はっけんの水曜日 2012年9月12日
 

奥多摩の山で昭和のゴミを発掘してきた

綺麗に洗って観察します

掘ったままだと土だらけで汚いので、洗って観察することにした。昭和の空き缶なのに、洗ってみると結構保存状態がいい。
こんなんですが、洗ってみると。
こんなんですが、洗ってみると。
こんなに綺麗なスプライトに。
こんなに綺麗なスプライトに。
オレンジジュースの空き缶も。
オレンジジュースの空き缶も。
森永ネクターなんてあったのか。しかもオレンジ。
森永ネクターなんてあったのか。しかもオレンジ。
長い年月、30年以上は埋まっていたはずなのに保存状態がいいのは、これらの空き缶がビニール袋に入れられて埋まっていたからだ。なにを考えてそうしたのかは判らないが、厚手のビニール袋に入っていた。ちょっとしたタイムカプセルである。ゴミだけど。
洗ったら乾かします。
洗ったら乾かします。

これが昭和のゴミたちだ

ようやく綺麗になった昭和のゴミ。一つ一つ精査していきたいと思います。
ネクターと言えば不二家だと思っていたが、ネクターってのは「100%ジュース」みたいな、ジュースの品質を表す単語なのらしく、以前は色んな種類を各社が出していたようだ。
ネクターと言えば不二家だと思っていたが、ネクターってのは「100%ジュース」みたいな、ジュースの品質を表す単語なのらしく、以前は色んな種類を各社が出していたようだ。
まずはこのオレンジジュース。森永ネクターと書かれている。ネクターといえば不二家だし、桃のジュースの事だと思っていたがオレンジ味で森永のも過去にはあったのだ。

調べてみたら、元々は森永製菓の商標だったのだけど、飲料業界発展のためにそれを開放して他社にも使わせているのだという。
果肉を沈殿させるためか、飲み口が缶の下に付いている。
果肉を沈殿させるためか、飲み口が缶の下に付いている。
ネクターとは果実をすり潰した濃厚な飲み物全般を指す言葉で、一般には果肉飲料と呼ばれるジャンルのものらしい。ってことは、駅にあるジューススタンドのジュースはネクターと呼んでもいい物なんだと思う。

果肉成分を飲み口の部分に沈殿させるためか、缶の印刷に対して下の面に飲み口が付いていた。今とは逆さである。今は不二家ネクターでも缶の上に飲み口が付いているのでこういうのは珍しく見える。

次はスプライト。
こんなスプライト、見たこと無かった。
こんなスプライト、見たこと無かった。
今でもお馴染みのスプライトだが、缶のデザインが見たことない感じで、しかも原材料もシンプル。当時は食塩が入っていたようだ。登山は汗をかくので、食塩入りのスプライトが今あったら登山者に売れそうな気も…売れないか、今はスポーツドリンクあるし。
食塩入りだったんですね、昔のスプライト。
食塩入りだったんですね、昔のスプライト。
車窓から空き缶投げ捨てとかあり得ない。
車窓から空き缶投げ捨てとかあり得ない。

車窓から投げ捨てるのが普通だったらしい

空き缶を見ていたら、いちいち「空き缶を車窓から捨てるな」と書かれていた。現代の缶には「空き缶はくずかごに」とか「空き缶はリサイクル」とは書いてあっても車窓から投げ捨てるなとは書かれていない。

って事は、当時の日本人は車や電車の窓からポイポイ空き缶を捨てていたのだろう。なんか、今の日本人とずいぶん違う。昔の人は随分やんちゃだ。人に当ったら危ないとか考えなかったのだろうか。
いや、捨てないですって。
いや、捨てないですって。
車窓から投げないですよ、ホントに。
車窓から投げないですよ、ホントに。

謎の金属片

上に載せたスプライトの写真、左側にちょっと気になる物が写り込んでいる。見方によってはちょっと可愛い感じの金属片。昭和生まれとか、平成も一桁生まれなら知ってると思うが最近の子供とかは見たこと無いんじゃないだろうか。
これだ。
これだ。
ジュースの缶と一緒に写ってるので、そりゃジュースと関係あるものだ。答えは、缶の飲み口の蓋である。今の缶飲料は飲み口がステイオンタブになっていて缶から離れないようになっている。が、昔は引っ張って缶から外して飲んでいた。

飲み終わったら空き缶に入れてゴミ箱に捨てるっていうマナーだったと思うのだが、発掘したゴミでは缶とプルタブがバラバラに落ちていた。そういうマナーが生まれる前のゴミなのかも知れない。
矢印で示したようなタイプだと、金属のベロ部分に引っかけて飛ばす遊びが出来る。
矢印で示したようなタイプだと、金属のベロ部分に引っかけて飛ばす遊びが出来る。
こういうプルタブが使われていた当時は、アルミ缶のプルタブだけを集めるという謎のチャリティ運動があった。どうも、缶から離れるプルタブを集めさせる事でゴミを減らすなどの目的があったらしい。

