DVDを24時間見ることになった末に
DVDをレンタルしてきて24時間見てろという。なんと幸せな指示だろうか。
見るのは好きなタイトル、場所はどこでもいいらしい。いたれりつくせり。詐欺の電話かなと思った。
問題は、家でDVD見ると毎回寝てしまうので最近はやめてしまっていたことだが。それが24時間……ど、どんなかんじなのそれは?
「DVD10本くらい借りてこよっかな~」の幸せ
かねがね人生でもっとも幸せな時間は「TSUTAYAいこっかな~」と口に出す瞬間だといってきた。
そのあとDVD選んだり見たりする時間はどうでもいい。2、3時間あいたからビデオでも借りに行こっかな~という心の余裕こそが幸福なのだ。それが24時間である。
「あ~DVD10本くらい借りてこよっかな~」
圧倒的な多幸感。このことばにつまったプリン体の多さよ。こんなぜいたくしてたら心の痛風にかかるぞ。
ワッハッハ、全部新作かりてきたった、ワッハッハッハ
大人げなく早起きをする
当日の朝は楽しみで早起きしてしまった。
その後、子を保育園におくって他の親は仕事にむかうなか、一人DVDを見るため帰宅する。この罪悪感と期待感。鼻の下はもうのびっぱなしだ。
DVDは少し多めに13本借りてきた。せっかくなので全部新作。
「お客様、新作は二泊三日なのでこんなに見られません」
「いいえ、見ます、これぜんぶ借ります」
「むりですお客さん!」
そんなやりとりあるかなと一瞬思ったけどもちろんなかった。
やっぱり見始めるまでは幸せですよ
鼻を自由にかめるので、家はいい
映画っておもしろいな
午前9時。1本目『リアル~完全なる首長竜の日~』を見る。考えてみたら朝の9時から映画見たことないかもしれない。
うちのテレビは小さく迫力もない。映画も映画館を想定した暗さなので見にくい。
途中生協がきていったん停止。生協以外にもとにかく気がちる。しかし家に一人なのできがねない。鼻がつまれば鼻もかみ放題である。
映画自体はすこぶる変な映画で大満足。いや~、朝一で見ても映画っておもしろいな~。
う~、終わった。2時間こえるとさすがに長い
さあ、もう一本いくか
2本目、はじまってしまえばおもしろい
1本目が終了したところでDVDを取り出し、次のディスクを入れて再生。さあもう一本。1本目が120分あり途中疲れを感じたものの、まだ楽しみである。
2本目は『スプリング・プレイカーズ』。大学の夏休みに入った女の子たちが遊ぶ金ほしさに強盗をしたりするアメリカ映画。
11時半をすぎると小腹が空く。たべようと思えばたべられるのでどうしても意識してしまう。何かをしやすいということはその分集中力がとぎれやすいということでもある。
正午をすぎて「ビキニとケツが人生だ」というセリフを横目に正座して弁当をたべる。
このレンコンの焼いたのはうまいが、人生ではないのだろう。それはビキニとケツではないのだから。
12時をすぎて弁当をたべる。ちょうどバイオレンスにさしかかったころでめしがまずい
意外となんの障害もない
2本目が終了。いや~、おもしろかった。そのまま次のDVDをトレイに。今のところ気がめいったりしていない。24時間見るぞと腹をくくってるのが大きいのか。
3本目は『はじまりのみち』。食後のねむけがきたのでDVDをとめてコーヒーを入れた。家だと自由にできていい。
眠気がきたので軽い運動をしながら見る
4本目で集中力がおちてくる
『はじまりのみち』はすごく泣ける映画で眠気もすっきりした。午後2時43分、4本目は洋画コメディの『テッド』。
おもしろいなとは思うものの、このへんで集中力がガクンとおちてくる。仕事のメールが気になってくる。
手を動かしながら見るといいかなと思い、紙粘土をこねはじめた
映画『テッド』のテディベアとパンのふくろをとめるあれができた
休憩をかねて外出し、バスに乗ることにした
ドーピングとして、高速バス乗ってみるか
いかん。集中力がなくなった。そこで4本目をいったん中断して新宿へ。高速バスにのりにいく。
3時間くらいのバスの車内で本を読んだりビデオを見たするのものすごく好きなのだ。集中できるし、ちょっとした外出が気分転換にもなるだろう。
ポータブルDVDプレイヤーと飲み物で王様シートできた
さささ、さいこうやないか……これさいこうやないか
最高やないか
バスにはコンセントがあった。食事をする台もありそこにポータブルのDVDプレイヤーをのせて横にコーヒーを置いたら……なんて快適なんだ。最高やないか。
ただ他の乗客からの「あいつ最高やないか」の目線が気になる。これ学校の先生にチクられるパターンのやつだ。こんなに用意周到に座席を最高にしてしまっている自分がはずかしい。
しかしこの最高のセッティングで開始直後のようなやる気と幸せをとりもどす。さあバスよ走れ、わたしの欲望と堕落をのせて走れ!
