特集 2013年11月6日

思い出をメシで再現

自作のスタミナ飯。
自作のスタミナ飯。
お店で食べた思い出の味を再現する、という作業を家で時々やっている。

と言っても料理は基本的に素人だしレシピなんてものも当然ないので、「見た目」と「記憶味」を頼りにテキトーに作っている。そして気づけば丼ものが多い。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

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思い出その1:ランラン

つくば(茨城)で学生時代を過ごした者の多くを虜にする、RanRan(ランラン)というお店がある。
スキー場に行って食事の値段が高いのを見るとよく、 「ここにランランがあったらどうする?」と言っていた。
スキー場に行って食事の値段が高いのを見るとよく、 「ここにランランがあったらどうする?」と言っていた。
ランランは安くて量が多いのが特徴で、洗面器のような器に盛られてくる「Big丼」が有名だ(⇒参考)。が、Big丼はさすがに多すぎるので私はよく「肉野菜丼」というのを食べた。それでもかなり量が多い。

また野菜も豊富なので、これさえ食べていれば健康が維持できそうなところも、栄養が偏りがちな独り暮らしの学生にとってよかった。
RANRAN(つくば)の肉野菜丼。上に乗ってる具は好みに応じてアレンジできる。
RANRAN(つくば)の肉野菜丼。上に乗ってる具は好みに応じてアレンジできる。
器の大きさがわかるように少し引いて。Big丼はこれよりさらに一回りでかい。
器の大きさがわかるように少し引いて。Big丼はこれよりさらに一回りでかい。
ふとした拍子にこれを思い出して時折食べたくなる時がある。が、私は現在ランランからおよそ1,000km離れた長崎に住んでいるので、容易には食べに行けない。

でもなんとなく作れそうだよな…作ってみようか?…と、記憶だけを頼りに再現してみたのがこちら。
自作版「Big丼小盛り」。
自作版「Big丼小盛り」。
肉炒め、野菜炒め、卵、レタス、麻婆豆腐がごはんの上に乗っている。

比べるとディテールがだいぶ違うが、パッと見の印象が似ていることが大事だろう。上の写真はランランを知ってる人が見たら間違いなく
「あ!ランランだ!」
と言ってくれると思う。

味もまずまず。
いろいろな味が丼の中で混ざる感じが、ランラン以外の何ものでもなかった(少なくとも自分の中では)。
何度か作った。
何度か作った。
レシピは以下。

1)いろいろなものを作ってごはんに乗っける。

できるだけでかい器に盛ると気分が出るだろう。

思い出その2:新宿・思い出横町

新宿駅のすぐ横のビルの狭間に「思い出横町」という昭和な雰囲気の店が並ぶ、そこだけ時空が歪曲したかのような一角がある。
!
その並びにある、つるかめ食堂。
その並びにある、つるかめ食堂。
その中の「つるかめ食堂」というところが私はお気に入りで、一時期新宿に勤めていた頃は、
「今日はブツあるよ。」
と言われるくらいには通った。
(ブツとはマグロのぶつ切りのこと)
つるかめ食堂(新宿)の元気丼。
つるかめ食堂(新宿)の元気丼。
ここで私が一番よく食べたのは「元気丼」というやつで、牛筋+マリネ+ニンニク。
他にあまり見たことないタイプの丼で、栄養ありそうなところとウエットな感じが好きだった。
ただこれは再現するには若干ハードルが高く、やろうと思ったことはない。
つるかめ食堂(新宿)のソイ丼。
つるかめ食堂(新宿)のソイ丼。
もうひとつ有名なのがソイ丼で、大豆が入ったカレー味の具にハムが添えられているというこれまた替わった丼。

これは猛烈にうまいというわけでもないが、ふと思い出して食べたくなることがあり、新宿に寄った際には必ず足を運んでいる。が、たまたま休みだったり改装中だったりでなかなか食べる機会に巡り会わない。
自作版ソイ丼。
自作版ソイ丼。
で、これまた家で記憶だけを頼りに再現。
まったくテキトーに作ってみたが、意外とそれっぽくなった。若干薄味で、ハムをかじりながら食べるとちょうどいいあたり、本物もたしかこんな感じだった気がする。が、だいぶ記憶があやふやなので確認のためにもまた食べに行きたい。