が、その後ステイオンタブに変わっても、缶にくっついてるタブをわざわざ外させて集めたり、今ではペットボトルのキャップを集めさせたり、この手のチャリティはよくわかない方向に進みがちであり、はたから見て面白い。
空き缶の上に置いてみた。
空き缶の上に置いてみた。

こんな感じで売られていた

空き缶の上にプルタブを置いてみた。ああ、こんなんだったわ、みたいな懐かしいジュース缶が出現した。

下の写真は、左が現代のステイオンタブで、右が昔の空き缶である。昔のはいちいち開け方が英語で刻印されている。現代のは流石21世紀だけあって洗練されたデザインに、点字がエンボス加工されている。21世紀って案外普通だなー、未来って感じしないなー、なんて思ったいたが、こうして並べてみるとやっぱ相当に未来のデザインである。
両方ともキリンラガービール。21世紀の缶は確実に洗練されている。
両方ともキリンラガービール。21世紀の缶は確実に洗練されている。
キリンと言えば、キリンオレンジエードなんて飲み物の空き缶もあった。元々はキリンジュースという飲み物で、それが昭和45年にオレンジエードに改称、缶の発売は昭和50年という。昭和51年生まれの僕はもしかしたら知ってるのかも知れない商品なのだが、まったく記憶にない。
塗装が剥げ気味ですが、文字は大体読めました。
塗装が剥げ気味ですが、文字は大体読めました。
オレンジエードを全く覚えてないので思い入れなどは無いのだが、缶の上部分が丸く切り取られていた。コップみたいに飲みたくてこうしたのか、それともプルタブが無い缶なのかは判らない。
なぜかスッポリ開けてあった。
なぜかスッポリ開けてあった。
続きましては、コカ・コーラ。これは今もよく見るデザインとあまり変わらない。コカ・コーラ社のデザインは瓶のコーラもそうだが、最初から完成されていた感じがする。
随分昔からこのデザインだったのだな。格好いい。
随分昔からこのデザインだったのだな。格好いい。
缶の見た目はあまり変わらないが、原材料はちょっと違う。「砂糖、カラメル、天然カフェイン、香料、酸味料」だが、現代のコーラは「糖類(果糖ブドウ糖液糖、砂糖)、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン」である。これだけ違うとおそらく味も違ったはずである。飲んでみたい。
カフェインが多かったのだろうか。っていうか天然カフェインなのだそうな。ジューシィ・フルーツ?。
カフェインが多かったのだろうか。っていうか天然カフェインなのだそうな。ジューシィ・フルーツ?。
で、実はもう1本コカ・コーラの空き缶を見つけたのだ。こっちは今までに見たこと無いデザインだった。
こんなの見たこと無い。
こんなの見たこと無い。
裏側はダサくコカ・コーラと片仮名で大きく書かれている。
裏側はダサくコカ・コーラと片仮名で大きく書かれている。
洗練さからはほど遠いレトロなデザインである。缶なのに瓶のコーラをデザインに取り入れている辺り、瓶から缶への過渡期に作られたものなのかも知れない。
瓶の絵が缶に描かれている。
瓶の絵が缶に描かれている。
空き缶を並べてみると、古い方はなんだか偽物みたいにも見える。が、「コカ・コーラ」と片仮名で大きく書かれているし、きっと本物だろう。
並べてみた。年代的にどのくらいの差があるのだろうか。
並べてみた。年代的にどのくらいの差があるのだろうか。
穴を2カ所開けて飲む方式。
穴を2カ所開けて飲む方式。

プルタブ無しのコカコーラなんてあったのか

新しい方のコーラは缶の底面に飲み口があったが、古い方は穴が2カ所開いているだけだった。つまり、プルタブすらなかった時代のコカ・コーラなのである。

実は、缶飲料が発明されたとき、当然のようにプルタブは発明されていなかった。缶切りがないのに缶詰を発明しちゃった時代と同じ事が起きたのだが、缶切りがあるし穴を開ければ飲めるんだから別に良いじゃん、とでも思っていたのだろう。
後にプルタブが発明されて道具なしでも飲めるようになるのだが、それまでは缶切りや付属の金具で穴を2カ所開けて飲んでいた様だ。

コーラを小さい穴から飲むのは相当に大変だったと思うのだが、当時はそれでも良かったんでしょうかね。良くないか。良くないからプルタブが出来たんだよね。

下の缶ジュースもプルタブが無い時代の物だ。
なんとかのパインジュースと読める。
なんとかのパインジュースと読める。
錆が酷くてどこの製品なのか読み取れなかったのだが、裏側を見たら「??KUBU & CO LTD」と書かれていた。クエスチョンマークの部分は読めなかったが、Kのマークと、??KUBUと来たら正解は「国分」であろう。