サービスエリアでちょっとした軽食を買うのもすばらしい休憩となる
6本いっても意外と平気
相変わらず最高はつづく。快適すぎて眠気がやってきたので背もたれ禁止令を自分に課すくらい。
18時48分、5本目『グランド・マスター』がおわって6本目『スター・トレック イントゥ・ダークネス』に。相変わらずはじまってしまえばなんだかんだで見てしまう。映画の力ってすごい。
見知らぬ街が気になってくる。外を見たい
知らない街、映画よりも外が気になる
20時半をすぎて高速をおりて浜松に入る。バスから知らない街をながめるのは旅の醍醐味であり、DVDの集中度がどんどん下がる。
20時58分、7本目の『きっと、うまくいく』にうつったと同時に到着。バスをおりて晩御飯をたべにいく。
ご当地グルメとDVD
観光気分で7本目
ご当地グルメの浜松餃子を食べようと車中でしらべていたお店に直行。
浜松餃子はこれといって決まりはないらしい。なのでもしかしたらふつうの餃子なのかもしれない。いや、それにしてはにんにくが強烈じゃないか? そういう普通の店なのか?
いかん。気づくと餃子に夢中になってしまう。意識をDVDにむけて、味のことはおいておこう。
味に集中できないので、何くっても結局一緒っぽい
文豪気分でホテルに缶詰
ホテルにチェックイン。文豪がホテルに缶詰されたりするが、たしかに自宅のように身の回りの品がないので集中できる。
90分たったところでインターミッションのお知らせ。どうやらこの7本目は3時間くらいあるらしい。あ~、インド映画ってそうなのか。
せわしない日本の時間感覚にくらべ、あちらは豊かすぎる。
ホテルに缶詰。たしかに集中できるな
風呂に入る
8本目、ねむい
ようやく終わった7本目。映画ではゆずの声高い方に似たインド人がキスのとき鼻は邪魔になるんじゃないかと心配していた。インドの発想に感心する。
午前1時前に8本目『ワールドウォーZ』に。スカッとできそうなものをのこしておいたのだ。
そもそもこの企画には24時間耐久戦のねらいがあるのだろうが、つかれていても映画ははじまってしまえばおもしろいしけっこう見てられるものだ。
見てられるのだが、だんだん頭に入ってこなくなってくる。眠気で集中力を欠いてきた。もう寝るか。これ見続ける意味あるのか。
ブラピが世界を救うのが先か、おれが寝るのが先か。へんな二択にせまられる午前2時。
ブラピよ、世界を救え!おれは寝る!
