フェティッシュの火曜日 2012年9月25日
 

ミニ四駆全国大会にカニで出る

カニでミニ四駆ジャパンカップに出る
カニでミニ四駆ジャパンカップに出る
ミニ四駆という走る模型のレースが25年前くらいに流行った。当時小学生だった私も熱に浮かされ、全国大会であるジャパンカップにあこがれた。

その後ミニ四駆は何度もブームを繰り返し、今年になってあのジャパンカップが復活したらしい。

大人になった今こそあのジャパンカップを走ってみたい。それもカニで。なんとなくカニで。
大北栄人 大北栄人(おおきたしげと)
1980年生。明日のアーというコントのユニットをはじめました。動画コーナープープーテレビも担当。記事はまじめに書いてます
> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

カニ四駆ではなくカニだ

「なるほど、ミニ四駆じゃなくてカニ四駆ってことね」

そういうダジャレが目的でもない。ただなんとなくカニが走ってたらおもしろいかなと思ったのだ。見た目とサイズ、あの感じそのままがいい。なのでカニのボディは本物を使いたい。

とりあえずはミニ四駆作りの前にカニの調達。けどこの季節どこに……と思ったらあった。なんてタイミングがいいんだ。
渡りに船、カニのミニ四駆に大北海道展だ
渡りに船、カニのミニ四駆に大北海道展だ
予想の3倍以上した。さすが北海道。安くても高くても、さすが北海道という一言ですんでしまう大北海道展のずるさよ……
予想の3倍以上した。さすが北海道。安くても高くても、さすが北海道という一言ですんでしまう大北海道展のずるさよ……

3,000円の本場北海道ゆで毛ガニゲット!

たまたま見つけた北海道物産展で毛ガニを見つけた。2940円だった。高い。スーパーの冷凍毛ガニが1000円くらいだと思ってたが、こちらはボイルもの。「だからおいしさが全然ちがうのよ!」と店のお兄さんは言う。

「な〜るほどね、じゃあ一番小さいのください」

言ってるそばから自分でもなにがなるほどねなのかさっぱりわからなかった。気が弱いのに調子良い人の買い物は大体こういうものである。
家人、発狂す
家人、発狂す

酒飲みの妻が発狂

3,000円近い工作一発勝負なので、ここは慎重にいきたい。

と説明したが、思わぬ毛ガニボーナスに発狂した家人はざくざく食べ進めた。しまった。ミニ四駆にするのはカニでなく鉄兜にすればよかったと思ったがもう遅い。

なんと気づけばテレビの前で一杯やりはじめた。同じダメにするにも場所ってものがある。処刑場で切腹させられるならまだしも、テレビの前でというのはひどい。
工作一発勝負だと言ってるのに、これはひどい
工作一発勝負だと言ってるのに、これはひどい

カニ一匹あきらめました

家人への愚痴という最低の記事スタイルですすめておりますが、気づけばカニの足のつけねあたりは復元不可能なほど。
こういう時に「いいよ、また買ってくるから」といえるのがいい夫というものである。だが思いっきりにらみつけながら「いいよ、また買ってくるから……」と言うとおどろくほど意味が反転したので反面教師にしていただきたい。
とりあえず干す。ハエが寄ってくる。ああいやだ。
とりあえず干す。ハエが寄ってくる。ああいやだ。
「これなんかカニっぽいですけどね」ミニ四駆部分はタミヤの人に相談する。取材を利用したずるだ。
「これなんかカニっぽいですけどね」ミニ四駆部分はタミヤの人に相談する。取材を利用したずるだ。

