特集 2013年3月30日

離婚式プランナーを目指してきた

リコンファーム=離婚式の予約再確認
リコンファーム=離婚式の予約再確認
『たぶん来ない「いつか」に備える』のが好きだ。
部屋が片付かない人にはお馴染みの、「これ使わないんだけど、いつか使うかもだから捨てずにおこう」というアレである。
使うシチュエーションはなんとなく想像できるんだけど、でも使う時期は来ないだろうなと自分でも漠然と理解してる…それでも準備を怠らない自分の「無駄な万全さ」が好きなのだ。
で、そんなイイ感じに「いつか使うかも」具合の資格試験があると聞いて、挑戦してみた。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

いつか役に立つ日のために

「無駄な万全」とか「いつか使うかも」とか、そんな前フリで紹介するのは非常に申し訳ないのだが、その資格とは、僕の友人でもある寺井広樹さんが主催する『離婚式プランナー検定』である。
これが離婚式。ブーケトスもあります
これが離婚式。ブーケトスもあります
寺井さんは、世界中の文房具屋の店頭でもらってきたボールペンの試し書き用紙を集める『試し書きコレクター』ということで知り合いになったのだが、仲良くなってからよく聞いてみると、彼の職業は『離婚式プランナー』だという。

寺井さんはこれまで160組以上の離婚式をプロデュースしてきた、日本初の離婚式プランナーなのだ。
このほど離婚式プランナー検定事務局を立ち上げ、後進の離婚式プランナー育成にも乗り出したということである。

離婚式に関して詳しくは検索していただくとして、要するには結婚式の反対で、離婚する二人(旧郎・旧婦)が友人達を招いて離婚しましたと報告するイベントである。
結婚式と同様に節目のセレモニーでもあるので、離婚式にも色々と知っておくべき実務知識や必要な一般常識がある。ということで、その知識達成度を測るのが離婚式プランナー検定なのだそうだ。
受験票なんて書くの20年ぶりぐらいだ。
受験票なんて書くの20年ぶりぐらいだ。
フリーのライターという不安定すぎる(人類が考え得る限り最もグラグラな)仕事でもあり、資格を1つでも取っておくに越したことはない。いつか使えるかもしれないではないか。
今のところ自分では離婚の予定はないが、他人の離婚式をプランニングしてお仕事になるなら、それはそれで有りだろう。生きるためなら他人さまの悲しみの涙を啜ってでも生きてやるぞ。(意気込みの方向が違う)

受験勉強って今さら新鮮

社会人になって以来、特になにか資格を取るということもなく今まで来てしまった。受験といえば学生のころに普通免許を取って以来である。
受験勉強(イメージ図)本当は自宅で寝っ転がりながらやってました。
受験勉強(イメージ図)本当は自宅で寝っ転がりながらやってました。
今回は、離婚式プランナー検定事務局で購入できるテキストを参考書にしてのお勉強である。
分量的にはワードで7ページほどのテキストなので、頑張れば丸暗記も不可能ではないのだが…40歳の脳細胞が、そうは問屋が卸さない。油断する端から勉強がだくだくと漏れていくのである。
イメージとしては、賽の河原でひとつひとつ積み上げた記憶を、横にいた鬼が半笑いでどんがしゃーんと崩していく感じだ。
記憶野にいる鬼(イメージ図)節分に豊橋駅で撮影
記憶野にいる鬼(イメージ図)節分に豊橋駅で撮影
しかし、いくら鬼が片っ端から崩していっても、インパクトのある文章はかろうじて残ってくれる。そしてありがたいことに、離婚式プランナーのテキストはその手のインパクトが随所に埋め込まれている。
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旧郎・旧婦とか裂人とか、その辺りはだいたい結婚式用語のもじりであり、さほど苦労せずに記憶のあるべき所に収まってくれる。問題なのは「リコンファーム」辺りのワードだ。「単にそれが言いたいだけやろ」とツッコミを入れた時点で気持ちがスッキリして忘れてしまう危険性をはらんでいる。要注意だ。
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まさかの欠席理由。
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離婚式はアメリカでも開催されており、すでに多くのカップルが体験しているイベントだという。
それだけに、離婚式で食べる「DIVORCE CAKE」に関しては、画像検索をすると「ああ、この二人は旦那の方が何かやらかしての離婚なんだな」とか「金銭で揉めたな」など離婚理由の推測までつくようなハイクオリティのケーキがぞろぞろで出てくる。憎しみの文化、おそるべしである。
あまりにも怨念の籠もり過ぎたケーキの数々。気になる方は自己責任で検索のこと。
あまりにも怨念の籠もり過ぎたケーキの数々。気になる方は自己責任で検索のこと。

