特集 2014年2月10日

GIFアニメの作り方 全力まとめ 2014

スマートフォンですぐできる!
スマートフォンですぐできる!
こんにちは、編集部 石川です。

パソコン版パラパラマンガ、GIFアニメ。
初めての人でもスマートフォンがあれば簡単にできちゃうよ!技術がある人はパソコンでものすごく凝った作品もできる!……という記事をおととし書きました

あれから2年、今年もGIFアニメのコンテスト「国際GIFアニメアワード2014」の作品募集が始まっています。ぜひこの機会にみんなでGIFを作ろう!ということで、あらためて、最新情報の詰まった2014年版をお届けします。一昨年のとあわせて、お読みください。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

前の記事:ペットボトルキャップは495°回せば開く

> 個人サイト nomoonwalk

GIFアニメとは

まずはGIFアニメとは何か、っていうところから説明しよう。
たとえば、こんなのだ。
上に掲載したのは、当サイトで連載中の「GIFアニメ研究会」の作品。

最初に「パソコン版パラパラマンガ」って言ったけど、GIFアニメはパラパラマンガみたいなイラストだけじゃなくて、写真を使ったもの、両方組み合わせたものなど、すごく自由度が高い。そして動画より加工しやすいから、合成写真や特殊効果なんかも比較的簡単にできてしまう。

技術がなくてもアイデア次第でいくらで面白いものができるし、いっそのことアイデアすらなくてもいい。適当にちょっと撮ってみるだけで、「わ、動く!」っていう妙な興奮があるのがGIFアニメだ。それをぜひ一度体験してみてほしい!というのがこの記事の趣旨です。

実録・GIFアニメ制作現場に潜入

自分で作る方法の紹介の前に、まずはGIFアニメの制作現場に潜入してみよう。
ちょうどGIFアニメ研究会の新作をおねがいしていた、森翔太さんの家にお邪魔した。
森翔太

1983年生まれ。

舞台出演、映像制作、自主公演など様々なパフォーマンスを行う。

映画「タクシードライバー」にインスパイアされて制作したガジェット「仕込みiPhone」の動画が、MakeやGizmodoなどのブログメディアに掲載されたことによりブレイク、YouTubeにて約280万再生、国内外のテレビメディアで取り上げられた。

2013年12月、第17回 文化庁メディア芸術祭「エンターテインメント部門」審査委員会推薦作品に、「仕込みiPhone」(ガジェット)と「脊振ILCハイスクール!」(映像作品)が選出される。
> 個人サイト 森翔太のHP
なお、森さんはプロの動画作家なのでソフトも高価なものを使っていて制作過程も凝っていて、おまけに火気を使う(!)、とちょっと敷居の高い制作風景となっている。

次のページから、スマートフォンひとつで簡単にGIFアニメを作れる方法もご紹介するので、自分で作ってみたい初心者の方はそちらもあわせてご覧いただけたらと思います。

ひとり共演プロジェクション

森さんに今日の作品の構想を聞いた。
巨大な自分の顔を置きまして……
巨大な自分の顔を置きまして……
こっちにも生身の僕が……
こっちにも生身の僕が……
ちょっとよく意味がわからない。

詳しく聞いてみると、こういうことのようだ。
1.この部屋にはホームシアター用のプロジェクターが取り付けてある。
2.そのプロジェクターで自分の顔を壁に投影する
3.その前に生身の自分が、仕込みiPhoneを持って立つ
4.頭の上では火が燃えている

なるほど、そういうことね!…と3番までは納得しかけたが、4番で一気にまた意味がわからなくなった。頭の上で?火が?
もう百聞は一見にしかずで、ひとまず制作に入ってもらおう。
まずは三脚を立ててプロジェクター投影用の動画を撮ります。
まずは三脚を立ててプロジェクター投影用の動画を撮ります。
GIFはいろんな撮影方法があるけど、こうやって動画を撮ってあとからGIFにするのは、サクッと撮れて手軽なやり方のひとつだ。
カメラに向かって舌を出し入れする森さん
カメラに向かって舌を出し入れする森さん
ひとしきり舌を出し入れしたあと、何かに満足した顔で、それを動画編集ソフトに取り込む
ひとしきり舌を出し入れしたあと、何かに満足した顔で、それを動画編集ソフトに取り込む
なお、今回のGIFアニメにはは『シネマグラフ』という手法を使うそうだ。シネマグラフとは、静止した写真の一部だけを動かす手法。

