はっけんの水曜日 2014年2月12日
 

雪の中に穴を掘って一晩過ごしてみた

雪洞の夜がはじまる

日が落ちてきたので棚にロウソクを立てて火を灯す。雪は光をほぼ反射するので、ロウソク1本でも案外明るい。
ムーディーです。カップルで雪山に行くなら雪洞もアリでは?!(寒すぎて喧嘩になるかも知れんが)
ムーディーです。カップルで雪山に行くなら雪洞もアリでは?!(寒すぎて喧嘩になるかも知れんが)
ロウソクは酸欠を知らせるためのサインとしても有効だ。雪洞は入り口や空気穴が埋まると酸欠になりやすい。 ロウソクが消えたら酸素が薄くなっている証拠なので、すぐに換気するか脱出した方がいい。

と、言われている。が、実際に酸欠になった人に聞いたところ「ロウソクが消えたのは気付いたけど、その時点で酸欠だったみたいで『あれー、なんで消えたんだろうねー』なんてみんなで不思議がってるだけだった」そうだ。

酸欠で頭が回らなくなると、ロウソクが消えた意味も判らなくなってしまうのらしい。恐ろしや。
棚には邪魔な荷物を入れたり出来る。
棚には邪魔な荷物を入れたり出来る。

水を作らないといけません

夕食の前にまず水を作らないとならない。今回は水をほとんど持っていかなかったので、雪を溶かして水を作る。これも雪山ではよくある事だ。

鍋に手持ちの水をちょっと入れておく。そこに外から集めてきた新雪をギューギュー押し込んでガスコンロで加熱。融けたらボトルなどに移して、それを飲んだり炊事に使ったりする。

雪を溶かせば水になるので、そこだけは夏山登山より楽。新雪じゃないと埃っぽいけど。
雪を溶かせば水になるので、そこだけは夏山登山より楽。新雪じゃないと埃っぽいけど。
夕食はカレーうどんにした。具材はジップロックに入れて持って来て、麺はインスタントである。手軽で体が温まるメニューだ。
具材と調理器具。ガスは使いかけのを2本持って来た。これが後に悲劇を生む。
具材と調理器具。ガスは使いかけのを2本持って来た。これが後に悲劇を生む。
具を煮込んで麺を投入。美味しそうな匂いがしてきましたよ。
具を煮込んで麺を投入。美味しそうな匂いがしてきましたよ。
完成!具がたっぷりのカレーうどんです。
完成!具がたっぷりのカレーうどんです。
マルちゃんのカレーうどん。赤いきつねみたいな平麺が美味いのだ。
マルちゃんのカレーうどん。赤いきつねみたいな平麺が美味いのだ。
豚肉をたくさん入れました。
豚肉をたくさん入れました。
雪洞で食べるカレーうどんの美味さたるや。苦労して雪洞を掘った甲斐があったというものである。雪解けの水で料理をするというのも、自然の循環を実感できて嬉しい。PM2.5がどうとか野暮な事を考えてはいけない。

という事で、うどんおかわり。
替え玉です。
替え玉です。

ウイスキー、スノーで

夕食が済んだら酒である。家にあったちょっと良いウイスキーを持って来た。壁の雪を削ってコップに入れて、そこにウイスキーを注ぐ。

ウイスキーの雪割りって寸法である。
ウイスキーの雪割りって寸法である。
たまらんです。
たまらんです。
雪割りのウイスキーは甘く、食道をやさしく灼く。ぬおー、体が温まる!カレーとウイスキーでポカポカする俺。略してポカ俺。

そして読書

最近、風雪のビヴァークという本を読んでいる。戦前から戦後に掛けて活躍したクライマー、松濤明(まつなみあきら)氏による山行記録集だ。

松濤明は数々の初登記録(単独も多数)を持つ天才クライマーであり、文章力も素晴らしい。なんとも美しく、臨場感に溢れる山行文の連続に引き込まれる。

ちなみに、ネタバレであるが最後は遭難して亡くなってしまう(壮絶という言葉もぬるいくらい壮絶)。
登山者必読の一冊。言葉使いが古いのも面白い。『アルバイト』を『労働』って意味で使ってたりする。『ラッセルアルバイトをした』とか。また、ちょくちょく道に迷ったり装備を燃やしちゃったり、バスに乗り遅れたりという失敗もする。そこら辺のドジッ子ぶりも面白い。
登山者必読の一冊。言葉使いが古いのも面白い。『アルバイト』を『労働』って意味で使ってたりする。『ラッセルアルバイトをした』とか。また、ちょくちょく道に迷ったり装備を燃やしちゃったり、バスに乗り遅れたりという失敗もする。そこら辺のドジッ子ぶりも面白い。
松濤明はクライマーなので岩登りの記録が多いのだが、時には厳冬期の南アルプスを単独で縦走したりもする。

そんな山行中の宿泊はほぼ全てビバークである。ツエルトでビバークしたり、雪洞を掘ったり。

そういう本なので是非雪洞でビバークしながら読みたいと思っていたのだ。読んでいると同じルートに行ってみたくなるが、大体が冬の岩壁なので当面は無理そうである(多分死ぬ)。
ロウソクの明かりでもなんとか読めるが、やっぱ暗い。
ロウソクの明かりでもなんとか読めるが、やっぱ暗い。
やっぱ薄暗いなーと思いつつ、ロウソクとヘッドランプの明かりに頼っていたのだが、ひょんな事からヘッドランプを天井に向けたら凄く明るくなった。

前述の通り、雪は光を反射するので天井を照らすと、反射して雪洞全体に光が回るのだ。
ヘッドランプを天井に向けると光が反射して明るい事を発見。
ヘッドランプを天井に向けると光が反射して明るい事を発見。
雪洞で酒を飲みながら、明るいLEDヘッドランプの明かりで風雪のビヴァークを読む。至福である。酒はウイスキーと赤ワインを持って来た。つまみはビーフジャーキー。
赤ワインは瓶だと重いのでナルゲンボトルに入れてきた。
赤ワインは瓶だと重いのでナルゲンボトルに入れてきた。
しかし問題がある。雪洞の中は周りじゅう水分だらけなので結構湿度が高いし、雪の欠片が融けて水がしたたってくる。なので、持ち物全てがしっとし濡れていくのだ。

お肌もしっとりモチモチ肌になるのだが、本もしっとりしていく。そして乾かない。ガスを炊けば乾くのだろうが、そんな余裕はない。
雪洞あるあるその2。持ち物は全て湿っていく。
雪洞あるあるその2。持ち物は全て湿っていく。
濡れ気味の本を読み進め、酒を飲み、眠くなってきた。時間は午後10時。普段ならまだ早い時間だが、早起きしてアルバイトしたので眠い時間である。

ここからが大変だった。

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