特集 2013年2月4日

ビジネスホテルでくつろぐための努力

写真はまた別の話題ですので少々お待ちください。
写真はまた別の話題ですので少々お待ちください。
出張へ行ったりするとビジネスホテルに泊まるのだが、どうもくつろげない。

枕が変わると眠れないとか、そんなデリケートな神経を持っているわけでもないのだけれど、どうにもあのきゅっと詰まった空間には馴染めないのだ。

少しの努力でそれが変わるのならば、と思っていろいろ試してみました。その他出張で行った九州のコネタ満載でお届けします。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:塩水、海水っぽさ選手権

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

くつろぎを求めてはいけないのだろうか

一般的な、といっていいのかどうかわからないけれど、ビジネスホテルの部屋というのはだいたいベッドと袖机、そしてテレビがあって以上である。それらをぎゅっと詰め込んだ空間にはまったくといっていいほど無駄がない。
必要十分ではある。
必要十分ではある。
以前大人数で行った出張で、皆が同じホテルに泊まったことがある。せっかくだから酒でも飲もうという話になり、僕の部屋に大人が6人くらい集まったのだが、二人くらいベッドに座っていたように思う。あとは地べたに座ってた。
この照明を一箇所で制御できるシステムはじぶんちにも欲しい。
この照明を一箇所で制御できるシステムはじぶんちにも欲しい。
そんな無駄を削ぎ落したビジネスホテルも、ちょっとした努力で落ち着ける空間になるのではないか。

チェックアウトは次の朝なので大規模なリノベーションを施すことはできないが、出来る範囲で努力してみた。努力もせずに文句だけ言うのはよくないだろう。

その結果が下の写真である。
ただいま!と言いたくなる。
ただいま!と言いたくなる

ビジネスホテルをじぶんち化する

今回努力した点を1つずつ見ていこう。

まずカーテンをじぶんちから持ってきたやつに変えてみる。
この柄、見たことある(じぶんちのだから)。
この柄、見たことある(じぶんちのだから)。
これだけでずいぶん印象が変わるものである。無機質だった部屋にぐっと人間味が出た。長さが合っていないのはご愛嬌である。

次に、ご飯を食べるための食器をじぶんちから持参する。
ご飯と味噌汁はコンビニで買ってこよう。
ご飯と味噌汁はコンビニで買ってこよう。
あとは使い込んで肌みたいになったバスタオルを持ってきてシーツにする。
2009年から使い続けてカスカスになったバスタオル。
2009年から使い続けてカスカスになったバスタオル。
これも意外と効果ある。普段家でもやらないが、熱が出た時にこうして汗を吸収する。あらためてやってみると、落ち着きはしないがホテルっぽさは消えた。
きゅー。
きゅー。
他にもじぶんちで寝ている格好(短パン、Tシャツ)も持ってきた。肌に触れている部分はほぼじんちである。

どうなんだろうか

じぶんち要素を足すためにこれら結構な量の荷物を持ってきたのだが、どうもすぱっとした結果がでない。

デフォルト状態よりはじぶんちみたいになったような気もする、しかしだからといってくつろげるわけではないような気もするのだ。ただ、カーテンを変えたことは部屋の雰囲気をぐっと変えてくれたので、長期出張などの際には持っていくのもありだと思う(その間じぶんちにカーテンなくなるけど)。

他にもテクノロジーを駆使した努力もしてみたのだが、それは明らかに失敗したのでおまけ程度に紹介します。

おまけ:テクノロジーでホームシックを照らす

じぶんちで撮ってきた写真をプロジェクターで味気ない部屋に投影しようという試みである。「プロジェクションマッピング」といえば流行りに乗った形になるだろうか(でもこの後失敗します)。
このために小型のプロジェクターを用意したさ。
このために小型のプロジェクターを用意したさ。
しかし結果はあまり思わしいものではなかった。
床にじぶんちの掃除機を投影したり。
床にじぶんちの掃除機を投影したり。
壁に本棚を投影したりした。
壁に本棚を投影したりした。
部屋の隅にエアコンを投影してみたり。
部屋の隅にエアコンを投影してみたり。
その日の食卓を撮ってそのまま机に投影した。
その日の食卓を撮ってそのまま机に投影した。
結果わかったことは、映画を見てるみたいだ、ということである。どうでもいい写真でもこうして投影するとなんだか作品みたいになるから不思議だ。

