フェティッシュの火曜日 2012年9月11日
 

高級ビニール傘8,400円!

美智子さま

雨の日に見に来てくださるのに傘で隠れては申し訳ない、と美智子さまが園遊会でお使いになったのがこのビニール傘。

あの美智子さまがビニール傘、それもそんなお心遣いで!と、そりゃもう週刊誌からテレビからこぞってとりあげたそうだ。

そうとも知らずデイリーポータルZが「街で見かけたちょっとおもしろいもの」という視点でとりあげるのは2年後のことである。
美智子様気分を味わおうとするも、これは絶望的に遠いぞ
美智子様気分を味わおうとするも、これは絶望的に遠いぞ
これは選挙用ビニール傘「新カテール」5,250円
これは選挙用ビニール傘「新カテール」5,250円

選挙用傘、新カテール

選挙用のビニール傘をご存知だろうか。たまにテレビで取り上げられるこの新カテールもここの高級ビニール傘の一つだ。

もともとは区の議員さんの要望があって作ったものだという。演説中の候補者は、えらそうに見えないようにビニール傘を使うのだが、小さくこわれやすいのでびしょびしょになってしまうらしい。そこで丈夫で大きく透明な傘を、と依頼されて作ったのがカテールらしい。

それがクチコミで広まった。今では選挙はもちろん警備などの透明の必要があって壊れては困るような業務でよく使われているらしい。
竹型の持ち手は目立たないように白色に
竹型の持ち手は目立たないように白色に

遠目にはただのビニール傘に見えるように

このカテールのウリは丈夫さ。丈夫だから重いが、持ちやすいように取手も寒竹という竹の模様をプラスチックにしたもの。

高級感もあって持ちやすいが白色なので地味だ。それもそのはず、この傘は遠目に見るとただのビニール傘に見えるようにわざわざ地味に作っているそうだ。

なにもそこまで、と思うがそれが選挙の厳しさなのだろう。泥水すすってでも、高級傘を100円に見せてでも勝たないといけない勝負の世界なのだ。
これは若い人向けに16本になった丈夫な傘、カテール16
これは若い人向けに16本になった丈夫な傘、カテール16

セールスマンの理想的展開、カテール16

カテールには16本骨のカテール16という商品もある。若い人用のデザインだという。

「保険会社の飛び込みのセールスの方なんかがこれを持ってらっしゃるようですね。

ふだんなら追い返されるお客さんでも、この傘持ってると『おまえ何その傘は?』って聞かれるらしいんですよ。そこで浅草のこうこうこうで、って説明すると『へ〜。おもしろいもの考えるね、ちょっとお茶でも飲んでく?』ってなるらしいんです」と須藤さんはいう。

なんて傘にとって都合の良い話だろう。まるで進研ゼミのマンガ広告のようだ。

個人的にはこうした虫のいい話に目がなくて、一気に欲しくなった。持ち歩いていつか「君、その傘はなんだい?」と巨人軍のスカウトに声をかけられたい。
二人が入れる大きい傘はテラボゼン。価格は12,600円で100円傘120本分。
二人が入れる大きい傘はテラボゼン。価格は12,600円で100円傘120本分。

住職の乙女心を救ったテラボゼン

高級ビニール傘の中でもっとも高いテラボゼンは12,600円。

お寺の住職がお墓の前で読経するときに誰かに持ってもらう傘だから「寺墓前」なんだそうだ。寺をカタカナにしたことで、一気にかっこよくなった。テラフォーミング(惑星地球化)のような響きとお線香の香りが共存する。

二人が入れる大きさである。読経以外にも、JRAのインタビューや映画スターが来たときにも使われている。ちょっとしたテントですよね、と須藤さんはいう。

この傘ももともとはある住職の要望によるもの。墓前での読経は、住職自身一番いい着物をきて見栄えもよくしている状態なので、あつまってる人にもっとちゃんと見てもらいたいという思いがあったらしい。

ご住職、少女のような気持ちである。
すっとんきょうな顔
すっとんきょうな顔

よさ、改めて気付かされるビニール傘のよさ

「今これだけ支持していただいてわかったのが、透明素材の傘のファンっていうのはものすごく多いんですよね」

ファッションとしてのビニール傘をすすめてきた須藤さんたちだが、そうしたお客さんに教えてもらったのはビニール傘の安全性だという。

「これなかなか気づかなかったんですが、透明の傘は“自分から外が見える”という点での安全と、“相手から自分が見える”ことの安全があるんですね。

すれ違う相手が杖をついたご老人であると分かっていれば、気持ち距離をとってすれ違ってくれると。その安心感っていうのは味わってみないとわかりませんよ、って言われたんです」

透明であることがこんなにも変化を与えるとは。ビニール傘の世界は奥深く、未だに発見があるようだ。
なんだろう、この写真の味。
なんだろう、この写真の味。

ビニール傘にも深い歴史があった

「毎年ちょこちょこと改良してるのでまた来ていただければ新しい傘をお見せしますよ」と須藤さんは言う。国内でビニール傘を作っているのはもはやここだけ。ここで生まれて、その兄弟は中国にうつったものの、またここで独自の進化をとげているビニール傘。

今後グラスファイバー製のものすごく丈夫な100円傘とか出てくるかもしれないが、そのときはそのときでまた新しく何か考えるんだろうなと思わされる歴史がそこにはあった。
逆止弁の具合をためすつもりが野球の応援みたいになって恥ずかしかった
逆止弁の具合をためすつもりが野球の応援みたいになって恥ずかしかった

取材協力

ホワイトローズ株式会社
東京都台東区寿2−8−10
TEL:03-3841-9601
FAX:03-3841-9600

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