はっけんの水曜日 2014年2月12日
 

雪の中に穴を掘って一晩過ごしてみた

エアマットが壊れた

さて、実は薄々気付いていたのだが、お尻の下に敷いていたエアマットの空気が抜けていた。エアマットは空気を入れて膨らませると厚さが3cmくらいになる。

膨らんだ状態で使えばそこそこ温かいのだが、ぺったんこでは布きれ1枚と大差無い。雪の冷たさがダイレクトに伝わってくる(しかも全体的に濡れてる)。

いよいよ寝ようと思っていたのだが、寝るどころではなくなった。
絶望のぺったんこ。雪洞あるあるその3、エアマットがパンクしてぺったんこ。
絶望のぺったんこ。雪洞あるあるその3、エアマットがパンクしてぺったんこ。
どこかから空気が漏れているっぽい。空気を入れ直せばしばらく保つんじゃないか?と思ってバルブから空気を入れた。が、空気を入れるやいなや、シューっと音がして風が顔に当たるのだ。

なんと、バルブの横の接着剤が剥がれて豪快に漏れていた。テープを貼って応急処置出来るかな?とも思ったのだが時すでに遅し。濡れたエアマットにテープが付かない。修理は不可能である。

実は寝袋禁止の訓練であった

そして更に絶望のお知らせである。実はこのビバーク訓練は寝袋禁止である。今は2月、厳冬期。厳冬期の雪山で寝袋無し……。

なにせ緊急避難の訓練だ。『日帰りの予定で寝袋持っていくか?』と聞かれたら答えはNOだろう。普通、ツエルトやガスコンロのセットは持っていくが寝袋は持っていかない。

という事で今回使っていい寝具はエアマットとシュラフカバーだけと決められていた。日帰りの予定でエアマットを持つか?って話ではあるが、そこはリーダーの優しさである。つーか、マット無しで雪洞ビバークなんてやったら低体温症になる自信がある。
シュラフカバーってのは、要は布の袋です。
シュラフカバーってのは、要は布の袋です。
シュラフカバーってのは本来、寝袋が濡れないようにするカバーであり、一応防水になっているがペラペラの布だ。もちろん保温性なんて無いに等しい。

空気が入らないぺったんこエアマットの上でシュラフカバーに入って寝た。床は雪。体温がガンガン奪われていく。ヤバイ。寒くて眠れない。

寒くて起きて、二度と眠れない

それでも多少は寝た。多分2時間くらいウトウトした。で、深夜1時頃目が醒めた。体が冷え切っていた。雪山で遭難して「ダメだ!寝たら死ぬぞ!」なんて話になるが、中途半端に寒いと逆に眠れない。
ヤバイと思って顔写真を撮ったが、まだ血の気はあるので大丈夫っぽい。
ヤバイと思って顔写真を撮ったが、まだ血の気はあるので大丈夫っぽい。
ありったけの防寒着を着込んでいる。しかし、うっかりウルトラライトダウンなんて着てきてしまったので寒い。もっと厚いダウンジャケットを持ってくるべきだった。

上半身はそれでもまだ着込んだのでマシだが、下半身が寒い。タイツ、厚手のズボン(ソフトシェルパンツ)、レインウェアの3枚だ。足が冷えてしかたない。

ハクキンカイロ(ベンジンを燃料にした超温かいカイロ)も使っているが、なおも寒い。
ハクキンカイロ(ベンジンを燃料にした超温かいカイロ)も使っているが、なおも寒い。
更にピンチのお知らせである。なんだか入り口のカーテンが内側に膨らんで来たなーなんて思っていたが、なんとなくめくったら入り口が雪で埋まっていた。

そこには雪の壁があった。
衝撃的すぎて笑った。雪洞あるあるその3、入り口が埋まる。
衝撃的すぎて笑った。雪洞あるあるその3、入り口が埋まる。
もう、すっかり埋まってしまって壁である。夜中に一人で「生き埋めかい!」って突っ込んだ。あまりにそのまんまな突っ込みである。

こういう時のためにスコップとピッケルは雪洞に入れておけと指導されていた。本当に必要なんだなぁ。

完全に埋まってる写真はビックリしすぎて撮り逃した。ちょっと掘ってから撮影したのが上の写真。
マジで白い壁になってた。
マジで白い壁になってた。
天井に開けた空気穴も入り口も完全に埋まっていた。が、ロウソクは一応燃えていた。埋まっちゃっても一人だしガスで煮炊きもしていなかったので酸欠まではならなかった様だ。助かった。

堪えかねて朝食を作る事にした

朝5時頃。もはや寝るのも寒さに耐えるのも無理である。まだ早い気もしたが朝ごはんにすることにした。朝食は猫まんまである。
お湯を沸かしてみそ汁を作り、そこにご飯を入れて煮る。
お湯を沸かしてみそ汁を作り、そこにご飯を入れて煮る。
冷え切った体に嬉しい暖かさ。
冷え切った体に嬉しい暖かさ。
昨夜の具材たっぷりのカレーうどんも美味しかったが、冷え切った体にはこのシンプルな暖かさが嬉しい。

熱いみそ汁が体に沁みる。ご飯の甘味が口に広がる。これほど美味しい猫まんまを食べたのは初めてだ。
凄まじく美味しかった。
凄まじく美味しかった。

ガスコンロで暖を取る

朝食も終わったし、2日目で必要なお湯と水も作った。あとはもうガスは必要無いので暖房に使っちゃおう。

ところで、ずっとガスコンロと書いてきたが、実は山の世界ではコレを「ガスストーブ」と呼ぶ。

ホントはガスストーブです。
ホントはガスストーブです。
今までこういう寒い宿泊をしたことが無かったので暖房に使ったことは無かったのだが、こうしてみると暖房用具であり、ストーブという名前がしっくり来る。

しかしここで更に残念なお知らせである。

ガスが尽きた。
徐々に火が弱くなってきた。
徐々に火が弱くなってきた。
段々火が弱くなってくる。ボンベを素手で触って温めると多少持ち直すが、それでも弱くなっていき、遂に消えた。暖を取れたのは大体20分くらいだったろうか。まだ朝の6時だ。終了まであと2時間くらい。
雪洞あるあるその4、ガス欠。
雪洞あるあるその4、ガス欠。
実はガスが残り少ないのは出発前から知っていた。この際だから中途半端にあまってるガスボンベを使い切っちゃおうと思って、そういうボンベを持って来ていたのだ。水作りや暖房で予想外にガスを使い、遂にガス欠である。

簡単に言えば雪洞ビバークを甘く見ていた。とんだドジッ子である。これが練習で本当に良かった。

ただ、朝食後に無くなったのが不幸中の幸いである。じゃなければボソボソに固まったご飯を食べる羽目になっていた。

天井が下がってきた

そして天井が下がってきた。入り口付近の、天井が特に薄い部分が30cmくらい下がっていた。あと数時間すれば落盤する勢いである。
雪洞あるあるその5、下がる天井。
雪洞あるあるその5、下がる天井。
酷い場合は雪洞の天井全体が下がってきて、起きると目の前に迫っている事もあるという。閉所恐怖症でなくても息が詰まる話である。下手すりゃそのまま生き埋めだ。

そういう時は夜中でも起きて天井を削るのだという。絶対に避けたい事態だ。僕の場合はそこまで酷くなく、っていうかほぼ寝てないので事なきを得た。

そしてようやくビバークが終わる。

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