ひらめきの月曜日 2013年3月25日
 

たこ焼きを食べられる「北斗星」

電車ではありません
電車ではありません
国語辞典で「北斗星」と引くと「北斗七星に同じ」と出てくる。ただ、それよりもまずJRの寝台特急を思い浮かべる人も多いのではないか。

上野から札幌を結ぶ長距離列車、北斗星。その北斗星が通過しない千葉に、別の北斗星があると聞いて訪れてみた。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」
> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ

千葉で輝く北斗星

やってきたのは千葉県の鴨川市。房総半島南東部、太平洋に面した町だ。その海沿いの道に「北斗星」はある。
列車の中間車が埋まってるような外観
列車の中間車が埋まってるような外観
電車の北斗星とは異なるカラーリングだが、「あ、電車」と一目でわかる雰囲気にインパクトがある。
北斗星、営業中
北斗星、営業中
海もすぐそば
海もすぐそば
看板の「北斗星」と「たこ焼」の文字が頭の中でなかなかなじまないのも面白い。海が近いので海鮮料理として結びつけようとしても、たこ焼きはやっぱりそういうイメージではない。

見るほどに気になるたたずまい。中に入ってみよう。
一見普通のようにも思える店内
一見普通のようにも思える店内
入った瞬間は普通のお店のようにも見える店内だが、すぐそこかしこに電車要素が散りばめられていることに気がつく。
駅っぽさが急に出てくる壁面
駅っぽさが急に出てくる壁面
最寄駅は安房小湊だけど駅名表示は茂原
最寄駅は安房小湊だけど駅名表示は茂原
こんな使われ方もしている鉄道要素
こんな使われ方もしている鉄道要素
天井の曲線は列車内風
天井の曲線は列車内風
視野にこれでもかと入ってくる鉄道成分。特に鉄道ファンというわけではない私だが、この空間に包まれると旅気分が盛り上がってきて楽しい。

「近距離きっぷ」の表示はテーブルに埋め込まれた鉄板のカバーとなっていた。よく見ると天井の造りも電車風になっていて、隙あらばと電車っぽさが目に入る。中でも存在感があるのがこれだ。
ここだけ切り取ると本気で電車
ここだけ切り取ると本気で電車
電車、それも特急を思い起こさせるイスは実際に使われていた本物。懐かしい感じも漂うのは、これが0系と呼ばれる初代新幹線に使われていたものだからだろう。
もちろん客席として座れる
もちろん客席として座れる
サイドテーブルも出てきてうれしい
サイドテーブルも出てきてうれしい
貴重なものだろうが、食事をするための座席として座ることができる。横に仕込んであるテーブルもちゃんと出てくるし、リクライニングもする。

歴史を感じつつも古びた感じがしない。店のご主人によると、可能な限り分解して清掃したそうだ。いや、ご主人と呼ぶのはこのお店の場合ふさわしくないだろう。
店主のコ弘さん
店主のコ弘さん
いや、車掌長と呼ぶべき
いや、車掌長と呼ぶべき
名刺に「車掌長」とあるコ弘さん。本物の制服を着て仕事をしている徹底ぶりがさらに鉄道ムードを高める。車掌長は単にコレクターというだけでなく、使える物は積極的に使うそうで、自宅でも寝台列車のベッドで寝ているとのこと。

割引券にもなる名刺も切符風。ディティールまでぬかりがない。
ここが飲食店だってうっかりしてた
ここが飲食店だってうっかりしてた
焼き色もうまそうなたこ焼き
焼き色もうまそうなたこ焼き
こちらは別バージョン
こちらは別バージョン
中にいるのがタコではない
中にいるのがタコではない
ここまでとことんやってくれると何の店だか忘れそうになるが、ここはたこ焼きやお好み焼をメインとしたお店。飲食業界で働いてきた車掌長が、趣味と合体させて開いたそうだ。

注文が入ってから焼いてくれたたこ焼きは、カリッとした表面からトロトロの中身が飛び出すうまさ。入荷時限定だが、地元で獲れたサザエを一匹分使った「サザエ焼き」もおいしい。
厨房への扉には「乗務員室」の文字
厨房への扉には「乗務員室」の文字
ワインの品揃えも北斗星と同じ
ワインの品揃えも北斗星と同じ
どこでもいいからこのまま行きたい
どこでもいいからこのまま行きたい
リアリティある表示
リアリティある表示
たこ焼きを食べつつ目に入ってくる物は鉄道グッズなので、やはり列車旅情に呼び戻される。トイレはさすがに電車で使用していたものではないが、「このトイレはタンク式です」の表示は見覚えがある。

「下水道じゃないので、意味合いとしては表示の通りなんですよ」と車掌長。結果としてリアルなお願いになってるわけだ。
なんでも鉄道風に見えてくる
なんでも鉄道風に見えてくる
しゃれが効いてると思った表示
しゃれが効いてると思った表示
洗面台は鉄道で使用されていたものではないとのことだが、周囲が徹底されているので「これも鉄道っぽい」と、そう言われるまで思い込んでしまった。

JR東日本の「びゅう商品券」が使える表示も鉄道グッズの一環だろう。そう思って確認すると「まあ、それで払ってくれてもいいですよ。どうせ自分で使いますからね」とのこと。しゃれではなかったのだ。
見覚えのある表示がいろいろ
見覚えのある表示がいろいろ
国鉄時代の路線図はすかすか
国鉄時代の路線図はすかすか
地元特急「わかしお」の本物ヘッドマーク
地元特急「わかしお」の本物ヘッドマーク
割引券は使用時に青森駅の改札鋏を入れる
割引券は使用時に青森駅の改札鋏を入れる
本物の駅員が来たときは、逆になんとなく気まずくてあまりしゃべらなかったと車掌長。帽子だけ取った制服での来店だったとのことで、そのときの空気を想像すると当人でなくてもモゾモゾしたくなる。

さまざまな行き先になる北斗星
さまざまな行き先になる北斗星

店のカラーリングは「ほんとは赤い線で塗りたかったけど、親戚に反対されて…」とのこと。来訪当日は千倉行きの表示が出ていたが、こちらは日によって変わるそうだ。

車掌長は鉄道の他に船旅もよくするらしい。「シートベルトがいらないのは電車と船だけですから」と聞き、なるほどと思う。千葉の北斗星は全く揺れることなく、快適な安全運行でした。
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