衝撃の、生バリィさん
まずは、東京ソラマチで行われたイベントへ。
テレビ局のグッズが売ってるコーナーへ、出没するという。
バリィさんの出演時間には、50人くらい人が集まった。若い女子が多かった。みんなワクワク。こんなに熱気のある現場に来たの、久々だ。
「それではバリィさんです!」
おお?
おおおおおおおお!?
どどどどどーーーん。
おおおおおおおおおおおおおお、きゃーーーー、と声があがる。
まず………でかっ。でかい。でかすぎ。
幅がタタミ一畳くらいある。こんなでかい着ぐるみ、愛地球博のモリゾーさん以来だ……。
モリゾーさんは緑の毛むくじゃらで歩くフトンみたいで、若干、恐かったけど、バリィさんは薄いイエローで球形なので、恐くない。どっしりとした安心感がある。トトロ系。
構造上、「人が入ってる感じが、あまりしない」ところが、すごくいい。
着ぐるみってどうしても「中の人」の存在を感じてしまうものだけど、あまりにも圧倒的な形なので、変わった生き物そのものに見える。
その証拠に、見ている人たちの表情といったら! 満面のニコニコ顔だ。警戒心ゼロ。生まれたてのイヌやネコを見る時と同じノリで、バリィさんを愛でていた。
なでてなでて、さわって、声をかけ、写真を撮る。
バリィさん…。喋れないし、何も出来ないけど、カワイイ。
もし、バリィさんの中に入ったら、視界に入る全部の顔が、笑顔なのか? 世界は自分に微笑んでくれるのか?
それを想像したら、羨ましいし、恐かった。そんな体験を、「中の人」はしているのか……!
夢のようじゃないか!
「今日はバリィママも来ています!」と司会者が言った。
小柄な女性が、バリィさんのアテンドをしていた。彼女がバリィさんの生みの親である、イラストレーター&デザイナーさんらしい。
イベント中の、ホンワカした雰囲気の中、彼女だけが、試合前のボクサーのような顔つきをしていた(ような気がした)。本気さが伝わってきた。ブレイクスルーする寸前の人の雰囲気をまとっていた。これから大変なこといっぱいだと思いますが、応援してます! と心で声をかけた。
それでまんまとグッズを3点くらい購入してしまった…。
くまモンも見ておかなきゃ
翌日。
昨年度グランプリの「くまモン」も生で見てみよう、どんな感じかしら、と思い、表参道のネスパスへ。
他にも、「ちょるる」や「レルヒさん」などのキャラが来ていたのだが、ブレイク済のくまモンの人気は……別格だった。
ゆるキャラグランプリ2012、上位のちょるるも、かわいいけども。
バリィさんは、若い人や女性ファンが多かったのに、くまモンは、老若男女!
一眼レフ持ったおじさまも、くまモンをマジ激写!
椎名林檎さんの『無罪モラトリアム』のジャケットみたいな状況。異常人気。
それにもう、おすもうさんみたいに…さわられまくる! なでなで! なでこなでこ!
熊本県の物産のブースに入り、営業するくまモン。
くまモンが、くまモン柄のタオルハンカチで汗をぬぐうアクションをすると、アテンドの人が「くまモンの汗つきハンカチですよー!」と声をあげた(しかも買う人がいた)。
くまモン、物販中。ばんばん売れます、熊本物産。
くまモン、公式スケジュールを見ると簡単に分かることなのだが、同じ週末に、いろんな地区のイベントに出没している。単純に、筐体が5、6体いる……ということなのかもしれない。まあ別にいいんだけど、「ゆる」キャラなのだし。
しかし生で見たくまモン、可愛かった…! クマもんは身軽で、いろんなポーズをして、観客を喜ばせていた。
やはり「立体化」の際、どれだけ可愛いバランスで作れるかが、肝なんだろう。
あと、やっぱり「起毛」してほうが絶対にいいと思う。「さわり心地を試したくなる」=人が近づいてくる、ということだから。だって、何か理由をつけて、さわりたいじゃん!