8本目終了
午前3時に8本目は終了した。当日のメモには「枝野、寝ろ」と関係のないことばが書き残されていた。
そして午前7時より9本目『エクスペンダブルズ2』である
絶景でDVDを見る
午前7時。中田島砂丘でDVDを再開。
浜松にきたのはこのためだった。絶景でDVDを見たらどんな感じになるのだろうと思い始発のバスに乗って中田島砂丘に来たのだ。
9本目は『エクスペンダブルズ2』。スタローンほかアクション俳優がでてくるアクション映画のおまつりみたいなもの。
おまつりみたいなものであるのだが、のぼる朝日が目に入りスタローンがよく見えない。
朝日がまぶしい。そのうえ強い風がたえまなく吹きものすごくさむい
時折、映画より過酷になる
アクション映画はずっとアクションしてるわけではなくちょっとしたお休みの時間がある。
画面内のスタローンは画面内のスタローンはバーでお酒を飲んでいる。一方その頃、私は砂丘でのぼる朝日を前にして風に吹かれている。
はいはい、である。いくらスタローンのジョークが小気味よいものであろうと、はいはい、という思いだ。こっちは砂丘なんだぞスタローン。
こうなってくるともうだめだ。映画がちっぽけなものに思えてくる。いくらDVDを見てるときに手があいてるからといって、映画をこえるようなことをしてはならないのだ。
画面外のほうがすごい
観光しにきた人に申し訳ない
8時をすぎるころには部活の学生たちが走りこみにやってきた。犬の散歩をするご近所さんもやってきた。
「何やってるんですか?」ときかれたら(DVDを見ています)で通じるのだろうか。パソコンだから(仕事です)でいいのか。
この後は観光の人がふえてくるだろう。仕事のことを思い出させて観光気分を害したりさせたくないな。でもいってみればこれも仕事だしな、いや仕事でこんなに寒いのあるかな。冬の外の仕事はぜんぶそうか。
ええと、一体これは何してるんだっけな。
説明するのが非常にめんどうな状況だった
リスト
9:10『リアル~完全なる首長竜の日~』 300円
11:23『スプリング・プレイカーズ』 300円
12:54『はじまりのみち』 300円
14:43『テッド』 300円
17:21『グランド・マスター』 300円
18:48『スター・トレック イントゥ・ダークネス』 300円
21:20『きっと、うまくいく』 300円
0:45『ワールド・ウォーZ』 300円
7:10『エクスペンダブルズ2』 300円
合計 2700円
(新作4枚1200円キャンペーンで1本300円計算)
砂丘に行くならスマートフォンで
家でDVDを見ると毎回寝てるような気がしてたが、意外とちゃんと見てられた。
DVDで見ることは、映画館ほど映画としっかりむきあうことはできないものの、鼻をかんだり砂丘に行ったりいろいろなことができるし気持ち的にも楽だ。財布にもやさしい。
DVDはDVDで、こういうライトな付き合い方でいいのだと思う。
今回のコラボ案件である
UULA(ウーラ)月額467円(税抜)であるが、これはDVDよりもうひと回りライトな付き合い方なのだろう。
スマートフォンですぐ見られる利便性は大きい。
今回外に出るにあたってノートPCとポータブルDVDプレイヤーとそれに各電源で6キロ近くになりかなりげんなりした。
バスの車内でDVDプレイヤーをセッティングする傲慢さもはずかしかったし、餃子屋でDVDプレイヤーを取り出すときの(こいつ何をしはじめるんだ)という視線も気になった。
これがスマートフォンひとつならすべて解決する。
スマートフォンひとつなら砂丘にも行きやすいだろうし、なにより砂がキーボードに入ってきてパソコンの調子が格段にわるくなったりしないだろう。
砂丘に行くなら
UULAでということでよろしいか、コラボ企画関係各位。よろしいな。
そういうことです、みなさま方。
砂丘でDVDを見たとき実際にはこれくらいの装備。風よけのカッパと日差しよけの帽子は必要そうだ。
24時間映画館で映画見続けました
「西村さん、動画配信サービスUULAのコラボ記事として、映画館で映画を24時間見てください」とデイリーポータルZ編集部から依頼された。
映画、もちろん好きですけども……24時間ですか? そもそも、映画館24時間もやってないでしょう? 大丈夫かしら?
レイトショーとか駆使すればなんとかいけるか?
出された条件はこうだ。「朝9時から翌日の朝9時まで映画館を周り、何を見てもいいので、できるだけたくさんの映画を見る」である。
デイリーポータルZ編集部が言うには「レイトショーやナイトショーをうまいこと組み合わせればいける(と思います)」という。
ホントかよ、と調べてみたところ、六本木ヒルズの映画館のレイトショーで午前3時ごろスタートというものがあった。
27時開始で29時終了って言われてもわからない(午前3時~5時です)
なるほど、それぐらい遅い時間に始まる映画があるのであれば、うまくスケジューリングして24時間、映画を見続けられるかもしれない。
ただ近年、歳をとったせいか映画の途中で寝てしまうことも多く、また、24時間ほぼずっと椅子に座っていなければいけないというのは、体調(主に腰と痔)にどの程度影響するものか、いささかの不安がある。
本当に大丈夫かしら?
