特集 2013年5月18日

歩いて渡れる楽園・由布島

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八重山定番の観光地である由布島。ゆっくり見てまわるとなかなか面白いんです。

DEE okinawa Naoki
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みなさんは西表島から渡れる由布島(ゆぶじま)へ行ったことがありますか?

ウチナーンチュよりも、沖縄に観光で来た人のほうが行ったことある人が多いかもしれません。
石垣島や小浜島からの日帰りツアーで西表島へ行くと必ずと言っていいほど立ち寄る島ですよね。
水牛車に揺られて海を渡っている風景を、一度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。
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定番の観光スポットでもある由布島。島内をよーく見てみるとなかなか面白いんです。

由布島とは

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由布島は、西表島の沖合わずか400mのところにあり、西表島の与那良川から流れ出た砂が堆積して出来た島。
周囲2.15キロメートル、面積は0.15平方キロメートルと奥武山公園(※0.25平方キロメートル)よりも小さく、現在の人口は20名くらい。
西表島と由布島の間の海は遠浅で、 通常で大人の膝くらい、大潮の満潮時でも腰丈程度の深さです。
由布島へ渡る方法は2通りあって、水牛車に乗るか歩いて渡るかのどちらか。

由布島は島自体が亜熱帯植物園になっており、島へ渡るには入園料を払わなければいけません。
植物園へは水牛車往復で1300円。徒歩で500円。年中無休で9時~17時まで。
水牛車の定員は牛によって変わるが15~20名
水牛車の定員は牛によって変わるが15~20名
安里家ユンタ率100%
安里家ユンタ率100%
水牛車が多いと安里屋ユンタは重奏になる
水牛車が多いと安里屋ユンタは重奏になる
トラックも渡れる
トラックも渡れる
この小さな島の歴史は、昭和初期に黒島や竹富島から季節農家の人々が西表島与那良で稲作を営む為にやってきたことから始まります。
当時西表島で恐れられていたマラリアの害から逃れるために、昼間は西表の田んぼで働き、夜は蚊のいない対岸の由布島に住み始めたのだそうです。人々は住まいを由布に持ちながら、対岸の西表にある水田まで海を歩いて通勤していたそう。
現在も歩いて通勤している
現在も歩いて通勤している
徐々に人口も増えて集落の形を成しはじめ、また戦後にサトウキビと並ぶ二大基幹作物としてパイナップル産業が盛んになると、「水牛二頭で家が建つ」ほど高価な水牛が、一家に一台ならぬ一家に一頭になるまでに島は繁栄しました。
水牛の池にいるのは、休憩中や非番の水牛たち
水牛の池にいるのは、休憩中や非番の水牛たち
この頃には由布島小中学校も開校、商店や食堂も出来るなど、活気ある島だったそうです。
当時の写真や道具などが展示されている
当時の写真や道具などが展示されている
由布島小中学校の校門跡
由布島小中学校の校門跡
現在の食堂のメニュー。ウンゾーチャンプルーは西表島産のイイダコを使った料理。ざるそばもある
現在の食堂のメニュー。ウンゾーチャンプルーは西表島産のイイダコを使った料理。ざるそばもある
水牛たちは、農耕だけでなく干潮時にも大活躍。 当時由布島へ就航していた石垣からの船は干潮時には沖合に停泊せざるを得ませんでしたが、そんな時に水牛車が船と島の間を行き来して人や物資を運んでいたのです。
昭和40年頃の水牛車の復元。ロバっぽいけど水牛
昭和40年頃の水牛車の復元。ロバっぽいけど水牛
水牛の碑
水牛の碑
あんずは記念撮影待ち中
あんずは記念撮影待ち中
ところが1969年の台風で、海抜わずか1.5メートルの小さな島は大きな被害を受け、残った島民のほとんどが島を去ってしまいました。

ここで一人、島の再建を夢見たおじぃがいました。
おじぃは「南国の楽園」を夢見て、由布が廃村になってからも、たった一頭の水牛(おそらくこれが大五郎)で土や堆肥を運び、ヤシを植え花を育て続けたのです
ヤシの実落下注意。上を見ると大きなヤシの実がたくさん。いきなり落ちてきたら避けきれないと思う
ヤシの実落下注意。上を見ると大きなヤシの実がたくさん。いきなり落ちてきたら避けきれないと思う
由布島オリジナルキャラクター大五郎
由布島オリジナルキャラクター大五郎
そんな老夫婦を支えた人々の力もあって、ついに1981年に由布島植物園が開園 しました。
今では始祖・大五郎と花子の子孫を中心に水牛も40頭以上になり、観光客を渡し続けています。
人気No1.色白美牛モデルというのがいるそう
人気No1.色白美牛モデルというのがいるそう
寝転んでいる仔牛の「ゆうき」は生後4ヶ月。野生ではこんな寝方はしないそうだ
寝転んでいる仔牛の「ゆうき」は生後4ヶ月。野生ではこんな寝方はしないそうだ
と、ここまでは由布島の歴史を簡単に紹介しましたが、ここからは島内をザーッと見ていきましょう。

