チャレンジの日曜日 2013年9月15日
 

ドーナツの本質とは穴である

ドーナツの中心にはいつも穴がある。
ドーナツの中心にはいつも穴がある。
私はドーナツが好きでして、味はもちろんのこと、その造形がとても好きです。
端的にいえば、穴が好きです。
というような話を突然しても意味が分からないと思いますが、考えてみてください。
中心市街地の人口分布が空洞化し郊外の人口が増加する『ドーナツ化現象』も、健康志向が生み出した負の遺産『焼きドーナツ』や生○○ブームの後追いである『生ドーナツ』も、すべてドーナツに穴が空いていなければ成立しません。
ドーナツに穴がなかったら、都市部から郊外への人口移動現象はバームクーヘン化現象だったかもしれないし、焼きドーナツはマドレーヌやフィナンシェのアレンジに過ぎず、生ドーナツはただのババロアではありませんか。
つまり、ドーナツとは穴のことなのです。
1980年北海道生まれ。 気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。

ドーナツの穴とは、辞書的な意味での穴ではない

ここでひとつ、私の考えるドーナツの穴の範囲について説明させていただきます。
例に使うのは、ドーナッツプラント・ベーカリードーナツ『バニラビーンズ』
例に使うのは、ドーナッツプラント・ベーカリードーナツ『バニラビーンズ』
本来の意味でいうと穴とは真ん中にぽっかり空いた空洞、何もない部分のことですが、私にとってのドーナツの穴とは穴を形作る壁面のことであり、穴を中心とした周辺のことであり、穴からのぞくお皿の模様でもある、もっと包括的な概念なのです。

言葉だけで説明すると分かりにくいので、図で表してみましょう。
おそらく、この世の大多数にとっての『穴』はこんな感じだと思います。
本来の意味での『穴』。(赤い丸部分)
本来の意味での『穴』。(赤い丸部分)
それに対して、私のPCの『ドーナツ(穴)』フォルダに入っている画像は以下のようなものです。
これは穴の写真。 
これは穴の写真。 
これも穴。
これも穴。
もちろん穴。 
もちろん穴。 
これだって穴。
これだって穴。
この美しい穴を前にして、ただの空洞だなんて思えるでしょうか。いえ、そうは思えない(反語)。
こんなにきれいな穴なのに、食べてなくなっちゃうなんてもったいない!この美しさ、この瞬間を切り取って残しておきたい!
と、20代の美しいうちにヌード写真を撮影しようと決意する美意識の高い一般人女性のように、誰に頼まれたわけでもなく写真に残すようになりました。
いわばドーナツの穴専門フォトグラファーですが、世間的にはドーナツよりヌードの方がまだ需要があるんでしょうね。まったく世も末だよ。

穴からあふれ出る個性

ドーナツの味や食感がお店や種類によって違うように、穴のかたちもそれぞれ違います。
その個性を楽しみ、違いを見分けるのもドーナツ好きのたしなみのひとつ。
それでは、さっそくですがここでクイズ!次のドーナツのうち、クリスピークリームドーナツのオリジナルグレーズドはどちらでしょうか?
1番、なめらかな穴とつやのあるグレーズのコーティングが美しい。
1番、なめらかな穴とつやのあるグレーズのコーティングが美しい。
2番、きれいな円を描く深みのある穴がかわいらしい。
2番、きれいな円を描く深みのある穴がかわいらしい。
ちょっと簡単すぎましたね。
正解は、もちろん1番。2番はミスタードーナツのハニーディップです。
フィーリングで分かるようなことをくどくど説明するのも無粋かとは思いますが、一応簡単な見分け方を説明させていただきます。
オリジナルグレーズド。
オリジナルグレーズド。
ハニーディップ。
ハニーディップ。
油に投入して揚げるという製品の性質上、形が崩れることもありすべてがそうだとも言えませんが、このあたりに着目すると、キング・オブ・混同されがちドーナツであるオリジナルグレーズドとハニーディップの区別が付きやすいと思います。
他にも、オリジナルグレーズドの方が生地に対する穴の比率が高め、ハニーディップは表面に網目模様が付いていると言った違いもありますね。
まぁ穴で区別なんてつけなくても、ドーナツなんだから食べて確かめればいいんですけどね。

昔懐かし系ドーナツの二大穴系統。

ふわっと軽いイースト系ドーナツも魅力的ですが、しっとりした食感のケーキドーナツも捨てがたい。
ケーキ系ドーナツは『昔懐かしい』とひとくくりにされる傾向にありますが、イースト系以上に穴にバリエーションがあるのです。
多岐にわたる穴の形状ですが、敢えて分けるとすると「キレイめ」と「ナチュラル系」に分類できます。

