特集 2013年7月15日

自動で焼き鳥を串刺しにしてくれる機械

この機械はなんでしょう。
この機械はなんでしょう。
焼き鳥を自動で串に刺してくれる機械を開発した会社がある。

いったいどういう経緯で開発にいたったのか、そしてそれははたして便利なのか、直撃取材しました。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

夏本番、肉の匂いに誘われて

関東に梅雨明け宣言が出された日、僕は灼熱の川崎市内を歩いていた。
34度とのこと。溶けてなくなるかと思った。
34度とのこと。溶けてなくなるかと思った。
川崎にはものすごく遅いフェラーリが走っていた。すごい音だったけど原付くらいの速さだった。
川崎にはものすごく遅いフェラーリが走っていた。すごい音だったけど原付くらいの速さだった。
どこからともなく漂ってくる肉の焼ける匂いに誘われて、住宅街の路地を入り込んでいくと、なにやら人だかりのできている工場があった。ヒロキ産業(株)。この美味しそうな匂いはどうやらここから流れているらしい。でもなぜ工場から。
なんだろうこれは。
なんだろうこれは。
どなたでも、と書いてあるので入ってみました。
どなたでも、と書いてあるので入ってみました。
焼き鳥パーティー開祭中(催の字が祭になっているところからも細かいセンスを感じる)と書かれている。そして「らくさし君」である。なんだ「らくさし君」って。

謎だらけだが、まずは僕が会場で見た「らくさし君」を紹介したい。
これが「らくさし君」である。
これが「らくさし君」である。
見ただけではまったくわからない機械だと思う。動かしながら説明しよう。
専用アタッチメントにキュウリを乗せる。
専用アタッチメントにキュウリを乗せる。
左のトレイには串を乗せる。
左のトレイには串を乗せる。
ここからは動画でごらんいただきたい。その方がらくさし君のすごさがわかってもらえると思うからだ。一瞬だから見逃さないように。
見よ、これがらくさし君だ。
串に刺すためだけの機械なのだ。
串に刺すためだけの機械なのだ。
見てのとおり、らくさし君はものに串を刺すための機械である。この高性能、定価45万円。
ばっちり中心なのはさすがは専用機といったところか。
ばっちり中心なのはさすがは専用機といったところか。
らくさし君を開発した会社の方にお話をうかがった。
らくさし君を開発したヒロキ産業の藤原さん。
らくさし君を開発したヒロキ産業の藤原さん。
--どういう経緯でこの機械ができたんでしょう。

(藤原)うちの会社、もともとは車の板金とかプレスとかやっていたんですよ。でもほら、中国とか安い工場が競争力つけてきちゃって、何か別の道はないかと考えていたときに社長が友だちの居酒屋から相談を受けたんです。焼き鳥の串打ちを自動化できないかっ、てね。

--でもまったく車関係ないですよね。

(藤原)そうなんです。私は車関連のプレス工場に入社したつもりだったんですが、最初の仕事が焼き鳥の串打ちでした、あのプレハブで。
これが藤原さんが新入社員の頃焼き鳥を刺していたプレハブである。
これが藤原さんが新入社員の頃焼き鳥を刺していたプレハブである。
(藤原)なんでおれプレハブで焼き鳥打ってるんだろう、と思いましたね。それでも慣れてくるとね、最初1時間に40本とかだったのが最終的に120本とか打てるようになるんですね。

--それはすごいんですよね、きっと。

(藤原)ええまあ。で、うまくなった頃におもむろに社長が現れるわけです、らくさし君を持って。うまくなったな、じゃあお前、次これ使ってみろって。
社長が持ってきたのがこの機械、藤原さんとらくさし君との出会いである。
社長が持ってきたのがこの機械、藤原さんとらくさし君との出会いである。
こうして肉と串をセットして。
こうして肉と串をセットして。
レバーを下げると。
レバーを下げると。
焼き鳥の状態に。
焼き鳥の状態に。
まあ確かに速い。
まあ確かに速い。
(藤原)これを使うと1時間に200本くらい打てるんですよ。慣れてくると300本くらいはいける。すごい効率的なんですよね。

--確かに。いろいろ納得いかない部分もありますが、機械自体はすごい。

(藤原)ええ。

(藤原)こんな便利な機械あるなら最初から使わせろ、って思いましたね。
まあそうだよなー(このイベントは途中でライブも入るのだ)。
まあそうだよなー(このイベントは途中でライブも入るのだ)。
らくさし君はアタッチメントを変えることで肉以外にも対応できるのだとか。そういえばさっきキュウリ刺した。

「およそ手で刺せるものでらくさし君にできないものはないですよ。イカがね、ちょっと硬くて難しいですが、それでもしっかり押さえれば刺せます。」

ここでおもむろに現れたのは社長さんである。さっきあなたの噂していたところです。
この人が社長の桝田さん(汗を拭かれている人)。
この人が社長の桝田さん(汗を拭かれている人)。
社長。
社長。
「らくさし君」は手で刺せるものならたいていなんでも串にすることができるという。なら手で刺しちゃだめなのか、とも思うのだが、なにしろ効率がいいのは確かなのだ。

--こういうイベントは定期的にやられているんですか。

(社長)ちょくちょくやっているんですよ。最初はらくさし君のデザインをした人とか呼んで身内だけでやっていたんですが、今では近所の人も知らない人も誰でもオッケーにして、こうやって楽しんでもらっているわけです。
らくさし君で刺した串はこの自動焼き機(別の会社の製品)で焼かれる。
らくさし君で刺した串はこの自動焼き機(別の会社の製品)で焼かれる。
回転しながら両側を焼かれて。
回転しながら両側を焼かれて。
焼けると自動で転がり落ちてくる。なんだこのとにかく自動化しようというムーブメントは。
焼けると自動で転がり落ちてくる。なんだこのとにかく自動化しようというムーブメントは。
会場では川崎の地ビール「ブリマーブルーイング」が500円で飲めるのだが、これもなんとセルフだった。
飲みたい人は自分でついで500円を箱に入れる仕組み。
飲みたい人は自分でついで500円を箱に入れる仕組み。
すごいイベントだ。

このあとステージではマジックショーとファイヤーダンス、そしてポールダンスも行われるのだとか。もはや自動車はおろか焼き鳥すら関係ない。ただ楽しいだけである。

「まあ、よかったら自由に焼き鳥刺して、食べていってくださいよ」と社長。

家に持って帰った焼き鳥が全部木の葉のパターンだ(タヌキにばかされている)。もちろんそんなことはなく、ただ太っ腹の社長というだけでしたが。

たぶん便利なんだろうな、とは思う

前にも書いたが「らくさし君」は通常価格45万円である。お店はもちろん個人でも買えるようなので、焼き鳥をとにかく効率的に串に刺したい人、もしくはなんでも自動化したい人なんかにはおすすめです。
片隅で稼働するチョコフォンデュ。もちろんチョコつけ放題でした(しかし何に!)。
片隅で稼働するチョコフォンデュ。もちろんチョコつけ放題でした(しかし何に!)。
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