ちしきの金曜日 2012年11月30日
 

銀座でジャメヴュになる方法

銀座にお座りする犬がいたのだ(GPSログデータをGoogle earth で表示したものをキャプチャ)
銀座にお座りする犬がいたのだ(GPSログデータをGoogle earth で表示したものをキャプチャ)
ぼくは「ジャメヴュ」持ちだ。

ジャメヴュとは日本語だと「未視感」。いわゆる「デジャヴュ」の逆で、よく知っているはずの景色が初めてのように見える現象だ。子供の頃からよくこういう状態になっていた。

で、今回、意図的にこの「ジャメヴュ」になる方法が分かったのでそれをご紹介したい。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。

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バンドマンがソロ活動したくなる、あれと同じだと思う

それは「GPS地上絵」を描くという行為だ。

自分の移動した軌跡を記録できる「GPSロガー」を使って、歩くことで町に絵を描く「GPS地上絵」。これまでDPZで何回かその成果を記事にしてきた。馬を描いたりウサギを描いたりタツノオトシゴを描いたり。ぼくのライフワークだ。

ただ、これまでの絵は、知らない街で、大勢で描いてきた。で、振り返ればひとりで描いたことがない。やっぱり、こういうのってひとりで黙々とやるとまた違った感慨があるんじゃないだろうか。

バンドマンがソロ活動したくなる、あれと同じだと思う。ちがうか。

で、やってみたら確かに今までとは全然違う感じだった。なにはともあれ、そのソロ活動の成果をご覧いただこう。
かわいい。おとなしくお座りするこの子犬がいるのは銀座。北が下。画面右下しっぽのあたりが有楽町駅。見つめる先には築地市場。
かわいい!(自画自賛)まさか銀座にこんな子犬がいたとは。

そうなのだ、今回は銀座のど真ん中に地上絵を描いたのだ。よく知った街だ。千葉県民にとって最もなじみが深い東京の繁華街といったら銀座ではないか。渋谷や新宿は遠いんだよなー。
これが設計図。今回はものすごーく設計に苦労した(大きな地図で表示
なぜ銀座を舞台に選んだのかというと、伊東屋さんにそう頼まれたからだ。

そう、あの銀座の有名な文房具の名店、伊東屋だ。伊東屋さんは"itoya post"というフリーマガジンを発行しているのだが、その第8号のテーマが「かく、みらい」。ちょっと変わった「かく」をやっている人間はいないかと編集さんが探して見つけたのがぼくということらしい。
"itoya post No.08</a>" 伊東屋の全本支店 店頭で配布だそうです。
"itoya post No.08" 伊東屋の全本支店 店頭で配布だそうです。
つまりこれは「GPS地上絵師」としての初仕事なのだ。これでぼくも「プロの地上絵師」を名乗れるぞ!

ただ、銀座で地上絵ってほんと難しくて。まず道が碁盤の目なので、設計のとっかかりがなにもない。ドット絵のようにすれば何でも描けるといえば描けるんだけど、それじゃおもしろくない。
そういえばポール・オースターの小説「シティ・オブ・グラス」ではマンハッタンの碁盤の目を歩いて文字を書く、という場面があった。(上はコミック版「シティ・オブ・グラス」(ポール・オースター原作、デビッド・マッズケリ著、森田 由美子 翻訳、講談社)より)
そういえばポール・オースターの小説「シティ・オブ・グラス」ではマンハッタンの碁盤の目を歩いて文字を書く、という場面があった。(上はコミック版「シティ・オブ・グラス」(ポール・オースター原作、デビッド・マッズケリ著、森田 由美子 翻訳、講談社)より)
良い地上絵は道筋に誘われるようにして描かれるべきものなのだ。「良い地上絵」ってなんだ。

つまり銀座やマンハッタンは地上絵に向いていない街なのだ。敬愛する伊東屋さんのオーダーでなければ断っていただろう。

しかし銀座に一箇所だけ「とっかかり」があった。三原橋だ。
ここ。銀座の地図見てると、どうしたってこの円が気になるってもんだ(大きな地図で表示
ここが鼻か眼か…と試行錯誤に悩み抜いた末(どれだけ悩んだかを書き綴るとそれだけで記事が埋まるので割愛。ただ、悩みすぎて夢の中にまで銀座の地図が出てきたことだけはお伝えしたい)、できたのが前出のお座りする子犬だ。しかもゴールが伊東屋さんの前という出来過ぎの設計に!狙ったわけではなくて偶然そうなったんだけど。ぼくには地上絵の神がついてるね!
ゴールである前脚の付けねがなんと伊東屋本店前!(大きな地図で表示

ソロ活動開始!

さて、そして銀座の街をうろうろ歩き回って子犬を描く。今回の設計はこれまでのもので最小の全長800mほど。子犬としては大きな方だが、地上絵としてはかなり小さい。

で、よく知った銀座の街がだんだん変な感じになっていく。
スタートは後ろ脚の付け根。
スタートは後ろ脚の付け根。
そのスタート後ろ脚の付け根はちょうど地下鉄有楽町線の出口前。
そのスタート後ろ脚の付け根はちょうど地下鉄有楽町線の出口前。
ひとりっきりだと自分撮りが恥ずかしい。結果、なんとも腰の据わらないなポージングに。
ひとりっきりだと自分撮りが恥ずかしい。結果、なんとも腰の据わらないなポージングに。

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