特集 2013年3月30日

肉一枚で酒池肉林「バウンド飯」

肉をバウンドさせると幸せになれます!
肉をバウンドさせると幸せになれます!
日本人たるもの食卓にはやはり「ご飯」を外すことはできないだろう。ご飯をより美味しく食べるためにおかずがあるのだ。中でもご飯と肉の相性が素晴らしい。焼き肉屋に行くと肉でご飯を食べている人をよく見かける。

しかしである。実はご飯と肉の相性がいいのではなく、ご飯とタレの相性がいいのだ。とは言っても、ただご飯にタレをかければいいのという話ではない。美味しくご飯を食べるためには肉をご飯の上でバウンドさせる必要があるのだ。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

前の記事:お皿にお皿を乗せると食卓は華やかになる

> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

バウンド飯とは?

我々は焼いた肉でご飯を食べる時、お皿や網の上から肉を移動させ、タレをつけ、ご飯に「ポン、ポン」とバウンドさせてから食べる。ご飯には肉経由でタレが付着する。これを「バウンド飯」という。バウンドとはボールなどがはずむこと。これが食事の中でも行われているのだ。
肉にタレにつけて、
肉にタレにつけて、
肉を
肉を
ご飯の上で
ご飯の上で
バウンド
バウンド
させる!
させる!
そして、ご飯を食べる! 美味しい!
そして、ご飯を食べる! 美味しい!
みな知らず知らずのうちにこの行動をしていると思う。誰もが「バウンド飯」の経験があるのだ。

ただし私が本稿で提唱するのはただのバウンド飯ではない。「究極のバウンド飯」である。言い方を代えれば非常に合理的なバウンド飯ということになるだろう。

一般に肉をご飯の上でバウンドさせたら、それを口に運び、さらにご飯を口に含むと思う。究極のバウンド飯はここが異なる。肉は口に運ばないのだ。
バウンドさせたら、
バウンドさせたら、
肉をお皿に戻して、
肉をお皿に戻して、
タレが付着したご飯だけを食べる。美味しい!
タレが付着したご飯だけを食べる。美味しい!

究極のバウンド飯のススメ

私が提唱する「バウンド飯」とはあくまでもご飯を食べることを目的にしている。肉はご飯にタレを付着させることが目的であり、バウンドさせた後はまたお皿に戻し、再度タレを付け、バウンドに利用する。肉は食べないのだ。
つまりこれでいいのだ!
つまりこれでいいのだ!
肉は何度も使えるので、多くの肉は必要としない。一枚あれば十分なのだ。では、直接ご飯にタレをかければいいと思うかもしれない。それは浅はかな考え方だ。貧乏性の考え方とも言えるだろう。肉を経由してタレをご飯に付着させることにより、肉の気配をご飯から感じることができるのだ。意味のある遠回り。このようなこだわりが人を豊かにするのである。
タレを付ける
タレを付ける
バウンドさせる
バウンドさせる
肉を戻す
肉を戻す
ご飯だけを食べる
ご飯だけを食べる
戻した肉に取り、
戻した肉に取り、
タレに付ける
タレに付ける
バウンドさせる(以下繰り返し)
バウンドさせる(以下繰り返し)
以上のことを繰り返すと肉一枚で美味しくご飯を食べることができる。究極の「バウンド飯」とはこういうことだ。我々はタレご飯を食べているのではない。肉でご飯を食べているのだ。焼き肉にはご飯という人が多いが、その重要なポイントだけに重きをおいたメニューが「バウンド飯」なのである。

しかも経済的で自分の強い思い込みにより、お肉をお腹いっぱいに食べたという思い出を作ることができる。実際はご飯でお腹いっぱいだけれど、思い込みこそが人を幸せにするのである。
最後はお肉も食べてごちそうさま!
最後はお肉も食べてごちそうさま!
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バウンド飯に適したタレのご紹介!

