ユーグレナ社に突撃
さて、ユーグレナといえば、じつは以前にも「ミドリムシカレー」の試食会に招待されていて、その時もたいへん美味しくいただいた。グルメとしてのミドリムシが優れたポテンシャルを持っていることはもう分かっている。(※ちなみに、ミドリムシは藻の一種であり、ワカメや昆布と同類なのだ)
そして今度はハンバーグ。ハンバーグといえば少年にとって永遠の憧れである。
果たしてミドリムシ×ハンバーグの実力は? さっそく、ユーグレナのオフィスを訪ねてみた。「こんにちは。ミドリムシ入りハンバーグを食べにきましたよ」
「はい、召し上がれ」
素敵な笑顔と昭和のギャグで出迎えてくれたのは、ユーグレナ広報の安間さんだ。
──おお、おいしそうですね。で、実物は?
「すみません、ないです。だから写真をご用意しました。 」
どうやら、ミドリムシ入りハンバーグはファミレス「デニーズ」の限定メニュー(10月29日から販売)らしい。しまった、ここじゃなくてデニーズ行けばよかったのか。
ゴクリ…
安間さん、「せめて」ということで、ハンバーグの写真をわざわざA3に引きのばして待っててくれたらしい。うん、その気遣い、いりません。
いや、食堂感覚で上場企業に来てしまった僕が悪いのだ。
となれば、もうここには用はない。帰り支度を始めると、瑛太似の広報・椋木さんが何やら作り始めた。
何やら緑色の液体を作り始める椋木さん
「緑汁」。1杯あたり3億5000万匹のミドリムシが配合された健康飲料だそうです。
「毎日飲んでたら、お通じがよくなりました」とのこと ※個人の感想です
青汁より飲みやすい
緑汁は3億5000万匹のミドリムシを乾燥させた粉末などを、水や牛乳に溶かして飲む新感覚の健康飲料だ。飲んでみると抹茶のグリーンティーみたいな味でうまかった。青汁に対抗して緑汁とはなかなか洒落が利いている。
ふーん
ただ、僕はハンバーグを食べに来たので、緑汁にはそんなに心がときめかない。
そんな不満が顔に出てしまったのかもしれない。次に安間さんが出してきたのは新発売のミドリムシヨーグルトだ。
業界初だというミドリムシのヨーグルト。そりゃあ初だろうとも
全国のコンビニ(ファミマ、サークルK、サンクス)で絶賛発売中です
ベースはアロエのヨーグルト。そこにミドリムシを配合した冒険的な一品だ。ビフィズス菌もさぞかし仰天していることだろう。ちなみにミドリムシ自体はほぼ無味無臭(ほんのり抹茶風味)なので、味は普通のおいしいアロエヨーグルトでした。
使われているミドリムシが億単位
ところで、さっきの緑汁もそうだったが、使われているミドリムシの数がいちいち億単位なのがおもしろい。
単位は匹で合っているのだろうか?
こちらのバーには5億匹分。アメリカの人口より多い
ミドリムシ大量摂取中
絶滅しませんか?
──でも、そんなに気前よく使ったら、ミドリムシが絶滅してしまうんじゃないですか?
「いえ、沖縄県石垣市の工場にて年間最大60トンのミドリムシを生産していますので大丈夫です。それも、当社のミドリムシは、100種類以上存在するといわれるミドリムシの中でも特に栄養価が高い「ユーグレナグラシリス」です」
──カッコいい名前ですね。
「そうなんです! まさに、スーパーミドリムシです!」
これまでユーグレナが生産してきたミドリムシの数、何と12京超え
ミドリムシはすごい
なんでもミドリムシは59種類もの豊富な栄養素を持つという。それも、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、人間が生きていくために必要な栄養素の大半を含んでいる。世界の栄養不足を救う存在として、学術界では古くから研究が進められてきたそうだ。
そんなミドリムシの優れたポテンシャルに魅せられたのがユーグレナ創業者の出雲充氏。大学在学中にミドリムシの大量培養に関する研究を仲間とともにスタートさせた。
そして8年前、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功したという
仙豆をつくりたい
出雲社長とユーグレナの夢は「仙豆(※)をつくること」なんだそうだ(※漫画『ドラゴンボール』に出てくる豆。栄養価が極めて高く、ひと粒食べれば10日は飢えをしのげる)。ミドリムシの優れた栄養価と同社の技術をもってすれば、ファンタジーの世界が現実になるかもしれない。
2009年から日本科学未来館で販売されている「ミドリムシクッキー」。現在、同館における人気ナンバーワンのお土産なのだとか
その後も、乾パン、塩、サプリメントなど、様々なミドリムシ商品を開発し続けている
古賀さんが記事中、「何がなにやら」と表現していた「すじりもじり運動」
「すじりもじり運動」は、ミドリムシが移動する際に見せる一連の動きのことを指す。れっきとした学術名だそうだが、それにしてはなんともユーモラスな響きではないか、「すじりもじり運動」。声に出して読みたい学術用語ナンバーワンである。
ギュ~っと縮んだり
くねくねしたり
「これがすじりもじり運動です!」
と、「すじりもじり運動」を実演してくれた安間さん。じっさいに見せてもらっても何がなにやらだったが、なんかかわいい。来年あたり、女子高生の間で流行るかもしれないな、すじりもじり運動。
ミドリムシグルメに話を戻そう。こちらはミドリムシ入りのバジルペースト。濃厚な味わいでバゲットに塗ったり、パスタに絡めたりしてもおいしい
緑汁をパン生地に練り込んだ「Green十勝あんぱん」
中は十勝あんとたっぷりの生クリーム
これはうまい!
自由が丘にミドリムシブーム
なお、このミドリムシ入りあんぱんは、東京・自由が丘の「ブランジェ浅野屋」で購入できる。他にも、自由が丘にはミドリムシグルメが味わえるお店が点在。パスタ、お好み焼き、カレー、ロールケーキなどなど、メニューも多岐にわたるという。
ミドリムシスイーツもおいしいそうです。そして、相変わらず写真がでかい
というわけで、ミドリムシグルメは想像以上に進化していた。ハンバーグは食べられなかったが、だいたい満足したので帰りたいと思います。
まさに食物連鎖革命
自然界におけるミドリムシは、ミジンコにも捕食されてしまう程のかよわき存在なのだとか。すなわち、「ミドリムシ→ミジンコ→魚→人間」とつながるのが正しい食物連鎖の流れ。だが、その間をすっ飛ばし、人間が直接ミドリムシを食べることで、その優れた栄養価を余すところなく摂取することができるという。
ユーグレナはこれからもあっと驚くミドリムシグルメで、食物連鎖に革命を起こし続けることだろう。
※【取材協力】ユーグレナ
http://www.euglena.jp/