都内の映画館情報を調べ、以下のようなスケジュールを組んでみた。
9時40分~12時35分
「鑑定士と顔のない依頼人」
(日比谷シャンテ)
12時55分~15時20分
「ルートヴィヒ」
(有楽町スバル座)
15時40分~20時30分
「マン・オブ・スティール」
「ホワイハウス・ダウン」
(三軒茶屋シネマ)
21時35分~23時30分
「ゼログラビティ」
(TOHOシネマズ 六本木ヒルズ)
24時25分~26時55分
「キャプテン・フィリップス」
(TOHOシネマズ 六本木ヒルズ)
27時05分~29時45分
「永遠の0」
(TOHOシネマズ 六本木ヒルズ)
「24時間」と言いつつも、一番遅い映画が終わる午前6時ごろから、朝いちばんはやい映画が始まるまでの約3時間はどこの映画館もやっていないので、実質は21時間ほどだが、それでも計7本の映画を見ることができる。
ぼくは、いちばん好きな映画が「バック・トゥー・ザ・フューチャー」と「男はつらいよ」といったていどの映画好きで、年に2~3回ほどしか映画館で映画をみない。
したがって、この日だけで2、3年分の映画を見ることになる。
これはぼくの人生における映画体験の中で一番のハイライトになる日かもしれない。
ちなみに今までのいちばんのハイライトは、中学校のとき学校で見た「インディー・ジョーンズ・魔宮の伝説」である。
まだ中学生だったぼくは、この映画の息をもつかせぬ展開と、手に汗握るアクションシーンの面白さにすっかり興奮してしまい「これがハリウッド映画か」と、暫くからだじゅうが熱っぽくなったのを覚えている。
日比谷で映画
個人的な思い出話はこれぐらいにして、まず向かったのは日比谷。
年に数回映画を見ると言っても、子供に付き合って子供向けのアニメ映画を見る程度なので、大人向けの映画を映画館でじっくり見るのは久々だ。
最初に選んだのは「鑑定士と顔のない依頼人」という映画だ。これは特に深い意味はなく、「なんでも鑑定団」が好きなのでそんなに深く考えずに選んだ。
指定席なので並ばなくてもいい
この映画は、あの「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督ジュゼッペ・トルナトーレが監督しているらしい。
「ニュー・シネマ・パラダイス」は妻と一緒に観た時、途中から妻が号泣しはじめたので、バカにしてたら、最後のキスシーンのフィルムのところでぼくも思わず泣いてしまい、ものすごくバツが悪かったという苦い思い出がある。
鑑賞中
はい、見終わりました
久々に鑑賞した大人の映画、うっかり満喫してしまった。
偏屈者の鑑定士でオークショニアの主人公が、絶対に顔を見せない謎の女性から家財道具の鑑定を依頼され、思いもよらない運命に巻き込まれていく。ざっくりいうとそんなストーリーだ。
最後のほうで思わず「えーっ」と声を出してしまいそうになった。詳しくは書かないが、ぜひとも加藤茶に見ていただきたい映画ナンバーワンであった。(なぜ加藤茶なのかは、実際に映画を御覧ください)
また、ひとりで映画館に行くのも何年かぶりだった。
なんとなく、映画は誰かと一緒に行くものだという漠然とした思いこみがあったので、あまりひとりで映画に行くことはなかったのだけど、ひとりで映画を観るのも、連れに気を使わなくていいので気楽でよいな、という再発見もあった。
イタリア映画の次はドイツ映画
続いては有楽町スバル座で「ルートヴィヒ」という映画を見なければいけない。映画の余韻に浸るまもなく、駆け足で移動する。
日比谷シャンテから有楽町スバル座までは歩いて5分ほどだ。
ロードショー発祥?