たとえばこんなの。
国際GIFアニメアワード応募作品・かわうそ「風呂」
国際GIFアニメアワード応募作品・かわうそ「風呂」
静止した写真の中で、水だけが動いている。

一部が動いているおかげで、かえって画像の「静」が強調される。独特の空気感をかもし出すGIFアニメの手法だ。
動画のシネマグラフ化に着手。まず長く撮った動画を、ペロペロ1回分に短くカット
動画のシネマグラフ化に着手。まず長く撮った動画を、ペロペロ1回分に短くカット
そこから一コマだけ静止画で切り出して、画像編集ソフトに移します。そして顔面の部分だけ消す
そこから一コマだけ静止画で切り出して、画像編集ソフトに移します。そして顔面の部分だけ消す
それを動画編集ソフトに戻してきて、さっきの動画にかぶせます
それを動画編集ソフトに戻してきて、さっきの動画にかぶせます
ペロペロの動画の上に、顔面だけ消した静止画を重ねれば、背景や顔の輪郭は静止したままで、顔面だけがペロペロする。
画面でペロペロしてる森さんと、真剣に作業する森さんのギャップがすごい
画面でペロペロしてる森さんと、真剣に作業する森さんのギャップがすごい
これで、プロジェクターで投影するための森さんは完成。
投影するためにいったん動画ファイルに書き出す。
画面いっぱいに自分のペロペロを拡大し、できた動画を険しい顔で確認する森さん
画面いっぱいに自分のペロペロを拡大し、できた動画を険しい顔で確認する森さん
どうやら満足の行く出来だったようだ
どうやら満足の行く出来だったようだ
ここでできた動画はこんな感じ。
(作業上は動画だけど、掲載用にGIFに変換して貼ってます)
(作業上は動画だけど、掲載用にGIFに変換して貼ってます)
シネマグラフについて、さっき「かえって『静』が協調される。」なんてかっこよく説明したが、しかしこの森さんのGIFのヌメッとした感じはなんだ。輪郭を固定したことで人間味が薄れて、動く蝋人形みたいな不気味さがでてきた。
これをプロジェクターに接続
これをプロジェクターに接続
大画面でヌメッとする森さん。
大画面でヌメッとする森さん。
目の前にいままで見たことのない光景が広がりトワイライトゾーンに迷い込んだ感じだが、これでも作品の制作工程としては着々と進んでいる。安心してほしい。

そして次の瞬間、森さんが意外な行動に出た。

火気登場

いきなり火を焚く
いきなり火を焚く
ヨシ。
ヨシ。
やおら皿の上に紙を敷き、火をつける森さん。またも何かに納得したのち、皿をタオルで頭に括る。
「いいGIFができそうですよ」
「いいGIFができそうですよ」
そう語る彼のまなざしは、職人のそれである。
ここで森さんの代表作、仕込みiPhoneが登場
ここで森さんの代表作、仕込みiPhoneが登場
装着!
装着!
これですべての準備は整ったようだ。さっき作ったペロペロは撮影用の素材に過ぎない。ここからいよいよGIFアニメ本番の撮影が始まる。
br />カメラをセットして、照明を落とす。東欧あたりの民族衣装のようでもある
カメラをセットして、照明を落とす。東欧あたりの民族衣装のようでもある
「石川さん、火をつけてもらえますか?」「え、はい」
「石川さん、火をつけてもらえますか?」「え、はい」
燃えさかる炎、巨大な森さん、仕込みiPhone、DailyPortalZ。
燃えさかる炎、巨大な森さん、仕込みiPhone、DailyPortalZ。
燃えさかる炎を担いで、急に儀式っぽくなってきた。
異常なおもしろシチュエーションにもかかわらず、常に凜とした表情の森さん。さすが職業・パフォーマーである。

