特集 2013年8月4日

風発生器と風発生カーディガンを作りました

お手製の風発生装置たち。
お手製の風発生装置たち。
夏の暑さを少しでも緩和できないものかと、前回シマウマの暑さ対策を試みたのですが、思うような結果は出ませんでした。

失敗の原因を考えてみたところ、『色くらいではそこまで温度に変化が起こらないのではないか』という結論に至ったので、今回はもっとはっきりと温度の差が表れるもので実験してみようと思います。
これで、今度こそ夏の暑さ対策はばっちりのはずです!
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


前の記事:シマウマ的納涼法で夏を乗り切りたい


身近な素材で作る風発生器。

風は気圧の変化で発生します。
空気が詰まった高気圧から空気の薄い低気圧へと空気が流れることで風が起こるのです。
高気圧に押し込められた空気が、広々した低気圧へ逃げていくことで風が起きます。
高気圧に押し込められた空気が、広々した低気圧へ逃げていくことで風が起きます。
温度差によって風が発生するのは、空気には暖められると上昇、冷やされると下降する性質があるため、暖められた空気が上昇して空気が薄くなったところに周囲の冷たい空気が入り込んでくるからです。
そんな情報を踏まえ、こんなものを作ってみました。名付けて『風発生器』です。
カイロと保冷剤の寒暖差を利用した風発生器。
カイロと保冷剤の寒暖差を利用した風発生器。
カイロも保冷剤も、どこのご家庭にも一つや二つはある身近なものだと思います。特殊な材料を使わずに実験出来るのが、この風発生器のいいところです。

ただ、このままだと外気の影響を受けてしまいますし、風が吹いてもよく分からないですよね。
そこで登場するのがこちら、風発生観測器。
段ボールの側面にセロハンを貼った観測器。
段ボールの側面にセロハンを貼った観測器。
この観測器は側面がセロハン貼りになっているので箱を閉めきっても中の様子が分かります。また、観測器の上部にはティッシュを細く切った風感知器を取り付けました。
これで、外気の影響を受けずに風を観測することが出来ます。わぁ便利。
理論上は完璧(私の頭の中では)。
理論上は完璧(私の頭の中では)。

風観測器の限界。

もしかしたら皆さんの予想通りなのかもしれませんが、結果を先に申しあげましょう。
実験開始後1時間の風発生観測器。
実験開始後1時間の風発生観測器。
分かりませんでした。
風の発生を待つ間に退屈を持て余して漫画とか読んでしまっていたので、その間に揺れていた可能性もありますが、はっきりと分かるほどのビッグハリケーンが起こらなかったことは確かです。

そこで、風発生器に改良を加えました。
温度差が足りなかったのかもしれないのでカイロと保冷剤の量を増やし、私が感知器の揺れを見逃した恐れもあるので、感知器の形状も変えました。
紐状から紙吹雪のような形に変更したので、揺れている現場を目撃しなくても零れ落ちたティッシュを見れば風が発生したことが分かる仕組みとなっています。
風発生器・改。
風発生器・改。
そんな改良を加えた後の風発生器、2時間後の姿を見てみましょう。
変化なし。
変化なし。
もしかしたらティッシュを吹き飛ばす力もない微弱な風が吹いていたかもしれませんが、少なくとも感知器が作動した様子はありません。
観測器では一定の強さがない風は観測できない、という弱点を露呈する結果となってしまいました。そもそも風が発生したのかどうかも分かっていませんが。

風を五感で感じよう。

頼っていては気付かないこともあります。
そこで、五感のすべてを活用して風を感じられるようにと作ったのがこちらです。
風発生カーディガン。
風発生カーディガン。
カイロと保冷剤を付けたカーディガンを身にまとうことで、発生する微弱な風も五感で感じ取ることができるという寸法です。
このカーディガンを着て、さっそく夏空の下へ飛び出したいと思います。
この夏のマストアイテム、風発生カーディガン!
この夏のマストアイテム、風発生カーディガン!
何か微妙にポーズ取っててイラっとした方もいらっしゃるかもしれませんが、私も改めて写真を見てイラっとしています。