いや、そういうことではない。

つまりプロジェクターの照度が足りないので、部屋をかなり暗くしないと写真が見えないのだ。そしてそのくらい暗くするとじぶんちでもビジネスホテルでも変わらなくなる。
ちくしょう。
ちくしょう。

結論:よくわからない

というわけで朝までかけていろいろ撮影したのだが、これはくつろげる!というような劇的な変化はなかった。むしろこの準備と撮影のためにこの夜寝なかったのでくつろいだどころか次の日ふらふらだった。
もとに戻すときは引越しするみたいな気分になりました。
もとに戻すときは引越しするみたいな気分になりました。
さて、ものすごくぼんやりとした結果だけが残ってしまった。

さすがにこれだけでは記事として申し訳ないので、この時出張で行った福岡のコネタを次のページからお届けしたいと思います。正直、ここから先の方がちゃんとしてます。
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あのとんがっている場所に行きたい

福岡の「中洲」というところは、その名の通り川の中洲、川と川の間にある土地である。

その中州の先っちょが地図で見るとものすごくとんがっているのだ。あそこ、どうなっているのか行ってみたい。もし先っちょに立てるのならば、タイタニック号の先でやるみたいに両手を広げて立ってみたい。中洲を船としてとらえるのだ。
ここ。
ここ。

地図を見ながら先っちょを目指す

まずは本家「中洲」の隣にある中洲、というと面倒くさいが、地名としての「中洲」の隣にある地形的な意味での中洲である。ここも地図で見ると見事にとがっている。

行ってみるとそこは公園になっていた。その名も水上公園。タイタニック号を彷彿とさせる名前ではないか。
どのくらいとがっているのか。
どのくらいとがっているのか。
歩みを速め、先っちょに到着した僕を待っていたものは
小屋!
小屋!
まごうことなき小屋である。

中洲のとがった先っちょ、そこには小屋があった。

しかしちょっとまて、その先にまだ空間があるぞ。
でもロープが張られていて入れませんでした。
でもロープが張られていて入れませんでした。
小屋から先は入ることができなかったため、川の対岸から眺めてみた。

すごいとがり具合でした

対岸から眺めた中洲の先っちょがこちら。
とがってる!
とがってる!
予想以上の超鋭角。
予想以上の超鋭角。
砕氷船か。
砕氷船か。
見ての通りすばらしいとがり具合だった。ゆでたまごくらいなら押し付けたら切れそうである。そんな地形、めったにないだろう。みんなももっと興奮した方がいい。
引いてみるととんがりを挟んで川が分かれていることがよくわかる。
引いてみるととんがりを挟んで川が分かれていることがよくわかる。
どうだすごかっただろう。この勢いでとなりの本家「中洲」の先っちょも見に行きたい。
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やってきました歓楽街の先っちょ

福岡の中洲といえば日本屈指の歓楽街である。「♪中洲すすきのニューヨーク」の中洲だ(かつてオレたちひょうきん族という番組で覚えました)。

その先っちょである、それはすごいことになっているに違いない。
中洲で一番とがっている場所、それが先端。
中洲で一番とがっている場所、それが先端。
中洲の先っちょまでは道も整備されていてなんの困難もなく行くことができた。もしかしたらすでに先っちょは観光地化されているのかもしれない。
先っちょまでは一本道なので迷うことはありません。
先っちょまでは一本道なので迷うことはありません。
はやる気持ちを抑え、たどり着いたのが世界に誇る日本の歓楽街、中洲の先っちょである。
中洲の最先端!
中洲の最先端!
地味!でもちょっと待って!