ちなみにシネマグラフを作る際は、「できるだけ動かないこと」が大事(詳しいことは次のページ以降で)。
なので仕込みiPhoneは、重力に沿って落とすだけの一方通行の動きを撮影した。
落とすだけ。
落とすだけ。
数回のテイクの後、燃え尽きた燃料から煙が立ち上り、撮影の終わりを告げる
数回のテイクの後、燃え尽きた燃料から煙が立ち上り、撮影の終わりを告げる
クランクアップです
クランクアップです
そして、さっきのペロペロと同じように、これもシネマグラフに加工する。
パソコンに取り込んで、
パソコンに取り込んで、
さっきと同じ要領で
さっきと同じ要領で
改めて
改めて
シネマグラフにしていく
シネマグラフにしていく
今回は、単なる繰り返し再生ではなく、再生したあと逆回転で元に戻ってくるように加工した。そうすることで、ただ落とすだけだった仕込みiPhoneが、落ちたあと逆回転で元に戻り、上下に往復するようになるのだ。
「できた」
「できた」

完成

そして完成したGIFがこちら。
森翔太「仕込みiPhone×モリジェクションGIFマッピング」
森翔太「仕込みiPhone×モリジェクションGIFマッピング」
す、すごいものが完成した…。
「色味のないサイケ」とでも言おうか。後ろの森さんの幻覚っぽさがすごいし、それに対して仕込みiPhoneの軽快さ。頭上の皿がじわじわ動いているのも見る人を不安にさせるではないか。

すごくいい。すごくいいのだが、謎度が高すぎるこの作品。果たして、初心者のためのGIF講座であるこの記事の、最初の見本がこの作品でよかったのか…。読者をよけい混乱に陥れているのではないか。

しかし、こんなフォローはどうだろう。こういうちょっと言葉では説明しづらいアイデアでも、作ってみるとちゃんと作品として成立してしまうのが、GIFのすごさなのだ。
森さんどうもありがとうございました。
森さんどうもありがとうございました。
最初に手の込んだ制作風景を紹介してしまったので「大変そう…」と思った方もいるかもしれない。でも次からはすごく簡単にGIFを作る方法を紹介するので、ためらわずに次のページにゴー!
それはそうと森さんのiPhoneのガラスがすごかった
それはそうと森さんのiPhoneのガラスがすごかった
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GIFジャンル別 傾向と対策

というわけでいよいよGIFアニメの作り方。
一口にGIFアニメと言ってもいろんな手法・作り方があるので、手法別にその作り方をご紹介していこう。

それから、今回の国際GIFアニメアワードに協賛でもある、GIFアニメ作品投稿・共有サービス「GIFMAGAZINE」の協力で、作例も載せている。あわせて見ていただくと、どういうものかがわかりやすいと思います。
コマ撮りアニメ
まずは一番の基本形、コマ撮りアニメからご紹介したい。

コマ撮りアニメっていうのは、こういうの。
要はパラパラマンガ。一コマ一コマ別々に撮った写真を連続で見せて、動画みたいに見せるやり方だ。

上の空中浮遊のGIFは、毎回違う場所でジャンプして撮った写真を連続で見せることで、ずっと浮いてる動画のように見える。下の人形を使った作品は、人形を少しずつ動かして撮った写真を連続で見せることで、ひとりでに動いているように見える。

こうやって間のシーン(シャンプしているところ、手で人形を動かしてるところ)を省くことで、実際にはあり得ない動きをつくる、トリック映像みたいな手法である。

ほかにも作例がたくさんあるのでこちらから見てほしい。
→作例を見る

まずはこのタイプの作品の作り方から見ていこう。
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ここでは、Android用で使えるGifMobというアプリを使って説明します。これは一例なので、ちゃんとあとでiPhone用アプリも紹介しますよ。
作例:編集部の古賀さんが、ペットのモニタをかわいがるGIFです。
作例:編集部の古賀さんが、ペットのモニタをかわいがるGIFです。

