特集 2012年10月2日

女性向け本屋ってどんな感じ?

女性向けの本屋さんにて。小野さんのお薦めはスカートに見える可愛いバッグ
女性向けの本屋さんにて。小野さんのお薦めはスカートに見える可愛いバッグ
神保町のすずらん通りにある東京堂書店が今年大きくリニューアルした。

クールな佇まいに変わった本店。そして道路を挟んだはす向かいには、ブティックのようなお洒落な店構えの「Chez moi」(旧ふくろう店)。

よくある小さな本屋さんだった筈が、かなりの変貌ぶり!でもここちょっと、男性入りづらいんじゃない…?

どんな感じなのかジックリ見に行ってきました!
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

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躊躇するほど前面に出てる女性らしさ

すずらん通りはしょっちゅう通るので、お店がリニューアルした事はすぐに分かったのだけど、入るのにしばらく躊躇していた私。
なんか入りにくいような…
なんか入りにくいような…
スカートを履く機会があるとずっとソワソワしちゃうようなタイプの自分には「いかにも女性向け」の雰囲気が合わないような気がしていたのだ。
本屋というよりお洒落なブティックに見える
本屋というよりお洒落なブティックに見える
しかしやはり気になる所ではある。「男性向け書店ができた」と聞いても「ああ、アダルト系か」と連想して特に珍しく感じない。けど女性向けとなるとどうなんだろうか?
窓側にはバッグや小物が並んでいる。これは男性や私のようなタイプが入るには敷居が高い気がする
窓側にはバッグや小物が並んでいる。これは男性や私のようなタイプが入るには敷居が高い気がする

視点は男子中学生

女性らしいグッズに囲まれたお店はなんだか秘密の花園のように見える。も、もしかして普通の本屋ではあまり見かけない、男性にはちょっと隠したいディープな本とか売っていたりして…!?

いつの間にか「女子クラスってどんなだろう」と妄想する男子中学生のような気持ちに。誰にも頼まれていないけどレポートしなければという使命感が出てきたので行ってみる事にした。
男性の反応を見ようと思い、ライターの小野さんにも付き合ってもらった。(カメラを向けたらなぜか無表情になった)
男性の反応を見ようと思い、ライターの小野さんにも付き合ってもらった。(カメラを向けたらなぜか無表情になった)
さっそく小野さんに、「こういう所って男性入りにくくないですか?」と聞いてみる。すると「自分は気になったら入っちゃいますね。女性ばかり入るようなカフェとかでも平気で入って長時間いたりします」と、意外な答え。

あれ~?私の方が意識しすぎ?男性なら緊張するか、ニヤけ顔すると思ったのに。「僕は平気」という感じを表そうとしているのか、無表情で写真に写る小野さん。
ちなみにお店の前にあった証明写真機は美肌機能付き。女性に嬉しい機能ですね
ちなみにお店の前にあった証明写真機は美肌機能付き。女性に嬉しい機能ですね

チェズモイ、ではなくシェ・モワに入店!

下調べをしていた小野さんに教わる直前までチェズモイだと思っていた店名、正式には「シェ・モワ」にいざ入店。フランス語で「私のおうち」という意味だそう。
やはり店内は女性ばかりだ!と思ったら棚の向こうに一人男性がいました
やはり店内は女性ばかりだ!と思ったら棚の向こうに一人男性がいました
今回色々聞かせてもらった吉野さん(左)と、店長の深谷さん(右)
今回色々聞かせてもらった吉野さん(左)と、店長の深谷さん(右)
それでは店内を回りながら色々聞いて行きたいと思います。まずは一番気になる所から。

なぜ女性向けにしたの?

私「女性向けって、思い切ったコンセプトですよね。」

吉野さん「本店のリニューアルを機に、こちらも何かしようと言う事でチームを作ったんです。最初は洋書を扱う店にしようとかいう案もあったんですが、結局女性向けにしようという案が通りました。立ち上げのチームはほとんど女性だったからですかね」
入り口右には女性向け雑誌がズラリ
入り口右には女性向け雑誌がズラリ
そんな中から一番無縁そうな雑誌を手に取り無言で撮影を促す小野さん。記念撮影か
そんな中から一番無縁そうな雑誌を手に取り無言で撮影を促す小野さん。記念撮影か
私「男性はもう来なくていいや!みたいな感じですか?」

吉野さん「ハハ、まあ、そんな感じです。」

そんな感じなのか…吉野さん、とてもサバけた感じで非常に話しやすい。
漫画は割と普通な感じで揃っています
漫画は割と普通な感じで揃っています
中村明日美子さんという漫画家さんのコーナーが。女性に人気なんだな
中村明日美子さんという漫画家さんのコーナーが。女性に人気なんだな
私「実際に男性が入ってくる割合はどうですか?」

吉野さん「だいたい1割位です。」

10人に1人。想像してたよりけっこういる。興味で入っちゃうような、小野さんタイプの男性が多いということだろうか?
腕を組みながら原画に興味を示す小野さん。近くの古本屋さんの前にこういう人たくさんいる。
腕を組みながら原画に興味を示す小野さん。近くの古本屋さんの前にこういう人たくさんいる。

本店に置いてないものがあるので男性客も来る!

