
モノも気持ちも思い出も、すべてが貯金箱になる!
小学生が夏に貯金箱を作る、そんな文化が日本にはある。
あるいは身に覚えのある方もいるかもしれない。ゆうちょが主催している小学生向けの貯金箱コンクールのことである。
1975年から名前を変えながら開催され続けて今年で37回目、多いときには全国から215万点もの応募があったモンスターコンクールだ。最初に“文化”だといったのはこのためである。
そんな巨大コンクールの頂点に立つ貯金箱とはどんな作品なのか、見てきた。すごいです。
古賀及子(こがちかこ)
1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてニフティ株式会社へ入社。9時出社、15時45分退社の育児シフトで勤務中。
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まずはこれまでの名作で驚いてほしい
小学生が作る貯金箱。どういったものを想像するだろうか。
低学年だと「子どもらしいたどたどしい造形がほほえましい作品」、高学年だと「大人も感心するギミックが施された作品」といったところだろうか。
最初にいうと、そういった想像を斜め上方向へ軽々と裏切ってくる作品が目白押しなのである。それがこのコンクールなのだ。
私も小学生のときになんとなく存在を聞いたことがあったが、応募したことはなかった。今回はじめて作品を見て、こんなことになっていたのかと驚いた。
まずはこれまでの上位賞から名作を、掲載の許可をいただいたのでどーんと画像で紹介しよう。
第35回 小学校1年生の部 文部科学大臣奨励賞
菊田 康介さん 「なつのおもいで」
一体なにがあったのか。
受賞コメントにはこうある。
「ゆうきを出してあたまをがぶっ としてもらえたから、しょうがもらえたとおもいます。」
もう一度いおう。一体、なにがあったのか。
確認したい点が多すぎて押しだまるばかりである。
ハッとして思うのは、このただ黙らざるをえないとんでもない作品を、何十万もの応募作のなかから「文部科学大臣奨励賞」という大きな賞にきちんと入選させるというすごみだ。このコンクールが成熟しきった文化であることを早くもご理解いただけたのではないか。
続けて紹介していこう。
第35回 小学校5年生の部 ゆうちょ銀行賞
川副 帆乃香さん 「ザ・コンセント」
ザ・コンセント。
もはや現代アートなのである。
夏休みに家にあるコンセントを調べるなかで、一番気に入った形のコンセントを貯金箱にした、と、受賞コメントにはあった。
夏。気に入ったコンセントを、貯金箱にする。
どうだろうこのてらいのないエキセントリックは。そしてこの作品もまた、上位の大変な賞を受賞している。
マンガ「団地ともお」かという作品が普通の顔して大きな評価を得ているのだ。
すべての作品が「貯金箱」という可笑しみ
第36回 小学校4年生の部
ゆうちょ銀行賞
田辺 尚成さん「開けこんにゃく玉」
第36回 小学校2年生の部
文部科学大臣奨励賞
原隆誠さん「みんななかよし森のなかまたち」
続いて左はこんにゃくが好きすぎて、こんにゃく芋をとにかくリアルにと作った意欲作。
右は「せかい中のみんながしあわせにくらせたらいいな」という願いをピーナツに込めた作品だ。
ここでもう一度思い出してほしいのが、作品はすべて「貯金箱」であるということろである。
リアルなこんにゃく芋と、エモーショナルが全開になったピーナッツ。どこまでも交わらないと思われた2つの意匠が貯金箱コンクールという同じ土俵に乗っている。
感心、感動、驚愕といったリアクションがしゅるしゅると「貯金箱」という思わぬ平常心に回収され解熱していくのを感じる。これが妙に気持ちいい。
“時間”が貯金箱という形で残る
このコンクールではモノだけではなく、エピソードすらも貯金箱になる。
第36回 ゆうちょ銀行賞
筒本 未礼さん 「四人兄弟になったよ」
生まれたばかりの弟を囲む様子が貯金箱になっている。
製作当時小さかった弟は、受賞時にはもうお座りをしていたそうで「このちょ金ばこをみると弟が生まれたときの気持ちを思い出します。だから、すごくうれしいです。」と受賞コメントにあった。
弟が生まれた喜びを形として残す。そしてその形についでの機能としてお金が貯められる。なかなかない状況である。
コンクールと小学生達が持ちつ持たれつでとんでもないものを形成しているのがわかる。
入賞作品が全国ツアー中!
入賞作品は過去4回分が
ゆうちょ銀行のホームページで見ることができる。かたっぱしから見ていてかつてなく造形するということについて考えさせられてしまった。
そしていま。昨年行われた第37回「ゆうちょアイデア貯金箱コンクール」上位入賞の240作品の展示会が全国を回っているというのだ。
福岡、大阪、名古屋と回りいよいよ東京へやってくるらしい。
これは……いかいでか!
(なんとなく意外だったが)会場は亀有に