つくりかた

被写体とスマートフォンを用意しましょう。
被写体とスマートフォンを用意しましょう。
撮る内容が決まったら、アプリを起動。
撮る内容が決まったら、アプリを起動。
撮影モードに入ります。(GifMobの場合、カメラのアイコンを押す)
撮影モードに入ります。(GifMobの場合、カメラのアイコンを押す)
最初のコマの写真を撮る
最初のコマの写真を撮る
そしたら被写体をちょっと動かします。(モデルの古賀さんに半歩あるいてもらって、モニタもすこし前に動かしました。)
そしたら被写体をちょっと動かします。(モデルの古賀さんに半歩あるいてもらって、モニタもすこし前に動かしました。)
そして次のコマを撮るのですが、今回紹介するアプリは、すべて前のコマが透けて見える「オニオンスキン」という機能がついています。これで、背景がずれないように、動かしたいものだけが動くように撮りましょう。
そして次のコマを撮るのですが、今回紹介するアプリは、すべて前のコマが透けて見える「オニオンスキン」という機能がついています。これで、背景がずれないように、動かしたいものだけが動くように撮りましょう。
×悪い例:背景がずれてる
×悪い例:背景がずれてる
3コマ目以降も、一コマずつ撮っていきます
3コマ目以降も、一コマずつ撮っていきます
それを繰り返して、最後まで撮れたら完成。このGIFは17コマで終了しました。
それを繰り返して、最後まで撮れたら完成。このGIFは17コマで終了しました。
簡単でしょ?
ポイントは、とにかく背景がずれないようにすること。それだけ!オニオンスキン機能が頼りになるし、もっとこだわるなら、スマートフォンを壁やテーブルに押し当てて位置を固定しよう。

今回は人が被写体だったけど、人形みたいな小物を動かしたい時も、同じ要領でできる。
ぜんぶ撮り終わったら、速度を調節したり、余分に撮ってしまったコマを消したり、再生方向(撮った順/逆再生)を設定したり、フィルタをかけたり。アプリによっていろんな編集ができます。終わったら、保存
ぜんぶ撮り終わったら、速度を調節したり、余分に撮ってしまったコマを消したり、再生方向(撮った順/逆再生)を設定したり、フィルタをかけたり。アプリによっていろんな編集ができます。終わったら、保存
作ったGIFが保存される場所は、アプリによる。それをパソコンに持ってきたい場合、全アプリに共通して使える一番簡単な方法は、アプリの機能でTwitterやFacebookなどに共有すること。共有したリンク先からダウンロードするのだ。GIFが動いてるページで、GIFを右クリック→名前をつけて保存すれば、ダウンロード完了。

アプリ紹介

■iPhone用
[プチ撮り] Looooop
\200、コマ撮りも連射(後で説明します)も使えて便利!

GIFSHOP
\100、ひとつのGIFに使えるコマ数はこっちの方が多い

■Android用
GifMob
無料、広告消すのは\100。(上のサンプルキャプチャは広告が出てます。決して小銭をケチったわけではなく、消せるのあとで気づきました…)
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スマートフォンを使わずにデジカメ+パソコンで作ることもできる。
デジカメで撮影する時のポイントは、オニオンスキン機能がないため、必ず三脚を使うこと。三脚さえ使えば、背景がずれないように固定できる。

撮った写真をGIFにするにはいろんな方法があるけど、Webサービスを使うと楽だ。おすすめは Mothereffing animated gif というサービス。画面に写真をドラッグ&ドロップするだけで簡単にGIFアニメを作れる。画像の追加アップや順番変更もドラッグ&ドロップで可能、並べ替えたら「Animate」っていうボタンを押すと動くので、それでよければ「Download GIF」を押せばダウンロードできる。

専用のソフトを使うなら、WindowsならGiamというフリーソフトが使える。使い方はこちら。 Macの人はGIFfunというソフトがあるようです。使い方はこちら
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シネマグラフ
ここ数年、流行りのシネマグラフ。前ページで森さんも作ってたやつだ。あらためてどういうのかをお見せすると…。
こういう、静止画の一部だけ動いているような、不思議な感じのするGIFだ。

他にも作例はこんな感じ。
→作例を見る

これ、難しそうに見えるけど、拍子抜けするほど簡単に作れます。ほんと1分でできる。
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ここでは、Android用アプリのmotiongraphというアプリを使って説明します。(例によってiPhoneアプリは後ほど)
作例:談笑中の静止画ですが、急にライターのきだてさんがこちらを振り向きます
作例:談笑中の静止画ですが、急にライターのきだてさんがこちらを振り向きます