ミニ四駆はタミヤの人に相談して本気出す

カニのことは置いておいて、ミニ四駆部分をなんとかしにタミヤ プラモデルファクトリー 新橋店にきた。社員さん店員さんに相談してレースで勝てるマシンを作りにきた。

小学生のころ出たかったんですがと説明すると、そういう人は非常に多いという。

当時パーツを買えなかった小学生が今になって1万円くらい大人買いする。「カードでミニ四駆買う時代が来るなんて……」というセリフはお店でみんな言うらしい。

そして負ける。パーツだけで勝てる世界ではないのだ。「当時のおれが負けたのは金がなかったからじゃなかったのか……」と奥の深さに気づいて一気にハマるらしい。
低摩擦ローラー?マスダンパー?なにそれ?なパーツが新しい理論とともにどんどん生まれている
低摩擦ローラー?マスダンパー?なにそれ?なパーツが新しい理論とともにどんどん生まれている

これは理論の遊びなんじゃないか

ミニ四駆というのは基本となる車にパーツを足したり改造してたのしむ遊びだ。パーツ一つ交換するのにもこれでなぜ速くなるのか?の理論がある。

そういう意味でミニ四駆は釣りに似ている。

といっても釣り人についていっただけの印象なのだが、あの人たちもずっと「魚は今こうしてるはずだから……」「川の流れがこうだから……」と理論を考えてあれこれして結果を待っている。

同じようにミニ四駆も「このカーブの多いコースには幅の広いローラーが……」「ジャンプが多いから重くしたら……」と、理論をこねくりまわして結果を待つ遊びなのである。
こういうパーツが壁一面にあってその数だけ理論がある
こういうパーツが壁一面にあってその数だけ理論がある

あの頃の常識はどこいったの?

ところが25年経つとその理論自体が変わる。

当時は車は「軽く」が常識で、そのためにスポンジのタイヤを履かせた。ところがここ数年、コースにジャンプが多くなってきた結果、安定のために「重い」車が常識となった。

スポンジタイヤは今の重い車だと「タイヤがへこんでパンクした自転車みたいな状態」となるらしい。あれだけ神聖化してたスポンジが……。さあ同世代のみなさん、今日は一杯やってください。
常連さんに見せてもらったマシン。重い。これがベターッベターッと地をはうように進んでいくのが今のスタイル。
常連さんに見せてもらったマシン。重い。これがベターッベターッと地をはうように進んでいくのが今のスタイル。

黒ずんだ目をした大人のミニ四駆はじまる

店員の与儀さんはパーツの説明の途中にこんなことを言った。

「そうなんです。極限のミニ四駆の世界にはね、空力が存在するんですよ……」

なんてカッコイイんだ……と思うと同時に、子供のころあれだけウイングとかつけたりしてたの極限の世界の話だったのか、とひっくり返った。同世代のみなさん、今日は深酒になるからウコン飲んだ方がいいよ。

だまされた!と思ったが、考えてみたらそんな風に見方が変わること自体おもしろい。

当時小学生でまっすぐな目で信じていた理論が、大人になって「それはウソだ」と言えるようになったのだ。大人になってもう一度ハマるというのもうなずける。違う世界がここにある。
ミニ四駆のレースに詳しい店員さんに今大会用パーツを選んでもらう。
ミニ四駆のレースに詳しい店員さんに今大会用パーツを選んでもらう。

これで戦えるマシンに

今大会はとにかく難コースだそうで、コースアウトが続出。完走できれば勝機はあるので、ノーマルマシンが予選突破したりもするそうだ。

「とにかく安定させましょう」というアドバイスにのって、3000円ほどのパーツとミニ四駆を購入。このあともう一匹カニを買うのでできるだけ出費は抑えたかったが、ボールベアリングという昔から謎だったパーツも買った。これは当時買えなかった恨みだけで買った。
ほしかったボールベアリング。どういうものなのか未だにさっぱりわからない。
ほしかったボールベアリング。どういうものなのか未だにさっぱりわからない。

一番重大なこと、カニって出れるの?

最後に、相談に乗っていただいたタミヤの村田さんから重大な事実を教えてもらった。

「あ、これですよ。ここ見てください」と指さした先は大会規定。どうやら本物のカニは規定違反なのだそうだ。
ほらここに書いてあるでしょ、と「自作ボディは認められません」と……一体どうなる!?
ほらここに書いてあるでしょ、と「自作ボディは認められません」と……一体どうなる!?


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