吉野さん「実は旅行ガイドや漫画は本店にはなくて、こちらに置いているんです。それと食品エッセー本とかは男性も好きな方多いですよね」

なるほどーそれなら納得!確かに、本店は少しお固めというかビジネスマン向けの雰囲気があるお店。置いているものを分けていたのかー。それと、この辺りは大型書店が多く1階に漫画が置いている所が少ないのでサッと買うのにはこちらのお店が便利と考え、男性でも入るのだそう。
スイーツの本に食いつく小野さん。
スイーツの本に食いつく小野さん。
ちょっとお固めの雰囲気のある本店。1Fから3Fまでカフェコーナーあり。
ちょっとお固めの雰囲気のある本店。1Fから3Fまでカフェコーナーあり。
私「お薦めの本はどんなのでしょうか?」

吉野さん「今はなんと言っても益田ミリさんが人気です。自分が担当してる棚なんですけど…サインも飾ってるんですよ。フェアやってる噂を聞いて来てくれたんです。」
入り口すぐに8つのテーマ別の棚があり、それぞれ別の女性スタッフが担当するそう。吉野さんは大好きな益田ミリさんのコーナーを作った
入り口すぐに8つのテーマ別の棚があり、それぞれ別の女性スタッフが担当するそう。吉野さんは大好きな益田ミリさんのコーナーを作った
自分の名前入れてもらったサインも貰っちゃいましたと凄く嬉しそう。役得~!
自分の名前入れてもらったサインも貰っちゃいましたと凄く嬉しそう。役得~!
小野さんも持ってる本があったようだ。無表情から少しずつ表情が変わってきたか
小野さんも持ってる本があったようだ。無表情から少しずつ表情が変わってきたか
こちらの棚はスタッフがそれぞれ考え、1ヶ月で変えていくそう(益田ミリさんは人気なので継続中だそうです)。担当の人たちはそれぞれ自由に自分の好みを反映することができる。なんだか楽しそうだなあ!
飾りつけもスタッフの腕の見せ所。
飾りつけもスタッフの腕の見せ所。
きのこフェアの所には手作りのきのこもあった。気合入ってるな。
きのこフェアの所には手作りのきのこもあった。気合入ってるな。
きのこの本ってこんなにあるのか。そしてそんなに人気だったのか…知らなかった
きのこの本ってこんなにあるのか。そしてそんなに人気だったのか…知らなかった
ちなみに裏の棚は仏像、京都、短編、カフェのフェア。あ!男性のお客さんだ。
ちなみに裏の棚は仏像、京都、短編、カフェのフェア。あ!男性のお客さんだ。
8つのフェアを眺めていると、半分は女性ならではと感じる所もあるけど半分は男女共に好きそうなテーマだった。けど、例えば仏像フェアの並びの中に「美坊主図鑑」というかっこいいお坊さんの写真集が置いてる辺りはちょっと女性よりだろうか。

リトルプレス?

最近人気だというリトルプレスという薄手の本も並んでいた。一般の流通にはなく、個人で作って出しているものらしい。初めて聞いたが、どれも表紙のデザインがお洒落で可愛い。
雑貨も売ってるお店だから完全にノートに見えてたけども。
雑貨も売ってるお店だから完全にノートに見えてたけども。
そろそろディープな所も聞いてみようかな…
そろそろディープな所も聞いてみようかな…

いかがわしい系は無いんですか?

