ちしきの金曜日 2013年11月29日
 

伝説のチラシ エヌ山くんとティティ川くん

憶えていますか、このチラシを
憶えていますか、このチラシを
2005年ごろ、NTT東日本がインパクトのある作っていた。エヌ山くんとティティ川くんというまんがが載ってるチラシだ。

僕はNTTの利用明細の封筒に入っていたこのまんがが大好きで捨てずにとっておいた。新しい利用明細が来るのが楽しみだったのを憶えている。利用明細が楽しみだったことなんて後に先にもこのときしかない。

いちど見たら忘れられないこのチラシはどうしてできたのか。作った人に会うことができたので話を聞いてきた。
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。 編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。
> 個人サイト webやぎの目

エヌ山くんとティティ川くんとは

僕が見たのは利用明細の封筒に入っていたチラシだが、エヌ山くんとティティ川くんはもともと新聞折り込みのチラシだった。
利用明細は4コマだが、新聞チラシは16コマおなじ絵が続く。
利用明細に入ってた縦長のチラシ。「請求した上に宣伝する」「あつかましいね」と広告なのにもっともなことを言ってる
利用明細に入ってた縦長のチラシ。「請求した上に宣伝する」「あつかましいね」と広告なのにもっともなことを言ってる
こっちは新聞折り込みの16コマ連続。クリックすると大きくなります(読まないとこの先の話が続かないのでまずは読んでください)。
こっちは新聞折り込みの16コマ連続。クリックすると大きくなります(読まないとこの先の話が続かないのでまずは読んでください)。
どこから突っ込んでいいのか分からないが、特徴としては

・顔が赤い
・コマが全部一緒
・左の男の襟足が長い
・会話がギリギリ

好きすぎてミクシィで「エヌ山くんとティティ川くん」というコミュニティを作ろうとしたぐらいだ。そうしたら既にあったので0.2秒で入った(30人ぐらいのコミュニティだったけど)。

そしてエヌ山くんとティティ川くんのチラシは入らなくなり、8年が過ぎた。

ある日、Twitterでリプライをくれたひとが人がコピーライターだった。プロフィールを見ると過去に手がけた広告が載っている。そこにエヌ山くんとティティ川くんが載っていたのだ。
あの広告の作者につながった!
というか、あの広告に作者がいたのか。

あの広告はいったい何だったのか。直接会って聞いてみたのだ。

NTT東日本の社員がこっそり作ってたんじゃなかった

作ったのはコピーライターの林裕さん(偶然にも同姓だったので、以下、本稿で林と書いてある場合は林裕さんです)。
株式会社クラブソーダ 林裕さん。博報堂を経て2011年独立。
株式会社クラブソーダ 林裕さん。博報堂を経て2011年独立。
エヌ山くんとティティ川くんは林さんが博報堂時代に手がけた作品だったのだ。ちなみに林さんはアスパラドリンク(田辺製薬)「一本いっとく?」や「前田敦子とは何だったのか?」(AKB48 in 東京ドームDVD)など輝かしい実績を持つ。

僕はてっきりNTT東日本に絵の上手い社員がいてこっそり勝手にやっていたと思っていたのだが…思ったよりちゃんとしてた。
林さんに加えて、イラストを担当した博報堂の大野耕平さん、営業を担当した民谷浩一郎さんにも当時の話を聞いた。
林さんに加えて、イラストを担当した博報堂の大野耕平さん、営業を担当した民谷浩一郎さんにも当時の話を聞いた。

意外!これまでにない効果を上げたチラシだった

エヌ山くんとティティ川くんのクライアントはNTT東日本 東京支店。週に2回このチラシが新聞折り込みで入っていたという。

―どうしてあんなことになったんでしょうか

民谷: CM以外におもしろいことを仕掛けていきたいと思ってて、チラシでも真剣にやろうって働きかけてたんです。
これに至るまでいろいろやってレスポンスを毎週測っててました。その結果ここにたどりついたという。

林:まさかこれに定着するとはね。
まさかこれに定着するとはね
まさかこれに定着するとはね
−最初にクライアントにエヌ山くんとティティ川くんを見せたときの反応は?

林:クライアントにおもしろいことが好きなキーマンがいて。課長も部長もおもしろいと言ってくれて意外にすんなり通りました。「えええー」って思ったけど。
いちおう他の案もあったんですが、ここに落ち着くように他のキャラはもっと強烈にしました。


−もっと気持ち悪い?

林:かなりでしたね。見ただけで吹き出すような。おでこがびよーんって出てたり。
それ見てからこれ見ると、この人たち別にふつうの人だからいいやって気持ちになる。


ふつうの人…(クリックで全編読めます)
ふつうの人…(クリックで全編読めます)
大野:ほかの案は人じゃなかったりしたもんね。
林:クライアントの部長さんがタイトルを見て、おれの名前に似てるって言って喜んだのもよく分からない追い風になった。
民谷:導入するとき、テストで2種類入れて試したんです。エヌ山くんとティティ川くんと普通に女性がパソコンに向かってるようなやつと。
林:そうしたらエヌ山くんとティティ川くんのほうが圧倒的によかった。

結果、エヌ山くんとティティ川くんのチラシはいままでにない数字をたたき出したのだという。問い合わせも契約数も多くて広告として優秀だったのだそうだ。黒歴史になっていると思ったのだけど。

結果として林さんは次の仕事を受注し、エヌ山くんとティティ川くんが渋谷をジャックするという企画を出したという。でもそれは

林:もうちょっとほかのこと考えてくださいって言われました。

残念。赤い顔が109の正面に貼られているところが見たかった。
林:この仕事、上司にはほめられなかったですよ。査定もつかなかった。
林:この仕事、上司にはほめられなかったですよ。査定もつかなかった。

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