K&Kマークでお馴染みの「国分株式会社」である。そう考えて上の写真を見てみると、読めない部分には感じで「国分」と書かれている様に見える。
KUBUがヒントでした。
KUBUがヒントでした。
これもなかなか古いゴミらしく、缶の上部に2カ所穴が開いていた。それだけ古くても空き缶は原型を留めて埋まっているのだ。よく、プラスチックやビニールは土に戻らない云々なんて言うが、空き缶だって相当土に戻らない。やっぱり種類問わずゴミをその辺に捨てちゃダメだな、なんて思うわけです。
穴を開けて飲むタイプ。缶詰の会社なのでこれでいいやって思ってたんだろうなぁ。
穴を開けて飲むタイプ。缶詰の会社なのでこれでいいやって思ってたんだろうなぁ。
カゴメの野菜ジュース缶も保存状態が良かった。現在の絵は大分緻密になっているが、トマトが中心にある構図は今のデザインとそんなに変わらなく見える(参考リンク)。
ロゴの書体などにレトロ感を感じる。
ロゴの書体などにレトロ感を感じる。
山に登って野菜ジュースを飲むってのも、なんか変わっている感じがする。野菜ジュースに清涼感はないと思うのだが、ネクターのブームがあったようだし、昔の人はドロッとしてて栄養価が高そうな飲み物が好きだったんですかね。
野菜カクテルジュースっていう表現が面白い。カクテルっていう単語がモダンだったのだろうか。お好みにより胡椒を掛けて飲めって書かれているので、スープ的な扱いだったのかも知れない。
野菜カクテルジュースっていう表現が面白い。カクテルっていう単語がモダンだったのだろうか。お好みにより胡椒を掛けて飲めって書かれているので、スープ的な扱いだったのかも知れない。
これも口が下に付いてるタイプ。
これも口が下に付いてるタイプ。

話は変わるが、滋賀では缶飲料が逆さだった

上の野菜ジュースは缶の底に飲み口が付いているし、森永ネクターも底に付いていた。そして実は、果肉分の沈殿など関係無いはずのコーラやスプライトも缶の下に飲み口が付いていた。

コーラやスプライトは惰性で缶の下に付けただろう、って感じだが当時の飲料業界では飲み口が下に付いているのが常識になっていたのだろうか。
コーラの場合は飲み口を下にする合理的理由が無い。工場ラインの都合か?
コーラの場合は飲み口を下にする合理的理由が無い。工場ラインの都合か?
ここで思い出されるのが滋賀のスーパーで見かけた光景である。なぜか缶飲料が逆さになって売られていたのだ。僕としては、飲み口が冷蔵庫の底面にくっついていて不衛生だなぁと思ったのだが、これはもしかしたら飲み口が今とは逆に付いていた頃の名残なのではないだろうか。
缶飲料だけは逆さに陳列していた。滋賀以外では見たことがない。
缶飲料だけは逆さに陳列していた。滋賀以外では見たことがない。
果肉飲料かどうかなどは関係無く全て逆さ。
果肉飲料かどうかなどは関係無く全て逆さ。
おそらく、飲み口が下に付いていた当時はネクターなど果肉飲料が流行っていたので、飲み口を下にして陳列したほうが客にとっても、美味しく飲んでもらいたいメーカーにとっても都合が良かったのだ。だから、飲み口を下にして並べるというルールが生まれた。

が、時代が変わり飲み口が缶の上に付くようになっても、内容が果肉など入ってないただの液体になっても、「飲み口を下にして並べる」というルールだけは変わらずに今も運用され続けているのであろう(多分)。

勝手に長年悩んでいた問題が解決した(気がする)。

空き缶紹介に戻ろう

次はセブンアップとまぐろ缶である。セブンアップは日本では1957年(昭和32年)から発売されている。僕はあまり飲んだ記憶が無いが、ファンは多いようだ。

まぐろ缶は「ほにほ印」と書かれていた。株式会社宝幸の商標が「ほにほ」らしい(参考)。「帆に宝(ほう)」でほにほって意味なんだろう。

セブンアップのロゴは今とだいぶ違う。
セブンアップのロゴは今とだいぶ違う。
今だとHONIHOってアルファベットのロゴになっている。お昼ご飯として持ってきたのだろうか。昔はカロリーメイトとかフリーズドライ食品とかないし、コンビニおにぎりも無いし、山に缶詰ってのは定番だったのだろう。重かっただろうなぁ。
今だとHONIHOってアルファベットのロゴになっている。お昼ご飯として持ってきたのだろうか。昔はカロリーメイトとかフリーズドライ食品とかないし、コンビニおにぎりも無いし、山に缶詰ってのは定番だったのだろう。重かっただろうなぁ。

ビールは早くもアルミ缶だった

ここまで載せてきた空き缶は全てスチール缶だ。厚手のスチール缶で硬い。が、キリンラガービールの空き缶は唯一アルミ缶だった。
今のデザインとはかなり違う。
今のデザインとはかなり違う。
アルミ缶が珍しい時代だったのだろう、わざわざ「オールアルミニウム缶」って書かれていた。アルミ缶を使うのが誇らしい時代だったのだろうか。なんだか可愛い。
わざわざ書いてアルミ缶を自慢。
わざわざ書いてアルミ缶を自慢。
アルミ缶は鉄より腐食に強いので、ほぼ錆びずに綺麗な状態で出てきた。が、柔らかいので形は大分ひしゃげていた。

次は空き缶以外です

空き缶のゴミが圧倒的に多かったのだが、ビニールのゴミも少しだけ回収してきた。次のページではそれらについて観察してみたいと思います。

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