つくりかた

今回はカメラの固定が重要です。 壁や机などにスマートフォンを押し当てるか、そういったものがない場合は脇を締めましょう。 (この写真、悪い例だな…)
今回はカメラの固定が重要です。 壁や机などにスマートフォンを押し当てるか、そういったものがない場合は脇を締めましょう。 (この写真、悪い例だな…)
アプリを起動して撮影モードに。シャッターボタンを押すと、動画の撮影が始まります。(撮影は一定時間で終了するアプリと、自分で止めるアプリがあります。motiongraphは前者)
アプリを起動して撮影モードに。シャッターボタンを押すと、動画の撮影が始まります。(撮影は一定時間で終了するアプリと、自分で止めるアプリがあります。motiongraphは前者)
撮影が終わると、シネマグラフで動かす場所を設定する画面になります。
撮影が終わると、シネマグラフで動かす場所を設定する画面になります。
指で、動かしたい場所だけグリグリなぞる
指で、動かしたい場所だけグリグリなぞる
緑がかっている部分は、静止画の部分。(動画の一番最初の瞬間で静止します。) 緑じゃないところだけが、アニメーションします。なぞったのを緑に戻す時は、「止める」ボタンを押そう。
緑がかっている部分は、静止画の部分。(動画の一番最初の瞬間で静止します。) 緑じゃないところだけが、アニメーションします。なぞったのを緑に戻す時は、「止める」ボタンを押そう。
これだけで完成。このGIFでは、きだてさんの顔のまわりだけグリグリしました。完成したらメール送信でパソコンに送ろう。
これだけで完成。このGIFでは、きだてさんの顔のまわりだけグリグリしました。完成したらメール送信でパソコンに送ろう。
驚くほどの簡単さである。
ただこれ、手順は簡単なんだけど作るのにはちょっとコツがいる。

まず、「動かしたくないものと、動かしたい物を重ねない」こと。
悪い例
悪い例
上の例だと、手前のハトだけを動かしたいのに、手前のハトと後ろのハトの行動範囲が重なっているために、身体の一部が写りこんだり、消えたりしている。
動かしたいハトのうしろには、動かない背景だけを入れるようにしよう。

それから、繰り返しになるけど「カメラをゆらさない」。
悪い例
悪い例
動いてるハトの周りの地面がなんかモワモワっとしてるのがわかるだろうか。カメラが揺れるとこうなるので、必ずスマートフォンを何かに押し当てて固定しよう。

さらに、被写体も、「動かす場所の近くの動かさない場所」は撮影時もなるべく動かさないほうがいい。上の、こっちに振り向くGIFで言うと、首や肩の部分。そこ動かすとシネマグラフにしたとき、動かす場所と動かさない場所の継ぎ目がずれてしまう。(前頁で森さんの頭の上のカゴが動いてた現象)

色々面倒くさいことをいったけど、撮影自体はほんと1分なので、何回か試行錯誤すればすぐにいいのができるはず!あんまり神経質にならなくてもいいです。

アプリ紹介

■iPhone用
KINOTOPIC
無料、要アカウント作成。

Flixel
無料、反復再生(再生→巻き戻し、で行ったり来たりする)の作品しかできなさそう

Cinemagram
無料、要アカウント作成。ダウンロードがちょっと複雑(Tumblrに共有してからTumblrの画面で右クリック保存)

※一長一短あるので好きなのを選ぼう!

■Android用
motiongraph
99円。SNSでの共有がうまくいかないことがあったので、パソコンに送る時はメールを使うといいかも
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パソコンでやる場合は、前ページの森さんみたいにデジカメで動画を撮影、そのあと動画編集ソフトと画像編集ソフトを行ったり来たりするのがいいようです。ちょっと上級者向けかも。こちらも三脚を使うのを忘れずに!

