はっけんの水曜日 2013年12月4日
 

「のり弁」には哲学があった

「のり弁」哲学との対峙を前に
「のり弁」哲学との対峙を前に
テイクアウト弁当の定番メニュー、「のり弁」。豪華なおかずが入っているわけではない。どん欲に時代を先取りするわけでもない。しかし、その「のり弁」に深い哲学を持つ弁当屋があると聞いた。気になるではないか。取材を申し込んだ。
ライター。たき火。俳句。酒。『酔って記憶をなくします』『ますます酔って記憶をなくします』発売中。デイリー道場担当です。押忍!
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寿司系、鯛焼き系、とんかつ系

街を歩くと、そこかしこにテイクアウト専門店がある。あなたのお気に入りは何だろうか。
寿司系
寿司系
鯛焼き系
鯛焼き系
とんかつ系
とんかつ系
しかし、何といっても根強い人気を誇るのが、いわゆるオーソドックスな弁当屋だ。幕の内、ハンバーグ弁当、カレー…。コンビニのそれとはちょっと違った、家庭の温かみのようなものがある。

ご主人の趣味は「神輿を担ぐこと」

じつはつい先日、「『のり弁』に深い哲学を持った弁当屋がある」という話を知人から聞いた。あの一見シンプルなラインナップにどんな思想があるというのだろう。

それが、こちらの店だ。「弁当小町」。

高円寺駅から徒歩7分の早稲田通り沿い
高円寺駅から徒歩7分の早稲田通り沿い
ご主人の照井安雄さんは53歳。居酒屋を経営するかたわら、昨年3月にこの店をオープンしたそうだ。
趣味は「神輿を担ぐこと」。「弁当小町」とのギャップがいい
趣味は「神輿を担ぐこと」。「弁当小町」とのギャップがいい
さっそく、注文しよう。
「これください」
「これください」
「『のり弁』ひとつ」
「『のり弁』ひとつ」

おかずはいろいろ載せるけど、あくまでも主役は「のり」

ここの「のり弁」は、白身魚のフライ、唐揚げ、ちくわの磯辺天、きんぴらというラインナップだという。お値段は320円。

「ウチはオールドスタイルだから、白身魚はちゃんと鱈を使ってるんだよ」と照井さん。
注文が入ってから揚げるスタイル
注文が入ってから揚げるスタイル
白身魚と唐揚げの揚げ時間は4分。揚がるのが早いちくわは、終盤にフライヤーに入れる。

「弁当として『のり弁』が普及し始めたのは40年ぐらい前かな。おかずはいろいろ載せるけど、あくまでも主役は『のり』。さらに、ソースじゃなくて醤油とタルタルで食べるのが本来のスタイルなんだよ」
もう少しかかりますね
もう少しかかりますね
このラインナップは、照井さんが若い頃に食べていた「のり弁」イメージを忠実に再現したものなんだそうだ。

「タルタルだけ別売りで50円とかの店もあるけど、あれは気に入らないね。これで完結してるんだから選択の余地はないはず」

揚がりましたね
揚がりましたね
「『のり弁』っていうのは、客が考える『のり弁』を下回ってもいけないし、逆に超えすぎてもいけない」

けだし名言だ。また、他の弁当と違ってご飯の上におかずがあるので冷めにくいというメリットもあるそうだ。

なお、完成を待つ間はレジ横の漫画を読んで時間を潰せる。

バイトスタッフが持ってきたそうです
バイトスタッフが持ってきたそうです
「380円の『のりから明太弁』も『のり弁』と同じぐらい人気なんだけど、明太子が入るとどうもバランスが崩れるね」
一番量が多いのは「ミックス弁当」
一番量が多いのは「ミックス弁当」
この日はベトナム人スタッフも働いていた。
ホンさん(25歳)
ホンさん(25歳)
彼のお気に入りは「肉野菜炒め弁当」(420円)だという。「のり弁」が持つ日本人的ワビサビにも注目してほしい。
彼が盛り付けていた「日替わり弁当」と「Cランチ」
彼が盛り付けていた「日替わり弁当」と「Cランチ」

安っぽい色の桜大根が一番合う

さて、ここからは一気呵成に仕上げる。
ご飯の上におかかをまぶし
ご飯の上におかかをまぶし
食べやすいように切れ目が入ったのりを敷き
食べやすいように切れ目が入ったのりを敷き
二重底の専用容器で乾燥状態を保つ
二重底の専用容器で乾燥状態を保つ
きんぴらを配し
きんぴらを配し
桜大根とオールスターが登場し
桜大根とオールスターが登場し
醤油とタルタルを載せたら
醤油とタルタルを載せたら
白身魚と唐揚げを揚げ始めてから約5分後に「のり弁」は完成した。

「テーマはボリューム感を出すことと『ああ、食べたなあ』という感想を持ってもらうこと。最初は柴漬けを使ってたけど、やっぱり安っぽい色の桜大根が一番合うんだよね」

ご飯とおかずの間で「のり」が見守っている

いよいよ「のり弁」哲学との対峙である。心地よい緊張感が走る。
「はい、お待ちどうね!」
「はい、お待ちどうね!」
のり弁! のり弁!
のり弁! のり弁!
近くの公園に移動
近くの公園に移動
まずは白身魚を
まずは白身魚を
なるほど
なるほど
たしかに、これは黄金のバランスかもしれない。どれを欠いても成り立たないうえに、ご飯とおかずの間で「のり」がやさしく見守っている。何というか、「食事をしている」感がすごい。


哲学が込められた食事はおいしい

「のり弁」には宇宙があった。そして、凛とした哲学が込められた食事はやはりおいしい。なお、お店のバイトスタッフがオススメ弁当や仕込み中の裏話などを綴るブログはこちら。来店時に「ブログ見ました」でカレー各種50円引きとのこと。
ごちそうさまでした
ごちそうさまでした

<取材協力>
弁当工房 弁当小町
東京都中野区大和町1-67-2
11:00〜22:00
不定休
http://bento-komachi.com/
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