チャレンジの日曜日 2013年5月12日
 

運動経験ゼロからの女子プロレス入門

あの頃の夢を今!
あの頃の夢を今!
私は根っからのインドア人間のため、慢性的に運動不足です。
健康のためにも体を動かしたいのですが、どうせやるなら、嫌々やるよりも自分が好きなスポーツをやってみたいと思います。
ですが、私が好きなスポーツは高校野球とプロレス。今さら高校生にはなるのは厳しいので、残されたのはプロレスしかありません。
ということで、プロレスを体験してきました。
1980年北海道生まれ。 気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。

中学生の頃の夢はプロレスラーでした

私が中学生の頃は女子プロレス全盛期で、『ミスター女子プロレス』神取忍と『デンジャラスクイーン』北斗晶の流血試合や『飛翔天女』豊田真奈美のオリジナル技のかっこよさに誰もが胸を躍らせたものです。と思っていたら、同世代のライター大北さん(撮影のため取材に同行して頂きました)は女子プロに全然興味がないようなので、私だけだったのかもしれません。
いつかプロレスラーになった時に備え、友達とプールに遊びに行く度にお互いスープレックスを掛け合う練習をしていたことが懐かしく思い出されます。
当時の私(右から二番目)。こういう地味なオタクの7割はプロレスか格闘技ファン(私調べ)。
当時の私(右から二番目)。こういう地味なオタクの7割はプロレスか格闘技ファン(私調べ)。
そんなかつての憧れの女子プロレスを体験できる場所があると聞き、やってきたのは埼玉県蕨市。女子プロレス団体『アイスリボン』の道場です。
アイスリボン道場。『やったら楽しい女子プロレス』の言葉が頼もしい。
アイスリボン道場。『やったら楽しい女子プロレス』の言葉が頼もしい。
こちらでは新人育成の一環として、週に一回『プロレスサークル』を開催しています。
プロレス団体では、プロレスラーを目指す人が練習生という形で入門、トレーニングを積んで一定のレベルに達したらデビューするという流れが一般的です。以前は中学・高校を卒業と同時に入門、あるいは格闘技経験のある人が転向するというパターンが多かったのですが、最近は学生や会社員との兼業、グラビアアイドルからの転身など、多様な経歴を持つプロレスラーが増えてきました。
しかし、このプロレスサークルでは、そもそもプロレスラーとしてデビューを目指していない人に対してもレッスンを行っているのです。
実際、プロレスサークルには現在6〜7人が通っていますが、その内デビューを目指している練習生は2人だけとのこと。
デビューを目指さない一プロレスファンとして、今回体験させていただきました。

ところで、『女子プロレス』というと一斗缶を持ったダンプ松本や竹刀を持った北斗晶に襲われたり髪を引っ張られたりするのを想像する方が多いでしょうが、こちらの団体は若い選手が多く、女子高の体育会系の部活のような明るく爽やかな印象です。
大坪さんのバースデーソングを歌ってもらう記事に登場したこともありますので、そちらをご覧いただければ楽しげな雰囲気が伝わるかと思います。

30代、運動経験ゼロでもプロレスができた!

どんなに言葉を尽くしたとしてもこの喜びを伝えられるか分かりませんが、とりあえずこちらの画像をご覧ください。
基本的な丸め込み技・スクールボーイ(横入り式エビ固め)。相手は編集部安藤さん。
基本的な丸め込み技・スクールボーイ(横入り式エビ固め)。相手は編集部安藤さん。
これは、相手の背後に回り込み股の間から手を入れ腰を掴み、後方に押し倒し両肩をマットに付けた状態にして押さえ込む技です。
多少のぎこちなさはありますが、どうですか?ちゃんと技っぽくなってません?
プロレスルールをご存じない方のために説明しますと、相手の両肩が付いた状態で3カウントをキープした方が勝利となります。つまり、この技がうまく決まれば私でもプロレスに勝利することができるのです。
こういった丸め込み技は、体の小さな選手や力で劣る選手が格上の選手に勝利する時に効果的です。私のような弱々しい人間にこそふさわしい技と言っても過言ではありません。
17年前の私に「将来、プロレスで勝利できる技を体得できる」と教えたら、きっと喜んで中学卒業と同時に女子プロレス団体の入門試験を受けたことでしょう。
うおりゃー!と勢いだけはある筆者(左)。
うおりゃー!と勢いだけはある筆者(左)。
おそらく身長制限と体力審査で落ちていたので、そんな未来を知らずにいてよかった。
しっかり体重をかけて押さえ込まないと返されます。
しっかり体重をかけて押さえ込まないと返されます。

憧れの、三本のロープのジャングル!

