特集 2013年5月9日

不動産のチラシでマンションが光る

不動産のチラシを眺めるのが好きなのです
不動産のチラシを眺めるのが好きなのです
家のポストに入っている不動産のチラシ。読まずに捨ててないだろうか。

実はこれが結構面白いのだ。その一端を紹介したい。
1976年茨城県生まれ。地図好き。好きな川跡は藍染川です。(動画インタビュー)

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光るマンションが面白い

不動産のチラシにおいて、どういうわけか物件の場所は光りがちだ。
光る谷中
光る谷中
これは現地の案内図である。

物件の場所はここですよ、と表示するだけでいいのだが、このように光ることが多い。
杉並も光る
杉並も光る
横濱も光る(横浜の浜は旧字体になりがちだ)
横濱も光る(横浜の浜は旧字体になりがちだ)
新大塚も光る
新大塚も光る
西早稲田も光る
西早稲田も光る
こんな感じで順調に光っている。しかも光がだんだん高くなるようなのだ。

どこまで高くなるかな?と注目していたら出てきたのがこれだ。
かなり伸ばしてきた町屋
かなり伸ばしてきた町屋
周りと比較すると分かるが、相当な高さである。

この物件は10階建てほどなので、1階分がどれだけ高いんだという話でもある。
ついに天まで届いた川崎
ついに天まで届いた川崎
そしてついに川崎で光は天に届き、
天から光が迎えに来た大磯
天から光が迎えに来た大磯
大磯では逆に天から光が降り注いでいた。非常に神々しい。

神の祝福をこうまで感じさせる絵が見られるのは、現代では宗教画かマンションのチラシくらいであろう。
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マンションはなぜ光るのか

じゃあ、なぜ現地案内図の物件は光るのか?

1つの理由は、まだ実物ができてないからだ。チラシを配ってる段階ではまだ建設中なので、実物を載せられない。

でも最大の理由は、やっぱり大きく高く輝かしく見せたいからだろうと思うのだ。
ぴかー
ぴかー
さっき見たように、光の高さは実際のマンションより高いことが多い。

でも完成予想CGではそういうことはできない。次のようなルールがあるからだ。

不動産の表示に関する公正競争規約

第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない

物件の規模 、形状、構造等について、事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認 されるおそれのある表示
だから、実際よりも高く大きく図を書くことはできない。

でも光は、光ってるだけだ。これが物件の大きさ高さだとはどこにも書いてない。

しかも注意書きもちゃんとある。
実際とは多少異なります
実際とは多少異なります
だからますます問題ないというわけなのだ。

そういう事情を考えると、次のようなチラシには好感がもてる。
逆に正直に光る月島
逆に正直に光る月島
あまりにも正直なのだ。

なぜもっと天まで伸ばさないのか。逆に好感度が伸びるというものだ。
周りが白すぎて目立たない曳舟
周りが白すぎて目立たない曳舟
せっかく光ってるのに周りもなかば光ってるので目立たないというパターン。これもいい。もどかしい。
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何かを放出するマンションたち

マンションはただ光るにとどまらず、何かを放出しはじめたようだ。
キラキラを放出
キラキラを放出
何かが空へと飛んで行く
何かが空へと飛んで行く
葉っぱ?
葉っぱ?
最後のはたぶん公園の緑を葉っぱで表してるんだろう。表現は自由だと思わせる。

高さを並び競うマンションたち

背後に映り込んだもののせいで、まるで高さを競うようになっている例もある。
スカイツリーと並び競うマンション
スカイツリーと並び競うマンション
たぶん奥の東京タワーより高い
たぶん奥の東京タワーより高い
やりすぎるとちょっと非現実的になっちゃうと思うんだけど、光の伸びは止まることを知らないようだ。

ユニークに光るマンションたち

そして個人的に好きな光り方をする物件を紹介したい。

スーパーサイヤ人タイプ
スーパーサイヤ人タイプ
物件の外観を表示しながら周りが光る場合もある。漫画ドラゴンボールでいうスーパーサイヤ人の状態だ。

ただこの場合、公園のはす向かいで孤独に立っているので「ぼくも仲間に入れて・・」と言っているようでもある。
頭を押さえ込まれるマンション
頭を押さえ込まれるマンション
本人は光を伸ばして行こうと思ってるのだが、奥から来た矢印に頭を押さえ込まれる状態。

「ズドン」という音が聞こえてきそうである。

せめぎあいの面白さ

最大限に魅力を訴えたい。でもルールは守らなきゃいけない。そういうせめぎ合いが好きだ。

これからもチラシは捨てないでおこうと思います。
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