特集 2013年7月23日

ルーズリーフの30個の穴があなたの仕事を変える

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学生が使うもの、というイメージの強いルーズリーフ。だが、なぜあんなに便利なものを、みんな使わなくなるのだろう。
35歳になって今なお、新しいルーズリーフの使用法を探し続ける僕が、その美しさ・便利さを徹底解剖していきたい。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。

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1万2000円の穴あけ機を買った

最近、ルーズリーフ用の穴あけ機を買った。
この巨大なパンチに紙を挟んで、押す。カシャッ!
この巨大なパンチに紙を挟んで、押す。カシャッ!
一発で30個の穴が出来あがる!!
一発で30個の穴が出来あがる!!
この穴あけ機、amazonで12000円もした。
「穴、開けるだけで12000円!?!?」と家族にも眉をしかめられたが、全く後悔していない。
この30個の穴が一度に開く工程だけを僕は何度でも繰り返し飽きずに見続けられる。
裏面から見た30本の歯のかっこよさも、やばい。
裏面から見た30本の歯のかっこよさも、やばい。

大人は、ルーズリーフを使わない!?

ちょっと前、当サイトのリンクにこんな記事が載った。
『なぜ、社会人はルーズリーフを使わないのか?』(エキサイトビットコネタ)

え、そうなの!? と驚いた。確かに気づけばルーズリーフを使っている同僚なんてほとんどいない。
社会人になって、「いえ、とんでもありません」という便利な謙遜語を覚えた代わりに、みんなルーズリーフのことを忘れてしまった。
だが僕は今でもヘビーに使いまくっている。ルーズリーフが無くなったら息もできない。僕の全生活は、あの間隔9.5mmの穴に支えられている。
ルーズリーフ豆ちしき 穴の間隔は9.5㎜
ルーズリーフ豆ちしき 穴の間隔は9.5㎜

ルーズリーフで世界一の手帳を作ろう

たとえば手帳。
社会人の手帳にはA4の薄型ルーズリーフホルダーがベストだと思う。
大人なので、3000円ぐらいする革張りの買った。
大人なので、3000円ぐらいする革張りの買った。
毎年、何千円もする多くの種類の手帳が売り出され、予定欄がどう、紙質がどう、とみんなでこだわりを述べ合っている。
が、そんなにこだわるなら自分で作ればいいと僕は思うのだ。
エクセルでちょいっとマス目を作り、30穴を開けてはさむ。
エクセルでちょいっとマス目を作り、30穴を開けてはさむ。
日曜の欄が狭いとか悩むこともない。
紙も好きなものを使える。
年・月・週、自分の職種とリズムに合わせて、どんなものでも作れる。たとえば職業が漁師なら、あらかじめ潮の満ち引きも書き込める。
そして1年間使わなくても、すぐに作り変えられるから異動があっても問題はない。
会議で配られたカレンダーとか資料も、そのままはさめる。 折ればA3もいける!
会議で配られたカレンダーとか資料も、そのままはさめる。 折ればA3もいける!
こうして自分だけが使いやすい、完璧な手帳が完成する。
ネット記事風に言えば、99%の人が使っていない、業務の効率を劇的に向上させる、世界でただひとつの洗練された手帳だ。

ひと引きであざやかに穴を開ける「グリッサー」

さて、そんなルーズリーフ生活に欠かせないのが穴あけ機である。冒頭で紹介したのは業務用のものだが、家庭用にも、もっと安くて便利なものがある。
初心者はまずこの「ゲージパンチ」を買おう
初心者はまずこの「ゲージパンチ」を買おう
これは見たことがある人も多いだろう。
2000円弱で、そこらの文具店でも売っている。小さくて携帯もできる。
30穴を5回に分けて開けるのが手間だが、意外と穿孔力も高く、ルーズリーフ界では必携のアイテムである。
穴が開く楽しみは充分。「ゲージパンチ・ネオ」の方がよりおすすめ。
穴が開く楽しみは充分。「ゲージパンチ・ネオ」の方がよりおすすめ。
続いてちょっとレベルの高い穴あけ機だ。
カール社の「グリッサー」は、不思議な動作で30個の穴を一気に開けることができる。
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この大きい握りを気持ちよくひと引きするだけで、一度にザッと穴が開くのだ。
この動作が超気持ちいい!
この動作が超気持ちいい!
枚数が多くて、力を込めて一気に引くときは、僕の心の中で空手家が「ハイヤーッ!」っと瓦割りをしながら叫ぶ。
価格は5000円ぐらいするが、恒常的にルーズリーフを使うようになってきたら、部屋に買っても悪くないかもしれない。