言い訳させていただくと、前回の手作りシマシマ服を着た写真についてWebマスターの林さんにこう言われたのです。
「なんかしょんぼりしててかわいそうな感じ」
と。
今回はかわいそうだと思われないため、自信満々にポーズを決めてみました。

理論上はこれで涼しくなるはずだったのですが、実際に着てみないと分からないことってありますよね。
このカーディガン、保冷剤のせいですごく重いんです。保冷剤自身が重さに耐えかねて、カーディガンから剥がれ落ちていくほどです。
涼しさを感じる余裕などなく、着ているだけで肩が凝りそうでした。
保冷剤が重さに耐えかね、風発生カーディガンは崩壊しました。
保冷剤が重さに耐えかね、風発生カーディガンは崩壊しました。
敢えて言うなら、崩壊した右半身よりもまだ原型を保っている左半身の方が涼しかったです。これは風が発生している可能性を示しているのではないでしょうか。

しかし、保冷剤がほぼ取れてしまった右半身に対して、左半身は辛うじて保冷剤が残っていたので、涼しさの原因は保冷剤のダイレクトな冷たさだった可能性も否めません。
そんなひどい状態でも、モデル立ちで自信満々!
そんなひどい状態でも、モデル立ちで自信満々!
何故なら読モ風メイクだから!!
何故なら読モ風メイクだから!!
そう、お気付きになったか分かりませんが、雑誌を参考に読者モデル風メイクにしていたのです。
読モくらい可愛ければ自信満々に振る舞えるはずだし、読モならばどんな変な服を着ていてもオシャレに見えるはず、という緻密な計算です。
もう「しょんぼりしててかわいそう」だなんて言わせない!

その結果、いい年した大人が若者ぶった化粧で浮かれた写真を撮るという一層かわいそうな状況となり、これをご近所さんにでも見られたら…と思うと背筋が凍る思いです。
そういった意味で、今回の実験で涼しさが得られたと言えなくもありません。

実験のまとめ

・ティッシュは意外と重いので、微弱な風くらいだとビクともしない。
・そもそもカイロと保冷剤で風が起きるのかも定かではない。
・保冷剤は超重い。
・つけまつげの装着が難しすぎる。
・カラーコンタクトを入れたら印象変わるけど若干キモくなる。
・調子に乗って自分撮りをしているところを知り合いに見られたら…という緊張感が涼しさをもたらすこともある。
Before 地味です。
Before 地味です。
After このドヤ顔、殴ってやりたい
After このドヤ顔、殴ってやりたい
もはや、風の発生とか一切関係ないですね。

今後は冷房に頼ります

私は冷房に当たりすぎると手足に蕁麻疹が出る体質で、自然の力を利用した暑さ対策は無いものかと今まで模索してきました。
ですが、自然の力を生かす術を求めるのは、果たしていいことなのでしょうか。

ギャル系雑誌の読モのメイク術を見ていたら、皆すごいんですよ。
例えば一重まぶたの人ならば、『もともとの一重を生かした涼しげなメイク』と耳触りのいい言葉で諦めてしまうこともなく、使える道具は何でも使い、技術の粋を凝らして、どうにかして二重まぶたを作り上げるんです。
自分の本来のパーツを生かすよりも理想の顔になるために高度な技術を身に付ける読モの努力を見ていたら、自然の力を生かすとか身近な材料を使うとかどうでもよくなってきました。
これからは、蕁麻疹が出ない程度に冷房を活用していきたいと思います。
読モではなく毒グモ(これはセアカゴケグモ)風メイク、という案もありました。
読モではなく毒グモ(セアカゴケグモ)風メイク、という案もありました。
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