スバル座の看板には「ロードショー発祥の劇場」書いてある。そういえば「ロードショー」って言葉、よく使う割には意味がよくわかってない。
ウィキペディアによると「都市部での先行上映」のことを「ロードショー」と言っていた時代の名残りであるらしい。
小ぢんまりとして小奇麗な館内
スバル座は戦後すぐGHQの意向で「本邦初のロードショー劇場」として特別に建築許可が出た映画館で、当時のアメリカ映画を上映し、民主化を促進させるための役割も担っていたらしい。
その後、火災で消失したものの、再開発で建てられたビルの中に映画館が設置され、再スタートを切ったのが今のスバル座である。
以前より「ここに映画館あるな」とは思っていたのだが、実際に来たのは初めてだ。
館内の椅子はフカフカで妙に座り心地がよい。
上映中
はい、見終わった
「ルートヴィヒ」は、19世紀のバイエルン王国の国王で、あのノイシュヴァンシュタイン城を作ったと言われるルートヴィヒ2世の伝記映画だ。
ルートヴィヒ2世は作曲家のワーグナーに心酔し、指名手配されたうえ、借金を背負って逃亡生活を送っていたワーグナーに救いの手を差しのべた人物でもある。
また、芸術にハマってお伽話みたいなお城(ノイシュヴァンシュタイン城もそのひとつ)をいくつも建て、バイエルン王国の財政を左前にさせたため、家臣たちによって逮捕され、廃位させられたあと、幽閉された城近くの湖で謎の死を遂げた。
芸術にハマって金閣や銀閣を作り、国の財政を傾けさせた足利義政にぜひ観ていただきたい映画ナンバーワンである。
と、映画の感想はこれぐらいにして、次の映画館へ急がねばならない。
次は三軒茶屋まで移動である、映画が終わったのが15時20分。三軒茶屋の映画館の映画がスタートするのは15時40分。
急げばなんとか間に合う。急いで地下鉄に乗り込む。
古き良き映画館……
肉屋とクリーニング屋の間にある映画館
以前、このあたりを通りかかった時、古い映画館がいくつかあるから今度行ってみようと思っているうち「三軒茶屋中央劇場」は閉館してしまった。
今回は、まだ閉館せずに残っている「三軒茶屋シネマ」に行った。
肉屋、クリーニング屋という商店街の定番店舗に挟まれたこの映画館は、シネコンやアーバンなロードショー劇場とは違う、いかにも地方都市の映画館といった雰囲気が濃厚にただよう。
もちろんクレジットカードなんか使えないから現金で料金を支払う。
かなり安い
この映画館では、2作品同時上映で入場料は1300円とかなりお得だ。ぼくが行った時にやっていたのは「マン・オブ・スティール」と「ホワイハウスダウン」の2作品である。
この入場券、鈴本演芸場や新宿末広亭の入場券と同じデザインだ
到着したときにはすでに「マン・オブ・スティール」が始まっていた。シネコンおなじみのあの異様に長い映画の予告編はほぼ無いようだ。
無骨な椅子が並ぶ
この映画は、スーパーマンのクラーク・ケントが、なぜ新聞社で働くようになったのか? を描いた前日譚だ。
続いて見た「ホワイハウス・ダウン」はホワイトハウスがテロリストに占拠されてしまう話である。
売店のあるロビー
どちらも勇敢なアメリカ人のお陰で世界の秩序が保たれたというお約束の映画である。
21世紀とは思えない表記のプレート
映画の内容はともかく、この映画館は雰囲気が素晴らしい。
微妙に煤けた感じの待合室、硬めの椅子、古風な言い回しのトイレプレートなど、ここ20年ぐらいは変わってないんだろうなあというおもむきがよい。
こういった、古くから残っている施設は、お台場や池袋にあるようなレプリカの「懐かしい町並み」にはない、血の通ったなつかしさがあるのだ。
死んだニセモノをわざわざ作るよりも、生きて残っている施設を大切にしていきたいものである。
一気にラストスパート
三軒茶屋の映画館で映画を2本見終えると、夜8時半。外はすでに真っ暗になっていた。朝の9時すぎから映画を観始めてすでに12時間近くたった。
見終わったので記念撮影
派手なアクション映画を二つも立て続けに観て、軽く興奮しているのか、体の疲れや眠気はそんなにないし、当初心配していた居眠りも今のところ全くない。
これ、結構いけるんじゃないか?
