特集 2013年10月17日

台風でスナック菓子はすこし膨らむ

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スナック菓子を気圧の低いところに持っていくと膨らむ。飛行機に持ち込んだポテトチップの袋がパツンパツンになった経験がある人もいるだろう。標高が高い店でも同じ現象が起こる。(「標高100mと1000mのローソンをめぐる冒険」)。

袋のなかよりも外の気圧が低くなることが原因である。では低気圧が来たら家でも同じことは起こるのだろうか。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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さきに動画をどうぞ

結論から言ってしまうと、昨日(2013年10月16日)の台風26号で試してみたところ、ほんの少しだがポテトチップの袋は膨らんだのだ。
2013/10/15 22:00~2013/10/16 22:00の24時間を49秒に
UMA出現のように赤丸がついているところが変化している部分である(予想以上にかすかな変化でしょう)。
気圧の低下にともなってうすしお味の「お」の部分のへこみがなくなり(膨らんだ)、気圧が上昇に転じるとふたたびへこんでいる(しぼんでいる)。

途中からあらわれるバーベキュースナックも気圧上昇にともなって右上にへこみがあらわれる。
拡大写真がこれ。
気圧が下がったらへこんでいた「お」が出っぱった
気圧が下がったらへこんでいた「お」が出っぱった
気圧が上昇したら「キュー」の上がしわしわに
気圧が上昇したら「キュー」の上がしわしわに
いま僕が東京でいちばんポテトチップの袋のしわに興奮している男である。順序が逆になるが、僕がポテトチップのしわを凝視するまでの過程を説明したい。

それではおととい、10月15日の夜に時計の針を戻そう(なんかかっこいい書きかた!)。

2013年10月15日 夜) 1分ごとに撮影しはじめる

台風26号が接近しつつある2013年10月15日22時、気圧の変化によって変わるかもしれないものを並べた。
実験のつもりがばかが考えた供えものみたいになった
実験のつもりがばかが考えた供えものみたいになった
これらをカメラで1分おきに撮影する。

パンとポテトチップ、風船は袋が膨らむかを観察するため。青い水が入った丸いガラスは晴雨計である。気圧によって右の管部分の水位が変わる。

ポテトチップの袋だけだと不安だったので気象予報士の増田さん(毎週月曜日にあと出し天気予報連載中)に確実に変わるものを教えてもらったのだ。
増田さんはCS放送の天気予報に1時間おきに出て台風情報を伝えていたがその合間を縫って教えてくれた。晴雨計がいい、と。
東急ハンズで売ってた
東急ハンズで売ってた
英語でBAROMETERである。よく「○○は景気のバロメーター」などというが、あのバロメーターって気圧計のことだったのだ。思ったより優雅なメーターだった。

上段右のはかりの上には湿気取りが乗っている。台風がくると湿度が増える→湿気取りが水を吸う→重くなる、という狙いである。ここだけ気圧関係ない。湿気取りの代わりに海苔を1束おく予定だったが湿気取りにした(海苔が湿気ってもったいないので)。
1分おきに自動で撮影する。任せたぞ。
1分おきに自動で撮影する。任せたぞ。

実験開始・みるみる下がる気圧

2013年10月15日22時、実験開始。この時点で台風26号は中心気圧は955hPa。1気圧が1013hPaなのでかなり低い。
2013/10/15 22:00 まだ台風は紀伊半島の南にいるのに1004.5hPa 2013/10/15 22:00 まだ台風は紀伊半島の南にいるのに1004.5hPa
2013/10/15 23:47 1001.5hPa 2013/10/15 23:47 1001.5hPa
2013/10/16 0:35 1000hPaを切る。 999.8hPa 2013/10/16 0:35 1000hPaを切る。 999.8hPa
3:07 990を切って989.9hPa 3:07 990を切って989.9hPa
5:51 ついに980hPaも切る! 5:51 ついに980hPaも切る!
いちばん低かったのが2013/10/16 7:11 976.9hPa いちばん低かったのが2013/10/16 7:11 976.9hPa
もし気温がこれほど変わっていたらすぐに気づくが、雨風で気をとられているうちに気圧は27.6hPaも下がっていたのだ。

標高が約8m上昇すると1hPa下がるというので、うちが220メートル上昇したのと同じ気圧である。東京タワー特別展望台(上にあるほう)と同じ高さに持ち上げられてしまった。いつのまに!

(気圧と標高は測る場所の標高によって変わるらしいけどここは小話なのでざっくりと)

変化は…わからない
変化は…わからない
すぐにメモリーカードをとりだして写真を比較したいが、このあと気圧があがっていくときの変化も見たいのでまだ我慢。
このタイミングで調べたいことがあるので近所のコンビニに向かった。
気圧を眺めながらコンビニへ
気圧を眺めながらコンビニへ

2013年10月16日 朝 )コンビニのスナックは膨らんでいるか

低気圧のコンビニでスナック菓子が膨らんでいるかどうかを見たかったのだ。
977.8hPaのコンビニ(高度に換算すると281.6m高いところにあるのと同じ。六本木ヒルズと同じ)
977.8hPaのコンビニ(高度に換算すると281.6m高いところにあるのと同じ。六本木ヒルズと同じ)
スナック菓子の棚を見て思った。
見たことないポテトチップがたくさんある
見たことないポテトチップがたくさんある
膨らんでいるかどうかは、分からない。ただひとつだけ、妙にパンパンのスナックがあった。
キミだ、僕が探していたのは
キミだ、僕が探していたのは
いちばん元気に膨らんでいたバーベキュースナックを買って帰った(陳列のしかたかもしれないという思いは封印して)。こんなに入って100円だし。

10月16日朝、台風の最接近は過ぎたのでこれから気圧が上がっていくだろう。このバーベキュースナックの袋がどう変化するかを見てみたい。いま気圧が低い状態で膨れているので、しぼんでいくはず。
お供え物に追加
お供え物に追加

ここで10月16日夜に戻る

という実験の結果が冒頭の動画である。だから途中でバーベキュースナックが追加されるているのだ。

晴雨計がいちばん派手に動いている。気圧計だから当然といえば当然だが水があふれそうになるほどだった。ティッシュでこより作って水を吸い取ろうとしたがやらなくてよかった。微速度撮影の動画に生活感出るところだった。
気圧が下がると水位が上がり、気圧が上がると水位が下がる
気圧が下がると右の管の部分の水位が上がり、気圧が上がると水位が下がる
湿気取りのはかりもわずかに針が動いていた。
24時間で約5g重くなってる
24時間で約5g重くなってる
実験してから言うが、これ台風だから5gなのかふだんでも湿気取りは1日でこれぐらい重くなるのかは不明。

風船とパンの袋の変化も不明。パンの袋は透明でよく分からない。風船も変化が分かるようにもようを描いておけばよかったかも。あと、パンは賞味期限が心配だ。

という解説をふまえてもういちど動画をどうぞ。
2013/10/15 22:00~2013/10/16 22:00の24時間を49秒に
台風のとき、家にあるポテトチップの袋はこっそり膨らんでいるのだ。
でもそれ気圧が原因じゃないかもよ、ということを知ってたらこっそり教えてください。

台風は家の外で雨風で暴れるだけじゃなくて、家のなかにもこっそりこんな変化を起こしていたのだ。むしろ逆で気圧が低くなっているから風が強くなるのか。

胃もスナックの袋のように膨らむから、空いたスペースを埋めるためにコロッケが食べたくなるのかもしれない。

うん、違うな。
実験終わったので気兼ねなく食べられる
実験終わったので気兼ねなく食べられる
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