バウンド飯を誰でも美味しくいただけるように、まずはバウンド飯に適したタレを紹介したい。バウンド飯の世界は深く、どんなタレでもいいわけではない。あくまでも多くのご飯を食べるのを目的としているため、肉を美味しく食べられるタレではなく、より多くのご飯が食べられるタレを選択する必要がある。
第三位「エバラ焼き肉のタレ」
第三位「エバラ焼き肉のタレ」
ご飯の状態(ツーバウンドさせています)
ご飯の状態(ツーバウンドさせています)
やはり「焼き肉を食べている」と感じることのできるタレである。非常にパンチが強くボクシングならダウンを取れるようなインパクトを残す。ただしバウンド飯においては、ご飯をより多く食べることに重きが置かれるため飽きが来やすいとも言える。肉だけなら私はこのタレが好きだけれど、ご飯を多く食べようと思うと三位という評価になってしまう。
第二位「塩だれ」
第二位「塩だれ」
ご飯の状態(ツーバウンドさせています)
ご飯の状態(ツーバウンドさせています)
肉をより多く食べるためでなく、より多くご飯を食べるにはやはり「さっぱり」がキーワードとなる。その問題をクリアするのが「塩だれ」である。しつこくなくさっぱりとした味わいが、ご飯をもう一口、さらに一口と食べ進めることにつながる。ただし、バウンドさせても、ご飯に色がつかないので「バウンドさせた感」がないので、物足りなく感じるのが残念だ。
第一位「おろしのたれ」と「ポン酢」
第一位「おろしのたれ」と「ポン酢」
ご飯の状態(ツーバウンドさせています)
ご飯の状態(ツーバウンドさせています)
私の長年の研究によりバウンド飯に最も適したタレは、「おろしのたれ」と「ポン酢」を組み合わせたものと分かった。「さっぱり」に「酸味」が加わり、もうご飯が止まらない。ポン酢だけでは肉に絡みにくいという問題もあったが、そこにおろしのたれを入れることにより、肉とよく絡み、一回のバウンドでご飯にタレが効率よく付着することを実現している。
美味しい!
美味しい!

バウンド飯に適したお肉のご紹介

どの肉を使いバウンドさせるかも素晴らしきバウンド飯の実現には深く関係している。なぜタレをご飯に直接かけるのではなく、肉経由にするか考えていただきたい。自ずと肉の重要性が分かると思う。肉経由でご飯にタレを付着させることで、付着したタレから肉を感じることができるのである。実際は肉はないけれど、肉を感じる。霊感的なことがバウンド飯には重要なのだ。そうでないとバウンドさせる意味がない。
第三位「鶏肉」
第三位「鶏肉」
ご飯の状態(第一位のタレをツーバウンドさせています)
ご飯の状態(第一位のタレをツーバウンドさせています)
鶏肉はヘルシーであり、価格も安い素晴らしき肉ではあるが、バウンド飯としてはオススメできない肉である。タレがあまり絡まず、ご飯にバウンドさせてもタレがご飯に付着しない。またヘルシーが問題で脂が少なく、ご飯に付着したタレから肉を感じることができない。これではバウンドさせる意味がない。
第二位「牛」
第二位「牛」
ご飯の状態(第一位のタレをツーバウンドさせています)
ご飯の状態(第一位のタレをツーバウンドさせています)
焼き肉といえば「牛」である。部位にもよるが脂を適度に含み、バウンドさせると適度にタレがご飯に付着する。

さらにそのご飯を食べると、2週間前の晩ご飯を思い出す感じで、うっすらと「牛」を感じることができる。そう、肉は食べていないけれど、間違いなく肉を食べていることになるのだ。

問題は値段である。高いのだ。バウンド飯の素晴らしさは安さ。そう思うと味的には素晴らしくても第二位という評価になってしまう。
第一位「豚(豚バラ)」
第一位「豚(豚バラ)」
ご飯の状態(第一位のタレをツーバウンドさせています)
ご飯の状態(第一位のタレをツーバウンドさせています)
一位に輝いたのは豚肉である。できればバラ肉がいいだろう。肉の旨味という名の脂が、タレと共にご飯に付着し、いくらでもご飯が進む。私は間違いなく肉を食べている、と思い込む力がほかの肉よりは必要ない。本当は食べていないけれど、肉がそこにあるのだ。値段も牛よりは安く、バウンド飯にはこれ以上の肉は存在しないのではないだろうか。
美味しい!
美味しい!

バウンドの回数

最後に問題となるのがバウンドの回数だろう。多くの人が無意識にご飯の上で肉をバウンドさせていると思うが、美味しいバウンド飯を食べるにはやはり適切なバウンド数というものが存在する。多くてもダメだし、少なくてもダメ。何事にも適切な数というものが存在するのだ。
タレを付けて、
タレを付けて、
ポン(ワンバウンド)
ポン(ワンバウンド)
ご飯から肉を離して、
ご飯から肉を離して、
ポン(ツーバウンド)
ポン(ツーバウンド)
終了
終了
バウンド数が1回ではご飯に付着するタレが少なすぎてもの足りず、3回では若干ではあるが塩辛い。4回目以降は3回目と変わらない。ベストは「2回」。これが私の長年の研究から導き出された答えだ。ムダのないスマートな食事をするにはツーバウンドなのだ。