ゆるキャラ集合イベントなのに、なまはげがいた。君は、ガチキャラなんじゃ…。
そしてその次の週末も、あのコを追って
翌週は池袋に行った。都内別所でもゆるキャライベントがあったのだが、「バリィさんに確実に会えるところ」を優先した。もう、なんかもう、アイドルのおっかけみたいな気持ちになっていた。
池袋東武でやっていた、「ごはんかいじゅうパップ」にも会ってきた。パップ、小柄だったな…。
池袋サンシャインで開催されていた「旅フェア」では、ゆるキャラがあふれていた。今、ゆるキャラは、日本で1400体くらいいるらしいが、「数十万で作れる、スキャンダルを起こさないマスコット」として、便利なんだろう。
今日もどこかで名も知らぬゆるキャラが、生まれているに違いない。おそらく史上最大のゆるキャラブームなんだ、今の日本って。
秋田県、杉のすぎっち。
埼玉のコバトン。生で見ると結構かわいいなあ。
コバトンに名刺もらった。最近は、こうやって「ゆるキャラグランプリ」への投票のためのQRコードの付いた名刺を配るのが、ゆるキャラ界の流行り。
イカキャラ2体。新潟のブラック番長と、函館のイカール星人。イカール星人の、「特撮的質感」は、ゆるキャラとしては珍しいかもしれません。
飛騨高山のさるぼぼ。
会津若松の赤べこ。無表情さがたまりません。
バリィさんの出没スポットはどこだ!? と、あせって会場をさがす。
すると、いたいた、バリィさん! 相変わらずの存在感!
通りがかりの人が、バシャバシャバシャとシャッターを切る。
前日、『ガチガセ』というテレビ番組に出演したこともあって、「あー、あれ知ってる!」「テレビで見たー」という声も多かった。
みんな、ニコニコしながらシャッターを切り続ける。
バリィさんが移動すると、みんなも移動する。ぞろぞろ。
観光PRの美女たちも、バリィさんをなでなでして、からむ。
とにかくもう、皆、笑顔笑顔、撮影撮影……。
バリィさんを、撮影しまくり。
その翌日も、あのコに会いに
もういっかい会いたい! そう思い、有楽町駅前での愛媛県の物産PRイベントにバリィさんが出ると聞き、翌日も追っかけた。
このイベント、開会時に、超人気歌手の水樹奈々さん(愛媛出身)が出演して、「ゆるキャラグランプリ、バリィさんへ清き一票を!」と呼びかけたそうで、もうなんか県ぐるみで応援している……らしい。バリィさんへのプレッシャーは、半端ないだろう。大丈夫なんだろうか(ちなみに今は投票期間終了しています)。
出現すると、即、人だかり。
ああ、かわいい。
後ろ姿、しっぽも、かわいい。
横顔も可愛いよ、バリィさん。
人気イマイチの、愛媛のキャラ、みきゃんだけど…。
バリィさんと、ツーショットになった途端、カメラで撮影しまくられる2体。
みきゃんとバリィさんのツーショットを見て、思った。
「アイドルの人とか、わざとメンバーとのツーショット写真をブログに載せるパターンって多いけど、一緒に写真撮ると、相乗効果で、倍、可愛く見えてオイシイから、ツーショット撮るんだなあ」と。
少なくとも、バリィさんの中の人は、そういう効果を、知っている……はず。
現場には、バリィママさんも来ていた。お顔が完全に疲労していた。がが、がんばってください! ファンとしては祈るだけですけど! と、心の中で声をかけた。
ゆるキャラって何だろう
ゆるキャラ…ゆるキャラって、一体何なんだろう。
イラストレーター/エッセイストのみうらじゅん氏が名付けたジャンルで、デザインや存在意義など、何かが「ゆるい」こと、そういう定義は知ってる。
しかし、ここ数年のゆるキャラブームの加熱ぶりには、別の原因があるんじゃないかと、なんとなく思う。
あの災害から1年経って、ユニクロで服を買い、CDも本も買わず、無料のネットの情報ばっかりで楽しんでいる、あんまりお金のない、ささくれだった、わたしたち。そんな私たちが求めた、無料で心を癒してくれる存在、それがゆるキャラなんじゃないかと……。ある種の、自然発生的な、アニミズム的な、神様たちなんじゃないかと思う。
まあ、とにかく、私は、ゆるキャラにひかれてならない。
キャラの中に入る。それは夢で、もうキャラと一体化しちゃいたいとすら思う。あの中に入れば、自分の年齢も性別も立場も、全て消える。そして皆に笑顔で迎えられる。
そんなドリーム、ないでしょう、ほかに。
ああ、ゆるキャラに、なってしまいたい……。