資格マニアも注目

いちおう勉強はしてみたのだが、結果、覚えてるのと漏れ出したのとが3:7ぐらいな割合の記憶量で試験当日を迎えてしまった。
落ちたら、当日の会場変更(施設内の会議室が違った)が原因と言い張るつもり。
落ちたら、当日の会場変更(施設内の会議室が違った)が原因と言い張るつもり。
試験会場は20名ほどの受験者でほぼいっぱいになっていた。
申し訳ない。正直なところ「まぁ、アレだろ?なんだかんだ言っても『リコンファーム』とかが問題に出るんだろ?」と侮っていたところはあった。だが、皆さん時間ギリギリまでテキストを見返したりなど、真剣な雰囲気で試験に臨まれている。ヤバいこれはヤバい。
みんな真剣に離婚式を学びたい人たちだ。
みんな真剣に離婚式を学びたい人たちだ。

そして離婚式プランナーへ

試験は50問の穴埋めマークシート方式。70%正解で合格基準と認定される。
この原稿を書いている時点ではまだ結果は出ていないので何とも言えないのだが、ひとまずやるだけはやりきった。

終了後に、他の受験者の方からお話を聞かせてもらう事ができた。
ウェディング関係の女性。
ウェディング関係の女性。
こちらの女性はウェディング業界にお勤めの方。
「自分が結婚のお手伝いをさせていただいたご夫婦に何かあった時、お別れする時もお手伝いさせてもらえたらいいかな、と思って…」
おはようからおやすみまで暮らしを見つめる、的なニュアンスで新婚から離婚までのパッケージサービスである。結婚した時の事情を分かっている方に離婚まで面倒見てもらえたら、確かに気楽で良さそうだ。
左:資格ガイドの鈴木さん。右:早稲田大学の資格マニアサークルの河口さん。
左:資格ガイドの鈴木さん。右:早稲田大学の資格マニアサークルの河口さん。
かと思えば、面白資格として挑戦している方もいた。
情報サイト『All About』で資格ガイドとして活動されている鈴木秀明さんは、合格率4%の超難関、気象予報士の資格まで持っているという本気の資格マニアである。
鈴木さんは現在の所持資格が299個ということで、合否発表のタイミング次第では、この離婚式プランナー検定が300個目の資格ということになる。記念すべきキリ番が離婚式でいいのか、鈴木さん。

河口さんは早稲田の『資格ゲッターズ』という資格マニアサークルからの受験。聞いてみると、案の定というかやはりというか「変な資格検定として資格マニアのネットワークに情報が流れていたので受験してみました。興味本位です」とのこと。正直である。

ウェディング業界からの本気受験もあり、マニアの興味本位受験もあり。色々な方向から興味を持たれているというのは面白いと思った。
ところで終了後にもう何人かにお話を伺うことができたのだが、なんというか、掲載して良いのかの判断がつかないようなハラハラする離婚関係のお話ばかりだったので、今回は止めておいた。
その代わりと言っては何だが、今回テキストを持ち歩くのに使っていた『紙を挟むだけで離婚届に見えるクリアフォルダ』の写真を貼ってお茶を濁すことにしたい。
離婚式プランナー検定に興味をお持ちの方は、ぜひ次回(9月)に挑戦を。
離婚式プランナー検定に興味をお持ちの方は、ぜひ次回(9月)に挑戦を。
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