留め具の種類がルーズリーフの可能性を切り開く

中学生の頃、「ルーズリーフは禁止」と言う先生がいた。
理由は、バラバラになってしまうからだという。

「NO! シット! ティーチャー!
ばらばらになるのはルーズリーフのせいではなく、みんなの心のせいじゃ無いのかい!?
ルーズリーフを責めるのは違うんじゃないのかい!?」


などというロック少年的な抗議はしなかったが、留めておけば自然にバラバラになったりしないだろう、怪奇現象じゃあるまいし、と僕は今でも思う。
この留め具は、棒1本で10枚ぐらい留められる画期的な商品。
この留め具は、棒1本で10枚ぐらい留められる画期的な商品。
こんなに魅力的な留め具が豊富にあって、どうしてルーズリーフがばらばらになるだろうか。
さて、最近僕がはまっている留め具は、「ルーズリング」である。
両端の開閉ツマミが無い、極めてシンプルなリング
両端の開閉ツマミが無い、極めてシンプルなリング
開閉は1輪1輪、手でおこなう。
開閉は1輪1輪、手でおこなう。
そのシンプルさゆえに凸凹がなく、これを使えばリング綴じの本がすぐに製本できる。
ホルダーのように厚みを取らず、好きな枚数をはさめる。便利。
ホルダーのように厚みを取らず、好きな枚数をはさめる。便利。
最近、これを使ってカレンダーが作れることに気づき、今週のひとこと入りカレンダーなどを自作して、職場で使っている。
好きな長さに切って使えるので、A4二枚タテ綴じも可能。
好きな長さに切って使えるので、A4二枚タテ綴じも可能。
この道具にはさらなる可能性を感じる。厚紙とルーズリングで巨大模型も作れるなと夢想している。
そうなるとリングの開閉の手間だが、一度にリングを開閉できるルーズリングファスナーという専用道具が別売である。
もちろん僕は持っているが、同僚に「マイナーすぎるにもほどがある道具ですね……」とあきれられている。
人類が滅亡したら、確実に用途不明になる道具。
人類が滅亡したら、確実に用途不明になる道具。

長年の夢だった、自作のルーズリーフシート

このようにルーズリーフを愛し続けている僕だが、宿年の願望があった。それは自作のルーズリーフシートを印刷屋に注文することである。
この機会にはなかなか恵まれず、2013年を迎えてしまったのだが、今年とうとうその機会は来た。
野球のスコア用紙。
野球のスコア用紙。
以前、記事にも書いたが、ぼくは不思議な経緯で高校生の野球大会の責任者になってしまい、スコアブックの用意も仕事になっている。
ならば、思い切ってわがままに宿年の夢を実現しよう、ということでスコアブックをA4のルーズリーフホルダーに指定して、印刷会社にルーズリーフの自作スコア用紙2000枚を発注してしまった。

そして到着したのがこれである。
だだーん!宿願の自作ルーズリーフシート、2000枚到着!
だだーん!宿願の自作ルーズリーフシート、2000枚到着!
0.18mm最厚口上質紙、濃紺の罫線。枠線デザインは全てエクセルによる僕の手作り!
0.18mm最厚口上質紙、濃紺の罫線。枠線デザインは全てエクセルによる僕の手作り!
自慢したいので、大きく載せた。
何度見てもうっとりする出来である。日本で最高の出来じゃないだろうか。
印刷屋さんにどうやって穴を開けたのか聞くと、工場に間隔を指定して穿孔できるドリルがあり、それで一気にあけるのだそうだ。
宿年の願いを果たした僕の次なる夢は、印刷工場に行ってそのドリルを見学することである。

ルーズリーフの40年後はいかに。

勢い込んで2000枚注文したスコア用紙だが、1年間に使うのは50枚ぐらいなので、向こう40年間は持つ計算である。
40年後、ルーズリーフはビジネスの主流になっているだろうか。それともワープロの感熱紙みたいな扱いを受けているだろうか。
前者になったあかつきには、社会人のルーズリーフマナーの第一人者として指導講演会に呼ばれ、今日まともなことを書いてしまった分、適当なマナーを好き放題に決めてしゃべり、新社会人を混乱に陥れてやりたい。
用が済んだらすぐスキャンできるのもいいところ。
用が済んだらすぐスキャンできるのもいいところ。
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