特集 2012年11月8日

キャベツの恋愛ゲームを攻略する

キャベツが出てくる恋愛ゲームだというが……
キャベツが出てくる恋愛ゲームだというが……
草食系男子とかいう言葉が流行ってどれだけ経ったろうか。

先日ゲーム屋を見ていたら、登場キャラクターが全てキャベツというゲームが売られていた。これはまさに草食系の極北だ!

珍しいゲームらしく、ぜひ紹介したいのでプレイしてみることにした。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

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すべてがキャベツだった

そんなわけで手に入れたゲームだが、これが何やらおかしなことになっている。

主人公は嬬恋学園に転校してきた男子学生(二年生)で、ここを舞台にして一波乱あるらしい。このあたりの設定はいかにも平凡な恋愛ゲームなのだが、さっそくプレイ開始してみて驚愕した。

主人公もキャベツなのだ。草食系じゃない、草だ。
主人公のキャベツ。わくわくしているそうだ。
主人公のキャベツ。わくわくしているそうだ。

もちろんヒロインもキャベツ

ヒロインは3人いる様子。私の目に間違いがないのなら、これらもまたキャベツだ。
右からキャベツ、キャベツ、キャベツ。
右からキャベツ、キャベツ、キャベツ。
どれも同じキャベツじゃないかと思ったが、それぞれ違って名前も付いているらしい。準に紹介していこう。

メインヒロインは津上あやね。大きなリボンがその特徴だ。主人公が小さい頃に近所に住んでいた幼馴染という過去を持つそうだ。が、どうみてもリボンの付いたただのキャベツである。
リボンをつけているからメインヒロインと言い張る
リボンをつけているからメインヒロインと言い張る
続いてのヒロインは槻川みどりという一つ上の学年の先輩。陸上部に所属していたのだが、最後の大会を目前にしてつい先日怪我をしてしまった、という設定らしい。

キャスターの上に乗せられているが、これはもしかして車椅子を意味しているのだろうか、現時点では不明である。
槻川みどりと名乗るキャスターの上に乗ったキャベツ
槻川みどりと名乗るキャスターの上に乗ったキャベツ
三人目のヒロインは後輩の前島ひかり。メガネをかけた内気な文学少女だそうだ。メガネっ娘である。お金持ちの娘だそうで、その生い立ちから性格的にも何やら秘密を持っていそうだ。
なぜキャベツがメガネを。それが一番の秘密だ。
なぜキャベツがメガネを。それが一番の秘密だ。

友人もいるぞ

サブキャラクターとして友人が一人紹介されていた。金髪で、いかにも悪友っぽい感じがする。とても不注意で、1日に3回車に轢かれた経験を持つ、らしい。
どこまで頭なのか、どこから体なのか
どこまで頭なのか、どこから体なのか

こうして始まる俺の青春

キャラクターをざっと確認してみたが、どれもキャベツだった。人間のキャラクターは出てこないようだ。というか、このキャベツたちが人間と遜色ない文明を謳歌している様子である。

それならばキャベツが恋愛してもいいかと気を許しそうになる。いや、しかしやっぱりキャベツ。僕の頭は混乱したままだが、プレイを進めることにする。
朝早いのが苦手なキャベツ。名前が秋太郎というのも投げやりだ。
朝早いのが苦手なキャベツ。名前が秋太郎というのも投げやりだ。
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曲がり角でドン!

朝が苦手な主人公が遅刻気味で家を出発して、学校へ急いでいると、曲がり角で人とぶつかってしまった。リボンを付けたヒロイン、津上あやねである。

お約束ではあるが、咥えて走ってきたのか、転がったキャベツの上に食パンが乗っかっている。さながらゴリラの朝ごはんである。
パンを食うキャベツ、あやね。
パンを食うキャベツ、あやね。
キャベツに詰め寄られる。
キャベツに詰め寄られる。
転がったあやねに下着を見たかどうか尋ねられたときの選択肢がどちらも見たことになっていて釈然としない。これがキャベツ界のお色気シーンなのか。

あやねからは警察に突き出されそうな勢いで叱責されたが、結局、昔の幼馴染だということが発覚しお咎め無しになった。

ところで、主人公の秋太郎が性的に興奮すると、キャベツの芯の部分が地味に伸びてしまう、というのは意味がよくわからない。キャベツならではの生理現象なのだろうか。
芯の部分が…
芯の部分が…
ぐっ。
ぐっ。

段差にハマる先輩

先を急ぐと、学校の前の道の段差で、キャスターに乗ったキャベツが立ち往生しているのを見かけた。騒がしいので近づいてみると、同じ学校の生徒のようだ。

同じキャベツのよしみで助けてあげることにしよう。
キャベツが道の段差にキレている
キャベツが道の段差にキレている
お礼を言われた。いいんだよ、同じキャベツじゃないか。
お礼を言われた。いいんだよ、同じキャベツじゃないか。
助けてあげるとお礼を言われた。先日足を怪我して車椅子生活を始めたばかりで、ひとりで通学するのは初めてだそだ。(なんとキャスターは車椅子だったらしい。)

また段差で立ち往生していたら助けてあげる事を約束して、別れた。

内気な後輩ひかり

最後のヒロインは図書室で本を読んでいるところを見かけるだけだ。休み時間や放課後に図書室に立ち寄るといつもいるので、きっと本が好きなのだろう。
図書室に佇むヒロイン。
図書室に佇むヒロイン。
図書室で見かけるだけでは、何の関わりあいもない。当然向こうは本を読んでいるのでこちらの顔など知りはしないだろう。

