特集 2013年10月23日

台湾のラーメンをサッポロ一番みそラーメンで再現できるか?

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今年の夏、台湾に旅行に行ったさい、お土産として現地の袋めんタイプのインスタントラーメンを何種類か買って帰った。

そのラーメンが意外とおいしかったので、日本の袋めんで再現する方法を考えてみた。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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うっかり食べてしまった

お土産として持ち帰った袋めん、実はうっかり食べてしまった。

食べてしまったあと「しまった!この袋めん、作り方も変だし、うまかったから記事にすればよかった」と後悔するも後の祭り。また今度台湾旅行に行った時にでも買って帰るか……と諦めかけていたとき、知人が台湾旅行に行くという。
じゃあついでに買ってきて! とお願いして買ってきてもらった。
実はアマチュア落語家でもある松本さんが出演する落語会が12月に行われます(http://sugiraku.com/)
実はアマチュア落語家でもある松本さんが出演する落語会が12月に行われます
台湾で袋めんを買ってきてくれた知人とは、先日、台湾のコアラのマーチを買ってきてくれた松本さんだ。

まずは松本さんと一緒に味見してみることにした。

作り方があやふや

ぼくが台湾で買ってきて、うっかり食べてしまったラーメンとは「維力 炸醤麺」という袋めんだ。炸醤麺とはジャージャー麺のことである。
「乾麺附湯一包兩吃」とある。中国語は全くわからないけれど、漢字から察するに「乾麺とスープ附、一袋で2度おいしい」といったところだろうか?
「乾麺附湯一包兩吃」とある。中国語は全くわからないけれど、漢字から察するに「乾麺とスープ附、一袋で2度おいしい」といったところだろうか?
この袋めん、台湾ではどこのコンビニに行っても売っていたので、かなりメジャーな袋めんだと思われる。

表のイラストがレトロな感じでかわいいのだが、お椀が2つあるのが気になる。そして裏の作り方を見てみるとさらに混乱する。
文字は意味がわからないので、作り方を絵だけで想像。
文字は意味がわからないので、作り方を絵だけで想像。
ジャージャー麺であるから、汁なし麵だということはわかる。しかし、麺をふやかしたお湯でスープを作っているイラストにビビってしまう。
スープ入りのお湯でふやかすか、ふやかしたお湯でスープを作るかでモメる
スープ入りのお湯でふやかすか、ふやかしたお湯でスープを作るかでモメる
日本人の感覚からすると、ペヤングやUFOでも、麺をふやかしたお湯は捨ててしまうのが普通だから、それでスープを作るというと、ちょっと意外に思いがちだ。

しかし、よく考えると北海道で売っている「やきそば弁当」は麺をふやかしたお湯でスープを作って飲むし、以前当サイトでもカップ焼きそばのお湯がうまいという記事もあった。

そういうものだと理解して調理にとりかかる。

3分で麺とスープができあがる

炸醤麺の袋を開け、中身を確認する。はるか台湾からやって来たためか、麺がじゃっかん欠けがちである。
中には炸醤麺のタレとスープの素、そして乾麺
中には炸醤麺のタレとスープの素、そして乾麺
3分待つ
3分待つ
麺を丼に入れ、お湯をそそいで3分まつ。ついスーパーカップの癖で炸醤麺のタレを蓋で温めてしまう。3分後、麺が柔らかくなったのを確かめたのち、別の丼に用意したスープの素を麺のお湯で溶かす。
別の丼にスープをつくる
別の丼にスープをつくる
スープができたら、今度は麺にタレをかけて完成。
なぜか袋がすでに脂で若干ヌルヌルである
なぜか袋がすでに脂で若干ヌルヌルである
完成!
完成!
あっという間にスープと炸醤麺ができてしまった。

袋ひとつから麺とスープというふたつの料理が3分でできあがった。「ラーメンを麺とスープに分けただけでは?」という気もしないでもないが、これが台湾の炸醤麺である。

エキゾチックな味わい

炸醤麺のタレが麺全体に行き渡るよう、よくかきまぜて二人でわけて麺を食べる。
炸醤麺のタレを麺によく混ぜる
炸醤麺のタレを麺によく混ぜる
あ、うまい
あ、うまい
なるほど、こういう感じか。という納得の味である。

