デイリーポータルZロゴ
検索天気地図路線このサイトについてランダム表示ランダム表示
アット・ニフティロゴ


フェティッシュの火曜日 2012年12月4日
 

シナボンこわい

甘いもの好きの怪談、シナボン
甘いもの好きの怪談、シナボン
あのシナボンが、日本再上陸を果たした!

シナボン、アメリカ発のシナモンロールのチェーン店でありその商品名でもある。2000年ごろにはブームにもなったあれだ。一度は日本から撤退したものの、このほど帰ってきた。

じつは私はシナボンにずっと憧れながら食べたことがない。こわかったのだ。
古賀及子 古賀及子(こがちかこ)
1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてニフティ株式会社へ入社。好きな食べ物は「ミラノサンドC」とすることをこのほど決心。
> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

「シナボンがこわい」とは

今回のタイトルは「シナボンこわい」である。落語の「まんじゅうこわい」のようであるが、落語のようにあべこべの意味でいっているのではない。

シナボンは本当にこわい。

悪い意味での「こわい」ではないことは最初に断っておきたい。尊敬と憧憬の意味をこめての「こわい」だ。

簡単にいうと、おいしすぎて、いや、まだ食べたことはないので「おいしそうすぎて」こわいというのが正解か。

そのおそろしさはこの先徐々にお分かりいただけるはずだ。まずは再上陸1号であり現在(2012年12月)唯一の国内店舗である六本木店へ行ってみよう。
シアトルズベストコーヒーとのコラボ店舗だそう
シアトルズベストコーヒーとのコラボ店舗だそう

シナボンを食べ損ねたゼロ年代

今回の再上陸以前、シナボンはいちど1999年に上陸した。当時のことはうろ覚えだが、そこからわーっと店舗も広がったのではなかったか。ブームが起きた。私にとってシナボンは憧れのスイーツだった。

しかし気づけばブームは終わり、最後の1店舗も2009年に閉店したのだ。閉店の際にニュースになったのを観て「ああっ!」と思った。「まだ食べてないのに!」と。

私は、こわがるあまりに憧れのシナボンを食べ損ねたのである。
あのコールドストーンクリーマリー日本1号店のはす向い
あのコールドストーンクリーマリー日本1号店のはす向い

こわすぎて日本に根付かなかった?

実は前回の上陸があえなく撤退となった理由も、シナボンのおそろしさが原因ではないかというのはよく聞く話だ。

おいしすぎてこわい。つまりその、カロリー値をふりきった過剰なおいしさと甘さが詰まりに詰まったお菓子、それがシナボンであり、健康志向の日本人には向かなかったというのだ。

それでもシナボンは帰ってきてくれた。ありがとう! 両手を広げて迎えたい。

店頭には大きくシナボンのビジュアルが掲げられていた。おいしくないわけがないしかし重い食べ物であるから覚悟しなさいよというオーラが出まくっている。
覚悟はいいか
覚悟はいいか

ミニじゃなくていいんですか、本当に

さて、この六本木店。ことし2012年11月15日の開店時には大行列ができたそうだ。私がたずねた11月の末にもまだ購入制限があったり夕方には売り切れたりと余波は続いているようだった。

混雑の情報は得ていたので腕まくりをしてこの日は平日の開店の8時にあわせて早々にやってきた。さすがにお客の波はまだだ。

並ばずすんなりシナボンとコーヒーを頼むことができた。
これが……これが、シナボン……
これが……これが、シナボン……
あこがれの……
あこがれの……
シナボンにはレギュラーサイズのほかに「ミニボン」という小さめのサイズがある。人生初のシナボンとの対峙、ここは迷わずレギュラーサイズをオーダーだ。

しかし、店員さんはしきりにミニの間違いではないか確かめ、オーダーが通ったあとでもバックのスタッフさんが「え? レギュラーですか?(ミニじゃなくて?)」と聞き返していた。
サイズ見本も出ていた。右がミニ(見本はシナボンクラシックではなくさらにこわい「キャラメルピーカンボン」)
サイズ見本も出ていた。右がミニ(見本はシナボンクラシックではなくさらにこわい「キャラメルピーカンボン」)
店に入ってすぐのシナモンのかおりに「お〜アメリカっぽーい」などと思ったが、接客は盛りの良い学生街の定食屋のおかみさんが一見さんを心配するがごとくである。

それもそのはず、今回再上陸するにあたっては、日本では「ミニボン」の方を主力にすえる方向だそうだ。レギュラーサイズのシナボンを全面に押し出して撤退となった前回の轍をふまないという思いもあるのだろう。シナボンのおそろしさはもはやオフィシャルなものだといってもいい。
こわごわと一番外側から。アメかというぴかぴかさ加減
こわごわと一番外側から。アメかというぴかぴかさ加減

さてはこれ、パンじゃないな

さあこわいこわい、憧れのシナボンである。食べよう。

うん、甘い。

そして、ものすごく、うまい。……うまいぞ!

