特集 2013年3月24日

ヤシの新芽“パルミット”を筑前煮にする

ヤシの新芽の瓶詰。早く食べてしまわないと
ヤシの新芽の瓶詰。早く食べてしまわないと
先日、棚の奥から瓶詰が出てきました。その存在をすっかり忘れていた瓶詰は賞味期限ギリギリ。慌てて全部食べることとなりました。

瓶の中に入っていた食材はヤシの新芽。今まで食べたことがない食材です。さて、どうやって料理しよう。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

パルミットといいます

発掘された瓶詰は、以前別の記事を書いた際に一緒に買っていた物です。
「揚げたてのジャイアントコーンが食べたい」の記事でジャイアントコーンと一緒に買っていました。珍しい食材はつい買いたくなりますよね。
揚げたてのジャイアントコーンが食べたい」の記事でジャイアントコーンと一緒に買っていました。珍しい食材はつい買いたくなりますよね。
気になり買ってみたものの、食べ方が分からなかったのでそのまま棚の中に放置。そして今になって気づいたわけです。
記事掲載時には期限切れ。
記事掲載時には期限切れ。
このヤシの新芽はパルミットといいます。
食塩と酸味料が入っているので味がついているのだろうか。300g入り。結構多い。
食塩と酸味料が入っているので味がついているのだろうか。300g入り。結構多い。
ブラジルなど南米ではポピュラーな食材だそうです。
こんな感じに白い棒状の物がギッシリ詰まっています。裂けるチーズのようにも見える。
こんな感じに白い棒状の物がギッシリ詰まっています。裂けるチーズのようにも見える。
とりあえず瓶から取り出してみます。
水から出すと筋が見えて細いタケノコのような感じ。
水から出すと筋が見えて細いタケノコのような感じ。
使っている水の影響なのか、少し酸味のある香りがします。
断面もタケノコ風。
断面もタケノコ風。
箸で押すと弾力があり、見た目以上に柔らかそうです。
輪切りにしてレタスの上に乗せてパセリを散らしただけのサラダ。
輪切りにしてレタスの上に乗せてパセリを散らしただけのサラダ。
調べたところ、このパルミットはサラダにしたり、パステルというブラジル版の揚げ餃子のような料理の具材にしたりするのが一般的だそうです。ということで、そのままを輪切りにしてサラダにしてまずは食べてみます。
酸味と塩気があってなかなか旨いね。
酸味と塩気があってなかなか旨いね。
食べてみると浸かっていた水の影響なのか結構強い酸味があります。味そのものは淡泊ですが、塩気もあるので何もかけずに食べられます。

食感はタケノコをもっと柔らかくした感じ。缶詰のホワイトアスパラガスとタケノコの間ぐらいでしょうか。なかなか旨い食材です。早く食べればよかった。

和食にしてみよう

なかなか旨かったパルミットですが、賞味期限が迫っているのでサッサと全部食べなくてはいけません。しかし、サラダだけで全部食べるのも大変。
鶏肉、レンコン、ニンジン、ゴボウ、干しシイタケ、コンニャク。あと、タケノコではなくパルミット。
鶏肉、レンコン、ニンジン、ゴボウ、干しシイタケ、コンニャク。あと、タケノコではなくパルミット。
ということで、料理に使って食べきります。ブラジル風揚げ餃子のパステルにするのもいいですが、ここはひとつ食べなれている和食にしてみます。

タケノコに似ているということで、まずは筑前煮を作ります。
ソーセージを入れているようだ。
ソーセージを入れているようだ。
鶏肉や根菜、コンニャク、干しシイタケを炒めたらダシ汁で煮て、パルミットを入れたら醤油などで味付けします。しばらく煮たら出来上がり。
パルミット入り筑前煮。言われなければパルミット入りとは分からな・・いや、明らかに分かるか。
パルミット入り筑前煮。言われなければパルミット入りとは分からな…いや、明らかに分かるか。
味見は後にして残っているパルミットも料理してしまいましょう。続いてはパルミットを焼いてみます。
焼きネギのようだ。
焼きネギのようだ。
グリルで焼いたパルミットには江戸時代の調味料の煎酒をかけて、七味と子ネギを散らして味付けします。
焼きパルミットの煎酒七味かけ。言われなければ見た目は焼きネギと間違えるかもしれない。
焼きパルミットの煎酒七味かけ。言われなければ見た目は焼きネギと間違えるかもしれない。
もう一品作ります。今度は炒めます。
ソーセージ炒めではない。パルミット炒め。
ソーセージ炒めではない。パルミット炒め。
パルミットを炒めて焼けてきたら、醤油とたっぷりの鰹節をかけて黒胡椒を振ったら出来上がりです。
パルミットの鰹節黒胡椒炒め。白ウインナー炒めにも見える。
パルミットの鰹節黒胡椒炒め。白ウインナー炒めにも見える。
これでパルミットを使い切りました。いよいよ味見です。
和食なのでテキーラやラムではなく日本酒を用意。
和食なのでテキーラやラムではなく日本酒を用意。
パルミット入り筑前煮は、かなり柔らかいタケノコの入った筑前煮といった感じでした。タケノコの先の部分だけが入っているようです。

焼きパルミットの煎酒七味がけは、食感は焼いたホワイトアスパラガスのようです。それよりももう少し硬い。

パルミットの鰹節黒胡椒炒めもホワイトアスパラガスを炒めた物に食感は似ています。
どれも日本酒に合うね。パルミットは和食にもいいぞ!
どれも日本酒に合うね。パルミットは和食にもいいぞ!
どの料理も味そのものは通常の筑前煮などと変わりません。パルミット自体は淡泊な味で醤油や煎酒、鰹節などの味がしっかりしみていますが、強めの酸味があるのでタケノコやホワイトアスパラガスなどと比べると、ちょっとクセのある味になっています。

いずれにしろ、どの料理もなかなかうまい。パルミットは和食にも色々使える食材でした。

うっかり買いは控えよう

賞味期限の迫る謎食材を思いつくまま料理してみましたが、思ったよりも使い勝手のいい食材で美味しくできました。今度輸入食材の店などで見つけたらまた買いたいです。

新しい食材を試すと新しい発見があって面白いです。しかし、あまりに思いつきで買うと、その存在を忘れてしまい夏休み明け直前の夜のようなことになるので、使う方法を先に考えてから買う方がいいです。

実は、パンカというやたらに大きな乾燥唐辛子もパルミットと共に発掘されています。これどう使おう。棚の奥に入れずに早いうちに考えます。
これもどう料理しようか。実は既に賞味期限が過ぎているようだが、乾物だから大丈夫だろう。多分。
これもどう料理しようか。実は既に賞味期限が過ぎているようだが、乾物だから大丈夫だろう。多分。
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