、そっちに花粉が飛んでいって、辛い実がなる場合があるそうなので、距離を置いて植えることが肝心らしい。

いわゆる「腐ったミカンの方程式」みたいなものだろうか。不良になった辛いシシトウやピーマン、それはそれで美味しそうだ。

5月24日 ようやく発芽した

ベランダに設置した例のビニールハウスは、しっかりと太陽の熱を溜めこんでくれたようで、約2週間でヒョロっとした双葉が出てきた。芽唐辛子だ。

そのままビニールハウスの中でさらに数日育て、畑へと植え替える。苗を植えたものが先行して育っているので、これで長い期間収穫を楽しめそうだ。
唐辛子の発芽に成功!ほぼ発芽率100%だった。
唐辛子の発芽に成功!ほぼ発芽率100%だった。
6月6日。間引いて食べたら貝割れ大根の先っぽみたいな味がした。
6月6日。間引いて食べたら貝割れ大根の先っぽみたいな味がした。

7月16日 待ちに待った葉唐辛子の収穫

苗を植えてから二か月が経過。畑に行くたびに唐辛子の様子を伺い、収穫のタイミングを計っていたのだが、小さい鞘の付いた今こそがベストだろう。

鞘の成長がこれより早いと物足りないし、これより遅いと辛すぎる。たぶん。肝心の葉っぱはどうにも食べ物っぽい雰囲気ではなく、あくまで食べられる野菜の葉っぱという感じ。

特に肥料を与えなかったのだが、モサモサと立派に茂ってくれたので、根元から引っこ抜くのではなく、必要な分だけ枝を折って収穫すればよさそうだ。
さすがは唐辛子、虫もほとんど寄ってこないので、安心して無農薬栽培ができる。
さすがは唐辛子、虫もほとんど寄ってこないので、安心して無農薬栽培ができる。
このまだ青く小さな唐辛子の鞘が、程良い辛さのアクセントになるはず。
このまだ青く小さな唐辛子の鞘が、程良い辛さのアクセントになるはず。
さてこの赤ん坊の小指程度の大きさしかない青い唐辛子、これから料理をするにあたって、どれほどの辛さなのか知っておく必要があるだろう。

確かタイに「ネズミのクソのような」という意味のプリッキーヌという激辛唐辛子があって、それがちょうどこんな大きさだった気がする。

罰ゲームの予感が若干するが、意を決して半分ほど噛みちぎってみると、これがシシトウでも食べたかのような低刺激。辛いというか、青臭いだけで拍子抜け。
葉っぱも食べてみたけれど、やっぱり青臭いだけで辛くはなかった。しいて言えばバジルに近いかな。
葉っぱも食べてみたけれど、やっぱり青臭いだけで辛くはなかった。しいて言えばバジルに近いかな。
なんだ、全然大丈夫じゃないかと1本食べきったら、後から刺激がやってきた。うわ、きた。

うん、たぶんこのくらいの刺激がちょうどいいのだろう。

昔食べた葉唐辛子おにぎりの味を思い出すかと思ったら、そんなことは全然なかった。
種から育てたやつが、この後に収穫を控えているのだ。心強い。
種から育てたやつが、この後に収穫を控えているのだ。心強い。
葉唐辛子が食べられるなら、葉ピーマンでもいいじゃんと思ったが、葉がゴワゴワしてまずそう。
葉唐辛子が食べられるなら、葉ピーマンでもいいじゃんと思ったが、葉がゴワゴワしてまずそう。

葉唐辛子の佃煮がうまい

持って帰った葉唐辛子だが、ちょっとコンビニに寄っている間に、もう萎れはじめてきてしまった。この日持ちのしなさは流通させづらそうだ。

すぐにたっぷりの水に漬けて水分補給をさせ(どうせこのあと煮詰めるのだが)、チマチマと葉っぱと鞘を枝から外し、ザクザクと刻む。

本当は刻む前に、湯通しという作業が必要だったのだが、暑さのせいですっかり忘れてしまった。全部夏の暑さが悪い。
葉っぱをはずす作業がまあまあ面倒くさい。たまにカメムシが出てきて焦る。
葉っぱをはずす作業がまあまあ面倒くさい。たまにカメムシが出てきて焦る。
うん、青唐辛子と葉唐辛子の量が理想的なバランスだ。
うん、青唐辛子と葉唐辛子の量が理想的なバランスだ。
さて葉唐辛子の佃煮のレシピだが、どうせすぐ食べるのだから保存性とかは必要ないので、ダシを効かせて薄味で整えてみようかな。

葉唐辛子(青唐辛子含む)250グラムを胡麻油で炒め、醤油25cc、酒25cc、めんつゆ25cc、酢25ccを加えて煮詰めていく。分量はわかりやすさを優先してみた。10:1:1:1:1。

仕上げにたっぷりの鰹節を入れてひと混ぜしたら完成。
なかなか刺激的な蒸気が立ち込める。
なかなか刺激的な蒸気が立ち込める。
さっきまで東南アジアっぽい料理だったが、鰹節で急に和風になった。
さっきまで東南アジアっぽい料理だったが、鰹節で急に和風になった。
できあがった佃煮をさっそくご飯に乗せていただくと、ようやく葉唐辛子の味を思い出して膝を叩く。そう、この味だ。

慣れ親しんでいる醤油とカツオだしの和風味をバックボーンに、日本料理とは思えないピリっとした自己主張と、程良い感じの青臭さが、夏らしい風味として生きている。これがご飯と抜群に合う。

ざっくりと例えるならば、歯ごたえは柔らかいけど刺激が強い高菜漬けという感じだろうか。心配した辛さだが、これならもう少し辛くてもいいくらいだ。
この、ご飯泥棒め!
この、ご飯泥棒め!
味見としての茶碗一杯のご飯を一気に平らげたら、引き続いて本命のおにぎりを作成。混ぜるべきか具とするべきかで迷ったが、混ぜたうえで中心にも具として入れるという、セルフドッキリ方式を採用。ドライカレーにカレー掛けちゃうみたいな贅沢品だ。
おにぎりを握るのなんて何年振りだろ。
おにぎりを握るのなんて何年振りだろ。
おにぎりの下半身に巻いた海苔の風味がプラスされ、白飯にただ乗せただけよりも、さらにおいしい。これでチャーハン作っても絶対うまいな。

葉唐辛子、育てて良かった。

もし「おにぎりの具はなにが好きですか?」と尋ねられたら、今後は迷わず葉唐辛子ですと答えることだろう。

そして話はまだ終わらない。

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