沖縄のテーマパーク「おきなわワールド」
沖縄県の南部にある「おきなわワールド」をご存知でしょうか?
ハブなどを展示しているハブ博物公園やハブ酒や地ビールなどを作っている南都酒造所、また沖縄の工芸体験や、エイサーのアトラクションなどの沖縄の文化をぎゅっと凝縮したような人気の体験型観光施設です。
この「おきなわワールド」の目玉ともいえるのが鍾乳洞「玉泉洞」(ぎょくせんどう)。
1967年3月、沖縄がまだアメリカ統治下にあった頃、愛媛大学学術探検部によって初めて調査されました。鍾乳石の数は100万本以上で国内最多、全長は5000メートルで国内最大級といわれており、「玉泉洞」ではその一部を観光コースとしてみることができます。
観光コースになっていない残りのエリアは研究用の保全エリアとして非公開になっています。
しかし、今回特別にその保全エリアの調査に同行のお誘いをいただいたので、その様子をレポートしたいと思います。
本当の玉泉洞へ!?
そもそも今回のお話はおきなわワールドさんからメールで「本当の玉泉洞を探検してみませんか?」
とお誘い頂くところからはじまりました。
メールには当日の持ち物として
1.水着
2.Tシャツ(ラッシュガードでも可)
※ヘルメット、ヘッドランプ、軍手、つなぎ、クツ(ウォーターシューズ)を水着とTシャツの上から装着して探検します。これらは私共が用意いたします。
と書かれていました。
生半可な気持ちで参加してはいけないことだけは理解しつつ、探検の日を迎えたのです。
当日、まずは事務所で玉泉洞調査のあらましを教えていただきました。
打ち合わせのことを考えておらず、応接室で浮くわたし(足下は島ぞうり)
先にも言ったとおり、玉泉洞の全長は5000m。
そのうち観光洞として、道を作り、照明をつけて一般公開しているエリアは全長890m。
その他の多くのエリアは研究用として保全されています。
そして公開していない保全エリアへは1年に1~2回ほど調査・点検に行くそうです。
今回私たちを誘って頂いたのは、その点検調査の同行。
つまり、人工物がない、整備がされていない、本当の玉泉洞へのお誘いだったのです(普段公開されている「玉泉洞」に対しこちらの保全エリアは「玉泉新洞」というらしい)。
通常の調査では、最奥まで2000mほど行くので往復8時間ぐらいかかるそうですが、今回は初心者ということで勘弁して頂き往復4時間コースに。
ただし
・這いつくばって進む場所もある
・水に入る
・狭いところもある
これらのことを念頭においてくださいね、と言われました。
玉泉洞保全エリアでは、純白の鍾乳石や、洞くつ奥にしかないケイブパールという宝石のようなものを見ることができるそうです。
「それらのものも本当は公開したいけれど奥地すぎて開発できないのです。どういうことなのかは行けばわかりますよ」
行けばわかる?
このあと、私たちは最後のひとことを聞き流してしまったことを後悔することになります。
いざ、探検!
こちらが探検隊の隊長である大岡さん。
水着の上に、貸して頂いた探検グッズ一式を着込んで出発です。
まずは普段は使われていない秘密の通路をおりて洞くつに向かいます。
観光洞はきれいに整備されていますが、通路や手すりを見るとなにやら土のようなものが盛り上がっている箇所があることに気付きます。
これらは鍾乳石の赤ちゃん。
玉泉洞が公開されて40年。
40年間かけて鍾乳洞の天井から落ちてくる雫で少しずつ成長しているそうです。
今回調査に行くルートはの地煙の滝から水脈を辿って上流へ向かいます。
行き止まりに見えるのだけど
と、滝の上に到着したのですが、明らかに行き止まり。
隊長、これは一体どういうことでしょうか?
