はっけんの水曜日 2013年10月30日
 

お札が好きすぎて「架空紙幣」を作った人

「美しい印刷物」としてのお札

oloさんは以前より様々な「架空の紙幣」をデザインし、ネット上で発表している。そのおかげで、最近は様々なところから架空紙幣デザインのひきあいが多いという。

いったい何のため、どうやって作っているのか?
ロケーションのせいで怪しい雰囲気になってしまったが、普通の好青年です
ロケーションのせいで怪しい雰囲気になってしまったが、普通の好青年です
ーー潜像や文字の書体のそれっぽさに驚いたんですが、これはすべてご自分で描いてらっしゃるんですか?
「すべてではないです、一部ですね。基本的にフリー素材などを組み合わせて作るんですが、細かい潜像模様や書体などは自分で作ることが多いです」

ーーそもそも、なぜ架空の紙幣をデザインするようになったんですか? もちろん、お好きだからなんだとは思いますが……。
「最初のきっかけは、4歳ぐらいのときにいとこからもらった「お金と切手のひみつ」という本なんです」
すでに絶版になって久しく、古書店でもなかなか手に入らない
すでに絶版になって久しく、古書店でもなかなか手に入らない
ーーあ、学研のひみつシリーズですね。ぼくもその本大好きでしたよ。
「もう手元にはないんですが、何回も繰返し読みました、で、その本に載っていた聖徳太子の1万円札を見た時に衝撃を受けたんです、こんなに美しいデザインが印刷された紙は見たことがない!と」
olo少年が衝撃を受けた聖徳太子の「壱万円札」(「知育アルバム04 世界のお金200」講談社より)
olo少年が衝撃を受けた聖徳太子の「壱万円札」(「知育アルバム04 世界のお金200」講談社より)
ーー紙幣のデザインに魅せられた?
「そうです、で母に「これが欲しい」とねだったんですが、ダメでした」

ーーお金ですからね……。
「あと、当時はすでに福沢諭吉の1万円札に代わっていて、聖徳太子の1万円札はもうないって言われたんです」

ーーなるほど。
「でも、昔の千円札、伊藤博文ならあるっていうんですが大事なものだからって見せてくれないんです。夏目漱石とどこが違うか見比べるだけだからって言って、やっと見せてくれて」
ねだった末にようやくみせてもらった千円札(「知育アルバム04 世界のお金200」講談社より)
ねだった末にようやくみせてもらった千円札(「知育アルバム04 世界のお金200」講談社より)
ーー親としては小学校に上る前の子供にお札をねだられたら、ちょっと心配になりますね。
「ですから、子供がお金のことを考えるのはあまり良くない。というようなことも言われたんです、でもそのうち『どうやらコイツはお札の貨幣価値ではなくて、お札の模様が好きらしい』ということがわかったみたいで、貸して見せてくれるようになりました」

ーー良かった!
「本当は手元に置いておいてずーっと眺めていたいんですが、そういうわけにいかないので、お札を模写しはじめたんです」

ーー鉛筆でですか?
「そうです、最初は新聞のチラシの裏にトレースして描いたのが最初でした、それ以来お金を借りてはトレースするという毎日でした」
夏目漱石の千円札を何度もトレース
夏目漱石の千円札を何度もトレース
ーー子供らしい情熱ですよね。
「納得行くまで何回も模写しました、お札を借りては眺めたり、模写して返す、そんなことを繰り返すうち、五百円札を模写したものを友達にあげるようになったんです」

ーー1ランクステージがあがった感じしますね。
「まあ、子供が鉛筆で模写したものですから、たかが知れてますが、たいていの友達はよろこんで受け取ってくれるんです。でも、中には『いらない』といって受取を拒否する子もいるんです」
模写のレベルが低かった? (「知育アルバム04 世界のお金200」講談社より)
模写のレベルが低かった? (「知育アルバム04 世界のお金200」講談社より)
ーー本物じゃないから?
「うーんどうでしょう? そこで、私は『彼はなぜこの五百円札(模写)を要らないと言ったんだろう? 何が不満なんだ?』と考えるんですが『それは模写のレベルが低いからだ、もっと完成度をあげないと!』と思い至るようになるんです」

ーー完全にそっち視点なんですね
「ただ、完成度を上げると言っても鉛筆では限界があるんですよ、主線をどこに引くのかとか……そのうち、模写には興味を失って見る専門になってしまいました」

お札にとどまらない「再現することへの興味」

oloさんは、基本的に自分では手に入れられない、公的な権威のある印刷物を模写するのが好きなのだという。

ーー見る専門になったのは何歳ぐらいなんですか?
「小学二年生ぐらいですかね? ただ、それ以降はテレビの刑事ドラマに出てくる警察手帳を工作用紙で作ったりしてました、テレビドラマでチラッと写る瞬間にビデオを一時停止してよく観察して自作するんです」

ーー涙ぐましい努力ですねえ
「当時はドラマで写ったものをそのまま信じて再現してたので、警察のマークの下に『警察手帳』なんて書いてましたけど、ほんとは大阪府とか神奈川県みたいに都道府県の名称が入るんですよね、昔の警察手帳は」

ーーそうなんですか。
「ただ、中学生ぐらいですか、もっと重要なことに気づくんです」

ーーなんですか?
「『これ、犯罪かも?』って気づいたんです」

−−あぁ、気づいちゃった。
「で、高校生の頃にはやめたんです」

自分の趣味を突き詰めていくと、法律という壁につき当たることを感じたolo少年。そこで自らの「好きなもの」を封印してしまうのだが、パソコンとネットの存在がその封印を解く鍵となる。

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