ドーナツの穴でキレイめってどういうことだよ、と思われるでしょうが、こういうことです。
シンプルなキレイめスタイル。
シンプルなキレイめスタイル。
こういうタイプ、袋入りに多いです。
こういうタイプ、袋入りに多いです。
コーティングされてもきれい。
コーティングされてもきれい。
薄いピンクが生地に馴染んできれい!
薄いピンクが生地に馴染んできれい!
ナチュラル系はこういう感じです。
大阪で食べたシナモンドーナツ。
大阪で食べたシナモンドーナツ。
えぐれたような独特の形状
えぐれたような独特の形状
キレイめが形がある程度整っていて広く開いた開放的なタイプなのに対し、ナチュラル系は少し形が崩れていて小さめであることが多いです。
完成された美しさのあるキレイめと、手作り感あふれるかわいらしいナチュラル系といった雰囲気でしょうか。
キレイめもナチュラルも両方手軽に楽しみたい!、そんな欲張りなあなたにお勧めしたいのがおからドーナツです。
例えば、おからドーナツ最大手・はらドーナッツの場合。
つるっときれいな穴もいい。
つるっときれいな穴もいい。
不思議なかたちでこれもかわいい。
不思議なかたちでこれもかわいい。
一番人気のプレーンタイプ・はらドーナッツ(左)、そこに優しい甘みが加わったサトウキビ(右)のふたつを購入しましたが、同じお店のドーナツでもこんなに穴の個性が違うんです。
対面式のお店なのでどれが来るかは店員さんと運次第ですが、それもお楽しみ要素でドキドキ感を味わえるのもいいですよね。
はらドーナッツに限らず、おからドーナツはキレイめとナチュラルが混在する傾向にありますので、穴の好みが分かれる人たちへのお土産にもぴったり!
凹凸があると撮りがいがあって燃えます。
凹凸があると撮りがいがあって燃えます。

スーパー・ベスト・オブ・ドーナツの穴。

この世にいろんなタイプのドーナツの穴があることは、もう十分にお分かりいただけたことでしょうから、ここからは私のイチオシドーナツ穴をご紹介していきます。
力強さと雄大さを感じさせる、ーナツ界のレッドクリフ!
シックな色合い・ショコラファッション。
シックな色合い・ショコラファッション。
見るだけでさっくりとした食感が伝わってきそうな、ところどころにヒビの入った姿はまるで切り立った崖のよう。
こんな雄大な光景がドーナツで広がっているだなんて、誰が考えるでしょうか。
このショコラファッション、かつてミスタードーナツで期間限定ドーナツとして販売されていたもので現在は販売されていないのですが、この穴をもう鑑賞できないというのは人類にとって大きな損失です。
今すぐ冬あたりの発売を視野に入れ、商品開発に取り組んでいただきたいものです。
純粋に穴の良さを楽しめる、さりげなくかわいい奇跡の一枚☆
たしか、今はなき『Neyn』のナチュール。
たしか、今はなき『Neyn』のナチュール。
特に何の説明もなく穴フォルダに放り込まれていましたが、おそらくこれは2011年8月に惜しまれながらも閉店した赤坂の名店・Neynのナチュールだと思います。
非常にシンプルな、何のコーティングもされていないドーナツです。
何がいいってこれ、目を細めればハート型に見えるじゃありませんか。
無駄に撮り続けていると、こういう偶然の産物に出くわすことが出来るのです。継続は力なり、とはよく言ったものですね。
ハートに見えねえよ、という方は、目を酷使して視力を落とすか、寝不足や疲れなどで判断力が低下している時にまた読んでください。
穴を語る上でこれは外せない、ドーナツ界のフォトジェニック賞。
まるで洞窟のような奥行きを感じさせます。
まるで洞窟のような奥行きを感じさせます。
今までことあるごとにフレンチクルーラーが好きだと言って生きてきましたが、フレンチクルーラーは美味しいのみならず、この独特の形が可愛いんです。
そして、独特の形から生み出される穴の魅力的なことよ。
グレーズと相まって、鍾乳洞のような雰囲気。
グレーズと相まって、鍾乳洞のような雰囲気。
穴から覗くロゴマークも素敵。
穴から覗くロゴマークも素敵。
穴底から仰ぎ見た月、をイメージ。
穴底から仰ぎ見た月、をイメージ。
もしも私が織田裕二だったら、ミスド店内だろうが構わずにこう叫んでいることでしょう。
地球に生まれてよかった、と。
上手いこと言ったつもりになりかけましたが、全然うまいこと言えてません。

このように撮る角度によって表情を変えるドーナツの穴は、どんなに撮っても撮り飽きることがありません。
食べておいしい、撮って楽しい、ドーナツはまさに最高の娯楽です。
その楽しさを作り出す穴こそ、ドーナツの神髄。
これからもドーナツフォトグラファーとして、たくさんのドーナツを撮り続けていきたいと思います。
ただ、食べる前に延々写真を撮り続ける私にキレた友人から
「ドーナツ1個につき、写真は5枚までにしてもらえる?」
と言われてしまったので、人と一緒の時は少し控え目にしていく所存です。

ドーナツの数だけロマンがあります

今回はわりとシンプルなタイプを中心に、形の面白さや生地の質感が生み出す奥深さについてお伝えしましたが、デコレーションが施されたタイプにおけるチョコレートやナッツ、フルーツが織り成す華やかな美しさにも心躍るものがあります。
ドーナツの数だけ存在する小宇宙(と書いてコスモと読む)、それが穴。
今までドーナツの穴なんて気にしていなかったという方も、食べる前に少しだけ穴を眺めてみてください。
もともとドーナツの穴が好きだった方は、是非あなたのお勧めドーナツを私にも教えてください。

もちろん穴になんてまったく興味が湧かないという場合は、ただ美味しく召し上がっていただければそれでいいんです。だって、ドーナツって食べ物ですもんね。
そんな私ですが、家ではあんドーナツ派ということになっています。
そんな私ですが、家ではあんドーナツ派ということになっています。
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