日本のジャージャー麺ほど甘くはなく、ピリ辛みそ味というのが一番近いかもしれない。

みそ味の中の魚介風味の隠し味が、日本のそれとは違うんだぞというアイデンティティを感じさせる。

松本さんは「乾き物のおつまみでよく出てくる銀紙と金紙で包んであるあれの味」と言っていたが、わかるようでわからない微妙な例えに、つい鼻息が荒くなった。


スープの方はどうか。
黄金色のうまそうなスープ
黄金色のうまそうなスープ
スープは、ニンニク風味がぴりっと効いた鶏ガラスープである。ちょうど中華用のスープの素にガーリックを少しだけ溶いたような素朴な味だが、これが少し塩味のきいた炸醤麺のピリ辛によく合う。

いずれにせよ、日本のインスタントラーメンではなかなかお目にかかることの出来ないエキゾチックな味わいであった。

「ピリ辛みそ味」ならばあれで再現できるのでは?

以上、台湾で購入した「炸醤麺」を食べてみたのだが、この袋めん、日本ではあまり売っているところが少ないのが難点である。

しかし「ピリ辛のみそ味」ということであれば、あいつを代わりに起用することができるのではないだろうか?

日本代表、サッポロ一番みそラーメン
日本代表、サッポロ一番みそラーメン
そう、私のマイフェバリット袋めん「サッポロ一番みそラーメン」だ。

最近、袋の素材がアルミホイル製となり、若干高級感が増したオレンジ色のにくいやつである。

彼を炸醤麺とほぼ同じ作り方で調理し「なんちゃって炸醤麺」にしよういうわけだ。だってみそ味なんでしょう? できる、できるはず。

お湯でふやけるのか?

しかしこの麺、もともと鍋で煮ることを前提にして製造されたものである。果たして沸騰したお湯を注ぐだけで柔らかくなるものなのか?
恐る恐るお湯をそそぐ
恐る恐るお湯をそそぐ
本来なら3分煮るところを10分かけて麺をふやかした
本来なら3分煮るところを10分かけて麺をふやかした
柔らかくなった!
柔らかくなった!
鍋で煮れば3分ですむところを10分ほどかけてゆっくり麺をお湯に浸した。するとみごとに麺が柔らかくなった。

多少ゴワゴワした食感があるものの食べられないことはない。

うっかりうまそうなものができた

続いてはスープづくりと麺への味付けだ。
味付けは袋に入っている粉末スープを2つに分け、片方はスープ、もう片方は麺への味付けに使った。
半分はお湯をそそいで味噌スープに使用
半分はお湯をそそいで味噌スープに使用
もう半分の残りは麺にからませて完成
もう半分の残りは麺にからませて完成
サッポロ一番炸醤麺(風)
サッポロ一番炸醤麺(風)
現在、炸醤麺をシミュレートしようとして、まったく別のものが出来上がっている状況である。
うまそうか? まずそうか? でいえばもちろん「うまそう」に針が振れるのではあるが、
見た目や匂いは、サッポロ一番みそラーメンであるとの自己主張がかなり強く、炸醤麺ではない。

何かが足りない?

見た目は炸醤麺ではないものの、うまそうな汁なしサッポロ一番みそラーメンができた。
期待に胸を膨らませ、さっそく食べてみたい。
いただきまーす
いただきまーす
あれ?
あれ?
んーーーーー
んーーーーー
胸のときめきが、グイグイさがる味である。

まずもって麺が塩辛い。

粉末スープ半分はかけすぎだった。3分の1ぐらいでよかった……。しかも、食べているうちに麺がなぜかベチョベチョし始めて食べにくい。

何かが足りない……。そうだ、脂分だ。

急きょ、ごま油を麺にプラスしからませて食べなおしてみた。
たのむ、ごま油よ!(い出よ神龍!みたいな感じで)
たのむ、ごま油よ!(い出よ神龍!みたいな感じで)
なんとか食べられるようになった!
なんとか食べられるようになった!
上の写真の表情は作りすぎだが、ごま油を足すとなんとか食べられるようになった。しかし、これは炸醤麺ではなく、汁なしサッポロ一番みそラーメンにごま油だ。

はっ!? もしかして「油そば」ってこういうことなのか?

炸醤麺は炸醤麺。サッポロ一番みそラーメンはサッポロ一番みそラーメン。

塩加減のちょうせつに失敗はしたものの、汁なしサッポロ一番みそラーメンはそんなに悪いものではなかった。

最後にごま油を加えると、完璧とはいえないまでも、冗談ではないうまさの片鱗をみせたことからも、今後研究の余地がある食べ方といえるかもしれない。
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