プロレスの醍醐味と言えば、四方に張り巡らされたロープを巧みに利用するロープワーク。
ロープは単なる境界ではなく、それすら武器のひとつとなり得る重要な要素です。
日常生活では中々触れる機会がありませんが、プロレスサークルではばっちり体験することができます。
技の掛け方や受け身の取り方だけでなく、実際のリング上でしかできないロープやコーナーの練習もできるのがプロレスサークル最大の魅力だと感じました。
ロープの掴み方、背中での受け方をレクチャーしてもらいます。
ロープの掴み方、背中での受け方をレクチャーしてもらいます。
反対側のロープへ走って、
反対側のロープへ走って、
背中でロープを受けて往復します。
背中でロープを受けて往復します。
ロープって、見た目以上に硬くて痛いんです。正しく受けないと痣ができたり怪我することもあります。
そんなことを試合中に自然とやっているなんて、プロレスラーはさすが!と改めて感心しました。
コーナーワーク練習。セカンドロープからの「やー!!」
コーナーワーク練習。セカンドロープからの「やー!!」
ロープは上から、トップ、セカンド、サードと呼びます。
男子の身長の高い選手にはトップロープを跨いでリングインする人がいますが、私ではトップに上るのすら大変。
これを跨ぐなんてどれだけ巨大なんだ…と、プロレスラーの規格外の大きさを思い知りました。私の脚が人並み以上に短いのもありますが。

プロレス好きにとってリングは本当に特別なもので、例えるならば高校球児における甲子園球場のような存在。そこに自分が上がるのは嬉しいのはもちろんですが、夢見心地というか、何だか不思議な感じもしました。
また、練習の内容ひとつひとつからプロレスラーのすごさ、そしてプロレスの面白さや奥深さを改めて感じることが出来ます。
プロレスラーを目指している方はもちろん、単なるプロレスファンやプロレスなんて何が面白いの?と思っている方にこそ一度プロレスサークルを体験していただきたいです。
客席からは気付かない、何気ない動作に隠された哲学や叡智がそこにはあります。
リングで女子プロレスを体験しない人生なんて、恋愛をしない青春同然の味気ないもの。女子プロレスも恋愛のない青春も、どちらも体験した私には分かります。
騙されたと思って、是非一度体験してみてください!もし騙されたらすみません。

コーチは団体看板レスラー

このプロレスサークルでコーチをしてくれるのが、志田光さん。
志田光さん。きりっとした雰囲気でかっこいい。
志田光さん。きりっとした雰囲気でかっこいい。
経歴が若い選手が多い中、デビュー5年目24歳という若手選手の志田さんは団体の中心選手として活躍していて、後進の育成にも力を入れています。
志田さんは教え方が上手いとか分かりやすいとかそういうことだけでなく、やりたいという人に対して否定的なことを言わないのがコーチとして素晴らしい人でした。

ここまでわりと出来てる風に見える画像を選んで載せてますが、私、基本的にまるでダメだったんです。
基礎の筋トレで死にそう。
基礎の筋トレで死にそう。
ウォームアップ終了時点で一人だけ息上がってる。
ウォームアップ終了時点で一人だけ息上がってる。
いいドロップキック。
いいドロップキック。
ダメなドロップキック。
ダメなドロップキック。
受け身取れてない。
受け身取れてない。
そんな私が「スープレックスを決めたいんですけど、どうしたらいいですか?」と言っても、決して否定的なことは言わず、
「ここの皆はボディスラムはできるので、まずはボディスラムで投げ技のコツを掴みましょう。そこまでいけばできるようになりますよ」
とアドバイスをくださいました。いいコーチですよね。
実は私、志田さんの試合を拝見したこともありまして、以前は
「志田はシュっとしててかっこいいけど、マッスルビーナス(*1) はつっか(*2) の方が好きかな」
などと言っていましたが、この体験が終わる頃にはすっかり志田さん派になっていました。
(*1)マッスルビーナス …女子プロレス映画『スリーカウント』をきっかけにデビューした女子レスラー・志田光と藤本つかさのコンビ名。
(*2)つっか …女子プロレスラー・藤本つかさの愛称。

デビューを目指している練習生の二人も
「自分では自信がない時でも出来ていたらすごく褒めてくれる」
「厳しいことも言うけど、私たちのことを考えてくれているのが分かる」
と、志田さんを信頼しているのが伝わってきました。
もしプロレスに興味が無くても、信頼できるコーチのもとでスポーツをしたいと思っている女性の方がいらっしゃいましたら、アイスリボンのプロレスサークルをお勧めします。
筆者(左)と練習生のお二人。右の方はなんと中学3年生!!受験生だけど今年中にデビューするのが目標だそうです。
筆者(左)と練習生のお二人。右の方はなんと中学3年生!!受験生だけど今年中にデビューするのが目標だそうです。

中学時代の夢がかないました

人生最後の思い出にしようという意気込みで臨んだ今回の取材、肉体的にはとてもハードで、帰りの電車の中で筋肉痛になり階段の昇り降りがつらいほどでした。
ですが、プロレスファンとしての長年の夢を叶えることができ、これからは中学時代の自分に対して胸を張って生きていけそうです。
『運動をしてお腹が空く』というのも久しぶりの感覚でした。牛丼大盛りを食べて帰るという部活帰りの高校生のようなことをして、失った青春を取り戻せたような気がしています。
私の中の若さの象徴=牛丼大盛り
私の中の若さの象徴=牛丼大盛り

ただ、あれ以来ふと気が付くと
「相手の背中に脚でロックをかけるように…」「トップロープを掴んでから背中で受けて…」
などとイメージトレーニングをしている自分がいるんです。
「うちでは40歳でデビューしたレスラーもいるし、本当にプロレス始めたらどうですか?」
と志田さんに誘っていただいたこともあり、かなり心が揺れています。
とりあえず、誰か技にかかって下さい。

取材協力

アイスリボン
アイスリボン道場(レッスル武闘館)
埼玉県蕨市南町2-2-4
電話番号:048-452-8895
e-mail:ice@jnet.or.jp
※プロレスサークルに通いたいという方、まずは電話かメールでお問い合わせください。
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