特集 2013年9月11日

都庁の隙間に顔を挟みたい

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都庁に頭を挟みたい。

いきなり謎の発言してすみません。 だが、隙間があったらそこになにか入れてみたくなる衝動は、誰にでもあるはず。

都庁のツインタワーの間も、かなり広いが隙間と言えるだろう。 だから、あの間になにかを挟んでみたい、もしくは挟まれたい。 そういう欲求が生まれても自然なことだと思うのだ。

でも実際にするのはムリだ。なら都庁の方を小さくして実現しよう。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

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魅惑の隙間

働き先が西新宿なため都庁をほぼ毎日見ていた。 最初は「でっかいなー」ぐらいの感想しかなかったけど、 何度も見ているうちにサイズ感覚が麻痺してきたのか、ツインタワーの間のスペースを「隙間」と認識するようになっていた。
間がスカスカじゃないですか!
間がスカスカじゃないですか!
そうなると、あのツインタワーの隙間になにか物を入れたい、挟みたいという欲求が 雪だるま式に膨らんでいく。

なにを挟みたいか、まず頭に浮かんだのは手だった。
「スッ」
「スッ」
うん、しっくりくる。 これで都庁の間に赤外線認識みたいなのがあって、 手を通すと「ピッ」と鳴ったらもっとステキだ。なにも識別してなくていいから。

手の想像で満足すると、次に浮かんだのはウインナーだった。
ウインナー置き場としての都庁。
ウインナー置き場としての都庁。
飛来したウインナーが通り抜けるのも良い。
飛来したウインナーが通り抜けるのも良い。
「隙間を埋めたすっきり感&おいしそう」の二刀流。これもかなりいい。

ただどうしても全ての隙間をぴったり埋めることが出来てないのが気になる。 もっと全部の隙間を埋められて、かつ自分自身もちょっと楽しいものがいい。
これだ!
これだ!
左右をガードするツインタワー、あごを載せてくださいと言わんばかりの中央部分。 都庁は顔置き場と言っていい程のしっくり具合。映画シャイニングのドアから顔を出すジャックニコルソン風でもある。

CGの合成でもかなりスッキリする気持ちよさ。 これは実際にやってみると相当に楽しいだろう。

顔挟み都庁プロジェクト

ということで顔サイズの都庁を作って挟まりたい。

しかしそういった衝動のままなにも考えず作りだして、結果的にゴミを生み出す失敗は何度も経験している。

ただでさえ伝わりにくいことをしようとしてるのに、そんなことになったらどうしようもない。計画的に作っていかねば。
まずモデルを作った。
まずモデルを作った。
ビルを建てるときに小さな模型を作って色々確かめたりするだろう。 それと同じようにまず3Dで都庁を作り、どのように作っていけばいいか検証してみよう。
顔モデルを隙間に当ててみる。
顔モデルを隙間に当ててみる。
あ、入らない…。
あ、入らない…。

そのままの比率だと入らない

ほぼ実寸の頭サイズで作った自分の顔モデルを、高さ30cmぐらいにした都庁モデルに当ててみたところ、ちっとも顔が入らないことが分かった。

これを解消するには超小顔になるか、作る都庁のサイズをかなり大きくしないといけない。 それはどっちも難しい。

悩んだ結果、都庁をこうすることにした。
横長都庁。
横長都庁。
これなら顔が入る。
これなら顔が入る。
都庁と言うよりどこか地方都市の駅にも見えるが、 こうすることで顔は入るようになった。 とりあえず都庁のツインタワーに挟まれてみたいのが主目的なので、 本来の都庁の形から多少離れても構わない。
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ダンボール積み重ね法

さてこの3Dで作った都庁をどうやって立体にするか。 予算と相談した結果いつものようにダンボールで作ることにした。

でもダンボール工作はきっちり作らないとゴミっぽさが半端ないことになる。 そこでここは、123D MAKEというハイテクソフトの力を借りよう。
3Dデータを123D MAKEというソフトに読み込む。
3Dデータを123D MAKEというソフトに読み込む。
このソフトは簡単に言うと、3Dモデルをダンボールとかで組み立てられるようにバラしたデータを自動で計算してくれるもの。フリーなので興味のある人は検索してみてください。

これでカットする方向やサイズをあれこれ入力すると、 こんなふうにどう作ればいいかも見せてくれる。
これが、
これが、
こうなって、
こうなって、
こうなる。
こうなる。
様々な組み立て方法を指定することが出来るのだが、 試した中で最も形の再現率がいい、この積み重ね法を採用することにした。