と、単刀直入に言ったわけではなくゴニョゴニョとオブラートに包みながら聞いてみた所、そういうのは置いていない、との回答だった。そりゃそうか、こんなに爽やかで明るい店内にそんな…ねえ。

吉野さん「そういうの求められてましたか…参考になります」
強いて言えばここらへんですかね。と向かったのは一番奥の棚。
強いて言えばここらへんですかね。と向かったのは一番奥の棚。
奥の棚にはメイクやネイル、下着についての本、女性が作者のエッセイ、女性の写真集などが並び、一番端には恋愛についての指南書がズラリ。そしてその棚の前に目立つように置かれていたのは「妄撮男子★」という、男性の服が一部破けて裸が見える本だった。
何だコレ!服が破けて裸が見える
何だコレ!服が破けて裸が見える
女性もこういう想像するんでしょ?
女性もこういう想像するんでしょ?
それを見つけて小野さんは「あー、男モノあったんだ。これ女性版はけっこう出てるんですよ」と教えてくれた。そして「正直男はこういう(女性の服の下)の想像しますが、女性もするんですか?」 といったことを言い方を変えて2回尋ねてきた(吉野さんにも)。しませんよ!
可愛いソファ。ここで靴の試着をしたり子供や旦那さんに待っててもらったり。
可愛いソファ。ここで靴の試着をしたり子供や旦那さんに待っててもらったり。
私「本以外のものだと何が人気ですか?」

吉野さん「雑貨だと今治のタオルとかオリーブ化粧品のシリーズが人気です。品質がいいみたいでブログで紹介してくれたお客さんがいました。」
担当じゃないのか、「いいみたい」というアバウトな返答の吉野さん。でも雑貨にも固定客がついてるそうです。
担当じゃないのか、「いいみたい」というアバウトな返答の吉野さん。でも雑貨にも固定客がついてるそうです。
私「一日どれくらい売れるんですか?靴とかバッグも売れます?」

吉野さん「多ければ1日に10点くらいですかね。ボーナス時期のお昼休みにOLさんがバッグ2つ買って行ってくれたこともありますよ。」
スカートみたいな可愛いバッグ
スカートみたいな可愛いバッグ
その並びには雑誌の付録のバッグも並んでいた。これは本屋さんならでは!
その並びには雑誌の付録のバッグも並んでいた。これは本屋さんならでは!
確かに眺めていると、この私でもつい手に取りたくなるアイテムが並んでいる。ディスプレイは女性らしい雰囲気作りの部分が大きいかなと思いきや、侮れない。
帽子もいくつか並んでいる。どれも可愛い
帽子もいくつか並んでいる。どれも可愛い
帽子でないのも並んでるからよく見てね
帽子でないのも並んでるからよく見てね
ストールやアクセサリーもある
ストールやアクセサリーもある
小野さん、こっちの帽子の方が可愛いですよ
小野さん、こっちの帽子の方が可愛いですよ
私「以前の普通な感じの本屋さんからガラリと雰囲気変わりましたが、やってる方の気分も変わりましたよね?客層とかも違いそうですし」

吉野さん「そうですね。自分が興味あるものを自由に取り上げさせてもらってるのでそれは楽しいです。本店に行くと、逆にお客さんの方が本に詳しかったりするので緊張しちゃって。こっちに来れてラッキーです。」
という感じで、吉野さんと小野さんが素敵な笑顔になった所でインタビューは終了。

ひと通り聞いた感じだと、少しお固めで落ち着いた印象のある本店に対して、こちらは自由な感じで趣味や癒しを担当しているのが分かった。役割分担をしっかりしていたのか。そうと分かれば男性でも入りやすい、かな?

入り口から奥に行くにつれて女性度が高まっていく感じだった。一番奥にまでは行けずとも、男性にとっては女性の好みや流行を垣間見る事ができて楽しいかもしれない。神保町に行った際はぜひ寄ってみて下さい。

<おまけ:これであなたも東京堂ツウ>

移動棚に貼ってあったこの付箋は何かと思い聞いてみると
移動棚に貼ってあったこの付箋は何かと思い聞いてみると
入り口すぐにある、いわゆる「平台」と呼ばれるお薦めスペースのことを東京堂書店では軍艦と言ってるらしい。
入り口すぐにある、いわゆる「平台」と呼ばれるお薦めスペースのことを東京堂書店では軍艦と言ってるらしい。
東京堂書店に行ったら「今日はなかなか良い軍艦だねえ」と店員さんに言ってみよう!何者だと驚かれますよ。

小野さんの感想

そういえばこの日、小野さんについてきて貰ったのに最後に男性視点の総合的な感想を聞くのを忘れてしまった。

この原稿をある程度書き終えたのを見せ改めて感想を聞いてみると、楽しめましたというのと共に「小堺さんが妄想本に食いついてた描写がなくてずるい」との事。

えー、いやー…裸に食いついたんじゃなくてその発想に感動してただけなんですよ…変な誤解受けると困るので割愛させていただきました。
奥にはお姫様仕様の鏡があった。ちょっと細く見える気がして、気分よくさせるサービスかと思ったけどそんな仕掛けはしてないそうです
奥にはお姫様仕様の鏡があった。ちょっと細く見える気がして、気分よくさせるサービスかと思ったけどそんな仕掛けはしてないそうです
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