
ウェットな怪談もすっきり
8月に「怪談.ppt」というイベントに出演した。パワーポイントを使った怪談イベントだ。
僕は題材に怪談の古典、耳なし芳一を選んだ。
怨霊に呼ばれるようになってしまった問題に対して、般若心経を身体じゅうに書いて解決しようと提案するお話だ(パワーポイント的に考えると)。
その提案をパワーポイントで描いたので紹介したい。
林雄司(はやしゆうじ)
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。デイリーポータルZウェブマスター。編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)、「やぎの目ゴールデンベスト」(アスキー)など。ウインナーが好きです。
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まず、耳なし芳一とは
平家物語の弾き語りが上手な琵琶法師が平家の怨霊に気に入られてしまい、命を救うために工夫するが結局耳をとられてしまう話である。
芳一を救うために工夫するのは和尚である。
なので和尚から芳一への提案資料となる
お話としては、寺に芳一という盲目の琵琶法師が住んでいる。 和尚がいない夜に武士がやってきて、芳一を高貴な殿様の屋敷に連れて行ってしまうのだ。
ホイホイついて行くなよと思うが原作では武士が相当怖いのでしかたない。
その屋敷で芳一は平家物語をリクエストされる。
現状を分析するとこうなります
この身分の高い人たちが実は平家の怨霊なのだが、死んでるのに自分たちが滅びる壇ノ浦のパートをリクエストするのだ。
ツイッターで自分の名前を検索するようなものである。
よく分らないでSWOT分析というのを使ってるので真に受けないでください
その平家物語がバカウケする。オーディエンスはむせび泣くわ取り乱すわで酸欠ライブ状態である。そして高貴なお方は芳一にあと6晩来てくれと頼むのだ。お屋敷7DAYS公演である。
オーディエンスはみな怨霊
ただそこで和尚が不審に思うのである。なんであいつは毎晩出かけているのかと。 しかし芳一に聞いても答えないので(口止めされていたのだ)和尚は下男に芳一のあとをつけさせる。
寺男と書くともじゃもじゃの人を想像してしまうのは「男はつらいよ」の影響だろう
ついて行った寺男が見たのは墓でひとだまに囲まれて熱演する芳一であった(かっこいい!)。かっこいいというのは僕の感想だが和尚の予見は真逆だった。このままだとお前八つ裂きにされるぞと言うのだ。
般若心経で見えなくなるご提案
そこで和尚のソリューション提案である。
「般若心経を全身に書いておけば怨霊から見えない」という提案。
光学迷彩みたいなものだろうか。
提案どおり日没までに大急ぎで芳一の身体に般若心経を書くことにした和尚。和尚がそばにいてあげればいいのにと思うのだが今晩は法事で行けないと言う。この和尚が実は平家とグルなんじゃないのと思ったがそういう伏線ではなかった。
提案書も最後に近づいてきたのでスケジュールの登場だ。
般若迷彩(そう呼ぶことにした)で見えなくなっているので絶対に声を出してはならない。脇の下や足の裏など筆で文字を書かれてさぞかしくすぐったかっただろう。
締めはがっちりと握手。和尚と芳一である。
ここから先は般若心経を書き残した耳を取られてしまう有名な展開である。
武士が芳一を呼びに来るが琵琶と耳しか見あたらない。それだけでも不自然なのに、武士はしかたなく耳だけ持って帰るのだ。琵琶を聴きたいのに耳を持ってこられた殿様の反応が知りたいが原作には書いてなかった。僕だったら怒る。
耳を失うという結果になってしまったが、それをフォローアップでどのように報告するか。次のページで結果報告のパワポです。