レシピ:
1) 大豆の水煮・ひき肉・豆腐を炒めて、
2) カレー粉+塩など。
3) 最後に片栗粉で少しとろみをつけた。

思い出その3:太郎ラーメン

つくばのバッティングセンターの前にあった「太郎ラーメン」は、学生時代最もお世話になった思い出深いお店だ。それこそ連続テレビ小説が書けそうなくらい、いろいろなエピソードがあった。
太郎ラーメン(つくば)のスタミナ飯。
太郎ラーメン(つくば)のスタミナ飯。
中でも一番私が好きだったのが「スタミナ飯」というメニューで、黒味噌で炒めた美味いあんかけ状のものがごはんの上に乗っかっている。

それが何なのか、ずっと知らないまま過ごしてきたが、自分で料理をするようになったある時、ふとテンメンジャンだと気づいた。
たぶんこれだ!
たぶんこれだ!
で、思い出の味を再現したのがこちら。
自作のスタミナ飯。
自作のスタミナ飯。
もう、見た目はかなりの再現度だ。
味は若干違う気もするが、あとは微調整だろう。満足度は高い。

太郎ラーメンは店をたたまれ今はもうないが(おばちゃんも歳だったしなにより20年以上経っているし)、こうして私の中では今も在り続けている。

レシピ
1) ニラ、玉ねぎ、にんじん、豚肉をゴマ油で炒める。
2) テンメンジャンをどっかり入れる。
(それに塩か何かプラスアルファが必要そう)
太郎ラーメン(つくば)のラーメン(第2世代こってりタイプ)。
太郎ラーメン(つくば)のラーメン(第2世代こってりタイプ)。

現在進行形の思い出:四川丼

最後は「思い出」というかつい先日も行ったばかりだが、長崎にある伯水楼というお店。
長崎大学の近くにある。やはり学生御用達とのこと。
長崎大学の近くにある。やはり学生御用達とのこと。
伯水楼(長崎)の人気メニューのひとつ、四川丼。 唐辛子が効いており辛い。
伯水楼(長崎)の人気メニューのひとつ、四川丼。 唐辛子が効いており辛い。
人気メニューの四川丼。
見た目のボリュームとワイルドさがすごい。 このインパクトに一発で虜になった。
(心の奥底でランランとの共通点を感じたのかもしれない)
同じく別の日の四川丼。ハマってます。
同じく別の日の四川丼。ハマってます。
今年になってから行き始めたので「思い出」と言うには早すぎるし、近くなので行こうと思えばいつでも行けるが、まぁでも夏くらいの出来事を思い出す思い出もあるだろう。

というわけで自宅でチャレンジ。
試行錯誤の末、かなり 「これだっ!!」 というものができた。
自作版四川丼。
自作版四川丼。
この自作版もすっかり気に入ってしまい、なんと3日連続で作った。

しかも、3日も同じメニューなのにかみさんからまったく文句が出なかった。野菜たっぷりで基本的にヘルシーメニューだったのがよかったようだ。
目玉焼きをのっけたりして若干のバリエーションを加えて。
目玉焼きをのっけたりして若干のバリエーションを加えて。
以下、レシピ。

1) 唐辛子、玉ねぎ、もやし、キャベツ、キクラゲ、豚肉等をゴマ油で炒める。
2) 味付けは味覇(ウェイパァー)。仕上げにしょうゆ大さじ1くらい。
ポイントは「味覇(ウェイパァー)」。
ポイントは「味覇(ウェイパァー)」。
ポイントとなったのは、冷蔵庫に長いこと鎮座していた中華調味料、味覇(ウェイパァー)。

これ、最初スーパーで見かけてなんとなく買ったものの、 けっこう大きめの缶にスープの素がギッシリ詰まっていて、
「これ使い切れるんだろうか…」
と不安になっていた。
インパクトあるデザイン。
インパクトあるデザイン。
今までスープを作る時くらいしか使ってなかったが、四川丼を再現するにあたり、
「徹底的に中華な材料を使ってみるか」
とこれに思い当たった。で、使ってみたところ、 まさにコレだ!!て味になった。

もっとも、これまた記憶の中の味なので食べ比べたら同じではないかもしれないけど。。

大事なのは、自分が納得できたかどうかだ

冒頭でも述べたように基本的に素人料理なんで、本物と比べると全然忠実じゃないかもしれない。そういう意味では、もしかすると再現してるのは料理ではなく思い出だけかもしれないが、それはそれでいいのかなと思う。
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