はっけんの水曜日 2013年5月22日
 

ひとりぼっちのカエル合戦IN戦場ヶ原

まだ誰も来ていない…
まだ誰も来ていない…
桜が咲き誇り、ホッケキョと鳴くウグイス、花粉で止まらなくなるくしゃみとくればもう春だ。
そんな華やかな春の風物詩の陰で行われる壮絶な真剣勝負がある。
キュートなおっさん型の毒生き物、ヒキガエルによる、「カエル合戦」である。
街中の公園や野山の水辺で、組み付き、蹴り合い、どつき合う。

この、べつに天下を分けない合戦を戦場まで見に行った。
1975年神奈川県生まれ。普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。 最近バレンチノ収集を始めました。
> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

カエル合戦とはラブバトル

カエル合戦といっても、ヒキガエルの中にイデオロギーを異にする集団が存在して、思想や利害の衝突があったりするわけではない。もしあったらすいません。

ヒキガエルは春が近づき、地温が高まると冬眠から目を覚まし、卵を産むためにいっせいに水場を目指して移動をする。
近所の公園の池にて、今年は2月初頭にはもう出てきていた。
近所の公園の池にて、今年は2月初頭にはもう出てきていた。
場所によっては100匹以上が集結し、オスはメスの背中に抱きつき、交尾をはじめる。
深夜もオシドリなところをすいません。
深夜もオシドリなところをすいません。
お前会社帰りにこんなとこ来てんじゃねーよみたいな目で見られた。
お前会社帰りにこんなとこ来てんじゃねーよみたいな目で見られた。
ここで、数少ないメスを奪い合ってオス同士の壮絶な戦いが行なわれる。
カップルが成立し、メスにしがみついたオスを引きずりおろすべく他の武士(もののふ)達が襲いかかるのだ。目覚め早々の、ラブをめぐる戦いである。

数日から1週間足らずでこの饗宴は終わり、細長いゼラチン状の卵を大量に残して、彼らは再び眠りにつく。

都心でもラブバトルが

3月某日、都心に近い自然観察園の池では、さほど広くない池に無数のアズマヒキガエルが集結し、激しい合戦が繰り広げられていた。
「池袋の森」そこら中で”クックッ”という鳴き声が聞こえる。
「池袋の森」そこら中で”クックッ”という鳴き声が聞こえる。
写真のウデが悪くてわかりにくいが随所でくんずほぐれつしています。
写真のウデが悪くてわかりにくいが随所でくんずほぐれつしています。
池に連なる水路にもラブがあふれる。
池に連なる水路にもラブがあふれる。
ラブを求め水面をさまよう。
ラブを求め水面をさまよう。
起きてきたばかりでぼーっとしているのもいる。
起きてきたばかりでぼーっとしているのもいる。
なんかBLっぽい。
なんかBLっぽい。
これでも前日のピークにくらべるとカエルの数や活気は減っているという。
観戦には綿密な調査と運がかなりシビアに必要なのだ。

ラブは蹴りで勝ち取れ

ラブの戦いは激しい。すがりつく恋のライバルに、一分も手を抜かない渾身の蹴りを叩き込む。バシリ。
無慈悲なまでの激しい攻撃。ラブ故に。

ラブに種族は関係ない(いや、ある)

オスのどん欲さはハンパではない。
彼の目に入って、「ガール!」と認識されたものにはとにかく突進する。

近くで写真を撮らせてもらおうとカメラを近づけた途端…
組み付かれた。
組み付かれた。
それどころか奪い合いをされている。
それどころか奪い合いをされている。
「俺は、男なんだよ…」
「カエルじゃない」の前にこの言葉が口をついて出たのはなんか哀しかったからじゃないだろうか。

私の腕をぐっとつかみ、奪い合い、「これで子孫を残せる」
と安堵の表情を浮かべる。メスにあぶれたカエルのオス、独身のアラフォー男。
この関係が成就する事はない。

種族という壁を越え、こんなに立場を同じくしているのに、こんなに密着しているのに、なんという断絶。
ゲッ ゲッ ゲッ…そんな目で見ないでくれ…
ゲッ ゲッ ゲッ…そんな目で見ないでくれ…
そっと振りほどいて、私はここを後にした。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