特集 2012年11月9日

壱岐の「死ねる」っぷりが凄い

えっと…、柵は?
えっと…、柵は?
自分の不注意で転んでケガをしても
「転ぶような道を作る方が悪い」
と文句をつける輩がいる昨今、世の中のいろんなものが過剰にガードされている。

ところがどっこい、壱岐に行ったら超弩級の危険箇所でも柵なんかまるで無いのだ。もう、ちょっと油断したら簡単に死ねる場所がウジャウジャある。

その凄まじさをレポートします。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

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崖から落ちたら即死。芝生の上にベンチがあるのが秀逸。(パッと見、レンズによって歪曲してるようにも見えるが、右側のまっすぐな水平線からそうではないことを見抜いてほしい)
崖から落ちたら即死。芝生の上にベンチがあるのが秀逸。(パッと見、レンズによって歪曲してるようにも見えるが、右側のまっすぐな水平線からそうではないことを見抜いてほしい)

崖ファン、巨石・奇岩ファン垂涎の地、壱岐

壱岐の地形はほんとすごい。
垂れる涎(よだれ)と書いて「垂涎」と言うが、ホントにもう 開いた口が塞がらず、よだれが出切って喉がカラカラになってしまうほどだ。
猿岩。ほんとに完全に猿にしか見えない。
猿岩。ほんとに完全に猿にしか見えない。
壱岐は長崎県の上の方にある離島。
所属は長崎県だが、博多とか唐津からの方が近い。私は長崎空港から飛行機(プロペラ機)で行った。

いやそんなことはどうでもいい。
壱岐は島全体が玄武岩でできてると言ってもいいくらいゲンブカンが多く、島のあちらこちらで柱状節理による奇抜な岩や崖を目にする。
ベンチに座って壱岐の名勝「猿岩」を間近で見られる。…が、そのすぐ先がまさかの断崖絶壁。
ベンチに座って壱岐の名勝「猿岩」を間近で見られる。…が、そのすぐ先がまさかの断崖絶壁。
柵がな~い!!  (右側に小さく見えるのが上の写真のペンチ)
柵がな~い!! (右側に小さく見えるのが上の写真のペンチ)
そしてどういうわけか、壱岐の名所にはほとんど柵が無い。

もちろん、こういうのは大歓迎だ。
さほど危なくもないものをガチガチに柵で囲って安全第一にしてしまう昨今の風潮にはむしろ辟易としてる。が、これはそんな私から見ても「えっ?!」と思うような自由度の高さだ。

引き締まる股間

「鬼の足跡」も、壱岐屈指の名所である。
「転落注意」の看板がポツリとあるが…
「転落注意」の看板がポツリとあるが…
そのすぐ後ろが断崖絶壁。でもってやはり柵は無い。
そのすぐ後ろが断崖絶壁。でもってやはり柵は無い。
鬼の足跡とは直径50メートル前後の大穴がボコンと、まるで超巨大な鬼に踏みつけられたように空いていて、その先がトンネルになって海に繋がっている…という摩訶不思議な場所。波の浸食によって作られたものだそうだ。

これが一切の制限なく自由に見物できるようになってるわけだが…
細っ!! (しかも柵無いし!!)
細っ!! (しかも柵無いし!!)
柵も何も無い岩の橋に立ち、さきほどいた場所を見返すと、そのスケールに縮み上がる(主に股間が)。
赤矢印の先から見ていた。何このスケール感。落ちたら死ぬ度が半端じゃない。
赤矢印の先から見ていた。何このスケール感。落ちたら死ぬ度が半端じゃない。
アングルによってはただの野原に見えるところが恐い。
アングルによってはただの野原に見えるところが恐い。
同じ場所を別アングルで。おしっこチビりそうや…。
同じ場所を別アングルで。おしっこチビりそうや…。
ゴルフの全英オープンを彷彿させる佇まいでもある。
ゴルフの全英オープンを彷彿させる佇まいでもある。
ちなみに名所だからあえて柵を設けてない、という風でもなく、わりと島全体がこういうテイストで貫かれている。

