お正月特集「なんでもまるかじり」 2013年1月3日

お正月特集「なんでもまるかじり」昆布をまるかじりする

全長107センチ!これなら噛み放題!
全長107センチ!これなら噛み放題!
「おしゃぶり昆布」が大好きだ。カロリーも低くてヘルシーで、その上おいしい。そしてなによりあの噛み心地がたまらない。いつまでも噛み続けていたい。

で、今回この企画の話が舞い込んで来た時、真っ先にひらめいた。「カットされていない昆布を丸のままかじれば、僕は幸せになれるのではないか。」

昆布に導かれ、いざ行かんエデンへ!

6人のライターがワンテーマで書くお正月特集、1/3の今日は「なんでもまるかじり」。 普段切り分けるものをまるで食べる幸せ、あるいは違和感をぜひご堪能ください。

1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 平坂寛のフィールドノート

乾物屋で購入

もはや、僕にとっておしゃぶり昆布は手放せない存在になっている。僕は健康のため、間食にお菓子やおつまみの類を摂らないよう心がけているのだが、昆布だけはいくら食べても良いというマイルールさえ持っている。

僕は基本的に食べ物の味には頓着の無い方だが、昆布にだけは一家言ある。ような気がしなくもなくもなくもない。

そんなわけで、今回は乾物屋に出向き、店主においしい昆布を選んでもらった。

ただ、そのまま食べる旨を伝えると、「珍しいね…。まあそのままでも美味しいと思うけどね…。」と憐れむような笑顔で言われた。私の行いは間違っているのか。私はただ幸せになりたいだけなのに…。

いや、そんなはずはない。迷いを振り払うように荒々しくパッケージを開封し、かぶりつく!
服の色と言い髪のうねり具合といい、海藻の妖怪みたいだ。
服の色と言い髪のうねり具合といい、海藻の妖怪みたいだ。
昆布の端を咥えた瞬間、口元に小さく痛みが走った。口の幅いっぱいに固い昆布を突っ込んだので、真冬の乾燥した空気で弱っていた口角が切れたのだ。

だが、テンションが下がる間もなく、次の瞬間には口いっぱいに濃い旨みが広がる。おいしい。

固い!膨らむ!つらい!

味はパーフェクトである。あとはこれを噛みしめればその先にはパライソが広がる。…はずだったのだが、ここで問題が生じた。固すぎる。ポッキーのように端からサクサクというわけにはいかない。普段食べている昆布のように奥歯で噛んで味わうには、まず前歯で一口大に噛み切らなければならず、恐ろしく顎の筋肉を酷使するのだ。
あれ?胃が…。
あれ?胃が…。
それでも地道にかじり続けていると、だんだん慣れてきておいしく感じるようになってきた。しかし、ここで体に異変が生じた。

3分の2ほど(70センチくらい)かじった時だろうか、妙に胃が張る感覚を覚えた。「ん?なんか変だな?」と思い、しばらく休憩することに。

しかし、時間がたつほど胃の膨満感は少しずつだが増していく。ここでようやく気付いた「お腹の中で昆布が膨らんでるんじゃ…。」

以前、「乾燥ワカメを水で戻さずたくさん食べるとお腹の中で膨らんでしまって危険だ」と聞いた。当時は、誰がそんなことをするものかと笑っていたのだが、今の僕は図らずもその行為を実践してしまったわけだ。

ここで身の危険を感じ、丸かじりは中断となった。
残りの昆布は細かく刻んでおしゃぶり昆布にしよう。

真似はしない方が良い

というわけで、昆布の丸かじりはあまりオススメできないことがわかった。
さすがにワカメよりは膨張率はずっと小さいだろうが、いくらか膨らむことには違いない。やめたほうが賢明だろう。

それにそもそもこんなことやる必要が無い。おしゃぶり昆布をたくさん買った方が、あらゆる面で満足度が高いことが今回の実験で判明したのだから。
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