特集 2013年3月9日

輪島のソウルフードと地主のソウル神社

地主が大地主神社に行きました!
地主が大地主神社に行きました!
その土地で昔から食べられてきたものを「ソウルフード」と言う。その土地ならではの料理のことである。違う土地の人にとっては縁もゆかりもない料理だ。

石川県の輪島には「かかし」というソウルフードがあるそうだ。もう30年以上食べられてきた一品だ。一方、石川県の七尾には「大地主神社」というものがある。地主にとってはソウル神社だ。偶然にも私は地主恵亮という名前である。地主としてぜひ行っておきたいと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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輪島のソールフード「かかし」

石川県に輪島という街がある。輪島塗や朝市、波の花で有名な場所だ。ほかにも千枚田や寝豚温泉なども輪島を訪れた際には行くのではないだろうか。また海が渋滞時の車間距離以上に近いので海鮮も魅力的だ。アクセスがいいとは言いにくい街だけれど、行って損はない場所である。
以前はのと鉄道が輪島まで走っていたが現在は廃線となっている
以前はのと鉄道が輪島まで走っていたが現在は廃線となっている
朝市が有名
朝市が有名
輪島に住む人にオススメを聞いたら「この時期はブリ」と教えてくれた。古くから港町で知られる輪島ならではのオススメではないだろうか。寒いこの時期のブリは食べる前から美味しいと分かる。そんな街のソウルフードが「かかし」という揚げ物である。ブリは関係ない食べ物だ。
能登名物「かかし」
能登名物「かかし」
創業70年の精肉店「藤田総本店」が作っている揚げ物「かかし」。いつからあるのか聞いたら、私が子供の頃から食べていたからもう30年くらいかな、と教えてくれた。人生の中にかかしがあったことが分かる話だ。かかしがソウルフードであることがうかがえる。
藤田総本店(石川県輪島市河井町大町2-86)が作る、
藤田総本店(石川県輪島市河井町大町2-86)が作る、
かかしです!(1本90円)
かかしです!(1本90円)

かかしを食す!

形がかかしのように見えるからかかしである。食べる前から油のいい香りがして心くすぐられる。これを形作るのはうずら、赤ウィンナー、フランク。別に輪島塗を使った何かなどではない。どこにでもある3つを組み合わせたものだ。なぜこの3つかと言えば、子供が好きそうなものを組み合わせたかららしい。
中はこんな感じ!
中はこんな感じ!
食べてみると懐かしい味がする。子供の頃に近くにこれを売るお店があれば、やはり僕も親からお金をもらい買いに走っただろう。かかしというネーミングは、あまり聞かない高校の野球部みたいだけれど、食べれば甲子園常連組のような素晴らしき味わいだ。パンチのある味ではないが、いくらでも食べたくなるというのが正直な感想だ。
文句なしに美味しい!
文句なしに美味しい!
その美味しさにテンションが上がる!
その美味しさにテンションが上がる!

地主のソウル神社「大地主神社」

ソウルフードの次はソウル神社である。ソウル神社とは、と聞かれると水の中で話す時みたいに上手く話せないけれど、地主という姓を持つ僕としては「大地主神社」はソウル神社だ。だって「地主」だもの。そして「地主神社」ではないのだ。「大地主神社」なのだ。
七尾にやってきました!
七尾にやってきました!
石川県の七尾という街に大地主神社はある。七尾駅から徒歩10分くらいの場所だ。初めてやって来た地主(僕)は七尾駅前の栄え具合を見て思う。これも大地主神社のおかげでろうな、と。隣駅の和倉温泉駅前と比べると、その栄え具合は大人と子供。これも地主のおかげであると思われる。
和倉温泉駅前(寂しい感じ)
和倉温泉駅前(寂しい感じ)
七尾駅前(栄えてる! もはや新宿と変わらない!)
七尾駅前(栄えてる! もはや新宿と変わらない!)
地主というのは歴史的に見るとだいたいが悪者である。自分はふんぞり返って、民を働かせているイメージだ。でも、違うのだ。七尾駅前を見てほしい。栄えさせてんの。実は地主は自分を犠牲にしてまでも民の幸せを願っているのだ。

その証拠に僕は地主なのに実家は借家だし、いま僕が住んでいる家だって最寄り駅まで徒歩30分もかかるワンルームの賃貸だ。それもよき地主だからである。犠牲にした結果の徒歩30分ワンルームなのだ。決して稼ぎが少ないからではないと思い込むようにしている。
ということでやって参りました「大地主神社」。地主が地主でジャンプ!
ということでやって参りました「大地主神社」。地主が地主でジャンプ!
初めて来た大地主神社だったけれど、なぜか「帰ってきたな」という感じがする。心が安らぐのだ。僕が地主だからだろう。重要無形民俗文化財に指定されている七尾四大祭の一つ「青柏祭」もこの神社を拠点に行われている。地主としてやはり祭り事は外せない。もちろんの拠点である。
堂々としたたたずまい
堂々としたたたずまい
大地主神社と改称したのは明治のことだけれど、神社そのものの歴史は奈良時代までさかのぼれるほど古い。地主には歴史があるのだ。また現在の宮司である大森重宜さんはロサンゼルスオリンピック400メートル障害の選手である。そのためスポーツにも御利益あるということで、勝守にはハードルの絵があしらわれていた。やはり地主、オリンピックにだって出るのだ。
勝守
勝守
僕が訪れた日は宮司さんはいなかったけれど、お母さんが対応してくれて、僕が地主という名字なんです、と伝えると「ようこそ!」と歓迎してくれた。大地主神社が僕を受け入れてくれた瞬間だ。一昨年の僕の年収は格安結婚式1回分だったけれど、これで僕も正真正銘の地主だ。僕の1年が数時間かと思ったけれど、これも民のためである。格安で結婚式だってするのだ。
地主です、と言ったらお母さんがお守りをくれた!
地主です、と言ったらお母さんがお守りをくれた!
大地主神社はきっと地元の方から「地主さん」、あるいは「地主さま」と親しまれていると思っていたら、「さんのうさん」で親しまれているそうだ。山王社と祇園牛頭天王社を統合して大地主神社となったためだろう。地主の優しさを感じる。呼ばなくていいよ、という奥ゆかしさと理解力。地主は奥ゆかしさと理解があると覚えてほしい。
今は地主ですよ!
今は地主ですよ!
世の中にはパワースポットというものがあるが、まさにそれがここだ。地主パワーがレギュラーではなくハイオクでどんどんと注入されるのだ。もちろんご利益だってある。僕は普段コーヒーを飲むとお腹が緩くなるのだけれど、この日はならなかった。地主のご利益だ。一番の問題は「大地主神社」の読み方が「おおとこぬしじんじゃ」であること。口に出すと「じぬし」でないのだ。でも、それも地主の奥ゆかしさと理解していただきたい。
読み方は違えど、お守りに自分の名前があると嬉しい! しかも大地主!
読み方は違えど、お守りに自分の名前があると嬉しい! しかも大地主!

いろんなソウル!

ソウルフルに能登を動き回り、ソウルフードとソウル神社に行くことができた。読み方こそ違うけれど、自分の名前が付いた場所に行くのは楽しい。以前から行ってみたくて、念願の大地主神社だった。そこでは「ようこそ」と迎えられ、石川は素晴らしいところだと再確認できた。かかしが美味しかったのもそう思えたことに関係している。ただ全ては地主のおかげなのではないだろうか。地主はそう思う。
かかし以外の揚げ物も全部美味しかった!
かかし以外の揚げ物も全部美味しかった!
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