ただ、最初のスケジュールの時点で食事時間を一切考慮しなかったため、食事をする時間が今までほとんどなかった。
次の映画までは暫く時間があるので、食事をとって次の目的地、六本木へ向かった。
これから明朝まで六本木で映画三昧
六本木ヒルズで徹夜だー
シネコンは便利だなー
「ゼログラビティ」はご存知の通り、宇宙空間に放り出された宇宙飛行士が地球へ帰還するまでの話。
「キャプテン・フィリップス」は貨物船の船長が、ソマリアの海賊に人質にとられ救出されるまでの話。
「永遠の0」は現代の若者が、特攻隊でなくなった祖父の足取りをたどる話。
いずれも感動的な、特にいちばん最後の特攻隊の映画に至っては、人を泣かす気満々の映画だ。
先ほどまでとはうって変わってラグジュアリーな雰囲気
最初に見た「ゼログラビティ」は画面が常にゆらゆら動くので微妙に酔ってしまったが、巷の評判通りに面白い映画だった。
それが終わると次は「キャプテン・フィリップス」。さすがに眠くなるかと思ったが、海賊とトムハンクス演ずる貨物船船長のスリリングな心理戦にドキドキしてしまい、最後まで目をかっぴらいて観てしまった。
そしてようやく日本映画「永遠の0」である。
いよいよ最後!
時刻はすでに午前3時すぎ、シアターに入ると、ぼくと女性二人の3人しかいなかったが、だんだんと観客は増えて最終的には20人ぐらいになった。
こんな夜遅くというか、どちらかというと朝早くといったほうがいいような時間にもかかわらず、観客が結構多いことに驚いた。
きのうの朝からぶっ続けで映画を見続けたやっと最後の映画である。しかも日本映画。
くるならどんと来い。なんなら、映画で号泣した上にサライでも歌ってやろうかと意気込み、スクリーンをにらみつける。
ところがである。
もし、将来死ぬことがあったら、こんなふうに死にたいと思うぐらいスーッとシームレスに意識がぬけていった。
そう、寝たのである。
気が付くと岡田くんがゼロ戦で絶叫しながら特攻していた。
日本語で映画が観られるぞと、気を緩めたのがまずかったのかもしれない。
上映が終わってライトがついた瞬間、会場のいたるところからすすり泣きの声が聞こえたのできっと感動的な映画だったに違いない。
最後の最後で悔いの残る結果となった
リスト
「鑑定士と顔のない依頼人」 1800円
「ルートヴィヒ」 1800円
「マン・オブ・スティール」
「ホワイハウス・ダウン」 1300円
「ゼログラビティ」 2200円
「キャプテン・フィリップス」 1800円
「永遠の0」 1800円
合計 10700円
映画好きの「ハレの日」
以上、1万円ちょっとで一日中映画館で映画を観られることがわかった。
椅子に座って映画をみるだけなので、思っていたほど辛くはなかったし、眠くなることもなかった。
今話題の映画や、気になっている映画を一気に見てやった、という妙な達成感もあった。
映画館で映画をみるのが好きな人であれば年に一度ぐらいこうやって「一日中映画を楽しむ」というハレの日があってもいいかもしれない。
ただ、映画館で映画見放題のデメリットとして、映画館の中に入ってしまうと何もできない、ということが挙げられる。
洗濯物をたたみながら……とか、映画の評判をネットで検索しながら……というようなことはできないし、ましてや、ラーメンやカレーを食べならが見るなんてこともできない。
その点、月額定額467円(税抜)で見放題の動画配信サービス
「UULA」はスマートフォンで外出先でも家の中でも映画を見ることができるため手軽である。
洗濯物をたたみながら映画をみて、評判をネットで検索しつつ、ラーメンやカレーを食べても、そこからつまみ出されることはない。
UULAで映画館に行った気になり、24時間映画を観倒すのもアリだと思う。
突然
「UULA」とか言い出したのはもちろんこれがコラボ記事だからだ。