ちしきの金曜日 2013年12月20日
 

「浮かれ電飾」お宅訪問!

今年の「浮かれ電飾鑑賞」はひと味違います!
今年の「浮かれ電飾鑑賞」はひと味違います!
「11月になると憂鬱なんですよ…」と旦那さんはおっしゃった。「じゃあやめればいいじゃん!」とお嬢さんは返した。

この瞬間、思ったのだ。「ああ、浮かれ電飾やる人って、ぼくといっしょだったんだ…」と。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。
> 個人サイト 住宅都市整理公団

今年はなんとインタビュー!

ぼくには毎年12月になると「浮かれ電飾」と呼ばれる(というか、ぼくがそう呼んでいる)一般住宅のクリスマスイルミネーションを観察することになっている。今回のこの記事で10年目だ。

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そしてついに今回は、これを実践している方にお話をうかがった。とても楽しく興味深かった。やはり外から眺めているだけでは分からないことがたくさんある。
左・取材を快諾していただいた埼玉のお宅の御主人。
左・取材を快諾していただいた埼玉のお宅の御主人。
実はずっと、当事者にお話をうかがってみたかったのだ。ただ「けなしはしないが褒めもしない」というぼくのスタンスをおもしろがってくれる方はそうそういないだろう、とくすぶっていた。

そんなところへ、過日カルチャーカルチャーで行った「間取り図ナイト12」のお客さんの中に「実家が電飾やってます。『あの光ってる家』って呼ばれています」という方がいたのだ!おお!

おじゃましてお話をうかがいたい、とお願いしたところ快諾いただき、いよいよ念願の「浮かれ電飾お宅訪問」となった。うれしい!たのしみ!

ディレクター:奥さま

「まあまずは一休みしてください」と中へお招きいただいた。すると、リビングルームでおもしろいことが起こっていた。
「まあまずは一休みしてください」と中へお招きいただいた。すると、リビングルームでおもしろいことが起こっていた。
「間取り図ナイト」に来てくれたのは、このお宅の娘さん。結婚をして今は別の場所にお住まいだ。そしてこの実家の「浮かれ電飾」の製作をしているのは彼女のお父様。

ぼくがずっと浮かれ電飾実践者にきいてみたかったのは「はじめたきっかけは何か?」ということだった。これまでぼくが見聞きした理由で多かったのは「子どもがせがんだから」というものだった。「ねーねー、うちも○○ちゃんちみたいなのやろうよー」と。ありそうな話だ。

きけばこのお宅が最初に飾り付けたのは15年ほど前。娘さんはまだ子どもだ。やっぱりせがまれたんですか?

「それはないですー」

と間髪入れずに答えたのは娘さん。えっ。

お父さんも

「この子はまったく興味なくて」

と。そ、そうなんだ…。今回取材の段取りを組んでくれたものの、娘さんは電飾に対してすごく平熱。「娘よ!もっと盛りあがっていこうぜ!」って思っちゃった。人のこと言えないのに。
カーテンの影に、ツリーが。
カーテンの影に、ツリーが。
ともあれ、ではどういうきっかけで?ときくと

「きっかけ…なんだったっけね?」

と奥さまの方を向いてたずねる旦那様。おぼえてないのかー!

それに対して「わたしがやりたかったの!」と笑顔で答えるお母様。

そう、黒幕(?)はお母様だったのだ。

お母様が通っていた学校はキリスト教系で、その庭には立派なヒマラヤスギがあった。それが毎年クリスマスシーズンに飾り付けされる光景がとても印象的だったのだそうだ。

「あと外国人先生のお宅に飾り付けをよく手伝いに行ったの。ああいうのを自分の家でもやりたいなあ、とずっと思ってて」
外からはこのように楽しめるのだが
外からはこのように楽しめるのだが
正直に言うと、すごく「まっとう」なきっかけでびっくりした。クリスマスが「性夜」などと異名をとったバブル時代、モテとは無縁の思春期を送っていたぼくにとって、以来クリスマスの浮かれ風情は苦々しいものでしかない。うん、わかってる。やっかみだ。

つまりひがみの余勢をかっての「浮かれ電飾鑑賞」だったわけだ。「なんだよう、浮かれちゃってさあー」って。どうせ「なんか最近流行ってるから」ぐらいの理由で電飾してるんでしょ、と思っていた。
外からきれいに見えるようにと室内の照明も抑え気味に!すごい!そして犬がかわいかった!
外からきれいに見えるようにと室内の照明も抑え気味に!すごい!そして犬がかわいかった!
もちろん、日本のイルミネーションをやっている家の奥さまがみなキリスト教系校の出身ではないだろう。このお話をうかがってぼくが「ああ、そうか!」ってハッとしたのはつまり「電飾を始めるきっかけはいろいろある」っていうことだ。

そりゃそうだろ、って思うかもしれないが、やっかみに支配された人間にはなかなかそうは思えなかった。このことだけでもぼくにとっては大きな発見だった。

旦那さん:「で、作業はわたしなんですけど、やってるうちにハマってしまって」
娘さん:「名古屋出身だからこういう派手なの好きなんだよねー」
旦那さん:「えー、そんなことないよ」
奥さま:「あ、わかるわかるー」
旦那さん:「じゃあそういうことで」

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