動画で撮る
GIFアニメって動画みたいなものだから、思い切って動画で撮ってしまうのが手っ取り早い。
たとえばこんな風に。
動画はコマ撮りと違ってトリックが入れられないので、撮ったものがそのまんまGIFになる。
でも、被写体がおもしろければ、小細工しなくてもそれで十分なのだ。それにGIF独特のカクカクした動きになるので、おもしろ映像がいっそうコミカルになるぞ。
海苔もコミカル!(この記事より</a>)
海苔もコミカル!(この記事より
他にもこんな感じのGIFはたくさんある。
作例を見る

なお、このやり方はパソコン向き。スマートフォンの場合は次の「連射で撮る」のやり方が同じ感覚で使えるので、そちらを見てください。
!
今回の作例:ノートPCで勝訴
今回の作例:ノートPCで勝訴

つくりかた

まずはデジカメで普通に動画を撮ってパソコンに取り込む。
撮影した動画
そしたら、mov2gifというサイトでGIFに変換しよう。
できた
できた
アラ簡単。
制限としては動画の容量に100Mの制限があることと、動画の頭から10秒しか変換してくれないところ。撮影のとき、のシャッターは見せたいシーンの直前に押そう。

もっと長い動画から切り出したい場合は、gifmaker というサイトなら。長い動画から一部を切り出すこともできる。そのかわり操作がちょっと複雑なのでこちらのヘルプをよく読もう。avi形式の動画は使えないので注意!

いざとなったらYoutube

上記の二つのサイトは、使える動画ファイルの形式が決まってたりして、手持ちの動画に対応していない場合がある。そんなときは、おもいきっていったんYoutubeにアップしてしまおう。
たとえばこんなふうに動画をアップします(こちらの記事より)
Youtubeにアップした動画は、GiflikeというサイトからGIFに変換できる。
会員登録が必要だけど、入れるのはハンドル名とパスワードだけで、メールアドレスすら要らないので気軽に登録できる。

登録が終わったら、動画のURLを入れて、スタート地点と終了地点を決定、あとは「Publish」を押すだけ。GIFができたら「.gif」のボタンを押して、出てきた画像を右クリック→名前を付けて保存しよう。
こんな風に、いいシーンだけ切り出してGIFにできる。
こんな風に、いいシーンだけ切り出してGIFにできる。
画像のサイズが思ったより大きくなってしまった場合は、この記事の終盤に縮小の仕方が載っているので、そこまで読み進めてください。

連射で撮る
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スマートフォンでは、シャッターを押すと勝手に何十枚か連射で撮ってくれて、それをGIFにしてくれるアプリもある。動画を撮るのとほとんど同じ感覚で使える。

できる作品は上の「動画から作る」とほとんど同じなのでそちらを見てもらうとして、ここではアプリのみ紹介しよう。たくさんあるよ。

アプリ紹介

■iPhone用
[プチ撮り] Looooop
\200、二度目の登場。コマ撮りも同じアプリでできて便利!

Mopic
無料。動画からGIFに変換する機能もついてる

Gifboom
無料、要アカウント作成。作ったGIFのダウンロードは、カメラロールに登録してからメール等でPCに送る(SNSに共有した先のページからはダウンロードできない!)

■Android用
Fixie GIF Camera
無料。一定時間、自動で連射するモードと、押してる間だけ連射するモードがある。

Gifboom
無料、iPhone版にあるタッチフォーカスの機能がなぜかAndroid版にはないので、接写はできない。撮影したGIFはギャラリーの中に保存される(SNSに共有した先のページからはダウンロードできない!)
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イラストで作る
ここまで実写を使ったGIFの作り方ばかり紹介してきた。次はイラストを使ったGIFの作り方をご紹介しよう。たとえば、こんな作品。
さらなる作例はこちらへ。
作例をみる

イラストのGIFについては、おととし書いた「GIFアニメの作り方全力まとめ」という記事に詳しく書いたので、そちらを見てもらえたらと思う。手順以外にも、うまく動いて見せるコツなど、参考になる情報がたくさんあるはず。

「GIFアニメの作り方全力まとめ」イラスト編
error403「キーボード」</a>を題材にして説明してます
error403「キーボード」を題材にして説明してます
上記のページでは、画像をアニメ化するときにフリーソフトを使っていたけど、いまならWEBサービスでGIFを作ることもできる。コマ撮りのところでも紹介したMothereffing animated gifだ。このサイトは本当に使いやすいのでお勧め!