まとめると、「豚肉(豚バラ)」に「ポン酢」と「おろしのたれ」をタレを付け、ご飯の上で肉を「ツーバウンド」。肉はお皿に戻し、タレが付着したご飯だけをいただく。これが素晴らしきバウンド飯である。一枚の肉でご飯を美味しく食べることができるのだ。今この瞬間世界に一筋の光が射したのだ。おめでとうと言いたい。
美味い! そして、おめでとう!
美味い! そして、おめでとう!
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いいことがあった日のバウンド飯

先のページで紹介したバウンド飯はあくまでも、スタンダードなバウンド飯である。いいことがあった日くらいは奮発した食事をしてもいいと思うのだ。そこで豪華なバウンド飯である。
高級な肉!
高級な肉!
グラム1280円の肉。これをお腹いっぱいに食べようと思うといったいいくらかかるだろうか。しかし、バウンド飯では低コストでいい肉をお腹いっぱいに食べることができる。バウンド飯の最大の特徴は肉が一枚あれば成立すること。つまり奮発しても通常の奮発よりは低コストの奮発で収まるのだ。
いいことがあった日の食卓!
いいことがあった日の食卓!
お皿に肉一枚は悲しく感じるかもしれないが高級肉だ。グラム1280円。和牛である。食べ方はバウンド飯。となると十分な食卓だ。パックには3枚の肉が入っていたので残りの肉は次の日以降にまた一枚ずつ食べれば、しばらくは豪華な食卓が続くことになる。幸せではないか。
タレに付け、
タレに付け、
バウンド(ツーバウンドさせましょう!)
バウンド(ツーバウンドさせましょう!)
肉を戻し、
肉を戻し、
美味い!
美味い!
やはり高い肉は違う。肉を食べていないに分かるのだ。まずタレが付着した部分のご飯が光輝いている。次にそのご飯を食べたときの口の中の輝きが違う。肉を近くに感じるのだ。ミュージカルで言えばS席くらいに近い。何より肉が柔らかい。高い肉ならではの感想だ。ちなみに肉が柔らかいという感想は、肉は食べていないので箸で持った時の感想である。
この時の感想! 肉が柔らかい
この時の感想! 肉が柔らかい
高い肉はここまで違うかと驚かされる。成し得た感じがしてくる。一般ピープルはこんなにも高い肉をお腹いっぱい食べることはないだろう。しかし、私はお腹いっぱい食べることができるのだ。そう、バウンド飯ならね。
ご飯が輝いている!
ご飯が輝いている!

外でも使えるバウンド飯

友人知人と予定にない焼き肉に行くこともあるだろう。そんな時もバウンド飯である。持ち合わせがなくても十分に焼き肉を楽しむことができるのだ。一般に焼き肉屋に行くと安くても3000円はかかるだろう。しかし、バウンド飯ならば500円もかからない。それなのに焼き肉を堪能できるのだ。
(友達が)肉を焼いて、
(友達が)肉を焼いて、
(友達が)タレを付けて、
(友達が)タレを付けて、
(私のご飯に)バウンドして、
(私のご飯に)バウンドして、
(ご飯だけを私は)食べる!
(ご飯だけを私は)食べる!
やはり美味しい。その場で焼いて食べる肉は家で焼く肉とはやはり異なる味わいがある。焼き肉屋だからこその美味しさだ。しかし私はバウンドしてもらうだけなので肉代は無料。コスト的には焼き肉屋に来ているのに家と変わらないのだ。素晴らしいのではないか。
友達は肉とご飯を食べ、
友達は肉とご飯を食べ、
私はタレが付着したご飯だけを食べる
私はタレが付着したご飯だけを食べる
友達は肉を食べ「美味しい!」と言う。僕もやはりご飯を食べて「美味しい!」という。同じテーブルを囲んでいるし、音声だけ聞けば一緒の感想だ。それなのに私だけは低コスト。やはりバウンド飯は素晴らしいのではないだろうか。
若干自分の歩んできた道に疑問を持つけれど、深く考えるのをやめれば完璧
若干自分の歩んできた道に疑問を持つけれど、深く考えるのをやめれば完璧

素晴らしきバウンド飯のススメ

以前からバウンド飯が素晴らしいと思い、研究を重ね今回このようなレポートを作成させていただいた。バウンド飯は安くて美味しい。強がりでなく本当に美味しいのだ。もちろん肉を食べたいという気持ちがないわけではない。ただバウンドさせればご飯は美味しいのだ。美味しいならそれで十分ではないか、と自分に強く言い聞かせるのがバウンド飯のポイントとなる。バウンド飯は心を鍛えることもできるのだ。強く生きようではないか。
一日一枚で3日間高級肉を食べた!
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