チャレンジの日曜日 2013年5月5日
 

サントス散歩 第2回 〜高崎編〜

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「ダルマさんは偉いね、なんべんころんでも、泣かないでおきるものね。のびちゃんも、ダルマさんみたいになってくれるとうれしいな」

ドラえもん「あの日あの時のダルマ」という話の中で、まだ幼いのび太に向けたおばあちゃんの言葉である。のび太はおばあちゃんに「ぼくダルマになる」と約束するが、その後すぐにおばあちゃんは亡くなってしまう。時が経ち、ドラえもんのひみつ道具「なくし物とりよせ機」によって、おばあちゃんのダルマと再会するのび太。自分があの日あの時の約束を果たせていないことを思い出し、「これからも、何度も何度もころぶだろうけど・・・。かならず、おきるから安心してね、おばあちゃん」と再びおばあちゃんに誓いを立てる。

のび太とおばあちゃんとダルマが織りなす、ハートウォーミングなエピソードである。私もミスターのび太のように今まで何度も何度も転んできたが、その度にこのダルマの話を思い出して起き上がってきた。ここまでなんとか頑張ってこれたのも、のび太のおばあちゃんのダルマのお陰と言っても過言ではない。

というわけで、今回はダルマの街、高崎を歩く。「あの日あの時のダルマ」のような心温まる出会いや発見を求め、そして何度も立ち上がるための勇気をもらうため、高崎を散歩してみよう。
シンプル・イズ・ベストをモットーに日々精進中。旅先では早起きをして、その街のゴミ収集の様子を観察するのが好き。
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今回は3人で高崎の街を散歩

東京から新幹線で1時間、高崎駅に到着した。街に降り立つと、吹き下ろす風の冷たさを感じる。これが上州名物のからっ風というものなのか。軽く羽織るものをバッグにしのばせておくべきであった。ちなみに、今回の散歩からリュックを背負うことにした。前回、トートバッグが何かと邪魔になった(私はなで肩なのでいちいちバッグがずり落ちてイラッとなった)ので、その反省を踏まえたつもりだ。
今回は高崎
今回は高崎
今回も、ミスター林が私の散歩をコーディネイトしてくれる。さらに、今回はミスター林の他にもう1人、私を案内してくれる人物がいる。ミスター林の友人で、テクノ手芸部という活動を営むミスターヨシダである。

散歩2回目にして、コーディネイターの数が倍に増えた。このペースでいくと、次の散歩では4人、その次は8人と倍々ゲームで仲間が増えていく計算になる。最終的に大名行列のような散歩になっていく、というのも一興だ。
ミスター林とミスターヨシダ
ミスター林とミスターヨシダ
ミスターヨシダと私は初対面であるが、今回の散歩に関して私はミスターヨシダに全幅の信頼を寄せている。なぜなら、ミスターヨシダは高崎出身なのだ。初めての街を歩くにあたり、これほど心強い味方はいない。

散歩を始める前に、ミスターヨシダのことを何と呼べばいいのか、私は考えた。よそよそしくなり過ぎず、かといって急に馴れ馴れしくなったと思われることのないような、そんな呼び方があるはずだ…。

ヨシダルマ!

と思いついたのだが、初対面の相手に「ヨシダルマ」と声をかける勇気はなかった。

ミスターヨシダでいこう。
足早な2人
足早な2人
歩き始めると、2人のコーディネイターと私との距離がどんどん離れて行くように感じた。特に、ミスターヨシダの歩くスピードが気にかかる。完全に先を急ぐ人のテンポだ。私が理想とするワルツのリズムとはほど遠い。あのスピードについていこうとすれば、確実に横っ腹が痛くなるだろう。

散歩の前にミスターヨシダが「知り合いに合っちゃうかもな…」と呟いていたのが気にかかる。まさかとは思うが、覆面を被った男と一緒に地元を歩くのが恥ずかしいのだろうか?

そんなはずはない。ないとは思うが、こういうことは初めにハッキリさせておいた方がいい。
ミスターヨシダに確認を取ることにした。
恥ずかしい訳ではないですよね?
恥ずかしい訳ではないですよね?
ミスターヨシダは笑いながら、「まさかそんなこと! 高崎の街を早く案内したくて」と言ってくれた。

完全に私の取り越し苦労だったようだ。一瞬でも仲間を疑った自分が恥ずかしい。ここにいる3人、お互いがお互いを信じなければ、この舟は1ミリだって前には進まないのだ。私は再び、ミスターヨシダに全幅の信頼を寄せた。