色々なイラスト

イラストはいろんなバリエーションがあるので、まとめていくつかサンプル集をご紹介しよう。

まずは上級編として、上のサンプルみたいに、イラストと写真を合成したタイプの作品集も紹介しておこう。
作例はこちら

初心者でもできるGIFアニメ制作、こういうのができるようになったら、ひとまずはゴールインと言ってもいいかもしれない!

それから、ドット絵。
国際GIFアニメアワード応募作品より。asaha「アリスの部屋(ショートver.) 」
国際GIFアニメアワード応募作品より。asaha「アリスの部屋(ショートver.) 」
おととしの第1回国際GIFアニメアワードにて、惜しくも入賞は逃したもののこのドット絵はすごく秀作でした。

ほかにもこんな感じで。
作例を見る

あとこれはイラストと言っていいのかわからないけど、モーショングラフィックスっていうやたらかっこいい分野もある。これについてはもう僕が何か教えられる範疇じゃないのだけど(むしろ教えてほしい)、作例だけでもご紹介します!
作例を見る

立体視
さてさて、GIFアニメできるのはアニメーションだけではない。なんと3Dメガネや特別な機材なしで、3D表現までできてしまうのだ。
(こちらの記事</a>より)
こちらの記事より)
引用元の記事中にも作り方は書いてあるけど、ここまで読んできてくれた皆さんなら、コマ撮りで使ったスマートフォンアプリを使ってもいい。同じ被写体を、ちょっと角度を変えて2コマだけ撮るのだ。早めの再生速度に設定すれば、立体視ができるぞ。

ほかにも立体視のいろんな作品はこちら。
作例を見る

タイムラプス
タイムラプスは定期的に自動でシャッターを押して、長時間の変化を高速で見せる手法だ。微速度撮影ともいう。理科の授業で見たアサガオが開いてから閉じるまでの早回し映像、あれである。
すね毛を剃っているところのタイムラプス(こちらの記事</a>より)
すね毛を剃っているところのタイムラプス(こちらの記事より)
撮影がちょっとたいへんだけど、これも、人気のジャンル。
作例を見る

簡単に作れるスマートフォンアプリも紹介しようと思ったのだが、残念ながらいいのが見つからなかった。というか、タイムラプスをとるためにはスマートフォンを何時間も何日も置きっぱなしにしなきゃいけないので、そうなるとまた別の意味で気軽とは言えない。

作る場合は、インターバル撮影機能の付いたカメラで写真を撮影、あとはそれをパソコンに取り込んで、コマ撮りと同様のやり方でGIF化することになると思います。注意点としては、放置撮影中にカメラをお母さんに片付けられないようにすることだ。

ループもの
これは今までみたいな撮影方法の分類とはちょっと違うんだけど、GIFの特徴でもあるので慣れてきたらぜひ挑戦してほしい。最初と最後のつなぎ目がわからない、延々繰り返すループものだ。
作り方としては、コマ撮りだったり動画からの切り出しだったり、今まで紹介した手法を使えばいい。

問題は最初のコマと最後のコマのつなぎ方。ここで被写体の位置が大きくずれたりすると、つなぎ目が目立ってしまう。きっちり位置合わせをするのも手だけど、実はもっと簡単に回避する方法が2つある。

A.何もないコマを挟む

こういうふうに、いったん登場人物を画面の外にはけさせると、自然に再登場させることができる
こうやって動かないものだけを残すのもアリ。水島ひね「ホットドッグ」</a>
こうやって動かないものだけを残すのもアリ。水島ひね「ホットドッグ」

B.往復させる

再生→逆再生→再生→逆再生…を繰り返すようなアニメーションを作ればいいのだ。
さっきも紹介したこの作品、お父さんを向こうに押すところだけ撮って、手前に戻すところはその逆再生にする。そうすれば最初のコマ=最後のコマになるので、絶対に絵がずれない!
往復再生の作り方だけど、パソコンで手動で作る場合は自分でそのようにコマを並べればいい。スマートフォンアプリで作る場合、上で紹介したコマ撮り用のアプリには、ぜんぶ往復再生のGIFを作る機能がついている。全部撮り終わって、保存の前に設定することが多いようだ。