先っちょには建物があって立ち入ることができなかったため、対岸から眺めてみた。
どーん!
どーん!
…あれ。

なんと先っちょ、丸いのだ。
とがってない。
とがってない。
中洲の先っちょには水処理センターの施設があり、さらにその先には川の水位を制御するための堰の操作設備があるのだ。その設備が丸いから中洲の先っちょも合わせて丸くなっている。

かなりのとがりを期待していたのでこれは期待はずれではあるが、地図でとがっていたところが実際は丸かった、というギャップが面白くもある。

しかし中洲には逆側にもう一つ先っちょがあるだろう。こうなったらそちらのとがりを期待するしかない。
水鳥たちが僕のくやしい気持ちを癒してくれました。
水鳥たちが僕のくやしい気持ちを癒してくれました。
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逆側の先っちょは公園

中洲は端から端まで歩いても30分くらい、ピクニックにちょうどいい距離である。いわばとんがりピクニック。名前だけ考えておいたので、どなたか主催したい人がいたら自由に使ってください。
これが逆側のとがり。地図的にはちょっと丸みを帯びていて不安。
これが逆側のとがり。地図的にはちょっと丸みを帯びていて不安。
中洲上流側の先っちょ、ここもやはり公園になっていた。考えてみたらとんがった土地である。公園くらいしか使い道がないのかもしれない。
緩やかなカーブを描きながら導かれるように先っちょへ。
緩やかなカーブを描きながら導かれるように先っちょへ。
ここが先っちょ!
ここが先っちょ!
歓楽街中洲の上流側の先っちょ、そこにあったものは。
灯籠。
灯籠。
巨大な灯籠だった。まあ先っちょにふさわしいといえばふさわしい。

先っちょには灯籠を囲むようにしてベンチが設置されていた。先に関して言えば、とがってこそいないので残念だが、ギリギリまで行くことができるのはポイント高い。
タイタニック号に乗っているように見えなくもない。
タイタニック号に乗っているように見えなくもない。
すぐそこに先っちょが眺められる贅沢。近くで見ると中洲の先っちょはほぼ直角でした。
すぐそこに先っちょが眺められる贅沢。近くで見ると中洲の先っちょはほぼ直角でした。
対岸からの眺め。結構複雑な形をしている。
対岸からの眺め。結構複雑な形をしている。
以上、興奮の中洲とんがりピクニックでした。

オマケ:看板がでかい

ここからはさらにおまけの話になるのだが、先ほどの公園の灯籠の写真になにか気になるものが写っていないだろうか。
これ。
これ。
そう、対岸にあるブルガリアヨーグルトの看板がなにやら桁外れにでかいのだ。
ちょっとでかすぎない?
ちょっとでかすぎない?
せっかくなのでふもとまで行ってみた。

巨大なブルガリアヨーグルトの看板は駐車場に立っていた。野球場のスコアボード横にでもありそうな存在感だが、それが普通の駐車場に立っているのだ。
間近から見るとその迫力に圧倒されます。
間近から見るとその迫力に圧倒されます。
裏側。野球場か!という眺め。
裏側。野球場か!という眺め。
メンテナンス用だろうか、支柱には登ることができる。
メンテナンス用だろうか、支柱には登ることができる。
写真でこの迫力が伝わりきるか心配だが、たとえば支柱一本がこのくらいある。
わっし。
わっし。
近くにあったチョコレートの看板も同じくでかかった。
ふもとに立つと少し怖いくらいのでかさである。
ふもとに立つと少し怖いくらいのでかさである。
くわえて対岸にあった「ウコンの力」のオブジェ看板もでかかった。もしかしたら福岡にはでかい看板文化があるのかもしれない。
建物の屋上に設置されてこのでかさ。たぶんウコンの力が3トンくらい入る。
建物の屋上に設置されてこのでかさ。たぶんウコンの力が3トンくらい入る。
以上、福岡ぶらり散歩でした。

世界の中洲を見て回りたくなりました

川の中州が発展している例は他にもあるだろう。メソポタミア文明だってチグリス・ユーフラテス側の中洲が発展したものである。いつか世界中の中洲のとんがった先っちょを見て回りたい。その時にはじぶんちのカーテンを持ってビジネスホテルに泊まるんだ。
アクロス福岡という山(人工)にも登りました。
アクロス福岡という山(人工)にも登りました。
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