特集 2013年8月10日

ゴーストタウンと噂の松江テムズタウンに行った

中国のアートはこういうのを期待するけど、それだけではないのだ。
中国のアートはこういうのを期待するけど、それだけではないのだ。
松江テムズタウンというところがある。島根を走る一畑電車の駅で「松江イングリッシュガーデン前」駅とか「松江フォーゲルパーク」駅という長い駅があるが、それではない。上海の郊外にある「松江(ソンジャン)」という街にある住宅地だ。

なんでも名前の通り住宅団地をまるごとイギリス風にしたところだそうで、住宅開発がブームとなったとき、上海郊外の松江に作られたそうだが、誰も住まないのか人っ気がなくてゴーストタウンのようになっていて、有名になっているのだとか。うーん、バブルだ。

どんなところか実際に確かめに見に行ってみた。
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:行きたくなる上海マニアック博物館巡り

> 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ

住宅地で観光地。かつゴーストタウン

道路標識によればテムズタウンは観光地でもあるらしい。が、まず暑い
道路標識によればテムズタウンは観光地でもあるらしい。が、まず暑い
今年上海は記録的な暑さらしい。毎日40度近く上がり、体感でも日本よりはっきりと暑い。上海というと未来的な建物が建っているけれど、松江テムズタウンを通るバスに乗って、郊外の松江の車窓を見れば、だだっぴろい土地に住宅団地や学校や企業が点々とあるだけだった。このだだっ広く、猛暑の中で歩く人は2人しか見なかった。
入るなり利用者無く置かれる乗り物に場末感を感じる
入るなり利用者無く置かれる乗り物に場末感を感じる
確かに道路に人気(ひとけ)はまったくないのだが、ゴーストタウンかというとそうでもなく、カーテンがかかる窓や、洗濯物などから、生活感は感じる。何より駐車場に車は結構ある。ゴーストタウンではないけれど、それにしても他の中国の住宅団地はもう少し歩く人を見かけるので、なんかおかしいと言えなくもない。
英国風の街。…なんだけれど誰もいない
英国風の街。…なんだけれど誰もいない
しばらく歩いていったら商店街っぽいところにきた。華はあるけど人はいない
しばらく歩いていったら商店街っぽいところにきた。華はあるけど人はいない
トイレのためにオープンになっている英国風建物内。エスカレーターは稼働していない
トイレのためにオープンになっている英国風建物内。エスカレーターは稼働していない

西洋=イギリスというアバウトさ

街は確かにイギリスっぽい。イギリスでゆっくり住宅地の景色を見たことがないけど、きっとイギリスの住宅地に近いものだろう。ところが数少ない店や看板があんまりイギリスではないのだ。
英国系住宅地の珈琲屋「PARIS BOHEME」
英国系住宅地の珈琲屋「PARIS BOHEME」
星条旗はイギリスではない。白宮「ホワイトハウス」もイギリスではない
星条旗はイギリスではない。白宮「ホワイトハウス」もイギリスではない
ウクライナチョコレートとある。イギリスの概念は旧ソ連まで飛躍する
ウクライナチョコレートとある。イギリスの概念は旧ソ連まで飛躍する
あくまで市民目線で地元中国風店舗を開き続ける店もある
あくまで市民目線で地元中国風店舗を開き続ける店もある
そういえば別の中国の都市にあった日本風住宅地は、すごく大ざっぱにいえば日本風だけど、間取りがおかしいなど、かなりズレている日本風住宅が並んでいて、目抜き通りは日本風の家の1階が中華料理の食堂や商店になっていた。そう考えるとたぶんここ松江テムズタウンもすごく大ざっぱに言えばイギリスなのだろう。
台湾風喫茶店で暑さから避難してるとウェディングドレス姿の女性とカメラマン登場
台湾風喫茶店で暑さから避難してるとウェディングドレス姿の女性とカメラマン登場

商売上手で質素な中国人

松江テムズタウンに案外人がいた。住民でもなければ観光客でもなかった。結婚写真を撮りに来た人々や、結婚写真を撮影するサービスの人々だった。

そういえば商店街に商店やレストランのほか、結婚撮影関係の店が目立っていた。

ゴーストタウンとなろうとも、タダでは転ばない。中国人は商売上手である。
住宅地の中心の教会は人気の撮影スポット。中もしっかり教会だった
住宅地の中心の教会は人気の撮影スポット。中もしっかり教会だった
人気の通りは右を見ても左を見てもラブラブ夫婦と撮影部隊だらけ
人気の通りは右を見ても左を見てもラブラブ夫婦と撮影部隊だらけ
初音ミクもいた。コスプレイヤーがイメージ写真を撮るにもいいところかもしれない
初音ミクもいた。コスプレイヤーがイメージ写真を撮るにもいいところかもしれない
中国人女性、特に上海人女性は相手を高望みしていて、かなりの高所得な男性を選ぼうとしていると聞く。またわがままで買い物をしまくると聞く。

一方で上海人しか知らないような松江テムズタウンなるゴーストタウンのような住宅地に無料で入り、記録的な暑さの中、ウェディング姿に着飾って、結婚写真を撮ろうとする幸せいっぱいの夫婦もいる。「いいじゃない、作った街でも綺麗に撮れれば」そんな会話がされたのだろうか。

一組のカップルは中年の夫婦だった。ひょっとしたら銀婚式の記念だったのだろうか。カップルどころか撮影部隊まで質素で、幸せそうで、むしろ楽しそうでとても羨ましく思えた。こういう中年になりたい。
微笑ましさに心うたれた
微笑ましさに心うたれた
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