一体どうやって話が進むのだろうと思っていたら、校舎裏で不良に絡まれているひかりを発見。これは助けなければ!
悪い奴に絡まれている。見過ごすわけにはいかない。
悪い奴に絡まれている。見過ごすわけにはいかない。
現実にはありえない強気で不良たちを散らす。
現実にはありえない強気で不良たちを散らす。
不良たちは何やらひかりに因縁をつけていたようだが、僕が知り合いのような顔をして近づいていくと、逃げていった。現実だったらぼこぼこにされていそうだ。

ひかりがお礼をしたいと言うので、一旦ひかりの家におじゃますることになった。するとそれが大変な豪邸。温室育ちのお嬢様~と表現があるが、これはそのまま温室ではないか。

ここは居場所じゃないと思ってそそくさと退散することにした。ひかりは悲しそうな顔をしていた(ような…)。
本当に温室だ。
本当に温室だ。

ルートを決めよう

さてヒロインとの対面も果たしたので、どのヒロインと結ばれるか方針を決めよう。

明るい先輩のみどりや、メガネっ娘ひかりにも気にかかるのだが、ここはやはりメインの幼馴染ヒロインあやねのルートにしよう。何を隠そう僕は幼馴染キャラが好きなのだ。
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親密になる二人

前頁までで、あやねのルートに進むことにした。

部室の掃除を手伝えと言われて手伝うハメになり、何故か肩車をすることになった。脚立持って来ればと言うと、運ぶのが面倒と言う。やれやれ。
そしてこう言われるのだ。
そしてこう言われるのだ。
案の定、芯が飛び出てしまう。
案の定、芯が飛び出てしまう。
なんなのかこの茶番。
なんなのかこの茶番。
このようなやり取りがあって、せっかく手伝ったのに怒られてしまった。まったくかわいくない女だ。

昔はこんなじゃなかったんだけどな。もっとおしとやかだったような……。秋太郎はそう回想していた。そうなのか。
その後、倉庫に閉じ込められ暗闇になる。
その後、倉庫に閉じ込められ暗闇になる。

不必要なお色気は続く

しかしこのあやねにまつわるストーリー、無駄にお色気が多いような気がする。こういうやりとりが親密さに繋がるのだろうか、キャベツの世界では。
さっきまでは裸じゃなかったのか。
さっきまでは裸じゃなかったのか。
全然必要ないと思ったこのシーンだが、主人公秋太郎は、何かに気がついたようだった。あかねの体に見覚えのあるアザがあったそうだ。もしかして、あやねの過去には何か秘密が……?
主人公が何かに勘付く。
主人公が何かに勘付く。

過去を見つめるあやね

僕があやねの過去の秘密を気にしだしてから、あやねが昔のことを匂わすことが増えた気がする。気のせいかもしれないが……。

秋太郎とあやねは小さい頃、近所に住む幼馴染だったはずなのだが、不思議な事に秋太郎にはその頃の記憶がない。
それが香水なのか。
それが香水なのか。
昔の記憶の内容と同時に、あかねが時々悲しそうな目をするのが気になる。何かに追い詰められているような。
キャベツが世界のことを語り出した。なんて繊細なキャベツなんだ。
キャベツが世界のことを語り出した。なんて繊細なキャベツなんだ。
あかねは一体何を思っているのだろうか
あかねは一体何を思っているのだろうか
そのとき僕は僕の中にある強い気持ちに気がつき始めていた。物語は加速する――。
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いよいよ告白する

胸から溢れだすどうしようもない熱い気持ち、これは恋、いや愛だ!

にわかに自分の気持ちに歯止めが効かなくなった秋太郎はさっそくあやねを呼び出す。そうそう、プレゼントも忘れずに。
急に決心した秋太郎。
急に決心した秋太郎。
告白するのにモノで釣る作戦か。
告白するのにモノで釣る作戦か。

あやねの元へ急げ

一方その頃、秋太郎に呼び出されて駅前広場にいたあやねは暴走した自動車の事故に巻き込まれていた。モノで釣ろうとして待ち合わせ場所に遅れたからだぞ!責任取れ、秋太郎!
一方待ち合わせ場所では…
一方待ち合わせ場所では…
あかねが搬送された病院に駆け込む秋太郎。あかねは病室で泣いていた……。

命に別状はなかったが、あやねは事故のショックで過去の悲しい出来事の記憶を思い出した。そして、現在の自分のアイデンティティについて深く悩むのであった。
抑圧していた記憶を全て思いだした。
抑圧していた記憶を全て思いだした。

キャベツ、そして愛

あやねは全てを思い出した。

あやねは幼い頃双子の姉を事故で失った。姉の魂を慰めるために自分を抑えこみ、姉の代理として生きる過酷な道を選んでいたのだ。このリボンはその姉の形見である。

秋太郎の中にあった違和感、それはあやねの双子の姉の不在に他ならなかった。
男気のあるセリフを吐くキャベツこと秋太郎。
男気のあるセリフを吐くキャベツこと秋太郎。
美少女ゲーマーなら焦ってはいけない。焦ると駆け落ちとかするパターンあるので。
美少女ゲーマーなら焦ってはいけない。焦ると駆け落ちとかするパターンあるので。
一刻も早く愛するあやねを抱きしめたいところだが、ちょっと待とう。

一旦抱きしめるのを待って、姉の形見のリボンを外そう。捏造されたあやねのアイデンティティを取り戻さなければいけない。

そうしたらあとは感動のエンディングが待っている。
抑圧していた記憶を全て思いだした。
抑圧していた記憶を全て思いだした。
これが……愛
これが……愛
めでたし めでたし……
めでたし めでたし……

夢だった

虚構か
虚構か

アイデンティティを取り戻したあやねも、男気を見せた秋太郎も、二人の愛も、夢だった。

とにかく今は、油をかけた生キャベツを腹いっぱい食べたい気分です。
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