まだまだ、スゴいのがあるぞ。
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「ダメ」って言う人はどこにもいない

自然の奇跡とでも言うべき鬼の足跡だったが、さらに驚くべきことに同じものがもうひとつある。そしてこちらもまた、ビックリするような死ねるっぷりだった。

「辰の島」という壱岐のすぐ近くの無人島にある。(少しわかりづらいが、壱岐の周りにさらに小さな島がいくつもあり、船で渡った)
「転落注意」という看板と、こちらは柵も一応があるが…
「転落注意」という看板と、こちらは柵も一応があるが…
柵は最小限しかなく、越えようと思えば簡単に越えられる。
柵は最小限しかなく、越えようと思えば簡単に越えられる。
そして、柵の向こう側は…
うっほーーーっ!!
うっほーーーっ!!
こちらも鬼の足跡その1とまったく同じ直径50メートル前後の大穴で(若干こっちの方がでかい)、やはり先の方はトンネルになっていて海に繋がっている。

こちらもトンネル部分にかかる岩の橋は上を歩けるようになっており、そこから見返してみると…
ギャーーーー!!
ギャーーーー!!
はるか遠くに先ほどいた柵が見える。
あんなところに立っていたのだ。
「転落注意」の看板がものすごく控えめに感じる。もっと強く言おうよ!
「転落注意」の看板がものすごく控えめに感じる。もっと強く言おうよ!
海側を望むと、細い切れ目のような谷間「蛇ヶ谷」が見える。
海側を望むと、細い切れ目のような谷間「蛇ヶ谷」が見える。
余談だが、「谷間」で画像検索すると見事なまでに本来の谷間が出てこないので要注意だ。
そして例によって柵はない…。「行け」っていうことか?
そして例によって柵はない…。「行け」っていうことか?
がんばって行ってみた。
がんばって行ってみた。
いつも写真を撮る時は良いアングルを得るためにギリギリまで行けるとこには行くようにしている。が、ここではでこがギリギリかが明確じゃない。行こうと思えばどこまでも行けてしまうのだ。そう、転落するまで…。

ちなみにここは無人島で、なおかつこの日は島に上陸してるのが私一人だった。つまり「ダメ」とか「危ない」とか言ってくれる人がどこにもいない。

となるとギリギリまで行くなんてとてもじゃないが恐くてできなかった。

(無人島上陸については後日また別の記事として書きたい)
横を見るとこんな。
横を見るとこんな。
左下に頑張ってる自分の影が。こんくらいが限界!
左下に頑張ってる自分の影が。こんくらいが限界!

こんなところにも行った。
こんなところ。
こんなところ。
当然ながら柵なんてない。
当然ながら柵なんてない。
腹ばいになって下を見る。
腹ばいになって下を見る。
比較対象物がないので高さが伝わりづらいが、
寝そべっていても恐い高さ。

恐くてとてもじゃないが端っこには立てなかった。
その場で横を見たところ。自分が立ってる場所の恐ろしさがわかる。
その場で横を見たところ。自分が立ってる場所の恐ろしさがわかる。
こちらは壱岐の名所・「左京鼻」。
こちらは壱岐の名所・「左京鼻」。
ザ・柱状節理という感じのかっこいい岩。鳥がキュート。
ザ・柱状節理という感じのかっこいい岩。鳥がキュート。
でもって、こちらも例によって柵はない。
でもって、こちらも例によって柵はない。
ちなみに電灯の類はどこも見た覚えがなかったので、夜は本当にやばいと思う。

島全体がパワースポット

壱岐はパワー・スポットと呼ばれる場所が多いらしく、私も帰ってきたらなんだか元気になった。普段使ってない人間本来が持つ危険察知能力を呼び起こされたからかもしれない。あるいは股間引き締め効果か。
行き帰りに乗ったプロペラ機もよかった。
行き帰りに乗ったプロペラ機もよかった。
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