「さっそくですが、下の隙間を這いつくばって進みましょう」
固まるDEEokinawaスタッフのやんばるたろう氏(水恐怖症)
後から聞きましたが、たろう氏はこのとき「ギブアップ」と言う寸前だったそうです。
「行きますー」
さくさく進む隊長とは裏腹に戸惑う隊員たち
少し進むと、前方にこの世の終わりのような表情をしている水恐怖症が。
なぜかというと、この先に顔が半分浸かりながらじゃないと進めない箇所があったから。
デコボコが多い鍾乳洞の中では衣服がひっかった場合に身動きがとれなくなります。
水に潜ってしまうと危険なので、水面に鼻か口を出して何があっても呼吸だけはできる状態でいる必要があるのです。
しかし、洞くつに入って一瞬で冒険すぎます
。テンションがついていきません。
ザブザブ
冒険は続くよ、どこまでも
洞くつに入る前は、未開発のエリアだといえど、膝下ぐらいの水場を歩いていくのかと思っておりました。
そう、こんな風に
ずっと水に浸かりっぱなし
そして目の前にはまたもや無理目な進路を指差す隊長。
たしかにここしか開いてませんが
ヘルメットをしていたら通れないのでヘルメットを脱いでくださいと言われました。
たろう氏の水恐怖症はそろそろ治っているのかもしれません
うっかり忘れそうでしたが今回の目的は調査なのです。こうやって湧水場所をチェックして、水が濁っていないか、湧水が枯れていないかを調査していきます。洞窟内の湧水は地表の状態などに影響を受けるため、何かが起こると水が濁ってしまったりするのだとか。
次はここを進みます
純白の鍾乳石のロマン
進むにつれて天井からぶら下がる鍾乳石に純白のものが多くなってきました。
鍾乳石はもともとは純白だそうですが、増水によって洞内の泥が付着してしまったり、地表からの土が洞内へ染み出してしまったりで、茶色くなってしまうそうです。
国内で最大規模の純白の鍾乳石群。
この鍾乳石群は5万年ほどの歳月をかけて作られたそうです。
つまりここは5万年間増水の被害もなければ、地表からの土も染み出していない場所
もし上の環境が壊されれば、今の白さは失われるんだとか。
その意味からも南都さんでは洞くつの保全だけでなく、洞くつの上の環境保全にも取り組んでおられるそうです。
最大の難所
さてさて、その後もたくさんの難所は待ち構えていたのですが、少々の場所には驚かなくなってきた探検隊。
顔の半分を水に浸けて進む技はすっかりお手のものです
しかしこの先にこのルート最大の難所が待ち構えていたのです。
いつになく真剣な表情の隊長
隙間5cm!
呼吸を確保するために、必然的に真上を向いて進みます。
隊長の指示は「真上を向いて天井を舐めるように進め!」
私はこのときほど隙間のありがたさを思ったことはありません。
そしてまた進むのです。
そしてすごいものを見た
数々の難所を越え、ようやくたどり着いたのがこちら。
上から水がちょろちょろ流れている、水たまり
よく見るとこの水たまりの中に無数の白いボールがあります。
これはケイブパール(洞窟真珠)
と呼ばれる洞くつの宝石です。
一般にケイブパールは水流によって粒が回転し、均等に沈着が起こることで成長すると言われています。
もともとはカタツムリの殻や砂粒が核になり、長い年月をかけて形成されるそうです。
ケイブパールは本当に美しくてスベスベで、自然の神秘がそのままギュッと小さくなって手の中にあるような気がしました。
うっとり
これが見れただけでもここに来たかいがあったものです。
ああ、良かった。
そしてこの後は元来た道を引き返したのですが、帰り道は一度経験した道なのですごい速さで帰りました。
自分の中で通れる隙間か、死なない穴かどうかの判断がつく。
それだけでも勇者レベルが5ぐらい一気にあがったような、そんな気持ちでした。
無事に観光洞に帰ってきた探検隊。
南の島の洞くつ探検ツアー
ということで、本当の玉泉洞はいかがでしたでしょうか?
何度かヤバいと思いましたが、一生に一度あるかないかの貴重な体験で、ものすごく楽しかったです!
今回よりは安全で楽なルートだとは思いますが、玉泉洞では毎年夏に「
南の島の洞くつ探検(2012年は終了)」と題して、観光洞から外れたコースを行くツアーをやっているそうです。
自然の洞くつを進む体験は、想像よりもずっとスリリングで楽しい経験になると思います。
興味のある方はぜひ来年の夏に挑戦してみてくださいませ。
「おきなわワールド」の施設とイベントから目が離せない
というわけで、今回は「おきなわワールド」の玉泉洞からお送り致しました。
この他にも、おきなわワールドの施設やそこで行われているイベントはかなりユニーク!
たとえば敷地内にある「ハブ博物公園」では8月2日を「ハブの日」として、
ハブの供養祭をしてみたり、夏はまっ暗い部屋に無毒のヘビを放してそこを通るという斬新なお化け屋敷「まっくらヘビの森探検」というイベントもやっていました。
他にも向かいのガンガラーの谷という場所では、期間限定イベントとして、洞窟をディスコにする「
洞窟ディスコ」をしたり。
噂によれば新年も斬新な企画を考えているとのことで今から目が離せません。
沖縄県外の方も沖縄にいらした際はぜひおきなわワールドに足を運んでみてください。