道は自由。

大五郎と花子
大五郎と花子
レストランと売店。ツアーで来た人はここでお弁当を食べる
レストランと売店。ツアーで来た人はここでお弁当を食べる
マンタの浜前にある茶屋。手作りジェラートが美味しい
マンタの浜前にある茶屋。手作りジェラートが美味しい
ベンチにさりげなく牛。
ベンチにさりげなく牛。
ブーゲンビリアガーデン
ブーゲンビリアガーデン
貝の館
貝の館
赤瓦の一部が牛。
赤瓦の一部が牛。
旧井戸跡
旧井戸跡
現役の井戸
現役の井戸
やんちゃな自転車
やんちゃな自転車

レアなものが通年見ることができる

島内には蝶々園があり日本最大級の蝶、オオゴマダラがわさわさ飛んでいます。
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ここにくるとオオゴマダラの蛹が通年見ることができます。
オオゴマダラの蛹は金色
オオゴマダラの蛹は金色
運がいいと羽化する瞬間を見ることができます。
羽化したては羽根が湿っているので、数時間かけ乾燥してから飛び始めるそう。
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鳥たちが騒々しい

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にわとりがたくさん。かなり騒々しい。
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オウムのケンタロー。檻に近づくと攻撃される。ちょっとこわい。
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リュウキュウアオバト。
ケガのため保護療養していたが治癒後も野生復帰が困難なため条例に基づき由布島が保護飼養しています。
丸々していてかわいい。鳴き声がズレた尺八っぽくて面白い。

水牛以外の動物もいる

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ヤギがいる。
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リュウキュウイノシシ。西表島の方言でカマイという。八重山では食べられるお店も多い。
石垣島や沖縄本島にも生息しているが、それらは混血。西表島に生息しているのは原種なので小さいそうです。
狩猟期間は3ヶ月ほど。

完全に寝てる
完全に寝てる

オブジェがユルい

島内のあちらこちらにオブジェが設置してあります。
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いい大人がまたがって記念撮影するポイント。その光景を遠くから見るとなかなかシュール。
完全にモスラ。結構リアルでこわい
完全にモスラ。結構リアルでこわい
水牛なのかヤギなのか。それともロバか
水牛なのかヤギなのか。それともロバか
孔雀?と何かの鶏
孔雀?と何かの鶏
15年前に70才のオジイが作った、おそらくイリオモテヤマネコ
15年前に70才のオジイが作った、おそらくイリオモテヤマネコ
たぶんトントンミー。ガウディ的な芸術
たぶんトントンミー。ガウディ的な芸術
たぶんジンベエザメ
たぶんジンベエザメ
目と歯が怖いマンタ
目と歯が怖いマンタ
目の前の海はヨナラ水道。マンタがよく見られるポイントだが近年は少ないそう。ヨナラ水道を挟んですぐそこに小浜島が見えます。
ゴミ箱。絵描き歌「かわいいコックさん」っぽい
ゴミ箱。絵描き歌「かわいいコックさん」っぽい
コンクリート製のハーリー船。顔が何とも
コンクリート製のハーリー船。顔が何とも
水牛の顔ハメ。角が虎柄だったり股からなにかぶら下がってたりする
水牛の顔ハメ。角が虎柄だったり股からなにかぶら下がってたりする
やまねこと書かれたやまねこの顔ハメ。魚と牛の顔を持つシュールさ。ヒョウ柄
やまねこと書かれたやまねこの顔ハメ。魚と牛の顔を持つシュールさ。ヒョウ柄

水牛かわいいよ水牛

ということで由布島の紹介でした。
僕は10年ぶりくらいに渡ったのですが、これといって何も変わってなく逆に新鮮でした。
とにかく水牛がかわいいです。
ヴェエエエ
ヴェエエエ

初めての由布島に行く方は水牛車に乗って渡り、2回目以降の方は歩いて渡ることをオススメします(島に渡れば足が洗えるので大丈夫)。
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