ここまで紹介してきたのは実写で作る場合の説明だけど、イラストでループさせるGIFもいい。
イラストも含めた、ループものの作例集もどうぞ。
作例はこちら

Tips:
容量を小さくするには?
おまけで、GIFを作ったあとのちょっとした小技を紹介します。

国際GIFアニメアワードには1Mの容量規定がある。でも、GIFって頑張って作るとすぐ容量が大きくなっちゃうのだ。容量を減らすには、「大きさを小さくする」「減色する」「コマ数を減らす」の3通りの方法がある。

大きさを小さくするのは簡単。Bloggif : Resize an imageというWEBサービスがあるので、ここで画像の大きさを小さくしよう。

減色するのは、一度GIFを作ってからだとちょっと難しいかもしれない。最初にGIFを作るときに、使う色数を指定できるソフトであれば、そこで少ない数を指定しよう。そうじゃない場合、あとで減色するにはPhotoshopなどの高機能なソフトが必要。

コマ数を減らすのも、GIFにする前にやるのが簡単だ。GIFにした後に減らしたい場合は、コマ撮りのところで紹介したGIAMなどのGIFアニメ編集ソフトを使う。またはちょっと面倒だけど、Bloggif : DecomposeというサイトでGIFアニメをバラバラの静止画に分解することができるので、そこから必要なコマだけ厳選してMothereffing animated gifなどでふたたびGIFに戻せば、容量が小さくなるはず。

なんにしろ、あとから削れる容量には限界があるので、余分なシーンを削って短いアニメで済ませる方法がないか考えてみることが一番かもしれない。

もっと高度な情報

さて、この記事はあくまでGIFアニメの入門編。もっと高度なことをやりたくなったら、どうしたらいいだろう。ひとつは、前回の「GIFアニメの作り方全力まとめ」の3ページ目には、Photoshopを使った上級編の作り方が出ている。こちらを読んでみてほしい。それから、腰を据えて勉強したい人は、「GIF BOOK コンテンツ制作者のためのGIFガイド(ビー・エヌ・エヌ新社)」という本がおすすめ。プロの作家の人たちがその手口を惜しげなく披露している。実は国際GIFアニメアワードについてのコラムも書かせてもらいました!
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最後におもしろGIFをご紹介

さあみなさん、説明続きでちょっと疲れてきたでしょう。
最後は、おもしろGIFを眺めてこの原稿を終わりにしたい。
GIFの人気のジャンルを、3つほどご紹介しよう。

インターネットの人気者といえば猫である。もちろんGIF界でも猫は大人気なのだ。
→こんなGIFです。

失敗
人が失敗する様子のGIFは世界中で大人気。音楽と失敗は言葉の壁を越えます。
→こんなGIFです。

タイポグラフィ
こちらはおもしろいというよりかっこいいのが。文字を使ったデザインのGIFだ。
→こんなGIFです。

人気のジャンルがわかったね。これを抑えればあなたのGIFも人気沸騰間違いなし。今すぐ猫が失敗して文字になってしまう動画を作ろう!

国際GIFアニメアワードもよろしくお願いします。

国際GIFアニメアワードの締切りは3/9。この記事を参考にGIFを作ったら、迷わずすぐに送ってください!応募はこちらのページから。
>>国際GIFアニメアワード2014

「作るのはたいへん…、」という方も、随時作品投票をやっていますので、ぜひ見に来て清き一票をご投票ください。

おしらせ

2/14にGIFアニメ制作ワークショップを開催します!その名も「GIFカソン2014」。Loftwork.comとの共催です。

いろんな物でコマ撮りしたり、お互い被写体になって特撮映像を撮ったりするイベントです。
基本的なGIFの作り方は、デイリーポータルZ編集部&Loftwork.comのメンバーがお教えします。未経験者の方も遠慮なくどうぞ。

詳しくはこちら
▽デイリーポータルZトップへ

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