はっけんの水曜日 2014年1月22日
 

カラス先生と行くカラス観察ツアー

ダイナミックに水を浴びるカラス
ダイナミックに水を浴びるカラス
数カ月ほど前のこと。行きつけの飲み屋で、カラスの研究をしている先生に会った。話の端々からは、深いカラス愛が伝わってくる。Tシャツにもカラスの絵。自分で描いたという。時は流れ、ふと思いついた。カラス先生のガイドでカラスを観察するツアーに出かけたら面白いのではないカア。
ライター。たき火。俳句。酒。『酔って記憶をなくします』『ますます酔って記憶をなくします』発売中。デイリー道場担当です。押忍!

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歌舞伎町にいるのは「ハシブトガラス」

先生が集合場所に指定したのは新宿・歌舞伎町。カラスたちは、ここに密集する飲食店が出す“ゴミ”を食べに来るのだ。
人もまばらな朝7時の歌舞伎町
人もまばらな朝7時の歌舞伎町
さて、紹介が遅くなりましたが先生の名は松原始さん。1969年奈良県生まれで、京都大学理学部時代にカラスの研究を始め、同大学院で理学博士号を取得。2007年から東京大学総合研究博物館に勤務している。
どことなくカラスに似ている先生(右)
どことなくカラスに似ている先生(右)
昨年1月には『カラスの教科書』(雷鳥社)を刊行。この本は現在8刷で、2万部を超えるヒットとなっている。
全400ページ、入魂の書き下ろし
全400ページ、入魂の書き下ろし
観察を始める前に、先生から基礎知識のレクチャーを受けた。世界には約40種のカラスがいるが、日本に生息するのは7種。なかでも代表的なのは「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」だという。
ハシブトガラス(左)とハシボソガラス(右)
ハシブトガラス(左)とハシボソガラス(右)
「名前の通り、違いはくちばしが太いか細いか。ハシブトはもともと森林にいたのが都市部にも進出したもので、鳴き声は『カアカア』。ハシボソは農耕地や河川敷に多く見られ、鳴き声は『ガアガア』です」

つまり、歌舞伎町にいるのは「ハシブトガラス」なのだ。森林とビル群の近似性が進出した理由のひとつだともいわれている。

ところで、上の比較写真は先生から送ってもらったものだが、ファイル名にそれぞれ「さん」が付いており、静かに感動したのであった。
カラス愛ゆえ呼び捨てにできない
カラス愛ゆえ呼び捨てにできない
また、この日も7枚あるという自家製カラスTシャツのうちの1枚を着てきてくれた。絵は水洗いに強い布用のマーカーで描いているそうだ。
いつも心にカラスを
いつも心にカラスを

焼き鳥やラーメン、マヨネーズなどが大好き

さて、いよいよ歌舞伎町の中へ。すると、さっそくゴミ袋に集まるカラスたちの姿が。
ゴミ収集車が来るまでの勝負
ゴミ収集車が来るまでの勝負
「カラスは嗅覚がほとんど発達していない代わりに、視力が飛び抜けていい。従って、ゴミ袋越しに目で見て食べられるものかどうかを判断しているんですね」
大きなカラスに見えなくもない先生
大きなカラスに見えなくもない先生
「焼き鳥やラーメン、マヨネーズなど、高カロリーなものが大好き。チャーシューの切れっ端なんかも、彼らにとっては最高のごちそうです」

うずらの玉子…なるほど、焼き鳥屋だ
うずらの玉子…なるほど、焼き鳥屋だ
こちらはラーメン店
こちらはラーメン店
早朝の繁華街に、カラスたちの鳴き声が響き渡る。

「『カア』とひと声鳴くのはコンタクトコールといって、要するに自己紹介みたいなもの。『カアカアカア』と続けた場合は、『ここにエサがあるよ!』と仲間に教えるフードコールです」
かっこよく飛び立った瞬間を激写(足下にハト)
かっこよく飛び立った瞬間を激写(足下にハト)

いったん隠してから、あとでゆっくり食べる習性

しばらく歩くうちに、カラスばかりが目に入るようになってきた。
しかし、これはカラスではない
しかし、これはカラスではない
あらためて驚いたのは、彼らが近づいてくる人間の様子を注意深く観察しているということ。とくに、カメラのレンズを向けるとすぐに飛び去ってしまう。

と、ここで植え込みの上をウロウロしている一羽を発見。あれは何をしているんでしょうか?
不自然なポジショニング
不自然なポジショニング
「おそらく、自分で植え込みに隠したエサを探しているんでしょうね。カラスは『貯食』といって、ごちそうをいったん隠してから、あとでゆっくり食べる習性があるんです」

なるほど。あれ、先生、あの木の上にあるのって巣じゃないですか?
上のほうに、もじゃっとした固まりが
上のほうに、もじゃっとした固まりが
近づいてみると…。
やはり巣でした
やはり巣でした
「針金ハンガーと枝で作ってますね。ここも春夏は葉っぱが生い茂って、外からは見えない場所だったんでしょう」

カラスがハンガーを盗んでいく話は有名だが、先生はカラスがガムテープを巣作りに使おうと思案しているという奇跡の1枚を撮ったことがある。

結果的には心折れて捨てたそうです
結果的には心折れて捨てたそうです

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