気を取り直して、高崎散歩

それほど腹は減ってない!!
それほど腹は減ってない!!
揃いのポーズでレッツグルーヴ
揃いのポーズでレッツグルーヴ
これを飲み干すには2日かかります
これを飲み干すには2日かかります
しまった!閉じ込められたか!!
しまった!閉じ込められたか!!
しかし、またげる高さで事なきを得た
しかし、またげる高さで事なきを得た
歩き始めたことで体が少し暖まってきた。時折吹き下ろすからっ風の冷たさが心地よく感じる。この街との相性も悪くないようだ。その証拠に、あるお店の前を通った際、「おっ、かぶり物か!」と声をかけられた。

「喫茶去 艸庵(そうあん)」という喫茶店で、まだ新しい格子戸の門をくぐり砂利が敷き詰められた中庭を抜けて店内に入るという純和風なお店である。そこの店長さんが私の姿を見て声をかけてくれたのだ。
和風喫茶の中へ
和風喫茶の中へ
なんでも、私たちがここを訪れた数日前に、このお店でかぶり物のイベントがあったという。かぶり物のイベント、とは? 店長に詳しい話を聞こうとしたら、とりあえず中に入りなさいと促された。
店内へ
店内へ
お店の中に入ると、ミスターヨシダがあるチラシに反応した。黒地に白い文字で「BOØWY」と書かれている。そう、あのBOØWYだ。ミスターヨシダは、「BOØWYは高崎出身なんですよ!」と少し興奮している。私が今歩いているこの街を、あのBOØWYも歩いていたと思うと感慨深い。BOØWYの歌に「灰色の風から俺たちは生まれ」とあったと思うが、この灰色の風はからっ風のことだったのかもしれない。この街を歩きながら、ボルトとナットの仕組みについて議論を交わしていたことだろう。

艸庵の店内には茶道具が置いてあった。
やり方は分からない
やり方は分からない
茶道具と戯れていると、先ほど声をかけてくれた店長さんが店内に入ってきた。そうだ、かぶり物のイベントについて聞かなくては。

かぶり物のイベントとは?

「かぶって春のお茶会ってイベントがあったんだよ。ツタンカーメンもいたなぁ」

と説明してくれた。やっぱり良く分からないが、参加者各々が思い思いのかぶり物をしてこのお店に集まってお茶会をやった、ということらしい。

「あなたの覆面なんて、地味なもんだよ」

と店長は笑った。 そうか、私の覆面は地味なのか。なんだか少し残念だ。
高崎にお越しの際は、艸庵へ是非
高崎にお越しの際は、艸庵へ是非
再び高崎の街で散歩を続ける。

すると、ミスター林が何かを見つけた。
ここ、ポヨンポヨンしますよ
ここ、ポヨンポヨンしますよ
歩道の一部がポヨンポヨンしているというのだ。ミスター林が嬉しそうに足踏みをしている。

歩道がポヨンポヨンしているからどうだというのか? 正直、その時の私はそう思った。ミスター林に勧められるまま、ポヨンポヨンエリアに立ってみた。
ここがポヨンポヨン?
ここがポヨンポヨン?
確かにアスファルトが柔らかい。ミスター林がやっていたように足踏みを試みようとしたその時!
あっ!
あっ!
お嬢さん、ここ
お嬢さん、ここ
ポヨン、ポヨン
ポヨン、ポヨン
ポヨン
ポヨン
ミスター林の言う通り、確かにポヨンポヨンエリアだった。渋谷駅で埼京線のホームに向かう道にある動く歩道の感触と似ている。この感動を高崎のお嬢さんに伝えたかったが、うまく声をかけることが出来なかった。

ミスター林がスマホを取り出して何かしている。 ポヨンポヨンの件はもういいのだろうか?
スマホをいじりはじめたミスター林
スマホをいじりはじめたミスター林
何をしているのか? ミスター林に尋ねると、ツイッターで高崎の情報を募集しているという。私も最近ツイッターを始めて30名のフォロワー(私はフォロワーではなくアミーゴと呼んでいる)から応援されているが、デイリーポータルZのツイッターには3万人近いフォロワーがいるという。私の1000倍近いフォロワーがいるのだから、情報の集まり方も1000倍のパワーを持っているのだろう。

ツイッターで情報が集まるまでの時間を利用して、ミスター林とミスターヨシダに向けて私の得意技を披露することにした。

私の得意技、それは雲竜型の土俵入りである。
よー
よー
ヨイショッ
ヨイショッ
さぁー
さぁー
ズイズイズイ
ズイズイズイ
私の力強い雲竜型で、高崎城が少し揺れたように感じた。

この辺りは春になると約300本のソメイヨシノが花を咲かせるという。来年の桜の季節には、満開のソメイヨシノの前で雲竜型をお見せしたい。

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