後はこのパーツをプリントしてダンボールに貼り、それを切り抜いて 同じように積み重ねれば完璧だ。ハイテクすごい。

さっそくパーツをプリントして切りだそう、としたら、あまりの数の多さにギョッとした。
多い!
多い!
多い!(2回目)
多い!(2回目)
なるべく少ない数で再現出来る方法を選んだつもりだったが、それでもA3用紙5枚に120パーツという数。これを厚さ5mmのダンボールにカットしていくのだから相当大変だ。
大変でした。
大変でした。
大変過ぎて、カットしてる途中の写真とか一切撮ってなかった。 3日間で合計14時間ぐらい。

とはいえ、めんどくさいなー(1日目)→めんどくさいなー(2日目)→あ、やんないとヤバイ!(3日目)の流れだったので、実質1日だけでやったようなものだ。エライ!
がんばりましたアピールに余念がありません。
がんばりましたアピールに余念がありません。
ミルフィーユのように積み重ねていく。
ミルフィーユのように積み重ねていく。
積み重ねの失敗により、微妙にS字を描く近未来都庁。
積み重ねの失敗により、微妙にS字を描く近未来都庁。
CG通りのものはとりあえず出来た。
CG通りのものはとりあえず出来た。
よし一応イメージ通りの形にはなっている。 しかしこれだけではちっとも都庁に見えないので、表面に都庁の写真を貼って より都庁感を高めたい。
表面に貼る写真を用意。
表面に貼る写真を用意。
切り取って場所ごとに貼り付けていく。
切り取って場所ごとに貼り付けていく。
しかし表面がガタガタでキレイに貼れない。
しかし表面がガタガタでキレイに貼れない。
ゴミっぽくなってきた。マズイ!
ゴミっぽくなってきた。マズイ!
ダンボールをカットするのと積み重ねていくのを完全手作業でやったため、 均一な表面が一切ない都庁に仕上がってる。

その結果、写真がフニャフニャにしか張り付かなくって、すごくゴミっぽい。 数十時間かけてゴミを生み出すのだけはいやだ。なんとかして解決策を見つけないと。

でもここまでくるともうやれることもないので、遠くから見ることにしました。
解決策:遠くから見る
解決策:遠くから見る
これなら大丈夫。なにも問題はない。
近くで見ちゃダメ!
近くで見ちゃダメ!
正面からもダメ!
正面からもダメ!
全体的な見た目に関しては、都庁かと言われるとやっぱり地方都市の駅と駅隣接ビルみたいに見えなくもない。

とはいえツインタワーに顔を挟むのが目指してたことなので、 普通の形の都庁を作ってもこのサイズでは鼻がちょっと出るぐらいだろうから、今回はこれで良しとしたい。

でも鼻だけ挟まれるのもそれはそれでおもしろいから次回やろう。
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ダンボール都庁の通過力

頭を挟む前に、冒頭で例として出した手とウインナーを入れてみよう。
余裕で通る。
余裕で通る。
ウインナーは袋ごと通る。
ウインナーは袋ごと通る。
顔を挟むように広くしたので余裕で通る。 本物の都庁でやろうとしても、こうはいかないだろう(捕まるから)。

しかし隙間を通してる感じは皆無なので、想像してたような気持ちよさはない。 やっぱり早く顔を挟んでみたい!
都庁に挟まれる都庁。
都庁に挟まれる都庁。
ということで顔を挟むために都庁近くの公園に来た。

顔を挟むのにそんなところに来る必要は一切ないんだけど、 部屋で一人でソッと顔を挟むのはかなりの確率でかなしい絵になりそうだからだ。
ミニ都庁も気持ちよさそう。
ミニ都庁も気持ちよさそう。
近くで見ない!
近くで見ない!
しかし持ってくる段階で曲がったため、遠くから見てももうダメだ。
しかし持ってくる段階で曲がったため、遠くから見てももうダメだ。

顔挟みます

遂にここまでの苦労が報われるときが来た。 都庁に挟まれるという長年の夢を叶える時である。
緊張する。
緊張する。
…。
…。
…なるほど。
…なるほど。

がんばらなくてもいいんだよ

基本的には満足してる。

ただ作る段階でがんばりすぎて、苦労した分のハードルが高くなりすぎてた。 作った苦労に対して「これだけ!?」感は否めない。 まさに求めてたことを求めたとおりにやったのに、なまじがんばって作ってしまったので、 結果にものすごい期待をしてる自分がいた。

しかし都庁に顔を挟めたいという欲求には疑いがないから、東京ドームに五万人集めて顔を挟めば、作った苦労に対して満足感を得られたかもしれない。
鼻だけ挟まれる想像も魅力的。
鼻だけ挟まれる想像も魅力的。
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