そうだ、おいしいのではない断じてこれは「うまい」だ。うまみがすごい。上にかかったアイシングや中のフロスティングの甘さとシナモンの風味はどストレートながら、思った以上に複雑な味がする。

かかっているのは“クリームチーズフロスティング”とあった。チーズの味が、主張はしないものポイントなのかもしれない。これは子どもには食べさせられないやつだ。大人の味だ。

一番外側からおそるおそる食べ始めたが、シナボンは中がすごいらしい。割りますかね。うん、割りますよ。
わっ!
わっ!
さてはこれ、パンじゃないな。

シナモンロールといえば菓子パンの一種だと思っていたが、これはどう見てももうパンじゃないだろう。

だとしたらなんだろう。中はぐつぐつしていて種類でいったら煮物と言ってもいいくらいだ。

シナモンと砂糖が生地の限界を超えてじゅわじゅわ染みこんでいる。なんだこの食べ物としてのテンションの高さは。

そしてやはり畳み掛けるこのしっかりした甘さよ。ゆるふわな日本スイーツの甘さに平手打ちが軽やかに決まって痛い(歯が)。
とろとろに煮込んだ角煮かという
とろとろに煮込んだ角煮かという

シナボン、としかいいようがない

パンではないし、もちろん角煮でもない。ではなにだろう。もはやシナモンロールでもないだろうこれは。

そうだこれはシナボンなのだ。シナボンでしかないのだ。「あの食べ物はすごいよ」と噂には聞いていたが、全くその通りだ。シナボンという名の、ほとんど文化だ。食べ物の理論としてはラーメン二郎と同じである。

こわがり旨がりながら、気づけば半分平らげた。いかん、メモを取らねばとそれまでの感想を書き付けるためにフォークを置いたそばからものすごい勢いで満腹感が押し寄せてきたではないか。

食べてみたら恐るるに足らずであったと書くつもりで来たが、食べてなおおそろしい。
裏かえしたら裏は裏でまたじゅわじゅわだった
裏かえしたら裏は裏でまたじゅわじゅわだった
積年のシナボンへの思いは果たした。想像通り、いや、想像を上回るおいしさとおそろしさであった。

事前にはシナボンにとりこになって毎日食べに来るようになっちゃったらどうしようと恐れてもいたのだが、このおいしさは私などにはもったいない。

「幸せすぎてこわい」なんてセリフは一生使わないと思っていたが今である。私こわいわ。走って帰ってお布団にもぐっちゃうくらいこわい。この幸せ、半年に1度くらいの頻度で十分だ。

こわさの根源はなにか

それにしても、このシナボンのおそろしさの根源はなんだろう。やはりカロリー値だろうか。
キャラメルやチョコバージョンもあります。畳み掛ける恐怖と喜び!
キャラメルやチョコバージョンもあります。畳み掛ける恐怖と喜び!
確かにシナボンのカロリーは大変に高い(数値は米シナボンのサイトに公開されているのでご興味のある方はおそるおそる覗いてみてください)。

内勤の成人女性だったら2個で1日分のカロリーは軽々オーバーだ。さすがシナボン先輩、こわいぜ!

ただ、おそろしさはそれだけではない気がするのだ。ふつうのケーキやパンが高カロリーでも、静かに青くなるだけでここまでは騒がない。。
「no music no life」みたいなキャッチコピー
「no music no life」みたいなキャッチコピー

ふつうのシナモンロールってどんなのだっけ

シナボンはシナモンロール界のラーメン二郎である。つまり、異端な魅力なわけだ。

では普通のシナモンロールというとどういうものだったろうか。食べたことはあるがそんなになじみがない。

シナボンがああなってしまう以前のシナモンロール、普通のシナモンロールを確かめよう。そうすればシナボンのおそろしさの理由も分かるかもしれない。

日ごろ一番目にするシナモンロールといえば、スターバックスのものだろうか。

スターバックスのシナモンロールはこわいのか、否か。確かめよう。
シナボン先輩の家にはすごそうな飲み物もあった。いわゆる全方向である。
シナボン先輩の家にはすごそうな飲み物もあった。いわゆる全方向である。


 つぎへ>

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
アット・ニフティトップページへアット・ニフティ会員に登録 個人情報保護ポリシー
©2012 NIFTY Corporation